勇気絶唱バーンブレイバーンSymphonity 作:あーくこさいん
翼
「いくぞ、クピリダス!」
そう言い翼がクピリダスに斬り掛かる。
クピリダスはサブアームに連結されたビームチェーンソーで応戦する。
翼のアームドギアとクピリダスのビームチェーンソーが鍔迫り合いの如く拮抗しており、しばらくしてパワーで勝るクピリダスが競り勝つ。
翼は距離を取ると刀を上に掲げる。
すると空から大量の光の剣が現れ、数多の剣がクピリダス目掛けて降り注ぐ。
千ノ落涙
翼の攻撃にクピリダスは避ける様子も無く、正面から受け止めようとしている。
放たれた光剣は全てクピリダスに命中する。
だが…
クピリダス
「…今、何かしましたか?」
翼
「な…⁉︎」
クピリダスにはノーダメージだった。
それに驚くものの、翼は臆せずクピリダスに連続して斬り掛かる。
対するクピリダスは翼の斬撃を真正面から受け止め、その剛腕からくるパンチやビームチェーンソーで反撃する。
勝負は拮抗…否、クピリダスの方が優勢である。
クピリダスは正直つまらなそうな反応だ。
クピリダス
「はぁ…やる気あるんですか?そんなナマクラで私が満足するとでも?」
翼
「ナマクラ…だと!い、言わせておけば!」
自慢のアームドギアをナマクラ扱いされた翼は激昂し、アームドギアを大型化させる。
大型化したアームドギアを振い、刀身から巨大な青いエネルギー刃を放つ。
蒼ノ一閃
放たれたエネルギー刃はクピリダス目掛けて飛んで来るが、避ける事はせず真正面から受け止める。
そのままエネルギー刃はクピリダスに命中する…が、両断はおろか傷一つ付くことは無くエネルギー刃は砕け散る。
その事に愕然とする翼と奏。
クピリダス
「チンタラやってんじゃねえぞクソアマがァ‼︎」
すると今までの攻撃に痺れを切らしたのか、普段の丁寧な敬語口調とは打って変わってガラの悪いチンピラ口調で捲し立てる。
クピリダス
「やる気あんのかオマエ‼︎そんなナマクラ刀でチマチマ斬られたって爆発する訳無ぇだろうがァ‼︎」
あまりの剣幕に翼が怯んでいると、クピリダスは冷静さを取り戻し腕組みをしてこう言い放つ。
クピリダス
「はぁ…もういいです。もう一人の装者に変わってください。ハッキリ言って貴方を相手にしても
翼
「き、貴様ァァ‼︎」
これまでに無い侮辱を受け、さらに激昂した翼はアームドギアを空中に投擲する。
するとアームドギアが身の丈の数十倍もあろう大剣に巨大化し、その大剣の柄の部分を蹴り、そのままクピリダス目掛けて蹴り貫く。
天ノ逆鱗
クピリダスはあまりにも巨大な大剣に多少驚きはするものの、すぐに落ち着きを取り戻す。
クピリダス
「…なるほど、大きくしてそのまま蹴り貫く魂胆ですか。」
焦る様子も無くクピリダスは構え、先程と同じく真正面から受け止めようとする。
大剣が勢いよく突き刺さろうとした瞬間、クピリダスは素早く左手を張り手のように突き出す。
クピリダス
「…ですがね。」
するとクピリダスの掌から極太のパイルバンカーが勢いよく射出され、大剣の剣先にぶつかる。
数秒の拮抗があった後、剣先にヒビが入り徐々に広がっていく。
翼
「…え?」
パキィィンッ‼︎
次の瞬間大剣が砕け散り、翼は勢いを殺せずそのままキックしてしまう。
クピリダスは翼目掛けて右腕を振りかぶり、渾身のパンチを繰り出す。
勢いを殺せなかった翼はそのまま接近してしまい、クピリダスのパンチをモロに受けてしまう。
パンチを受けた翼は勢いよく吹っ飛ばされて、壁に激突する。
観客席にもヒビが入り、翼は倒れてしまった。
奏
「翼ッ‼︎」
クピリダス
「大きくした所でナマクラはナマクラ…私を満足するに至りません。それにしてもまだ生きてるとは…防御力は折り紙付きの性能ですね。」
クピリダスの言う通り翼は死にはしなかったものの、受けたダメージが大きく戦闘続行は不可能だった。
クピリダス
「…さて、次は貴女の番ですよ。」
そう言ってクピリダスは奏を標的に変える。
対する奏はもう既にギアの制限時間をオーバーしているので全力を出せず、詰んでいる。
だが、こんな奴を野放しには出来ない。
彼女も覚悟を決めて戦おうとする。
その時だった。
??????
