異世界で科学の戦士が無双する話:Messiah of Steel 作:DrakeSteel
見たことのない太陽、見知らぬ空気、聞いたことのない声――
彼の旅は、新たな世界の「法則」とともに再び動き出す。
だが、その歓迎は、決して優しくはなかった。
「聞こえるか?」
デレクは眉をしかめた。こめかみにズキンと鋭い痛みが走り、思わず顔が歪む。
…だが、痛みは一瞬で消えた。
身体はふわりと浮かんでいるような感覚。暑くも寒くもなく、周囲は心地よい温もりに包まれている。
まるで、守られた繭の中にいるようだった。
――このまま、ずっと眠っていられたら。
このくらい、休んでもバチは当たらねぇだろ。
「デレク、聞こえる?」
……またその声か。しつこいな。
誰だよ、お前は?
……声はユキに似てる。
でも、どこか違う。
まさか……ヴォイス・シンセサイザーか? 誰かがユキの声を再現して、俺の眠りを邪魔してるってわけか?
くだらねぇにもほどがある。ネタ考え直せや。
……いや、待て。
――ザブン。
氷水をぶっかけられたような衝撃とともに、記憶が一気に戻る。
デレクは息を吸い込みながら、飛び起きた。まるで溺れていたかのように。
目の前に、真っ白な光が飛び込んできた。
サーチライトでも浴びてるのかってくらい眩しい。
NOVAのディスプレイはエラーとワーニングの嵐。
目を細めて、装甲の手で顔を覆う。
「デレク、聞こえる?」
【ヴァンダ】「デレク、聞こえるかしら?」
【デレク】「ああ、聞こえてるよ、ヴァンダ。」さらに目を細めながら、「このクソ眩しい光は何だ? コラール・ノードでも爆発したのか?」
【ヴァンダ】「違うわ。太陽よ。バイザー、ダークモードのままなんじゃない?」
太陽……?
いやいや、待て。そんなはずない。
たった今まで俺は、異星の巨大ピラミッドの中にいた。あの星じゃ、太陽なんて年に数回しか見えねぇはずだろ?
頭の中でコマンドを送信し、ビジュアル設定を調整する。明度が落ちて、ようやくまともに見えるようになった。
【デレク】「……まだ明るすぎるけどな。」顔をしかめつつ、「お前、今『太陽』って言った? 冗談だろ……?」
【ヴァンダ】「打ってないわ。繰り返すけど、本当に『太陽』よ。」
まばたきをしながら周囲を確認する。
【デレク】「いやいや、おかしいだろ。俺たち、あのクソでかい石のピラミッドの中にいたんだぞ? ここに太陽があるわけない。」
……ようやく、視界が開けてきた。
足元には、ゴツゴツとした岩の斜面。整ってるどころか、踏んだら捻挫しそうなレベル。
そして――
見上げれば、そこには巨大な木々。
枝はねじれ、幹にはツタが絡まり、緑は生きているかのように鮮やかで濃い。
空の高く、枝が絡まり合ってできた厚いキャノピー(樹冠)から、光が点々と降り注いでいる。
【デレク】「……おいおい……マジかよ。」
鼓動が跳ねた。
ここはどこだ。
俺は、いったい、どこに落とされた?
幻覚か? トリックか? それとも何かの仕掛け?
デレクは金属音を鳴らしながら立ち上がる。
頭がふらついたが、NOVAのセーフティ・プロトコルが作動し、身体を支えてくれる。
【ヴァンダ】「落ち着いて、デレク。」
【デレク】「ここ、どこだ。ピラミッドから誰かに引き上げられたのか?」
【ヴァンダ】「それは不明よ。約3分間、私は完全に機能停止していた。その間、あらゆるセンサー入力が遮断されていたわ。再起動後に全方位スキャンを実行したけど、認識可能なランドマークはゼロ。現在の座標は、ワーディライ(古代文明)遺跡の外縁から大きく外れている地点を示しているわ。」
【デレク】「……それ、あり得るか?」
【ヴァンダ】「私だってそう思う。でも、時間の乱れは検出していない。クロノメーターの記録では、ピラミッド内部にいたのは約15分前。あなたはその間、意識不明だった。」
天蓋の隙間から差し込む光を見上げながら、デレクはふと思った。
【デレク】「ヴァンダ、太陽光のスペクトル、解析済みか?」
【ヴァンダ】「もちろん。もう完了しているわ。」
【デレク】「恒星のタイプは?」
喉がカラカラだった。質問というより、確認に近い。
【ヴァンダ】「放射ピークは約500ナノメートル。タイプG――黄色矮星と判断されるわ。」
歯を食いしばる。
【デレク】「……俺たちがいた星は、赤色矮星だったよな?」
言ってから、ハッとした。
【デレク】「ってことは……ちくしょう、別の惑星に飛ばされたってことかよ!」
目の前のディスプレイに外部環境情報が表示されていた。大気は呼吸可能――そこだけは救いか。
…あるいは全部夢か?
