のんびり閉鎖空間 〜ランダムで出現するキャラ達と日常は過ごせるのか?〜 作:賭博馬鹿2号
「待ってくれ。
屋敷の住人を連れてくるだって?」
ロキはトウナにそう問いかける。
「あぁ、本来そんな事は不可能だったのだが……。
都合良くというべきか花園ゆりねの影響で屋敷が一時的に瓦解したのでな。
その隙を見て、お前達をこの空間を連れて来たのだ。
ここはお前達がいた屋敷に似た、全く別の空間よ」
「えぇ!?
別の空間っていうのは察してたけど、さっきまでの屋敷、アレだけでこわれちゃったの!?」
ゆりねは目を見開いて、意外そうにいう。
「貴様な……あれだけの魔力の籠った防壁をバンバン壊されては、瓦解も当然だろう。
ともかく、今のこの屋敷の主は私だ」
「なるほど、つまりトウナを倒せば俺たちは帰れるわけだな!
よっしゃあ、トウナを倒して元の世界に帰り、ここで覚えた競輪・競馬の結果で大儲けだぜ!」
イーフェはそう言って、腕を回す。
尚、策は何もない。
「イーフェ、なんでお前は戦闘力がないのに好戦的なんだよ!
最後まで話を聞け。
まず私をどうこうしても、屋敷は壊れん。
そして、肝心なのは元の屋敷のダメージはいずれ修復されると言う事。
しかもより強固な形で、だ。
屋敷が修復されたら、お前達は元の屋敷に戻される事になる。
それはこの屋敷に居ようと、元の世界に居ようと同じ事」
「なんだぁそりゃあ!
ならッ! ゆりねが折角やった事はむしろ屋敷を強固にするだけだったって事かよッ!」
スピードワゴンはそう叫ぶ。
だが、それに対してトウナはニヤリと笑ってこう言った。
「そうでもないとも。
先ほどから言っているだろう。
私は簡単なゲーム企画をしてほしいと頼まれたとね。
そして、このゲームでは今後の生活で大いに役立つ景品が用意されている。
屋敷の脱出に役立つアイテムも無論あるぞ」
「なにぃ!?
そりゃすげぇ! ぜひとも参加させてくれぇ!」
「そうこなくてはなスピードワゴン」
トウナは静かにうなづいた。
「トウナ、一応聞くが……。
ゲームの命令っていうのは、もしかして俺が作った女神のキャラから下されたものか?」
イーフェは真剣な表情でトウナにそう聞く。
「ああ、その通りだ」
「な、なるほど」
「なに? どうしたのイーフェ。
その微妙そうな表情は」
ゆりねは少しイーフェの顔を覗き込むようにして、そう言う。
「いやその指示を下した女神なんだが……。
二次元作品が大好きなニート女神という設定でさ。
実力はあるんだが、仕事をほとんどせず部下であるトウナに仕事をほとんど押し付けているというキャラなんだよ。
だから多分、そのゲームというのも私利私欲でやらせようとしてるんじゃないかな?
恐らく好きな二次元キャラがゲームする姿みたいとかその辺りでしょ」
「さすが作者、よくわかったな。
この屋敷にはカメラが設置されていて、駄女神のいる空間で映像が見れるようになっている。
それがあいつの目的だ」
トウナはため息をつきながら、そういった。
「やっぱりかよ。
そんなの付き合わなくていいのに」
「最近百合女王から追われてて、匿ってもらう為の交換条件として出されたんだよ!
仕方ないんだ!」
「お、おぉ……」
「なんかまた新しいキャラが出てきたけど。
聞いた方がいいやつ?」
ゆりねはそう言って首を傾げる。
「いや! 聞かなくていい!
ゲームが終わって元の屋敷に帰ったら、そこのイーフェにでも聞け!
私からは話したくもない!
それよりもゲームだ!
一応色々用意していたのだが、屋敷の修復が中々に早いので2つ……早いと1つが限度だろう。
さて早速1つ目のゲーム内容だが。
駄女神曰く……ギャンブル勝ち負け当てだ!」
トウナは堂々とゲームの内容を宣言した。
それを聞いた面々は一様に反応を示す。
「おぉギャンブル!
