のんびり閉鎖空間 〜ランダムで出現するキャラ達と日常は過ごせるのか?〜 作:賭博馬鹿2号
俺が召喚されたのが、大広間だからそこに他の奴もいると見るべきか。
ひとまず、大広間近くの降り階段付近まで行ってみよう。
さて……どんな奴がいるんだ?
「うおおおおお! なんだぁ、ここはぁ!
俺はテキサスで油田を掘り当てていたはずなのにいいい! やはり体が持たず死んじまったってのか!
クソおおおおお! こんな最期じゃあ船で散ったジョースターさんに顔向けできねぇぜ!」
……え?
「どうみても、ジョジョのスピードワゴンだよな?」
部屋を出て、降り階段近くまで来た俺は1人の男を見つけた。
長身に長い金髪の男が2階廊下にいる。
……どうみてもスピードワゴンだ。
コスプレにしては、声もアニメ版そっくりすぎる。
そうか、分かったぞ。
こんな怪奇現象なんだ。ここまで来たら、漫画キャラが来ても何もおかしくはない。
でも、これは悪くないぞ。
スピードワゴンさんなら上手くやり取りすれば、敵対関係にはならなそうだし出会う人物としては当たりだ。
なぜか日本語で独り言を話してるが、そこはこの際良いか。
とりあえず逃げても仕方ないし、声をかけよう。
な、なんて声かけよう。
「…………」
「ん!? 誰かそこにいやがるな!
姿を見せなぁ!」
ヤバいコミュ障すぎて、話しかけられなかったら向こうから声掛けされた。
「初めまして、イーフェと言います」
「東洋人? こりゃ一体どういう事だ!?」
「俺もよく分かってないんです。
ただ俺達は何者かによって、この屋敷に連れてこられたようです」
「連れてこられただと!?」
「どこから話しましょうかね……。
とりあえず、俺は貴方から見て未来の人間と思って下さい。西暦2025年の日本人です」
「2025年! そんな事があり得るのか!?」
「世間には伝わってない怪奇現象という奴です。
覚えはないですか?」
「あ、ある。
あのドス黒い奴の事を思い出すぜ」
分かってくれてそうな雰囲気だ。
順調か?
「だが待ちな!
それが本当として、さっきからアンタの口ぶりはどこかおかしい何か隠してる野郎の行動だ!
なぜ俺が過去の人間と分かった!
そして、俺が怪奇現象に心当たりがあると知っている様子だった!」
説明が難しいな……。
1800年代後半の人間に異世界がどうとかいう概念が伝わるだろうか?
まぁ、説明だけしてみるか。
「小説はご存知ですよね。
未来の世界では、それの同じ様な創作物で漫画やアニメ、ゲームというのがあって、そこでスピードワゴンさんの事が描かれているんです」
「なに!? 未来で俺の事が?」
「正確にはスピードワゴンさんの居た1800年代とは少し違う所での未来ですが、そこは説明が難しいので省きます。
ともかく、物語で描かれている姿にそっくりだからピンと来たわけです」
「し、信じられねぇ。俺なんかが物語に?
だが、あんたのその目! それは嘘をついてる目じゃねぇ! 信じるぜあんたの言葉は」
助かった。これで何とかなりそうだ。
「それで、ここに俺らを呼んだ奴の目的は分かってんのか?」
「それがこの屋敷で日常を過ごしてほしいとか」
「なに? 何かの実験のつもりか?」
たしかに……言われてみればその考えもあるか。
「今の所、ここから出る方法はないです。
ただ食料は無限にあります。
それ加えて、生活に必要な物であれば出してもらう事が可能です。
それが、スピードワゴンさんがくる5時間前ほどに、この屋敷に来た俺が集めた情報ですね。
後……」
「なんだ?」
「スピードワゴンさん以外にも、後2人。
この屋敷に召喚される人間がいるようです。
何者かは分かりません」
「まずはそいつらと合流するところからって訳か」
「そういう訳です。ただ本当に何者かは分からないので」
「警戒しろってこったな。
安心しな。あんたみたいな平和な所で育ってそうな東洋人に言われるまでもねぇさ」
「でしょうね。
俺は戦う力はまるで無いので、守ってくれると嬉しいです。
代わりに未来の機械の使い方を教えます。
これとか」
そういって、俺はポケットからスマホを取り出した。
「なんだぁこの板は?」
「これでこうやって……」
俺はスマホでスピードワゴンの写真を撮った。
「ほら、写真が撮れるんです」
「なにぃ! こんな一瞬でしかも色付きの写真が撮れるのか!
