のんびり閉鎖空間 〜ランダムで出現するキャラ達と日常は過ごせるのか?〜   作:賭博馬鹿2号

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第23話 始まる馬術ミッション

「着いてしまったな」

「どうしたの、そんなに暗い顔して」

 

ゆりねにそう突っ込まれる。

俺達はパソコンやゲームやらがある部屋、通称機械部屋に来ていた。

ここで日用品を超えた物が手に入るミッションが提示される訳だが、もはや報酬自体はどうでもいい。

ここで活躍出来るか否かで、俺の屋敷でのポジションが完全に定まる!

 

“よく参りました。それではミッションを提示します”

 

モニターにそう表示される。

奏音の話が正しければ、これを表示しているのは奏音以外の使用人だ。

しかし、ミッションの内容自体は屋敷の主が考えていたはず。

さて、どんな内容が来るか……?

 

“馬術場で

 

まず、その文字が表示された時、俺は喜んだ。

この1週間スピードワゴンに訓練を付けてもらった乗馬。

これなら活躍出来る場面があるかもしれない!

さて、続きの文章は……。

 

リレーをせよ”

 

リレー? どういう事だ? 

馬は関係あるのか?

 

“詳細は馬術場にて”

 

その文字を最後に何も表示されなくなった。

行くしかないって事か。

 

「馬術でリレーって、どういう事かしら?」

「まさか、馬に乗ってリレーしろって訳じゃあねぇだろうな?」

「ちょっと、私、馬になんか乗った事無いわよ」

「私もだよ。どうしようゆりねちゃん」

 

とりあえず乗れって事なら、俺はこのメンバーの中なら多少戦力になるか?

障害物を飛び越えるのは無理だが、ひとまず馬を走らせるくらいはできる様になった訳だし。

 

「リッカは経験がなくとも、聖騎士の力で乗れるんじゃないのかい?」

「あっ、そうかもしれませんねロキさん。

でも、試した事が無いのでなんとも。

ロキさんは乗れますか?」

「昔は馬で乗って移動もしていたけどねぇ。

さすがにもう勝手を忘れてるよ。

歩くくらいは出来るはずだけど」

 

なら、練習して走れるようになった俺よりは下かな。

まぁ実際に乗るかは分からんし、行ってみないとな。

 

 

「なんだあのモニター?」

 

馬術場に入ってすぐ、俺は思わずそう言った。

つい、昨日まではなかった大型モニターが馬術場の上方部に設置されている。

 

「ほぼ確実に説明の為に置いたんだろうね」

 

ロキがそんな事を言っていると、真っ暗だった画面が突如切り替わった。

 

「皆さん!

初めまして、私今回のミッションを担当させて頂きます。

カノと申します!」

 

画面にはVtuberの様なアバターが表示され、そう告げた。

そのアバターの外見は、短い黒髪で赤い瞳の少女……というかあれだ。

昨日会った屋敷の使用人の奏音をモチーフにしていそうな外見だ。

声は聞いた感じ別人っぽいが、何か関係しているのか?

 

「これから皆さんにミッションの内容を説明します!」

 

そういうと、アバターが右下へと寄せられ、中央に図のようなものが表示された。

この馬術場と馬を示した図のようだな。

 

「さてさて、これから皆さんには4人馬に乗って走ってもらいます。

まず——」

 

ルール説明が始まった。

要約すると、こうだ。

この中から4人、馬に乗って走る。

1人が乗り終えたら、次の1人。

バトンの代わりに馬を乗り、繋いでいくリレーという訳らしい。

しかし、徒競走のリレーと決定的に違うのは、1人目からコースの難易度が上がっていく事だ。

 

1人目は、平地のコースを端から端まで行くだけ。

2人目は、平地のコースをぐるっと1周。

3人目は、障害物を3つ飛び越えて、コースの端まで行く。

 

そして、4人目の難易度がこのミッションの肝で……。

 

「4人目の難易度は、3人目までの総合ランクによって変化します!」

 

との事らしい。

1〜3人目はそれぞれにS、A、B、Cのランクがつく。

これは走破タイム、倒した障害物の数、また細かい作法などから算出されるランクらしい。

これらに応じて、最終走者の難易度が決まるという訳だ。

仮に3人目まで全員Sランクで走破していれば、4人目のやる事は非常に簡単。

平地を真っ直ぐ歩くだけでクリアらしい。

ただし、全員がCランクなら……。

 

「全員Cランクだった場合、4人目はこちらの映像の障害物を飛び越えていただく事になります!

ご覧ください!」

 

流れてくる映像を見ると、その障害物の数は15。

しかも縦横に移動するものや、棒と棒の間をくぐる曲芸染みた飛び方をしなければいけない障害物も置かれている。

これ……世界馬術の上位者でも難しいんじゃないか?

 

「ちなみに、4人目は障害物を倒すと即チャレンジ失敗!

また1人目からやり直しです!」

 

むずっ!

賭博の時から難しくなりすぎだろ!

いや、賭博も本当はこれくらい難しかったのかもな。

俺以外の運が良かっただけで。

 

「何回でも始めから挑戦出来るので、そこはご安心ください!

クリアすると、日用品を超えた品が1つ手に入ります!

それでは張り切って挑戦してください!」

 

その発言を最後にモニターの映像は切れた。

さて、どうするか?

 

「これは難しいかもしれないね」

 

ロキはそういう。

というか、誰もがそう思うだろう。

 

「そうかもしんねぇな。

だがよぉリッカ、まず変身して馬に乗れるか試してくれねぇか?」

「えっ、私ですか?

