のんびり閉鎖空間 〜ランダムで出現するキャラ達と日常は過ごせるのか?〜 作:賭博馬鹿2号
「なに? そりゃあどういう意味だ?」
「簡単な話だ。勝負はもう付いている」
そう言って、俺はリモコンでメニュー画面を開いた。
「スピードワゴン。
このモニター、1番使ってたのは俺だったな?」
「まぁ、そうだな。
俺らがカジノをしてる間、イーフェはずっとそのモニターを使ってたぜ」
「だから見つけたんだよ。
このモニターには隠し機能がある」
「レースの視点切り替えの事かい?
それなら僕も……」
「いいや、違いますよロキさん。
それはただのオプションだ。
もう1つ、デカい隠し機能があるんです。
見てくださいね。
この視点切り替えのオプションから、下に3回入力すると……」
画面が切り替わる。
すると、そこに現れたのは。
「ミッション、だと?」
「その通り!
実はこの賭博部屋にはミッションがあったんだよ!
特定の条件を満たすと、ポイントが貰えるミッションがな!」
これを見つけた時、俺に驚きは無かった。
俺が使ってた投票サイトでも、ミッション達成で投票マネー入手というのがあったしな。
それと同じ要素があるのは、別に不思議じゃない。
「なんだって!?
しかもこのミッションの内容は!」
気づいたか、ミッションの内容に。
これは、競輪や競馬に関するものではない。
「そうミッションは、この場にあるカジノに関係するものになっている!」
バカラで何回勝つだの、ポーカーで何回勝つだの。
ミッション内容は、ほとんどそういったものだ。
カジノとモニター、これは全て連携していたのだ。
「俺が初めてこの画面に気付いたのは、今日この部屋に来て、割とすぐの頃だ」
「もしかして、何かブツブツ言ってたあの時かぁ?」
「多分その時だ!
ブツブツ言ってた自覚はなかったけど!
そしてその時、既に!
昨日のスピードワゴンとリッカさんのカジノの成果で、30ポイント分のミッションが達成されていた!
後は、受け取りを押すだけでポイントが手に入る!」
そう。
つまり、今日の開始時点で既に30ポイントは何もせずとも貰える状態にあったのだ。
「マジか!?
なんでこんな事を黙ってたんだ?」
「分かってねぇな。
知れば、ミッション達成目的で無理な賭けをする可能性があるだろ。
そうすれば、無駄な動きをして肝心の賭博に負ける可能性がある。
違うか?」
「なるほどなぁ!」
「ほぅ、多少は考えていたようだね」
当たり前だ。
俺が今まで、何度そのパターンで負けてきたと思ってるッ!
「多少じゃなくて、ちゃんと考えてますよ。
例えば、今日、ロキさんにカジノをするか外に出るかと聞かれて、俺は外に出ましたよね。
あれの本当の目的は、俺がカジノをすると、ミッションをこなす目的でポイントを無駄使いする事が目に見えていたからなんですよ」
「そういう所は自己管理出来んのかよ。
分かんねえ奴だなあ」
スピードワゴンは呆れたような、あるいは少し感心したような様子でそう言う。
「ミッションの事を頭に入れて動いていたという訳かい。
これで逆転出来る保証もなかったのに」
「ま、いざという時の切り札にはなると思ってましてね」
「なるほど」
「イーフェさん、いざって時の事を考えてくれてたんですね!」
「うん、勿論だよ。
そして今が切り札の使い時だ」
リッカとロキも少しだけ、感心したような様子を見せた。
ふっ、これで少しは見せ場を作れたんじゃないかな。
…………ま、本当は俺のポイントが無くなった時、ミッションのポイントを勝手に貰って、ギャンブルしようと思って隠してたんだけどな!
それは言わぬが花ってもんだろ! クハハハ!
「ん? イーフェ、またお前からクセェ臭いがするぜ?」
「そうか? 多分、食後に歯磨きをしてな」
「もうそれは良いつっうの!」
「というか、イーフェ。
これって、スピードワゴンとリッカがクリアしたミッションなんだから、君は特に何もしてなくないかい? 正直言うと」
「ロキさん!?」
そんな身も蓋もない事を言わないでくれ!
一応、この画面発見したのは俺だから!
「そんな事ないですよ、ロキさん!
私じゃこのミッションは見つけられませんでした!
さっきもイーフェさんのおかげで賭けようって思えましたし、私は今日イーフェさんに助けられてます!」
「そうかい? まぁそうか……」
滅茶苦茶、釈然としない表情のロキを尻目にリッカはこちらに向かってきた。
「イーフェさん、今日はありがとうございました!」
リッカはそう言って、頭を下げてきた。
「え、どうも?」
いや、さすがにそこまでされる程の事はしてない気がするんだが……ちゃんとした子だな。
「この全て受け取りっていうのを押せば良いんですか?」
「そうそう。
じゃあ最後はリッカさんが決めちゃってくれ」
「分かりました! 押します!」
リッカはそう言って、受け取りボタンを押した。
すると……。
“130ポイント獲得しました”
と出てきた。
は!? さっきまで30ポイントだっただろ!
