のんびり閉鎖空間 〜ランダムで出現するキャラ達と日常は過ごせるのか?〜 作:賭博馬鹿2号
現代日本に住むギャンブル中毒の男 イーフェ。
彼はある時、賭博でショックを受けるあまり気絶してしまった!
そして、目を覚ますと……そこは見知らぬ屋敷だった!
屋敷で彼は自身と同じく、飛ばされて来た3人の者達と出逢う。
「ジョジョの奇妙な冒険」のスピードワゴン。
有名同人ゲーム「聖騎士リッカの物語」主人公 リッカ。
そして、超マイナーな同人ゲーム「インボルグの過ごし方」の悪役 ロキの3人である。
中でも、リッカは「聖騎士のブローチ」というアイテムで、強力な聖騎士に変身出来る能力を持つ。
その力に目を付けたイーフェは、聖騎士の力で屋敷の開かずの扉を壊す事を考える。
変身に必要な「聖騎士のブローチ」は、屋敷の賭博部屋で景品として手に入る。
イーフェは事情を説明し、全員で賭博に挑む事となる。
そうして2日に渡る戦いの末、4人は「聖騎士のブローチ」の入手に成功した!
彼らは聖騎士の力を取り戻したリッカを先頭に、開かずの扉へと向かうのであった!
第17話 扉の先
「お、思ったより硬い!」
リッカは既に何度も扉に切り掛かっている。
だが、扉が壊れる気配はまるでない。
先程、賭博場を出て、俺達はまず屋敷の出入り口の扉に向かい、リッカに破壊を頼んでみた。
しかし、ある意味予想通りともいうか、結果はこの通りである。
「おい、リッカもっと気合い入れたら扉壊せるとかねぇのかよ!」
スピードワゴンはそう叫ぶ。
やはり元の世界に帰りたい気持ちが強いのだろうか? その言葉には少々焦りも伺える。
「やってみます……ライトニングッ!」
リッカはそう言うと、剣に雷を纏わせ、目にも止まらぬ速さで扉を切り付けていく。
“ライトニングラッシュ”か。
これは「聖騎士リッカの物語」の作中において、リッカが1番初めに習得する事になる魔法剣である。
ゲームだと使い勝手は微妙だが、火力自体はそこそこ高いという性能だ。
扉相手なら十分威力が期待できるだろう。
逆にこれで全くダメージが通らないようなら、厳しいだろうな。
「う、うーん」
「だめかッ!」
小揺るぎもしてない。屋敷の出入口なだけあって特に頑丈なのかもしれない。
とりあえず、他の開かずの扉を案内するのが無難かな。
「少し、ライトニングラッシュの方が手ごたえはあったんですけど……」
「ホーリーゲイザーでいけそう?」
一応、聞いてみる。
ちなみに“ホーリーゲイザー”とは、リッカの切り札に当たる必殺技である。
ゲーム終盤で習得する技でほぼ全画面に渡る攻撃範囲、全技中最強の火力。
さらに、自身のステータス異常回復という世界を救う聖騎士の奥義に相応しい効果モリモリの技だ。
「多分、無理だと思います」
「なら月並みだけど、扉の横とか上とか何なら床をぶっ壊すのは?」
「えぇ!? そんな事しちゃっていいんですか!」
「まぁ、出れるか試すだけだし良いんじゃない?」
「俺も賛成だぜぇ! やっちまえリッカ!」
「わ、分かりました! セイッ!」
雷を剣に纏った状態のまま、リッカは周辺に攻撃を開始した。
だが……。
「うっ、扉より硬いです!」
「マジか!?」
「扉の方がまだ開きやすい、って事か」
いやまぁ扉だもんな。そりゃそうだ。
「ひとまず、他の開かずの扉に案内するよ。リッカさん」
「イーフェ、ちょっと良いかい?」
「ん? どうしましたかロキさん?」
静観していたロキが急に声をかけてきた。なんだろう?
「今の様子を観察した所。
ただの剣による攻撃では、扉に全く攻撃が通っていないが、魔力を込めた攻撃では多少ダメージが通っているように見えた。
これは、扉が物理攻撃を無効にしている可能性が考えられるよ」
「物理攻撃を?
つまり、魔法じゃなきゃダメージが通らないって事ですか?」
「もっと広くとって、仮に異能全体。
つまり異能の力じゃないと、ダメージが通らないと考えて良いんじゃないかな。
例えばそう。
スピードワゴンが居た世界の波紋とやらでも、扉にダメージが通るかもしれない」
「なんだと!? 波紋で扉が壊せるってのかよ!」
なるほど、ありえる話だ。
と言っても、俺もスピードワゴンも異能の力は持ってないし、ロキも魔法を使う気はないだろう。
「だから魔法剣じゃなくて、魔法を使うべきだと思うんだけど。
リッカは何か強力な魔法とかは使えないのかな?」
「そうですね……。
強いて言えば、ホーリーゲイザーでしょうか。
でも、この扉を壊す程の力はないと思います」
リッカはあくまで騎士だからなぁ。
ホーリーゲイザーも、地面に剣を突き刺して発動させる魔法剣の一種。
強力な魔法というのは習得していないはずだ。
「そうだったかい。
ならすまない。余計な事を聞いたね」
「たっく、おっさんが魔法使えば済む話なのによぉ」
「イーフェも言っただろう。
僕の魔法はリッカのとは違うんだ。代償付きなんだよ」
「そうなんだよなぁ。
そういや、リッカは魔法を使う代償ねぇのかよ?」
「魔法を使う代償?
ちょっと疲れるくらいだと思いますけど?」
リッカは、不思議そうにスピードワゴンにそう言う。
この辺りは知らないと分からんか。
「スピードワゴン。
魔法っていうのは、その作品によって色々な設定があったりするから、実は同じ魔法って名前でも全く違う内容だったりするんだよ。
だから、リッカの魔法は特に代償とかはない」
「へー、そんなもんか」
ここら辺、複数の作品のキャラが交流するとなると、紛らしくなる所だよなぁ。
現実にこんな状況が来るとは、つい3日前までは思ってもみなかったが。
だが、今はそんな事よりも。
「次の開かずの扉に案内する。
みんなこっちだ」
◇
さて。
それから、あらかたの屋敷の扉に”ライトニングラッシュ”を撃ってもらった。
だが、結局の所、壊せた扉はたった1つだった。
ホーリーゲイザーを使えば、壊せるか壊せないかという扉もあったにはあったのだが……。
その扉は賭博部屋の近くであり、広範囲技のホーリーゲイザーを撃てば、賭博部屋が破壊されかねないので、そこは俺が全力で止めた。
スピードワゴンがあやうく強行しかけたが、それはもう鬼の形相になって止めてやった。
結局、無事扉の破壊は無くなり、その扉は別方法で開け方を探る事となった。
ちなみに扉は一定時間で修復されてしまうようで、限られた時間でダメージを与えないといけないようだ。
さて残った扉の破壊には難儀しそうだが……。
一応、収穫があった事はあった。
「すげぇ……」
全ての開かずの扉を見て回った後。
俺達は、ただ1つだけ開いた1階の開かずの扉の先へと向かっていた。
俺が思わず声を出して感嘆したのは、扉の先の光景を見てだ。
扉の先には、広い部屋があった。
否、それはもはや部屋と呼べる広さではない。
小中学校の校庭をさらに2回り大きくした様な空間。
だが、真に驚くべきはその広さではない。
「まさか、室内に障害馬術のコースがあるなんてな」
こりゃあ……また別の楽しみが始まりそうだ!