やった事ないけど、ひとまず乗ってみますね」

 

そう言って、リッカは一瞬で変身した。

 

「凄いわ!

さっき解除する所も見たけど、本当に変身ヒロインじゃない!」

「そんなヒロインだなんて、大げさだよゆりねちゃん。

なんか乗れる気がしてきちゃった!」

 

リッカは、そのまま軽やかな足取りで馬ロボに近づくと……。

 

「よっと!」

 

慣れたような動きで軽く跨った!

 

「これはまさか」

「お願い走って!」

 

リッカがそういうと、馬ロボは軽い足取りで走り出した!

そのままコースを1周していく。

 

「ありがとうね」

 

徐々に減速した後、馬ロボに声をかけ、リッカは下馬した。

そう、落馬も何もなく無事に終わったのだ。

 

「ほう、聖騎士の力は本物の様だね」

「だなぁ、こりゃ戦力になりそうだぜ」

「あ、あぁ、そうだな」

 

…………馬鹿なああああ!

もう俺と同じくらい乗れているだと!?

1日12時間×7日かけて練習したこの俺と互角だとおおおお!?

 

「リッカ、その感じなら障害物も飛べるんじゃねぇか?

試してみろ、今から設置ボタンを押してやる」

「い、いや待て、スピードワゴン。

それはやめておいた方が良い」

「どうしたぁイーフェ?

へっ!

まさか、馬術で自分を超えられるのが怖いんじゃあねぇだろうなぁ?」

「そうだよ!」

 

俺は堂々と言い切った。当たり前だ!

 

「そうなのかよ! このヘタレが!」

「そうだよ悪いか!

だからスイッチを押すな! 現実を見せないでくれえええ!」

 

必死にスピードワゴンを背後から呼び止める。

 

「情けない」

「花園さん!?」

「いやぁ、うちの馬鹿がすまないねぇ」

「ロキさんも!?」

「イーフェ、落ち着きなさい。

私の事は知っているんでしょう?

落ち着かないとどうなるか……分かってるわね?」

「分かりました」

 

俺はその場で正座した。

こんなところで無駄死にはしたくない。

 

「今から障害物出すぞリッカぁ!

その場に出るから端に寄れぇ!」

「分かりました!」

 

あっという間に馬術用の障害物が出現する。

その数は10。

通常のサラブレッドでの障害馬術と大して変わらないような配置だ。

 

「飛んでみろ! 飛ぶ順番はどうでもいいッ!」

「分かりました。行くよ!」

 

リッカは馬ロボに声をかけて乗馬し、走り出すと……。

 

「えい!」

 

障害物の飛翔に成功した。

 

「ふっ、やるわねリッカ。

って、イーフェ!? 大丈夫!? 死にそうな顔よ!?」

「だだだ大丈夫だ」

 

俺の必死の修行に虚しさを感じていただけだ。

そう何でも無い事だ。

 

「あっ!?」

 

3つ連続で飛翔に成功したリッカだったが、4つ目で障害物を倒してしまった。

見ると、助走の間隔が狭く難しそうなエリアだ。

そこまでは聖騎士の力でも難しいって訳か。

そうか、なるほどなるほど!

 

「フハハ! 聖騎士の力は見えた。

あのレベルの馬術なら、俺でもそう……。

今から3000時間ほど修行すれば超えられる!」

「つまり完敗って事ね」

「つーかそれやるとして、修行付けるのは俺っての忘れんじゃあねぇぞ?」

「お、おおおお!

よそ見をしている場合じゃないぞ、スピードワゴンに花園さん!

リッカさんが次々に障害物を倒している!」

「おい、露骨に話を逸らすんじゃあねぇぞ!

だがまぁ、確かにリッカは上手くいってねぇみてぇだな」

 

初めは飛べていたリッカだったが、調子が掴めないのか?

途中から、ほぼ倒してばかりで結局10個中6個倒すという結果になった。

 

「ふーむ。だが、あれなら3人目には適任じゃないかな」

「ロキのおっさんの言う通りだなぁ。

多くは飛べねぇみてぇだが、3人目が飛ぶ障害物は3つだけ。

これなら行けるかもしんねぇ」

「確かに3人目のクリアは行けるかもな。

後は俺が2人目、ロキさんが1人目。

それでスピードワゴンが4人目ってところか?」

「だな。

こりゃあもらったかもしれねぇぜ?

なにせ、イーフェもリッカも乗れるんだ。

評価がCランクになる事はねぇだろう。

つーことは、俺の飛ぶ障害物も超ハイレベルになる事はねぇはずだぜ!」

 

確かに、こりゃ案外すんなりクリア出来そうだな。

俺がミスらないようにだけ注意しないと。

 

「うーん。そうすんなり行くかしらね」

「ゆりねちゃん?」

 

丁度馬場から戻ってきたリッカがゆりねを軽く見上げて聞く。

なんだ? どういう意味だ?

 

「4人でやるリレーなのが、どうにも気になるのよね。

5人居るのに。

このミッション、これをクリアする事は前提で続きがあったりしないかしら?」

「続き?

でもさっきこれをクリアしたら、日用品を超えた物を……」

「それよ。

扉を開けるものとは一言も言ってなかったわ」

 

た、確かに……。これの……続き?

 

「な、何か、猛烈に悪い予感がしてきた!

俺、部屋に帰るね」

「おい、待ちやがれイーフェ!

どこ行くんだ、始めんぞ!

もうそれしか道はねぇんだ!」

 

くそぅ……。まぁ、仕方ない。

今はこのミッションをクリアする事に集中だ。

この1週間の修行の成果見せてやる!

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