130ポイント?
「どういう事だ? 多すぎんだろ」
「なんだいイーフェ、分かってないのか。
達成済ミッションの項目を見てみなよ」
ロキに言われて見てみると、1つやたら大きなポイントのものがあった。
“遊技部屋のダーツ
最高難易台でダブルブルを2連続ヒット 100ポイント”
「ええええ!?
遊技部屋もミッションに入るのかよ!」
そんなのさっき見た時は項目になかったぞ!
隠しミッションってやつか!?
「へっ!
なんだよ、あんな簡単なので100ポイントも貰えるのかよ!」
「スピードワゴン……。
お前……今日、さっきまで95ポイントくらい負けてたよな?」
「だな。
だが、このミッションで少しプラスになったようだぜぇ」
「あああ! 信じたくなああああい!」
嘘だ!
共に負けた同志が居たと思ったのに、裏切られたあああああ!
「やるねぇ、スピードワゴン。
ただでは負けてなかった訳か。
というかイーフェ、そんなに落ち込まなくて良いじゃないか。
スピードワゴンの100があろうがなかろうが、1000に到達してる事には変わりないんだよ」
「ポイントの問題じゃないんです!
同じ敗者だと思ってたら、裏切られたショックが大きいんですよぉ!」
「そもそも人を勝手に敗者扱いするんじゃねぇよ!」
くそぉ、許せねぇ……許せねぇよぉ……。
「あれ? みなさん、後ろ見て下さい!」
リッカに突然そう言われて、後ろを振り向く。
すると、そこには。
「なんだ、扉?」
これまで無かった扉が出現していた。
「きなくせぇな。
だが、この奥に目的の物があると見て良いだろうな」
「行きましょう!」
「おぅ!」
リッカとスピードワゴンは意気揚々と扉へと向かって行った。
いきなり出てきた扉に突っ込むのは、正直少し怖かったが、ここまで来て行かないのもなんなので進んでいく。
ロキも俺の後からついて来て、全員で扉の先に向かう。
扉の先には小さな部屋があった。
そして、部屋の中心には……。
「聖騎士のブローチ!」
あった。ついに来た。
「リッカさん、使えそう?」
「やってみます!」
そう言うと、リッカは両手を胸に当て、変身の構えを取った。
あれ? そういえばこれって、変身する時、全裸になる時間なかった?
「ちょっと、俺らは出て行きますね〜!」
「おい、どうしたんだイーフェ!」
「やめろ! 引っ張るな!
余計な事に関わりたくねぇんだよ!」
そんな事を言い合っていると、どこかから微かに音楽が流れて来た。
やべぇ!
これはリッカが変身する時のテーマもとい、ユニティの有料素材「battle_9」じゃねぇか!
背を向けてる間に、もう変身タイムに入ってやがる!
どうする? やべぇ。
「太陽の輝き胸に秘め、聖騎士リッカただいま参上!」
と思ったら、もう変身が終わったようだ。
やはりリアルだと変身は早いなと思いながら、リッカの方へと振り返ってみる。
「おー、やっぱその剣カッコいいですね!」
「そうですか?」
「そうですとも!」
このリッカの初期装備の剣、滅茶苦茶デザイン好きなんだよなぁ!
両手持ち出来るように持ち手が2つある剣で、剣にルーン文字みたいなのが刻まれててマジでカッコいい。
作者のセンスを感じるぜ。
にしても生で見ると、剣の厚みが思ったよりある。
これをブンブン振り回すのはスゲェな。
「ところでスピードワゴン? 見なかったか?」
「は? 何をだよ」
「いや何でもない」
ほ、良かった。
リッカの変身シーンは見てないようだな。
厄介ごとは起こさないに限る。
ロキは……。
「ふむ」
なんか見たっぽい反応をしてるが、リッカに対して言うような事はしないだろうし、大丈夫だろう……多分。
「相変わらずイーフェは変だぜぇ。
が、そんな事よりもリッカぁ!
その武器や防具が相当な業物である事は、俺にも分かるッ!
だが、装備が凄くてもそいつでドアをぶっ壊す事なんて、出来んのかよぉ?」
「それはやってみないと分かりません。
イーフェさん! まずは開かないドアに案内してもらえますか?」
「うん、分かったよリッカさん」
さて、リッカはドアを壊せるのか。
こればかりはやってみなきゃ分からないな。
だが、仮に無理だとしても……。
今、道が1つ広がった気がするぜ。