異世界で科学の戦士が無双する話:Messiah of Steel   作:DrakeSteel

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その中心に立っていたのは、歪んだ「守護者」。
デレクは鍵へと手を伸ばす。
だが、真の脅威はまだ姿を現していなかった。
最後に待ち受けていたのは、想像を超える存在だった――。




第5章: ノードの守護者たち

巨大なクリーチャーは、広大な部屋の中央で、彫像のように微動だにせず立っていた。

 

その四肢は、肉体、金属、回路がグロテスクに融合していた。頭部は分厚い体に深く沈み込み、かろうじて人間らしい形を保っている。空虚で生気のない眼窩からは黒く粘ついた液体が滴り落ち、足元に溜まっていた。太いチューブが胸部から筋肉質の腕にかけて這い、皮膚の下へと消えながら、まるで毒を流す静脈のように微かに脈動していた。

 

デレクは、滑らかで特徴のない黒い立方体の背後に身をひそめていた。それが何のための装置なのかは分からなかったが、今のところ隠れるには十分だった。少なくとも今は、何かに殺されかけているわけではない。それで十分だ。

 

【デレク】(ぼそり)「まあ、殺されてないならマシか。」

 

この部屋にある何かが、敵のセンサーを邪魔してるのかもな。

 

彼は体勢を変え、コラール・ノードとその周囲をよりよく観察できる角度を取った。

 

その場所は、まるで巨大な宇宙ステーションのようだった。中心から放射状に通路が延び、壁に刻まれたトンネルへと続いている。

 

この巨大な構造物は、複合施設全体の中枢を担っているようだった。壊すことのできない黒い金属でできた太い導管が、巨大なタコの触手のように周囲へと伸びていた。その金属の質感は、どこか石にも似ている。

 

中央では、逆さ漏斗のような巨大な柱が伸び、その頂に台座が載っていた。

 

――そして、その上に存在していたのが、コラール・ノードだった。

 

七色に輝く小さな金属の円盤。遠くからでも灯台のようにきらめいていた。中央には、銀白色の小さな光球が、一定のリズムで脈動している。そのアーティファクトは黒い石の台座の上に置かれ、太いケーブルがそれに接続され、周囲の闇へと溶け込むように消えていた。

 

それは、彼とユキが長年にわたって研究してきたものと、完全に一致していた。

 

【デレク】(低く、静かに)「……あったな。」

 

そして今、それをようやく見つけた。

 

何年も、夢の中で、悪夢の中で、それを見続けてきた。ユキとともに過ごした、眠れぬ夜の記憶は今も鮮明だった。実験を繰り返し、仮説を立て、時に言い争いもした。あらゆる種類の放射線を照射し、何らかの反応を引き起こそうと必死だった。

 

だが、何を試しても反応はなかった。

 

その円盤は、ただの金属片にしか見えなかった。しかし、古代のファイルには、それが都市ひとつに数世紀にわたってエネルギーを供給できると記されていた。もしその秘密を解き明かすことができていれば、ほぼ無限のエネルギーを手に入れられたかもしれない。

 

だが、それは叶わなかった。

 

【デレク】(皮肉っぽく)「そりゃそうだよな。石叩いても、そりゃ光らねぇわ。」

 

石でマイクロプロセッサを叩きながら、「光らねぇかな」と願ってる原始人みたいな気分だった。

 

そして、あの最後の夜。ついに「何か」が起こった。そこから先、彼の人生は坂道を転がり落ちるように崩れていった。

 

【ヴァンダ】「デレク、大丈夫ですか?」

 

ヴァンダの柔らかい声が、彼を思考の海から引き戻した。

 

デレクはまばたきをし、喉を鳴らして答えた。

【デレク】「ああ。……で?」

 

【ヴァンダ】「脈拍に不規則な変動があります。ストレス反応です。戦闘時でも、これほどの数値は通常ありません。」

 

【デレク】「心配すんな。ちょっと昔のゴミを思い出してただけだ。」

 

【ヴァンダ】「わかりました。それで、ここでは何を? 何か待っているのですか?」

 

デレクは唇を噛んだ。

【デレク】「あのクソデカい化け物どもを見張ってるだけだ。……今んとこ、死んでるように見えるな。」

 

【ヴァンダ】「いいえ、デレク。彼らは「死んでいる」わけではありません。微弱なエネルギー変動を検知しています。省エネモード、あるいは休眠状態にあると考えられます。」

 

【デレク】(小声で)「だろうな……そう簡単にゃいかねぇ。」

 

―――

 

あの化け物は巨大で、人工部品もおそらくこの施設の他の構造物と同じく破壊不能な素材でできているに違いない。正面からの交戦など論外だった。

 

