のんびり閉鎖空間 〜ランダムで出現するキャラ達と日常は過ごせるのか?〜 作:賭博馬鹿2号
「さて、2人目の登場だ」
トウナがそういうと、早速映像ではドアが開けられた。
そこには……。
「おぉ、やっぱ士郎か!」
あのFate本編の主人公衛宮士郎がそこにはいた。
だが、表情は酷く真剣で張り詰めている。
「ほう、こりゃ……」
スピードワゴンはそう言って、まずはポイント別景品交換リストをモニターで見始めた。
リッカとスピードワゴンは士郎の真剣な表情に対し、画面に見入っており、ゆりねは考え込むように顎に手を置き、モニターで見ていた。
そして、イーフェは……。
「おぉ! 本物だ!
って待てよ、あの聖骸布、腕士郎じゃね?
となると桜ルートの士郎か?
それがまず屋敷に居る時点で状況が気になるが……」
イーフェは自身の持つ原作知識とポイント交換リストを組み合わせながら、士郎の残りポイントを考察していた。
「1つ質問していいかい?」
そこで質問をしたのはロキだった。
「可能な範囲なら」
「向こうの屋敷の住人の4人中2人は僕達が見ている事を知っていて、大きく欺けたら、特別な賞品を与えるという話があったね。
その定義を詳しく聞きたい。
まず大きく欺くとはどのような状態か。そして特別な賞品とはなにか」
「いいだろう。
だが、それを今聞きたがるということは、ロキお前は衛宮士郎が演技をしていると?」
「なに参考材料にしたいだけさ。で、どうなんだい?」
「いいだろう」
そう言って、トウナは説明を始めた。
簡単に言うとこういう事であった。
大きく騙すの定義は、基本的に全員に反対の予想をさせる事。
つまり5万ポイントから勝ったなら、全員負けたと予想させた必要がある。
たとえ50001ポイントと書かれたとしても、1ポイントは勝っている予想なのでミッション失敗になる。
そして、手に入る商品とは……。
「屋敷限定で願いが叶う聖杯?」
「そう。ちなみにそれは、交換リストにもないものだ」
「なんだと? 聖杯!?
Fateに出てくるアレか?」
イーフェは思わず驚く、そんなものが簡単に手に入るなど常軌を逸している。
「願いが叶うという点ではな。
だが、効果の範囲が屋敷限定。
屋敷から脱出したいといった願いも不可能となる。
要は、屋敷からの脱出を望む者にとっては無用の長物というわけだ」
「そうでもなくないか?
屋敷の中だけとはいえ、自分の能力とか上げられるんじゃ?」
「突破口に繋がる保証はないぞ。能力が高いところでな。
お前たちは先例を先ほど体験したばかりだと思うが?」
「なるほど、たしかにな。
とはいえ、屋敷でより良い暮らしを望むものにとっては有益極まりないはずだ。
屋敷のヒエラルキーにおいて、力なくとも一気にトップに立つことが可能。
同じ屋敷にラスボス級の悪人が来たら、倒すのにも使えるし有能な装備にもなる。
だが、桜ルートの士郎がそんなものを望むだろうか。
でも仮に同じ屋敷に桜が召喚されてたら……うーーーーん」
そういって、イーフェは改めて頭を抱えて考え出した……。
◇
「さぁ、全員回答をしてもらおう!」
イーフェ 1000005
スピードワゴン 499999
ロキ 0
リッカ 0
ゆりね 777777
「これは意見が割れたな。
ちなみに全員考えを聞いて良いか?」
トウナは興味を持ったのか、はたまた女神からそういう風に進行しろと言われているのか、そう話を振る。
「まずリッカはどうなんだ? カタログを見ずに0とは?」
「分からなかったんですけど……。
追い詰められているようにも見えて。
だから0かなって」
「なるほど、ではロキは?」
「彼は噓をついているのかと始めは思った。
だが、にしては僕達を勝ち側・負け側のどちらに誘導したいか不明だ。
全員をだますという条件をクリアするにしては演技が雑だ。
なら、ここは純粋に大敗したのだと考えたよ」
ロキもリッカに肯定する。
「ならゆりねは?」
「まずアレは正直な反応と判断したわ。
その上でだけど。
70万ポイントのアイテムに召喚用アイテムというのがあるわよね?
