勇気絶唱バーンブレイバーンSymphonity   作:あーくこさいん

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前編・後編に分けようとしたプロローグですが、予想以上に長くなってしまったので前編・中編・後編の三部作構成にします。


プロローグ(中編)

東京某所…

 

そこには今人気のツインボーカルユニット【ツヴァイウィング】のライブが始まろうとしていた。

そこの舞台裏では青い髪の少女…風鳴翼がスタッフの邪魔にならない場所で座り込んでいる。

 

本番を前に緊張している彼女に近寄ってくる赤髪の少女…天羽奏が冷たい缶ジュースを翼が着ているレインコートの首筋に突っ込む。

 

翼

「うひゃいっ⁉︎」

 

奏

「あっはっはっ!どうした翼、そんな辛気臭い顔して?」

 

翼

「か、奏ッ⁉︎もう、止めてよこういうのッ!」

 

相方の悪戯に抗議の声を上げるが、奏はそれを聞き流し、缶ジュースの蓋を開け勢いよく口に流し込む。

それを見た翼もこれ以上の抗議は無駄だと諦め、首筋に突っ込まれた缶の蓋を開ける。

 

奏

「んぐ、んぐ……ぷはぁっ!いけないねぇ、そんなに油断してちゃ…防人たる者、どんな時でも気を引き締めていかないと。例えそれが、ライブの本番前だろうとね。」

 

翼

「ん……はぁ、ご忠告どうも。」

 

奏

「どういたしまして♪」

 

奏の忠告に翼はやや不貞腐れ気味に返すが、当の奏は全く気にしてない。

暖簾に腕押しな反応に、翼はまたしても諦めの溜め息を吐き呟く。

 

翼

「…奏は私に意地悪だ。」

 

奏

「だったら翼は泣き虫で弱虫だ。」

 

翼の呟きに奏がこう返すと、二人はフフッと笑う。

この二人は表(・)向(・)き(・)ツインボーカルユニット【ツヴァイウィング】として、その綺麗な歌声で多くの人々を魅了する。

 

そんな彼女達は人を炭化させる特異災害【ノイズ】から人類を守護する為、人知れず戦う二人組の戦士…【シンフォギア】の装者としての顔があった。

彼女達はその力で日夜、誰にも知られることなくノイズと戦ってきた。

 

無論、初めからこんな良好な関係だった訳ではない。

ツヴァイウィングの片翼である奏はノイズに家族を殺された事もあり、ノイズに対する復讐の為装者になった。

その為、翼との関係は正直なところ良いものとは言えなかった。

だが、ある戦闘の後に助けた自衛官に言われた言葉がきっかけで『自分達の歌は誰かを勇気付け、救うことが出来る』と気付き、復讐の為だけでなく人々をノイズから護る為に歌う事を決意し、翼と共にツヴァイウィングを結成した。

 

もうすぐライブが始まる際、その様なやり取りで緊急をほぐす二人。

 

しかし、その様子を第(・)三(・)者(・)が見ているとは思いもしなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処ぞの空間………

先程のやり取りを映像で見ている者がいた。

 

10mの巨体に銅と白と基調とした高級感溢れる装飾のボディ、下半身に脚は無く、鋭利な棘の先端にリングが形成されており、頭部に黄金の王冠を被ったまさに王様の様な外見の異質な生命体。

胴体と両腕は完全に分離しており、腕組みしながら映像を見ている。

 

??????

「ほぅ…此奴らがシンフォギアを纏う“装者”と言う者かぁ……」

 

そんな中、別の生命体がやって来て一緒に映像を見る。

その生命体は4mの体躯に黒を基調とした軍服の様な姿に背部に装着した二基の超大型スラスター、頭部には赤一色のモノアイのみとこれまた異質な存在だった。

 

??????

「…デスペラティオか。そうだ、彼女らが纏うシンフォギアによってノイズを駆逐する事が出来る。…それと同時に僕の命を脅かす危険因子だよ。」

 

デスペラティオ

「…相も変わらずそれか、ティモル。【各々が求める最上の死を成し遂げること】が至上命題である我らデスドライヴズの中で自らの命を惜しむのはぁ、かぁのヴェルム・ヴィータに続きぃ…お前くらいしか居ないぞ。」

 

ティモル

「…何とでも言え、僕は死ぬのだけは死んでも御免だ。」

 

そんなやり取りをしている中、通信が入る。

 

??????