さらに厄介なことに、あのクリーチャーたちはコラール・ノードの周囲にまるで哨兵のように配置されており、全方向からそれを守っていた。

 

どのルートを取っても、最低でも一体には接近しなければならなかった。

 

唯一の望みは、奴らが休眠状態から目覚める前に、アーティファクトを奪ってこの部屋から脱出することだった。

 

【ヴァンダ】「この無謀な任務を見直す気になったんですか?」

 

デレクは首を振った。

【デレク】「いや、逆だな。……そろそろ、やる時だ。」

 

彼は手にした小型の円筒形クローク装置を強く握った。

 

【デレク】「準備はいいか?」

 

【ヴァンダ】「いつでも大丈夫です。」

 

―――

 

デレクは深く息を吸い込んだ。唯一の救いは、ゾンビクラブどもが一時的に追跡を見失っていたことだった。時折、金属のカチカチという足音が回廊に反響するが、いまのところ接近してくる気配はない。もしかすると、この部屋に入ることを禁じられているのかもしれない。あるいは、恐れているのかも。

 

【デレク】(苦笑して)「ここの守衛連中、意外とチキンかもな。」

 

デレクはわずかに頭を上げ、クローク装置を起動し、スーツのアクチュエーターが出せる限界の力で投げつけた。

 

装置は弾丸のように広間を横切り、数百メートル先の壁際に当たって転がった。その程度の衝撃では傷一つつかない。戦場用に設計されているのだ。金属にぶつかる硬い音が室内に響き、装置はようやく停止した。

 

【ヴァンダ】「これからどうしますか?」

 

デレクは両腕を組んだ。

【デレク】「待つ。」

 

【ヴァンダ】「あら、見事な作戦ですね。あの粗雑なクローク装置から放出される放射線を感知すれば、敵はあなたがそこを通っていると勘違いするはずです。」

 

【デレク】「ああ。俺はその隙に裏から頂いてくる。連中がアホ面でそっちに夢中になってるうちにな。」

 

【ヴァンダ】「素晴らしい陽動です。あとは、どれだけ時間を稼げ――」

 

突如として、轟音が部屋全体に鳴り響いた。まるで巨大なエンジンが再起動したかのようだった。微かな風が空気をかすめ、何世紀も沈黙していたと思われる換気システムが作動し始めた。

 

デレクは天井を見上げた。先ほどまで岩肌だったその表面に、ちらちらと白い光が点滅し始めていた。

 

視線を戻すと、奴らが――動いていた。

 

あのグロテスクなクリーチャーたちが、巨大な金属の足をゆっくりと地面に踏みしめながら動いていた。

 

【デレク】(ニヤリと)「マジで釣れたか……」

 

作戦は本当にうまくいっていた。奴らはクローク装置の異常を感知し、調査に向かっているのだ。

 

もちろん、同時に自分の存在も探知されている可能性はある。その場合、この任務はすぐに終わり、しかも最悪の形で幕を閉じる。

 

化け物たちは、重々しい金属の体を引きずるように移動しながら、ぎこちなく不気味な動きで装置の方へ向かっていた。

 

――今しかない。

 

デレクはアーティファクト目がけて全力で走った。心臓はまるで戦鼓のように激しく鳴り響いていた。数えきれない任務と膨大な研究の末、ここまで近づけたのは初めてだった。

 

円盤は台座の上に鎮座しており、中央の青い光球がどんどん早く脈打っていた。彼がかつて同型のアーティファクトを研究していたときでさえ、こんな反応は一度も見たことがなかった。

 

――一瞬でも立ち止まってスキャンできれば…

 

【デレク】(かすかに歯を食いしばり)「……そんなヒマねぇな。」

 

そんな余裕はどこにもなかった。今できる最善策は、アーティファクトを強引に引き抜いて、最悪の事態が起こる前に離脱すること。

 

中に蓄えられているエネルギーは、桁違いに巨大だった。下手に引き抜けば、この部屋どころかピラミッドごと吹き飛ぶかもしれない。

 

だがもう迷っている暇はなかった。今が唯一の機会だった。

 

デレクは、七色に光を放つ円盤の前で停止し、両手で太いケーブルをつかんだ。スーツの強化装甲越しにも、心拍が脈打つのをはっきりと感じた。

 

とにかく、急いで切断する方法を見つけなければならなかった。

 

【ヴァンダ】「切断が必要だと思われます。」

 

【デレク】(皮肉気に鼻を鳴らして)「あらま。ピラミッドごと引き抜こうかと思ってたのに。」

 

【ヴァンダ】「申し訳ありません、ですが私はこの構造についての知識を持っていません。」

 