これで大事な人を安全な屋敷に召喚できると考えたんじゃないかしら。
詳しくは知らないけれど、さっきイーフェがボソボソ呟いてた事からそれっぽい人がいるんでしょ?」
「なにぃ!? 聞こえてたのか!」
「俺のほうにも聞こえてるつぅの!」
スピードワゴンは思わず反応する。
イーフェの独り言はもれなく全員に届いているのであった。
だが、無視してゆりねは話を進める。
「でも召喚したとして、今後はこの屋敷での生活は不安定。
だからあの表情。私はそう考えたわ。
777777にしたのは私の気分。
元手5万ポイントだから、2時間で15倍ちょっと。
無い話じゃないでしょ」
ゆりねはふふと笑いながら、そう言う。
「なるほど……スピードワゴンは」
「イーフェの独り言が助かったぜ。
まず俺もあの男……士郎だったか。
あいつの反応に偽りはないと判断するぜッ。
そして俺の考えでは、士郎は50万ポイント景品にある自身の肉体正常化を目標にし、目前で失敗したッ!
そう判断したぜ!」
「馬鹿な、士郎が自分の為に力を望むものか」
「だが、その桜とやらが望んだらどうだ?
察するに恋人なんだろう?
あの歪な肉体を治してもらいたいと考えても不思議じゃあないはずだぜ」
スピードワゴンはシルクハットを指で釣り上げながらそういうが、イーフェはどこに吹く風といったようにこう言い返す。
「ないな。
日常を取り戻しても尚、士郎があの腕だったらなくも無いが、そもそもあの状態で日常は過ごせない」
「なるほどなぁ。そういう事情があるのか。
なら、俺の推理は違うかもしれぇなあ。
だが」
「だが?」
「イーフェ。忘れるんじゃねぇぞ。
ここは……番外編ッ!
これまでの流れを見ろ! そんな設定無視してくる可能性あっても不思議じゃねぇぞ!」
「スピードワゴンもそれ言い出すのかい?」
ロキは呆れたようにそう言う。
トウナも思わず苦笑してしまう。
「やれやれスピードワゴンまで、そういうとはな。
時にイーフェ、一応だがお前の理由も聞こうか」
「俺は士郎が100万ポイントで選べる項目を目標にし、ポイントを貯めたと考えてる。
それは何かというと、異世界に居る相手の肉体を正常化する項目だ。
士郎は100万ポイントになるまで、ギャンブルを当てたに違いない。
幸運は低いが、少しでも確率があれば手繰り寄せる事が出来る心眼(偽)の使い手……に可能性がある男。
出来ても不可能じゃない。
そこまでした理由は簡単だ。
桜の肉体を遠坂桜の遺伝子状態の時に戻すため。
そうすればマキリの聖杯としての役割はなくなる。そうだろ?」
「桜が同じ屋敷にきていたら、成立しない考えだが?」
「そこはまぁ……あんだけ追い詰められた顔してるってことは多分近くにはいないんじゃねって判断で」
「なるほど」
そういって、トウナは静かにうなづいた。
「では、3人目だ」
◇
「次もFateかな」
イーフェは少しワクワクしながらそういう。
「いや違う。だがお前も知る日常系作品のキャラだ。
おっ、来たな」
現れたのは輪っかと白い翼を生やした銀髪ロングの女子高生だ。
しかし、彼女は現れた次の瞬間!
「神足通!」
そう言って、ドアの前から居なくなった!
「ちょ! 待て待て待て!
今のアリなんか!?」
「おい聞いてねぇぞ! 一瞬過ぎて俺も全然見てなかったぜ!?」
速攻で抗議するイーフェとスピードワゴン。
しかし……。
「私はカメラが捉えるのは約100mの範囲といった。
その距離をどんな速さで移動しようが、それこそ瞬間移動を使おうがそれはルール違反ではない」
「ちょっとちょっと!
それはさすがにルール違反にしたほうがいいんじゃないの?」
これにはさすがにゆりねも声をあげる。
「しかしほら、これで考えるのもまた一興だろう。
それに花園ゆりね。
お前ならきちんと見えていただろう」
「それはそうだけど……まぁルールなら仕方ないわね。
今は従っておくわ」
やれやれと言いながら、ゆりねは交換リストに目を通す。
「僕もほとんど見えなかったけどリッカはどうだい?」
「ロキさん……私も全く。こんなことなら変身しておけば良かったです」
そんなやり取りを聞いていたイーフェは頭を抱えながらそう言った。
「花園さん以外、まともに姿すら見えていない。
これでどう考えろと。
いや待てよ? 確か一瞬銀髪が映ってそして神足通って聞こえたよな。
……トウナ、悪いが答えてくれるか?
さっきの人物、ガブリールドロップアウトのラフィー、ラフィエルじゃないか?」
「あぁ、その通りだ」
「……そうかぁ」
これは厄介なことになったな、とイーフェはさらに頭を抱えるのだった。