のんびり閉鎖空間 〜ランダムで出現するキャラ達と日常は過ごせるのか?〜 作:賭博馬鹿2号
ゴリッチュキャラに会うのは確かに夢だったけど……なんでロキ!?
ロキに会いたいなんて考えたこともないんだが!?
いやまぁ、確かにこいつはスピードワゴンの言う通り悪人だわ。
小物悪人だけど。なるほど、ディオには劣るってのはよく分かる。
「もしかして、こいつも未来の世界でアニメとかになってるのか?」
スピードワゴンはそう俺に聞いてくる。
「ちょっと違いますね。
ある1人の若者が趣味で作った創作物があって、その中に出てくるキャラクターがこの人なんです」
「なに!? つまり物語の中のキャラってことか!?
それが今、現実にいるって事かよぉ!
あ、ありえねぇ!
だが、こんな屋敷がある以上、否定仕切れねえのもまた事実ッ!」
あっ、スピードワゴンの時もそう説明すりゃよかった。
テンパってて思いつかなかったわ。
「僕が物語の中のキャラだって?」
「俺が観測する中ではそうです。ただあくまで俺の視点からみた話。
かくいう俺自身も、また誰かの小説のキャラかもしれない」
「なるほど。まぁ言いたいことは分かるよ。
僕はこれでも科学者だからね」
ともかく気になる点はある。
例えば、先ほどからロキが気力を失った風なところだ。
本編でのロキは、アースガルドへの探求心とベレッタを我が物にしようとする執着心の強い悪役だった。
しかし、今、目の前にいるロキはそのどちらもない……ように少なくとも俺は見える。
いや、そもそもの話。
エーテル相殺術で存在を完全に消された奴がこの場に居る事がおかしい。
何かあるなこれは。
「ともかく僕の事を君は知っているのかな?」
「ざっとは、ですけど。
アースガルド到達を目標とした研究者で、負のエネルギーを持ったホムンクルスの開発者ですよね」
「ほぅ。僕のホムンクルスを知ってるのかい。
フェンリル、ヘル、ウロボロスの事を」
「勿論。ですが、ホムンクルスはもう1人居るでしょう。俺は武龍の事も知ってます。
貴方にはプロトタイプ・スレイプニルといった方が分かりますか」
「あぁ、あのバルドルが引き取ったゴミか。
あんなゴミの事まで知ってるなんて、相当詳しいんだね。
おっと、今は彼がバルドルなんだったかな」
少し下卑た表情でロキはそういった。
息子である武龍を捨てた事がシュガーの逆鱗に触れてボコボコにされたのに、何も反省してないな。
無気力にはなってるが、根の部分は何も変わってないみたいだ。
「その辺りも知ってます」
「説明する手間が省けるよ。
ところで、そこまで分かる君はこの空間にどう関係してるのかな?」
「俺も連れてこられた側なんです。
5時間前……」
俺はこれまでの流れをざっと話した。
「なるほど。
日常生活を送れと言って、僕らを閉じ込めている奴らが居るわけか」
「ですが、不思議と敵意は感じませんでした」
「それは君の主観だ。
どう考えてもこんな事をするのは敵だ。
……まぁ、だからと言って、もう僕はどうでも良いんだ。
ここには生きるのに不足しないだけの物があるんだろう?
静かに暮らさせてもらうよ」
「ロキさん……」
こいつが悪人なのは知ってるが、ここまで無気力になられると、なんかそれはそれで張り合いがなくて変な感じだ。
これは、エーテル相殺術で完全に消された影響なのか?
だとしたら、やはりあの力本当に恐ろしい物なんだな。
「とりあえず、最後の1人が見つかるまでは着いてきてもらって良いですか?」
「それくらいは構わないとも」
「ちなみに、ロキさんは今魔法とかって使えますか?」
「あぁあれか。
出来るかもしれないけど、体がまた黒くなるのはゴメンだから出来れば使いたくはないな」
ウィルヴィッシュ化か。
というか今思えば、よく才能もないのに蘇生の禁忌魔法を使って、魔法も連発出来てたよな。
……いや、もしかしたら本編でファフナーがロキの事を魔法の才能もない三流って評価してたのは、ただの煽り文句で実際の所、魔法使いの才能はそこそこあったのかもしれない。
「でもいざとなったらお願いします。
魔法が使えれば、この中で1番強いのは貴方なんですから」
「そうなのかい?
なら、本当にいざという時だけだからね?」
ロキは溜息をつきながらそういう。
「おい、イーフェ。
さっきから魔法魔法って。
まさかこのおっさん、魔法使いだってのか!?」
「力を失ってなければそのはずですよ。
正確には魔法使いの力を取り込んだ人間……ですよね」
「ふむ、相当詳しく伝わっているとみえるね。
大方その認識で間違えないよ」
「ま、マジかよ。
空飛んだり出来るのか?」
「試したことは無いけど、恐らく可能だろうね。
火や氷を出したりは簡単さ、身を守る障壁も張れる」
まぁ、浮遊魔法はシュガーが教師1年目で使えてたし、ロキも使おうと思えば使えると見て、間違えないだろうな。
「何だって!
それが本当なら波紋以上かもしれねぇな」
「でも、波紋と違って代償があるんですよ。スピードワゴンさん。
波紋は使えば使う程、体が鍛えられ、若さを保つ事も出来る良い力ですが、魔法はその真逆。
魂を削って撃つ力なので、使えば理性のない化け物の体に近づくんです。
最後は自我の消えた化け物になり、人格は死にます」
スピードワゴンは、それを聞いてなんてこったと叫んだ。
「諸刃の剣じゃねぇか。なんて危険な力なんだ!
つーか、イーフェ。
お前波紋の存在まで知ってるのか!」
「えぇ、対吸血鬼用の呼吸でしょう」
「なんでも記録に残ってるもんだなぁ」
「波紋、吸血鬼。
僕の知らない情報がありそうだね。
少しだけ研究者としてまた気力が湧いてきた気がするよ」
「それは良かった。
元気なのが1番ですからね。
では、そろそろ最後の1人を探しに行くというので、大丈夫ですか?」
「勿論さ。
まずはさっきの話だとキッチンを調べるのが、優先だったね」
そういえばそうだったな。
まぁ、キッチンの刃物程度じゃ魔法に勝てないと思うが、ロキが大人しく魔法を使うとも思えんし、やはりキッチンは警戒するべきか。
「そうだぜ。
おっさんも相当なワルみてぇだが、少なくとも今はこうして話が通じてる。
だが、最後の1人はそうはいかねぇかもしれねぇ。
慎重に行くぜ、魔法使いのおっさん!
「ロキだ」
「おっと、こりゃ失礼。
俺は、ジョースター家に永久の忠誠を誓う男スピードワゴン!
こっちの東洋人はイーフェだ!
よろしく頼むぜ! ロキのおっさんよぉ!」
「やれやれ、君はうるさい男だね。
ま、しばらくはよろしく頼むよ。イーフェもね」
「よろしくお願いします」
お互い挨拶して、俺らはキッチンに向かうのであった。