「きゃぁっ⁉︎」
奏
「ッ⁉︎」
さっきの攻撃で客席が崩れ、それに巻き込まれたのか先程の戦いを隠れて見ていた少女がステージ近くに落ちてきた。
クピリダス
「…ほう、まだいたようですね。」
するとクピリダスはなんと少女を標的に定める。
その事に気付いた奏はクピリダスを阻止しようと殴り込む。
奏
「今だ、走れ!」
奏の掛け声に少女は逃げようと走り出す。
だが、奏の攻撃はクピリダスの反撃によって弾かれてしまう。
さらにクピリダスは頭部にエネルギーを溜め、先程のビームを少女目掛けて放とうとする。
奏
「このクソ野郎が‼︎」
奏はすかさずクピリダスの前に立ち塞がり、放たれたビームを槍を回転させて防ごうとする。
だがその攻防の最中、ビームの余波でシンフォギアの装甲が砕け、飛び散った装甲の破片が逃げようとした少女の胸に突き刺さり、少女の胸から血が吹き出す。
奏
「おいっ!大丈夫か、しっかりしろ‼︎」
それを見た奏は慌てて少女の元へと駆け寄り、必死に声を掛ける。
奏
「生きるのを諦めるな‼︎」
その言葉を聞いた少女は薄らと瞼を開く。
少女の様子に安堵するも、状況は最悪の一言だ。
このままでは少女は出血多量で死ぬか、クピリダスに殺されてしまう。
クピリダス
「ガッガッガー…どうやらシンフォギアの破片が心臓付近に突き刺さったようですね。彼女はもう長くは持ちませんし…なんなら、私が引導を渡しましょうか?」
クピリダスの無慈悲な言動に堪忍袋の尾が切れた奏はある決心をする。
最後の切り札を…自分の命と引き換えに放つ諸刃の剣を。
奏
「おい、クピリダス…!そんなに爆死したいなら味合わせてやる……アタシの最後のとっておき………絶唱を‼︎」
そう言うと奏は少女を地面に寝かしてクピリダスに向かって歩き出す。
奏
「いつか……心と身体、全部空っぽにして思いっきり歌いたかったんだよな………」
翼
「奏……まさか…!」
そう言って奏は歌い出す。
禁断の切り札……絶唱を。
Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el baral zizzl
クピリダス
「…なるほど、特殊な歌によってエネルギーがこれまで以上に増大し一気に解放する技ですか。…いいでしょう!貴女の言う絶唱がどのようなものか……真正面から味わってみましょう‼︎」
段々とエネルギーが増幅していく現象に心躍らせたクピリダスは、ビームチェーンソーを展開しながらパイルバンカーを打ち込もうと接近する。
絶唱が放たれたらいつも通り真正面から受け止めるつもりだ。
Gatrandis babel ziggurat edenal
翼
「かなでぇぇぇ‼︎その歌を歌ってはダメェェェ‼︎」
翼が奏を止めようと傷付いた身体に鞭を打って駆け寄ろうとするも、奏は歌うのを止めない。
そして、遂に…
Emustolronzen fine el zizzl
彼女は絶唱を歌い切った。
歌い切ってしまったのだ。
次の瞬間、奏を中心に凄まじいエネルギーが放出され、パイルバンカーを突き刺そうとして接近したクピリダスに襲い掛かる。
膨大なエネルギーを一気に解放する絶唱を至近距離から受けた事により、堅牢な身体は徐々に破壊されヒビが入っていく。
クピリダス
「ほぉぉぉぉ⁉︎こ、これが絶唱…⁉︎す、素晴らしい…!今まで受けた爆発が霞んで見える……‼︎これほどのものとは……‼︎皆さん!この世界にはブレイバーンのみならず、装者も我々の望みを叶えてくれるぅぅぅ‼︎」
クピリダスは以前受けた必殺技をも軽く凌駕する絶唱に感激しながら、遂にクピリダスの全身が紫色の結晶体となり、砕け散った。
そして奏自身も絶唱の反動によって命を落とす。
…筈だった。
??????
『あーあー!えっとー?天羽奏君だっけー?聞こえてるかなー?』
奏
「…え?」
絶唱を歌い終えた奏に、声が聞こえる。
??????
『ゴメン、時間無いから要件だけねー。今からダイナミック自殺しようとしてる君にプレゼントがあってさー。』
その瞬間、奏の背後に銀色の球体が現れ、その球体が奏の背中から身体の中へと入っていく。
奏
「が…っ⁉︎あ…あぁぁぁぁぁあああぁっっ⁉︎」
??????
