のんびり閉鎖空間 〜ランダムで出現するキャラ達と日常は過ごせるのか?〜   作:賭博馬鹿2号

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第11話 隠し扉

それから俺達は書庫のロキを呼び、全員で明日の朝食時間を決め、3階の部屋を振り分けてから、それぞれの部屋で就寝する流れとなった。

 

流れが決まった後、俺はこっそりとロキを書庫に呼び出し、2人きりになってこんな話をした。

賭博に参加しないかと。

景品のブローチがあれば、リッカは外見をある程度自由に変える事が可能だと。

すると……。

 

「リッカが外見を自在に?

それは、かなり気になるね。

だが、あくまで本人の望む姿だろう?」

「そうです。

でも気にはなりますよね? やりませんか?」

「うーん。

まぁ、明日賭博部屋に行くだけ行ってみようかな」

「分かりました。助かりますよ」

 

こんな感じに、ひとまず賭博部屋に一緒に行く所まで、交渉を成功させる事ができた。

その後、翌日。

朝食はロキから器具の使い方を教えてもらったスピードワゴンが中心になって作り、全員で美味しく頂いた。

というか、美味い本場のサンドイッチが出て来たので、正直驚いた。

さすがはスピードワゴン、多芸だ。

ちなみに、今日の俺は朝食の時パン切りをした。

 

「ふぅ、朝食作りよく働いたぁ……」

 

朝食後、俺呟いた。

 

「どこがだよ! ただパン切っただけじゃねぇか!」

「はは、さすがに冗談だよ」

 

少し本気だったがな……。

 

「というか、少し気になってたんだけどさ。

この屋敷で出たゴミって、どうすれば良いんだろうな」

「あっ、確かにそうですね!

でも、あれ?

そういえば、さっき料理を手伝った時、ゴミ箱の中に昨日のゴミが無かったような?」

「リッカ、それは僕がやっておいたんだ。

ゴミ処理機を使ってね」

「ゴミ処理機?」

 

リッカが不思議そうにする。

だがそれは俺を含め全員だ。

そんなものあったか?

 

「君達が賭博部屋にいる時に見つけたのさ。

この屋敷にはゴミ処理機がある。

黒い大きな箱状の機械だ。それを使ってゴミは処理できるんだ。

きちんも処理できる事は、昨日の食材の生ゴミで実験済みさ。

使い方は黒い箱状の機械にゴミを入れて、蓋をして、ボタンを押すだけ。

たったそれだけで、中に入れたゴミが完全に消滅してしまうんだ」

「おいおい、おっさん!

マジでそんなもんがあんのかよ!」

「あぁ、近くにね」

「なるほど。そんな装置が」

 

あるのは本当だろう。嘘をついても仕方ないし。

だが、その装置。

 

「危険そうですね、中の物を消せるなんて」

 

最も、いざという時の武器になりそうな点は良いがな。

 

「危険だと思うだろう?

だが、実はこれゴミ以外が入っていると、ボタンが押せないようになっているみたいなんだ。

昨日、キッチンの手袋を入れて実験した所、ボタンが押せなかったんだよ」

「なるほど、そのあたりは抜かりない訳ですか」

 

という事は、一応安心出来る設計だな。

だが、いざという時の武器として使う事は出来ない、か。

 

「というか、そんな機械どこにあったんですか?」

「あの壁の後ろさ。

実はそこの壁、隠し扉になっているんだ」

 

ロキはそう言って、今いる部屋の何の変哲もない壁を指差す。

え、あそこ隠し扉なの!?

 

「やっぱし、あそこは隠し扉だったか。

だが、そんな強力な処理機があるとは予想だにしてなかったぜ!」

「えっ、スピードワゴンは隠し扉には気づいてたの?」

「見りゃ分かる。

俺のいたオウガーストリートじゃ、隠し扉は基本設計だったんでな」

 

さすが、裏社会にいた者なだけの事はある。

俺には隠し扉は全く分からなかった。

 

「やるねぇ、スピードワゴン。

実は僕、隠し扉は自力で見つけた訳じゃないんだ。

昨日、書庫内でこの食卓の見取り図を見つけて、隠し扉の存在を知ったんだよ。

ゴミ処理機があるという事もね。

見ただけで隠し扉に気づくというのは中々だよ」

「おい待てよ、ロキのおっさん!

そりゃ昨日知ってたって事かよ!

なら、事前に一応教えやがれ!」

「はは、すまないねぇ」

 

すまないじゃない気がするが、別に今教えてくれたから良いか。

 

「うーん……?」

「おや、どうしたんだいリッカ」

「なんでこの屋敷の主さんは、大事なゴミの処理機を分かりにくい所に置いたんだろうと思ってて」

「おや不思議かい?

こういった洒落た建物では何もおかしな事はないさ。

見栄えの悪い物は目の付きにくい所に、という発想はね」

「そ、そうなんですか!?

こんな立派な所で暮らすのは初めてなので、知りませんでした!」

 

ロキの意見は多分、正しいだろう。

俺が元の世界で行った事があるケーキの名店、アンリ・シャルパンティエ銀座本店でもトイレは地下の隠し扉になっていた。

あれも恐らく似た様な理由だ。

この屋敷の様に洒落た内装の建物であれば、ゴミ処理場を隠し扉にするという発想は特におかしくはない。

……だがそれはそれとして、ここで1つの可能性も浮かび上がってくる。

 

「俺が今まで見た部屋の中にも、隠し扉があった可能性が……?

ロキさん。見取り図というのは他の部屋の分もありましたか?」

「昨日見た限りでは見つからなかったよ。

でも確かに、他の部屋にも隠し扉がある可能性はあるだろう」

「おぉ! こりゃ面白い事になってきたぜ!

イーフェ、今日は隠し扉を探す1日に」

「ま、それはそれとして、まずは賭博部屋行くか!」

 

隠し扉は興味深いが、今はリッカのブローチが大切だ。

決してギャンブルをやりたいからじゃない。

決してだ。

 

「おい、待ちやがれ!」

「……スピードワゴン。

確かに隠し扉はあるかもしれない。

だが仮にあったとして、その先に屋敷の脱出口でもあると思うか?

確実にないだろうな。

なら、今は存在が不確かな隠し扉より、リッカさんのブローチを入手し、確実に行動の幅を広げる方が先決!

そうは思わないか?」

「一理あるが……。

昨日、ポイント減らしまくった奴に言われたくねぇな」

「ぬうううう!」

 

スピードワゴンめ!

自分が大勝ちしたからって、なんて事言いやがる!

 

「きょ、今日は勝つからな!」

「なるほど、イーフェはギャンブルも弱いのか」

「違いますから! 昨日はたまたま!

たまたまツいてなかっただけ、ですから!

さぁ、行きますよ!」

 

くそ、今日こそ爆勝ちしてやるんだからな!

 

「イーフェさん!?

まず、食事の片付けからをしてからにしましょうよ!」

「あっ」

 

リッカの一言で、賭博部屋に赴こうとする足が止まる。

全くもってその通りであった。

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