そのとき、小型のクリーチャーが、約二十メートル先で突然こちらに顔を向けた。黄色く液体の詰まった眼窩が震え、不気味な「キーッ」という音を立てて、こちらへと跳びかかってきた。

 

【デレク】「……時間切れだな。」

 

彼は腕にエネルギーを集中させ、ケーブルを強引に引きちぎった。最初は抵抗があったが、白い火花とともに、黒い液体が床に飛び散りながら、ついに断裂した。

 

―――

 

あの回廊で見た、クリーチャーの体液にあまりにも似ていた。

 

室内を満たしていた轟音が、突然ピタリと止んだ。天井の明かりも消え、まるで誰かが電源を引き抜いたかのように、空間は暗闇に包まれた。

 

だが、クリーチャーたちの動きは止まらなかった。むしろ――明らかに覚醒していた。一体ずつ、ゆっくりと彼の方に振り返り、鋭く注意を向けていた。闇の中で、黄色い眼がギラギラと光っている。

 

最も巨大なクリーチャーが、歯車の軋みと獣の咆哮を混ぜたような、耳をつんざく雄叫びを上げた。

 

デレクはNOVAの腕部にエネルギーを送り込み、円盤の縁をがっちりと掴んで全力で引き抜いた。アーティファクトはあっけなく外れ、彼の身体が思わずよろめいた。

 

中心の光は、今なお激しく脈動していた。何かがそれを稼働状態に保っている。もしこのまま回収できれば、長年追い求めてきた答えに、ようやく手が届くかもしれない。

 

【デレク】(ため息まじりに)「……なんだ、意外と簡単だったな。」

 

【ヴァンダ】「それを、あの方々にも伝えてあげてください。」

 

―――

 

四方から、クリーチャーたちが一斉に迫っていた。腕を伸ばし、今にも彼を引き裂こうとしていた。その動きはぎこちなく、何世紀も活動を止めていたせいか、関節が錆びついたように硬直していた。

 

だが幸いなことに、あまり速くはなかった。ワーディライ技術の歪んだ産物、だがもし捕まれば確実に終わりだ。

 

デレクは振り返り、最短ルートではないが次に近い出口へと走り出した。正面の道はすでに塞がれていたからだ。円盤を胸に抱えながら、アーティファクトから伝わる奇妙な振動が、NOVAの構造を通して彼にまで届いていた。その震えは、適応型ジェルを貫いて、骨にまで響いた。

 

――もしこれが爆発すれば、一瞬で消し飛ぶだろうな。

 

【デレク】「この地獄から出る最短ルートを出せ!」

 

【ヴァンダ】「計算中です。ただし複雑です。とにかく、走り続けてください。」

 

【デレク】「いいアドバイスだな。今まさに、あの素敵な奴らに道でも聞こうかと思ってたところだ。」

 

―――

 

トンネルの入り口が視界に入ってきた。そこまで辿り着ければ、通路に入ってからは追跡を撒きやすくなる。もう少しだ。今なら――逃げ切れる気がした。

 

【デレク】(小さく)「これは……ユキのためだ。」

 

彼の装甲脚が床を打ちつけ、火花を散らしながら勢いよく出口に向かって突き進んでいった。

 

背後でクリーチャーたちが咆哮を上げた。その音は、もはや「声」というより、金属を増幅したような甲高い悲鳴だった。巨大な空間の壁に反響し、デレクの背筋を凍らせた。

 

【デレク】(歯を食いしばって)「もう少しだ……!」

 

黒い影が頭上をかすめた。それは形を持たず、まるで純粋な闇から成っているかのようだった。

 

NOVAの戦術アルゴリズムが人間の反応よりも先に作動し、脚部が瞬時にロックされて床に踏み止まり、スパークを散らして急停止した。心臓も、その瞬間ほぼ止まりかけた。

 

荒い息を吐きながら、彼は見つめた。

 

黒い球体のようなものが、彼と出口との間に落下し、まるで巨大な水風船のように破裂した。黒い液体が床に広がり、空間に不気味な波紋を作った。

 

デレクは眉をひそめ、胸の奥に不穏な感覚がこみ上げてきた。

 

【デレク】「なんだ、ヴァンダ?」

 

【ヴァンダ】「わかりませんが……その粘液には近づかない方が良いかと。」

 

液体は動き出した。脈打つように揺れ、身をくねらせ、柱のように立ち上がる。

 

黒い液体がうごめき、泡立ち、まるで命を持っているかのように蠢いた。一度、また一度と波打ち、やがてゆっくりと細長い柱へと姿を変えていった。油のような繊維が上へと伸び、粗雑な四肢と盛り上がった胴体を形作る。