一応、確認はしておこう。彼はガントレットの指をこめかみに当てた。
崖。瓦礫。雑草。
――生物反応、ゼロ。文明の痕跡もゼロ。
誰かがあの化け物だらけのピラミッドから俺を引きずり出して、無傷で、しかも別の星に転送?
バカ言え。それが可能なら神だろ。
……いや、ひとつだけ、思い当たる節がある。
【デレク】「コラール・ノードだ……!」
視線を落とし、自分の装甲を確認する。
――無い。
あのとき、確かに握ってた。閃光に包まれた、その瞬間まで。
でも今、どこにも見当たらない。
【デレク】「落としたか……?」
それなら、近くにあるはずだ。
呼吸が荒くなる。
デレクはしゃがみ込み、草をかき分け、土を掘り、岩をどかし始めた。
《ガサッ ガサッ》
額に滲む汗は、アーマーがすぐに吸収していく。
岩。葉。枝。
――でも、『それ』だけが、無い。
【デレク】「くそっ……ここまでして取り返したのに、また失くすとか……あり得ねぇだろ!」
【ヴァンダ】「デレク、伝えるべきことがもう一つあるわ。」
構わず探し続ける。茂みを払い、岩の裏を覗き、樹冠さえ見上げた。
あの形なら、フリスビー代わりにされても不思議じゃねぇ。
【デレク】「絶対この辺にあるはずだ。転送のとき落としただけだって。」
【ヴァンダ】「デレク。」
【デレク】「あんなにデカくて、カラフルで、恒星並みに発光してるやつが、そう簡単に見つからないわけが――」
【ヴァンダ】「デ・レ・ク。」
ピタッと止まる。
あの言い方は、ロクでもないニュースが来る合図だ。
【デレク】「……なんだ。」
【ヴァンダ】「落としてなんかいないわ。アーティファクトは、『ここ』にある。」
……あれ? 今回は悪いニュースじゃない?
珍しいな。ちょっと嬉しい。
【デレク】「は?……ここって、どこよ。」
【ヴァンダ】「NOVAアーマーの内部よ。」
瞬きした。
【デレク】「……なに、透明にでもなったのか?」
冗談抜きで、マジで一度チェックした方がいいんじゃねぇか……?
【デレク】「どう考えても、このアーマーの中に俺とアレが共存できるスペースなんか無ぇだろ。
光るフリスビーと同居してたら、さすがに気づくって。」
【ヴァンダ】「そういう意味じゃないの。物理的に『ある』わけじゃない。
アーティファクトのエネルギー源、振動パターン、本質、そして『ソフトウェア』と呼べそうなもの――
それら全部が、このアーマーの構造に統合されたの。
NOVAの各サブ《システム全体に、その痕跡が検出されてる。》
私にも。」
【デレク】「……お前にも? つまり、異星人のコードが、お前の《システムに入ってるってことか?」》
【ヴァンダ】「ええ、そうなるわね。」
ごくりと唾を飲み込んだ。
このジャングルでヴァンダが壊れたら――俺は完全に詰みだ。
【デレク】「で……それって、お前的にはどうなんだ?」
【ヴァンダ】「現時点で不具合は確認されてないけど……
まあ、今後どうなるかは未知数ね。予測不能。」
【デレク】「……」
顎を引き締めてうなずく。
話がぶっ飛んでいるのは百も承知。
でも、ワーディライ(古代文明)の技術ってやつは――そもそも、『不可能』って言葉が通用しない。
マジで、なんでもアリなのかもしれない。
【デレク】「……なあ、ヴァンダ。プラズマ弾って……あの時、ノードに命中したか?」
【ヴァンダ】「最後の記録では、『NO』。
プラズマ弾はあなたから数メートルの位置にあったわ。
その直後、強烈なエネルギー放出。
そして――記録は切断。
数分後、再開されたのは……ここ。」
【デレク】「その間の記録は?」
【ヴァンダ】「……完全な『暗闇』よ。」
デレクは目を細めた。
数メートル先に弾丸。
それはつまり――死まであと数ミリ秒ってことだ。
【デレク】「……ってことは、誰かが俺を救った。ある意味で。」
納得いかねぇ。
ヘルメットがなけりゃ、今ごろ頭かきむしってるところだ。
【デレク】「……マジで意味がわからん。」
【ヴァンダ】「私もよ。珍しく、完全に同意。」
その瞬間、画面のエラーが一斉に消え、白い一文が表示された:
《システム再起動中》
【デレク】「……今度は何だよ。」
【ヴァンダ】「OSが自律的に再起動を開始したようね。