『ティモり〜ん、デスち〜ん、聞こえる〜?』

 

ティモル

「はぁ…お前か。いい加減そのあだ名はやめてくれ、気色悪い。」

 

デスペラティオ

「おお、オディウム、配置についたか。」

 

オディウム

『付いた付いた。丁度目当ての奴もいるし。』

 

ティモル

「…そういえば前に言っていたお前のル(・)ル(・)になりそうな奴ってどれだ?青髪の奴か?」

 

オディウム

『いや、赤髪の奴。確か…【天羽奏】って名前。』

 

デスペラティオ

「此奴がかぁ…?どぉう見てもお前の感情に合わない気ぃがするがぁ…?」

 

デスペラティオの指摘にオディウムはこう答える。

 

オディウム

『い〜や、俺には分かる。普段気さくで明るい彼女の心の奥底に燻っている、ドス黒い感情……憎しみがな。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方ライブ会場では、ツヴァイウィングのライブは一曲目が成功し大歓声に包まれた。

早くも二曲目に移ろうとしていた矢先、突如として会場の中央部が爆発、それに呼応するかの様に異形の怪物【ノイズ】が出現し観客を次々と炭素の塵に変えていく。

さらに逃げようとする観客同士が互いに押し退け合った事による将棋倒しなどの二次災害が加速度的に発生し、ライブ会場は一瞬で地獄絵図と化していく。

 

そんな中、奏と翼は聖詠を歌う事でシンフォギアを纏いノイズの群れへと突貫する。

たった二人ながらも一騎当千の活躍により次々とノイズを蹴散らしていく。

気づけばライブ会場に居るのは装者二人にそれを囲むノイズの群れ、そしてその光景を隠れながら見ている逃げ遅れた一人の少女。

 

装者の一人である奏は手にしている槍を振い、向かってくるノイズを切り裂き穿ってその数を減らしていく。

だが、唐突にその槍から輝きが失われていく。

 

奏

「クソッ!時(・)限(・)式(・)はここまでかよッ⁉︎」

 

奏の場合、シンフォギアの適合率が低い為特殊な薬品【LiNKER】の投薬によって装者になった背景から、彼女が全力を出して戦える時間に制限があった。

しかも最悪な事に、今回のライブの為にLiNKERを服用を控えていたのだ。

その為、いつもより早い段階で制限時間を迎えてしまった。

 

辺りを見渡せばノイズの群ればかり。

全力は出せはしないが、ノイズは倒す事が出来る…そう考え、彼女は槍を振い戦い続ける。

 

その時だった。

突然赤い光が迸ったと同時に、

 

ドガァァァァァン‼︎

 

その光が迸った箇所から爆発が起きた。

爆発の威力は凄まじく、多数のノイズを巻き込み殲滅していく。

爆発が起きたすぐ後に衝撃波が伝わる。

 

突然の事に二人の装者も隠れ見ていた少女も何が起きたか分からず呆然としていたが、先程の爆発によってノイズが少なくなったおかげで翼は奏に合流する事が出来た。

 

翼

「奏、ギアが…!」

 

奏

「ああ…それより今のは?」

 

翼

「私じゃないし、一体誰が…!」

 

次の瞬間、空から何かが音を立てながら降り立ち、土煙が上がる。

やがて土煙が収まり姿が露わになると…

 

??????

「ガッガッガー…」

 

そこにいたのは4mの体躯に赤と青みがかった黒で彩られた力士の様な姿、長大かつ巨大な両腕と頭部のバイザーに一本の鶏冠が特徴的な、外見から言えばロボットの様な存在…

ノイズとは違う存在に装者二人は警戒を強める中、周囲にいたノイズの群れは黒いロボットを無視して装者二人に襲い掛かる。

どうやら黒いロボットを人間と認識しないようだ。

 

??????

「…やれやれ、どうやら情報通り人間のみを襲う兵器の様ですね……」

 

黒いロボットはそう呟くと両肘の装飾が展開し、サブアームで連結されたビームチェーンソーを出す。

それを展開したままノイズの群れに突貫すると、腕を振い周囲のノイズをビームチェーンソーで切り裂く。

シンフォギアと同じように黒いロボットの攻撃はノイズに通用するようだ。

 

奏

「ノイズを一撃で…!」

 

翼

「あれもシンフォギアなのか…⁉︎」

 

驚く二人を他所に黒いロボットは暴れまくる。

パンチとチェーンソーで周りの小型ノイズを文字通り千切っては投げ千切っては投げを繰り返し、残るは大型ノイズである2体の強襲型のみとなる。

すると黒いロボットの掌からある物を取り出す。

それはラグビーボールの様な形状に中心部が禍々しい黒のカプセルだった。

そのカプセルを腹部に収納する。

 

??????

「ほぅ〜ホッホッ、素晴らしい!以前使っていたルルとは比べ物にならない程のエネルギーだ!」

 

そのカプセルを入れた瞬間、黒いロボットから膨大なエネルギーが溢れ出し、頭部にエネルギーが充填される。

そしてエネルギーが溜まり切り、頭部のバイザーからビームが放たれる。

 

そのビームは強襲型ノイズ2体に風穴を開け、勢い余って会場の外にある高層ビル数棟をも膨大な熱量で溶かし、風穴を開けた。

こうしてライブ会場で暴れていたノイズは全滅する。

 

たった一体でノイズの群れを殲滅する黒いロボットに装者二人が戦慄していると、黒いロボットが装者の方を向く。

 

??????

「さて…初めまして、御嬢さん。」

 

奏

「お前…何者なんだ?」

 

??????