これが未来の道具ッ! なんて奇妙な代物なんだ!」
「それ以外にも時計やら色々な機能が付いてるんです。
これも日常生活にあると便利なので、この屋敷の主に出してもらう事が可能でしょう。
使い方は教えますよ」
「分かった。
ひとまず、その交渉は乗ったぜ。
俺が前に出る。そのほかに来てる2人とやらをさっさと探しに行くぞ!」
「助かります。スピードワゴンさん」
上手く交渉出来て良かった。
ゾンビ数体を同時に撃退できる程の実力があるスピードワゴンさんなら、そこいらの人間に負ける事はまずない。
少なくとも俺が単独で行くよりは余程いい。
「イーフェ。屋敷の構造は分かってるのか?」
「開かない扉があって行けない部分がありましたが、それ以外の所は。
構造としては……」
スピードワゴンに屋敷の構造を説明した。
「分かったぜ!
悪人に抑えられたら、まずい箇所は丁度2か所だなぁ。
まずはキッチン!
1番大事な食料と武器になりそうな刃物がある。
その次には、さっき言ってた日常品を出せる機械がある部屋!
日常品だけとはいえ何でも出せるなら、その汎用性は最高!」
「そうですね。そこが抑えられたら詰みです。
そんな悪人が来てない事を祈りますが、ひとまず行ってみますか」
「勿論だぜ!
さぁて、どっちから行く。イーフェ!」
「近いのは、機械の部屋ですね。
ここと同じ2階にあります」
「なら、そっちから行ってみっかぁ」
キッチンは大事だが、機械さえあれば食料を出すことは可能だ。
そういう意味では機械が最重要と言って良い。
「この扉の先が機械の部屋です。
まぁ、さっき俺が居たのでここに人がもういるなんてことは……」
「いいや、気配がしやがるぜ。
それもッ! こいつはクセェ! 悪人の気配だぜ!」
ええええええ!? 早速最悪の事態じゃねぇか!
これでとんでもないバケモンの悪役とかだったらどうすんだ。
「ディオほどのクセェ臭いはしないが、こいつはかなりのワルだ!
扉越しでも伝わってくるほどになぁ!」
扉越しでも伝わる以上って、逆にディオはどんだけすごかったんだよ。
「だが、どうもそれほどの脅威は感じねぇ。
入っても問題はないと俺は考えるぜ!」
「そ、そうなんですね。じゃあ入りましょう」
「おう!」
相変わらず凄い分析力だ。初めに会ったのがスピードワゴンで本当に良かった。
「入るぜ!」
スピードワゴンはドアをバンと開けて入った。
その先には。
「ん? なんだ君たちは?」
「なんだぁ? 普通のおっさんじゃねぇか」
白衣の中年が居た。何者だ? あまり特徴が無い。
スピードワゴンのように俺が知っている二次元キャラという訳ではない……のか?
まぁこの際それは良い。こいつは何者かが重要だ。
「いやそんな事より、なんで消えたはずの僕が生きてる?
ここは一体どこなんだ。
……どうでもいいか。
あの男に消されて、もうすべてがどうでも良くなってしまった」
「なに言ってやがる?」
「ここはアースガルドではない……のだよね?」
「アース……北欧神話だったか?」
「あのファフナー……。
いや、片翼の化け物の異様な力で僕は全てを消されてしまった。
アースガルドを探求したいという思いすらも、薄れている。
何かをしたいという気力も今は湧いてこない」
「なぁにを言ってるんだ? おっさん」
「ま、まさか!?」
「あん、どうしたんだ。イーフェ?」
……ファフナーという片翼の化け物に消された白衣の中年、アースガルドの探求、北欧神話。
「貴方は、ロキという名前では?」
「僕の事を知っているのかい?」
ま、マジかああああ?!
インボルグの過ごし方の……ロキ!?