『君さ〜『生きるのを諦めるな!』とか言っておきながら、自分は絶唱で死ぬのは無いんじゃない?だからさ〜、お前の身体…いや、心の奥底に燻る
背中から一気に融合が進み、遂にはシンフォギアシステムまでも掌握してしまう。
荒れ狂うエネルギーの放出により、駆け寄ろうとした翼は吹き飛ばされてしまい、その間に謎の存在による奏の乗っ取りが完了、そのまま何処かへ転送される………
エネルギーの放出が止まり、翼が起き上がり目を開いた時には奏の姿は無かった。
翼
「奏…?どこ…?なんで……いないの?」
辺りを見渡しても、居るのは自分と奏が助けたあの少女だけだった。
隣で歌い、共に戦った親友が居なくなってしまった。
翼
「ぁ…あぁ…嫌…いや、いやぁ…嫌ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ‼︎」
その事実に翼は涙を流し悲しみと絶望の慟哭を上げた。
翼
「嫌ァ‼︎いやだァ‼︎ひとりはいやァ…‼︎ひとりにしないでぇ‼︎うわァァァァァァァァァァァァ‼︎」
心の支えであった奏を失った事に精神が耐え切れず、ただ子供のように泣き叫び暴れる有様だった。
やがて風鳴弦十郎を筆頭とした特異災害対策機動部二課のエージェント達が現場に到着し、少女を病院へと搬送する。
しかし翼の方は泣き叫び半狂乱の状態で暴れる。
弦十郎の声も届かず、結局は鎮静剤を打って無理矢理に眠らせた後、弦十郎の手で二課の本部へと運んで行く。
翼
「か、な…で……」
弦十郎
「奏…」
弦十郎と翼の涙が、同時に地に落ちた………
クピリダスが奏の絶唱で倒されてからしばらくして…
ティモルとデスペラティオがいる部屋の扉が開き、ある人物がこの場に現れた。
その人物は赤髪に身体ぴったり合ったオレンジ色のインナー、脚や腕に白を基調とした装甲に加え頭部のヘッドホン型のギアとカチューシャ……
そう、絶唱でクピリダスを倒した天羽奏……否、
ティモル
「…調子はどうだ、オディウム?」
オディウム
「ああ、ようやく安定した。とはいえ身体の安定化の為今後一年くらいは大人しくしておく必要があるがな。」
天羽奏の身体を乗っ取ったオディウムだった。
オディウムが奏の身体を乗っ取った事で、絶唱の反動で死ぬことなく結果的に命を救われたのだ。
それが奏にとって良い結果になるかは別にして…
さて、そんなオディウムを他所にデスペラティオは愉悦に浸る。
デスペラティオ
「ククク…そぉれにしても、あの青髪の女ァ…風鳴翼、だったかぁ……あの小娘の絶望……じぃぃつに甘美だったァ‼︎唯一無二の戦友を突然失った悲劇ぃ…それを知った彼女はァ悲しみと絶望の慟哭を上げ泣ァき叫び……挙げ句の果てにあぁの暴れよう……いぃつ見ても痛ゥゥ快…爽ォォ快…幸ォォ福絶ッッ叫ォォ……‼︎そぉの絶望は、今まで喰らったノイズに関連する絶望をも軽ぅく凌ォォ駕する………!」
先程の翼の反応を回想し、デスペラティオはハイテンションな様子で如何に素晴らしいかを語った。
オディウム
「それはそれは良かったなぁ〜デスちん♪…それで、君はそれで満足して死ねるかい?」
オディウムの言葉にデスペラティオは態度を一変させ、ハイテンションながらも怒気を孕んだ声で叫んだ。
デスペラティオ
「……満足、だと?否…いぃな…!だァァんじていィィなぁァァァァ‼︎ 最上の死を迎える際に味わう【最後の晩餐】にするには量も質も圧倒的に足りん‼︎あのような物で満足していい筈がなァァい‼︎我が最後の晩餐として喰らうのはこの星に住む70億の絶望ォ……‼︎そォれを喰らうまで我は死なぬゥ……‼︎しィィんでたァァまるかァァァァ‼︎」
そんなデスペラティオの反応にティモルは頭を抱える。
ティモル
「…何でどいつもこいつも死にたがりの異常者ばっかなんだ、ウチは……!」
オディウム
「まあまあそう言うなよ、ティモりん♪それが俺達デスドライヴズなんだしさ♪」
相も変わらずフレンドリー過ぎるやり取りにティモルは諦めの溜め息を吐く。
突如現れた謎の存在…
彼らこそ金属が生命を持ち、数億年かけて進化していく内に人類と同じように自我を持った金属生命体…
一度はブレイバーンとATFの手で壊滅したものの、完全には滅んでおらず異世界へと逃げ延びた。
そして今、旧約聖書で【ノアの方舟】と呼ばれた完全聖遺物を強奪し改造した【デス・アーク】を拠点として彼らは活動を再開する。
彼らの名は…デスドライヴズ
【各々が求める最上の死を成し遂げる】事を目的に人類に牙を剥く………
ブレイバーン
「イサミがこの世に生を受けて15年…この日本では特異災害ノイズだけでなく復活したデスドライヴズの襲撃を受けている。だが!この私が完全復活したからには奴らの好きにはさせない!私とイサミの力で今度こそデスドライヴズを倒す!」
次回、勇気絶唱バーンブレイバーンSymphonity
第1話『待たせたな、イサミ!』
ブレイバーン
「イサミーーーッ‼︎今こそ私達の使命を果たす時だ、イサミーーーッ‼︎」
勇
「………誰⁉︎」