「おっと、自己紹介がまだでしたね……私の名は、クピリダス…【強欲のクピリダス】といいます。以後お見知り置きを…」

 

黒いロボット…クピリダスはそう自己紹介する。

厳つい見た目に反して丁寧な敬語口調に面食らう二人だが、翼が日本刀型アームドギアをクピリダスに向ける。

 

クピリダス

「おや、どうかしましたか?」

 

翼

「ご協力感謝します。でも、貴方のような力を持つ存在を益々と逃す訳には行きません。このままご同行願います。貴方には話して貰いたいものがたくさんあるので。」

 

クピリダス

「…断る、と言ったら?」

 

翼

「その時は申し訳ありませんが、貴方を拘束させていただきます。」

 

翼がそう言うが、それに対するクピリダスの答えは…

 

クピリダス

「…丁度いいですねぇ。私も貴方達に用があって来たのですよ。」

 

奏&翼

「「……は?」」

 

二人はクピリダスの言ってる事が分からなかった。

それを知ってか知らずかクピリダスは続ける。

 

クピリダス

「先程のノイズ…でしたか。アレは人間のみを襲う兵器である為、我々の事は眼中にない。加えて彼らが齎す死は炭化させるのみ……この様な面(・)白(・)み(・)の(・)欠(・)片(・)も(・)無(・)い(・)ガ(・)ラ(・)ク(・)タ(・)では、私の望みは叶えられない。」

 

翼

「何を、言って…⁉︎」

 

クピリダス

「ですのでシンフォギアを纏う装者…でしたか、貴方達なら私が望む爆死を与えてくれると期待して……貴方達の元にやって来ました。」

 

クピリダスが爆死する為に装者に戦いを挑もうとしている事に二人の理解が追いつかない。

 

クピリダス

「さて、話はもういいでしょう。鬱陶しいガラクタ共は一掃できた事ですし、あとは私の望みを叶えるだけです。」

 

クピリダスはやる気満々だが、それに対する装者は…

 

奏

「…悪いが、アンタの望みは聞けないね。」

 

クピリダス

「ほう?何故です?」

 

奏

「逆に何でこっちが了承すると思ったんだ…?言っておくが、アタシが槍を振るうのはノイズから人々を護る為だ!アンタみたいな自殺志願者の為に振るうなんてこっちから願い下げだ!」

 

奏はそう啖呵を切る。

 

クピリダス

「そうですか…」

 

するとクピリダスは右手を出し、掌にエネルギーを溜める。

クピリダスの行動に装者二人はアームドギアを構える。

やがてクピリダスは溜め切ったエネルギーを握り潰す。

その瞬間…

 

ドガァァァァァン‼︎

 

ライブ会場の外から爆発音が鳴り響く。

 

奏

「何ッ⁉︎」

 

翼

「今のは…⁉︎」

 

二人は振り返るが、続いて建物が崩れ落ちる音が鳴り響いた。

 

奏

「テメェ…何しやがった!」

 

奏の抗議にクピリダスはこう答える。

 

クピリダス

「貴方達が私と戦わないので、その気にさせる為に適当なビルを一棟爆破しました。」

 

奏

「ハァっ⁉︎」

 

クピリダスの奇行に理解が追いつかない。

 

翼

「貴方、自分が何してるか分かって…」

 

クピリダス

「ほう?まだ首を縦に振らないと……なら了承するまで手頃なビルを数棟爆破しましょうか?」

 

彼女達は言葉を失っていた。

こんなにも平然と、まるでこの後の買い物の予定でも話すかの様にビルを爆破しようとするクピリダスに彼女達は言いようのない気味の悪さと不快感を覚える。

 

奏

「お前は…!」

 

クピリダス

「さて、どうします?私と戦いますか?それとも意固地となって無駄に犠牲を増やしますか?私としてはどちらでも構いません。都市の一つや二つ、火の海にする事など造作もないのですから。」

 

クピリダスの提案…もとい脅迫に二人は言葉を失う。

そんな中、動いたのは翼だった。

 

翼

「…そんなに戦いたいのなら、私が相手だ!」

 

翼はアームドギアをクピリダスに向けて牽制する。

クピリダスの非道な行いに堪忍袋の尾が切れたからだ。

 

クピリダス

「やっとやる気になりましたか。まぁ私としては二人がかりでも良かったですがね。」

 

奏

「翼、アタシも…」

 

翼

「駄目!」

 

奏も参加しようとするが、大声で制止する。

そう、奏のギアはとっくに制限時間を超えており全力で戦えない状態だった。

 

翼

「もう全力出せないのでしょ⁉︎今の状態じゃ危険よ!」

 

奏

「けど…!」

 

翼

「…大丈夫。あんな異常者相手に奏の手を煩わす事は無いわ。」

 

奏

「翼…!」

 

クピリダス

「…そろそろいいですかな?」

 

翼

「ええ、いいわよ。」

 

そのやり取りの後、翼とクピリダスは構える。

こうして翼とクピリダスとの戦いの火蓋が切って落とされた………




※因みにオリジナルデスドライヴズのイメージCVは以下の通りです。

 ティモル:浪川大輔
 デスペラティオ:若本規夫
 オディウム:藤原哲治
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