って勝ち負け当て? 普通のギャンブルと何が違うんだ?」
「なんだい、またギャンブルかい?」
「えぇ、ギャンブルやるの?
邪神ちゃんじゃあるまいし、大体私19歳だからギャンブル出来ないわよ」
「え!? 19歳ってギャンブルやっちゃダメなんですかゆりねさん!?
なら、私もやっちゃダメだったんじゃ」
「落ち着けやリッカ。それはゆりねのいた国の法律だ。
第一アレはお金がかかってねぇじゃねぇか」
各々が好き放題に話し出す。
そんな様子を見たトウナは、大き過ぎずしかし通る声でこう話す。
「お前ら騒がしいぞ。
今から説明する! 静かに聞け。
まず第一にいうが、お前らがギャンブルをするわけじゃない」
それを聞いた瞬間、1人の男が絶望した。
「なんだとおおおおお!
最悪のゲームじゃねぇか!」
イーフェである。
「絶望するの早いわ!
良いか、ルールは簡単。
まず、たった今ここと似た屋敷の住人にギャンブルをやらせている所なんだが……」
「ここと似た屋敷?
それは……内装だけという事ではないよね?」
そう聞いたのはロキだ。
トウナの言い方に疑問を感じたのである。
単に似た建物、というような話し方では無い。
「さすが長生きしているだけはあるな、狡知の神。
察しの通りだ。
ここと同じような状況に陥っている屋敷が別世界にあるのだよ。
最もその屋敷の元凶はこことは違うから、あくまで状況が似ているというだけだがな」
「なるほどね。
創作の世界があるんだから、確かにここと似た状況の屋敷の1つや2つあっても何も不思議じゃない」
ロキは納得した。
「そうなんですね……。
そこの屋敷の人は出たがってるかも。
何か力になれないかな?」
「そうね、確かにリッカのいう通り。
似た様な状況にある者同士で協力出来れば良いのに」
「やれやれ飛んだ甘ちゃんばっかだなぁ。
だが、その気概気に入ったぜ!
おい、トウナ!
今ギャンブルをやらせてるっつう向こうと連携は取れねぇのか!?」
「その辺りは、今から始まるゲームの結果次第だな。
まずはなんにせよゲームをしてくれ」
トウナは淡々とそう言ってのける。
「内容はこうだ。
今、向こうの屋敷の住人の中でもランダムで選ばれた4人がギャンブルをしているが、そろそろ部屋から出てくる。
その部屋から出る様子だけを映像で出す。
それを見て、そいつが中のギャンブル部屋で勝ったか負けてたかをまず当ててもらう」
「ほぅ、そんなので良いのかよ。
俺にとっちゃぁ簡単な話だぜ?」
「確かにスピードワゴンにとってはそうかもな。
だが、当てるのは勝ち負けだけではない。
どれくらいのポイント勝ってるか負けてるかまで当ててもらう、1番正解に近かった奴が1ポイント。
仮にピッタリなら2ポイント。これを4人分やる。
1番ポイントが高かった奴の願いを聞こう」
「なるほど、そういうルールね。
それならギャンブルじゃないし、私もできそうだわ」
「皆さんと勝負になるんですね……。
でも、向こうの屋敷の人の為になるかもしれませんし、負けませんよ!」
そうしてその場のほとんどの者はやる気を出し、ゲームに挑むことになった。
「なんでだよおおおおお!
向こうの屋敷だけじゃなくて、こっちもギャンブルをやらせてくれよおおおおおお!」
「うるさいあきらめろ!」
……1人、絶望しつづけるイーフェを除いて。
「イーフェッ!
アンタ、向こうの屋敷の人が苦しんでるかもしれないのに、失礼でしょうが!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
イーフェはゆりねに吹っ飛ばされ、そのまま体が扉を突き破り、姿がその場から消失した。
「イーフェさんが死んだ!」
「花園ゆりね、この人でなし!」
「君達、番外編だからって何でもありだと思わない方が良いよ」
ロキに呆れられながら……一同のゲームが始まる。