 

その奥深くから、不気味な赤い光がちらちらと瞬いた。何か機械的なものが、泥の中から立ち上がろうとしているように見えた。鋭い金属片が皮膚を破る骨のように飛び出し、粘液の体に即席の外骨格を形成していく。

 

デレクは呆然とその光景を見ていた。異形の存在が、形を持ちはじめ、四肢がしっかりと固まり、姿を完成させていく。

 

闇の物質と装甲が混ざり合ったその塊の中で、黄色く光る目がぱちりと開いた。

 

それは――先ほど彼を追いかけてきたあの存在だった。だが、今のそれは遥かに巨大で、さらにグロテスクだった。

 

クリーチャーが、金属を引き裂くような咆哮を上げながら突進してきた。

 

デレクの胃が沈んだ。

 

【デレク】「……クソッ。」

 

彼はマイクロミサイル・アレイを起動させた。背中のユニットがせり上がり、黒いノズルが勢いよく開く。

 

即座に発射。

 

ミサイルの群れは弧を描いて飛び上がり、すぐに標的をロックオンして鋭角に軌道を変えた。

 

デレクは振り向きもせず、最も近い出口に向かって走り出した。命中を確認する暇などない。あれで止まるとは思っていない。だが、ほんの数秒でも時間を稼げれば、それで十分だった。

 

彼は出口を目指して突進したが、すでに数体のクリーチャーが動き始めており、彼の進路を塞ごうとしていた。影の中から、小型の個体が次々と現れ、あらゆる方向から殺到してくる。

 

背後で連続する爆発音。ミサイルが命中した。衝撃波が全身を包んだが、ニュートロンスチール製の装甲が衝撃を吸収し、ダメージは皆無だった。むしろその勢いを利用して、前へと加速する。

 

デレクはコラール・ノードを片腕でしっかりと抱え、もう一方の腕でプラズマキャノンを展開した。

 

【ヴァンダ】「デレク、その武器はこの空間では危険です!」

 

【デレク】「――それが狙いだ。」

 

―――

 

彼は目前に迫ったクリーチャーに向けて、2発の速射を放った。もはや、慎重さに意味はなかった。

 

黄金のプラズマ弾が、まるで幻のようにクリーチャーの体を貫き、奥の壁に激突してから天井へと跳ね返った。

 

サッカーボールほどの大きさの穴がその体に空いたが――数秒後には塞がった。奴らは止まらなかった。

 

デレクは走り続けた。心臓は、鼓動ではなく爆発のようだった。ミサイルを撃ち込んだあの巨大な化け物が、今なお背後から迫っていることは――振り返らなくても分かる。

 

その咆哮は壁を震わせ、骨までをも軋ませた。

 

黄金の軌跡を描くプラズマ弾が、空間内を跳ね回っていた。不壊の壁に当たって反射し、狂ったように空間を駆け巡り、その一発一発が致命的な光の軌跡を残していく。

 

軽装モードのままで被弾すれば、おそらく貫通されて即死だ。

 

だが今、重装に切り替えて減速する余裕はなかった。とにかく、この速度を維持して逃げきるしかなかった。

 

【デレク】(息を詰めながら)「あいつらは――速くもなけりゃ、賢くもない。いける……!」

 

【ヴァンダ】「デレク、危ない!」

 

彼はその瞬間、ちょうど上から一体のクリーチャーが巨大な腕を振り上げ、爪状の黒い金属の刃へと変形させ、一気に振り下ろすのを目撃した。

 

――なんでこんなデカくて鈍いやつに、ここまで接近されてたんだ…?

 

彼の身体が硬直した、その瞬間――

 

金色の閃光がクリーチャーの腕を貫き、爪が空中を舞い、黒い粘液が四方八方に飛び散った。

 

跳弾のプラズマが、命を救ったのだ。間違いない。運を一生分使い果たしたかもしれない。

 

だが、光はさらに壁に反射し、NOVAのシステムが即座に警告を発した:

 

《被弾確定――回避不可能》

 

その一瞬、デレクは悟った。――もう、避けられない。

 

本能的に彼は片腕を前に出し、来るべき衝撃に備えた。そして、もう一方の腕では、コラール・ノードを必死に抱きしめていた。まるで死んでも離すまいとするかのように。

 

――その時だった。

 

彼がこれまで見た中で最もまばゆい白光が、アーティファクトから炸裂した。

 

それは超新星のごとき閃光を放ち――

 

そして、闇だけが残った。




読んでくれて感謝。評価やお気に入りがあると、こっちの科学力もちょっと上がるかも?
では、次回も生き残ってたらまた会おう。

― デレク・スティール
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