自動回復プロトコルだと思われるけど……
完了するまで、私はしばらく応答できない。」
再起動が――失敗しなければ、の話だ。
もしこのまま沈黙したら、
俺はただの『人間』としてこのクソ森に放り出されることになる。
水なし。
食料なし。
地図なし。
通信なし。
【デレク】「……ああもう。じゃ、またな。」
《ピッ》
すべての出力が消えた。
ヴァンダの声も、ディスプレイも、HUDも、サウンドフィードバックも。
NOVAは、ただの金属の塊と化した。
重さ――400キロオーバー。
関節はロックされ、手動緊急レバーでも使わない限り、中から出ることはできない。
【デレク】「……いや、出てる場合じゃねぇ。」
俺はまだ生きてる。
帰らなきゃいけない。
次のノードを探さなきゃいけない。
――願わくば、今回のが最後じゃないことを祈る。
幸い、NOVAの設計には感謝だ。
再起動中でも、ライフサポートと表示系、最低限の視線移動は生きてる。
でなきゃ、暗くて酸素もない鉄棺桶で、窒息死するところだった。
頭上を見上げる。
キャノピーが厚すぎて、空も何も見えやしない。
【デレク】「……よし。再起動が終わったら、木でも登るか。」
10メートル程度のジャンプなら、NOVAのジャンプユニットで余裕だ。
上に出られれば、見えるものも変わるだろう。
そのとき、画面に新しいメッセージが表示された:
《システム復元完了。統合《システム起動準備完了》》
【デレク】「……統合、《システム?」》
続けざまに文字が現れる:
《ようこそ、SYSTEMへ》
《次元転送:成功》
《統合:完了》
《現在のオーリック・レベル:アイアン1》
《獲得アップグレード:0》
《ステータス初期化:完了》
【デレク】「……なんだよこれ。ゲーム画面かよ。」
【デレク】「ヴァンダ、戻ったか?」
【ヴァンダ】「……今、戻ったわ。」
【デレク】「調子は?」
【ヴァンダ】「妙な感覚。
OS内に、大量の新要素が追加されてる。
まるで誰かが、メジャーアップデートを勝手に入れたみたい。」
【デレク】「俺じゃねぇぞ。
……多分、犯人はあのノードだな。」
【デレク】「で、『オーリック・レベル』ってなんだ?」
【ヴァンダ】「……ええ。新たに追加された情報によれば――オーリック・レベルとは……」
《ガサッ》
その瞬間、前方の茂みが揺れた。
姿を現したのは、灰色の肌を持つ大男。
筋肉質で、黒い模様が全身に描かれている。頭は禿げていて、ボロ布と草でできた衣服を身にまとっている。
手にはねじれた木の杖――
その先端には、見たことのない動物の頭蓋骨が取り付けられていた。
男は数メートル手前で立ち止まり、
鋭い目つきでデレクを睨みつけた。
【???】「お前……何者だ?」
低く、ざらついた声。
ひとことずつ、慎重に、重たく言葉を選ぶ。
NOVAの翻訳機は難なく通訳してくれる。
デレクはゆっくりと腕と脚を動かす。
アクチュエーターがスムーズに反応し、アーマーも完璧に同期して動く。
【デレク】「よぉ。俺の名前はデレク・スティール。
たぶんお前が聞いたこともねぇ分野で、天才って呼ばれてんだ。
塩ピーナッツでもいるか? どっかにあった気がする。」
(……この原始人相手なら、余裕で対処できそうだ。うまくいきゃ、友達になれるかもしれん。)
その瞬間――
杖の頭蓋骨が、ふわりと光り始めた。
【デレク】「……なあヴァンダ? あの原始人の杖、光ってんだけど。」
【ヴァンダ】「対象から異常なエネルギー反応を検出中。警戒を推奨するわ。」
原始の男が牙のような黄ばんだ歯をむき出しにし、叫ぶ。
【???】「死ね、シャイタニ!!」
《ゴォオオッ!!》
轟音と共に、頭蓋骨の先からまばゆい光が放たれ、
巨大な火球となって炸裂――!
【デレク】「――っ!」
反応する間もなく、視界いっぱいの炎が――
デレクに、直撃した。
翻訳注記
※本作は英語からの翻訳です。細心の注意を払って翻訳・編集を行っていますが、誤りや不自然な表現が含まれている場合があります。ご了承ください。
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