のんびり閉鎖空間 〜ランダムで出現するキャラ達と日常は過ごせるのか?〜 作:賭博馬鹿2号
「くそっ!
結構勝ってたのに、もうこんだけしかポイントないのかよ!」
イーフェは1人で賭博部屋でギャンブルをしていた。
部屋に入った時に1000ポイント貰え、途中20000ポイントになっていたが、今はもう1260ポイントである。
「ふー、1回冷静になろう。
向こうはそろそろゲーム終わったかな」
賭博部屋を出て、元の部屋へと戻る。
だが、そこには誰も居なかった。
「2回戦は違う場所だったのか。
どこに居るんだろ」
イーフェがそんな事を考えていると、扉が開けられた。
「なんだ、イーフェか」
「トウナじゃん。
進行役は良いのか?」
「良い。
この部屋まで早く戻って来れた方が勝ちというシンプルな迷路ゲームを用意してある。
この屋敷の地下に2種類の迷路を作ってな」
「なるほど、じゃあ俺達はしばらく待つか」
◇
一方その頃。
ロキとリッカは別の場所からスタートし、出口を目指していた。
スピードワゴンとゆりねも、ロキ達とは別の迷路で同様にスタートしていた。
プレイヤーが迷路の壁に傷を付け、目印とするのは良いが、壁を壊すなど破壊目的での損傷は失格というルール。
その為、壁を壊して力技で迷宮を突破出来るゆりねも、単純に進む事しか出来ない全員平等に勝ち目のある勝負なのである。
その結果……。
「おっ、足音が聞こえてきたぞ」
「ふむ、この感じは……。
なるほど妥当か」
まず現れたのは……。
「やれやれ久々に頭を使ったよ」
「おめでとうロキ。
お前の勝利だ」
ロキだった。
「相手がリッカなら当然の話だね」
「ちなみにこの勝敗もランダムで決めてるぞ」
「何の話だい?
ともかくその聖杯というのを貰えるんだよね」
「勿論。ただ1ポイント組のお前は大した願いは叶えられない上、屋敷限定の願いだ」
「ふむ……。まぁ1つだけ望むものはあるんだ。
ただそれが無理なら、他にしたい事はないね。
何ならリッカにあげても良い」
「意外だな。
勿論譲渡も可能だぞ。その辺りは任せよう。
聖杯の現物は……すぐには出せないから、ゲームが終わるまで待ってもらおう」
「分かったよ」
そんなやり取りをしていると……。
「おっ、また足音だ」
「この足音は……ほぅさすがだな」
素早く走る足音が聞こえてくる。
だが……。
「帰ったわ」
その足音より早くドアが開けられる。
現れたのは花園ゆりねだった。
そしてドアが開いた時から遅れるようにして、爆音の足音が屋敷中に響き渡った。
「うるさっ!」
「花園ゆりね!
お前、音速を超えて走ってきたな!
屋敷を壊すなよ!」
「あらごめんなさい」
「くっ、しまったああああ!!!」
それから少し遅れるようにして姿を現したのは、スピードワゴンだった。
始めに聞こえた部屋に近づく足音は彼の物だったのだ。
「最後の最後で追い抜かれちまったああああ!!!」
「トウナ、これルール的にどうなんだ?」
「まぁ、部屋に早く着いた方が勝ちだから花園ゆりねの勝ちだな。
後は反則行為の有無だけだ」
そう言って、トウナは目を閉じた。
「なにしてるの?」
「今、先程までのお前達の様子を早送りでチェックしている。
少し待て花園ゆりね。
……なるほど、大体分かった」
トウナは目を開き、こう言った。
「反則行為はない。
迷路の破壊はなかった。これは勝ちだ」
「当然ね」
「だが……はぁ」
トウナは呆れるようにため息をついて、こう言う。
「まさか高速で迷路を走りつつ、壁に印をつけ、出口までの道を数当たりする作戦とはな。
いやはや、速度を活かした戦い方と言うべきか?」
「でも、迷路が壊れるくらいの速さでは走ってないからセーフでしょ。
屋敷に出てからはもっと早く走ったけど、屋敷を壊してはいけないというルールはなかったはずよ」
「確かになかったがそこは自重してくれ!
スピードワゴンは走った上、迷わずに迷路を一直線で来たのに、負けてるんだぞ!」
「そうなの!? 凄いのねスピードワゴン!」
「後、少しだっんだがなぁ!
こればかりは運としか言いようがねぇぜ」
目を見開いて驚くゆりねに対し、スピードワゴンは悔しそうな表情を浮かべるのであった。
「さて、となると後はリッカが帰ってくるのを待つだけだな」
◇
……30分後。
「戻りました! ってもう全員いる!」
「遅かったな……。
いやロキが早いだけで別に遅くはないか」
「こっちは4人でゲームやって遊んでた所だぜ。
しかし、自分が出てるゲームつっうのは変な感覚だぜ」
部屋でトウナ以外の4人は、ジョジョのアイズオブヘブンで2人VS2人をしていた。
チームはイーフェとロキ、スピードワゴンとゆりねの組み合わせだ。
スピードワゴンはジョナサン、ゆりねは3部のDIOを使用。
イーフェはスピードワゴンを使用。
ロキはとくに使いたいキャラが居ないとの事でイーフェが適当に選び、カーズを使う事になった。
全員初見プレイだった為、五分五分の戦いだった所、リッカが帰ってきたのである。
「だが、中々に面白かったぜ。
ディオの奴とジョースターさんが共闘してるのは、変な感じだったがよ」
「えぇ!?
私が迷ってる間に楽しい事してたんですね。いいなぁ」
「なに、元の屋敷に戻ってからも出来る。
それよりそろそろ時間がなさそうだ。
賞品の授与に入る。
ロキ、ゆりねそれぞれに小聖杯、大聖杯をプレゼントする」
◇
トウナはプレゼントの為と言って、全員を1階の大広間に連れてきた。
「ではまず小聖杯をプレゼントだ」
トウナがそういうと、突如大広間に眩い輝きが放たれ……広間を埋めつくさんばかりの大きさの聖杯が現れた。
「ほうこれは凄いね。これで小なのかい?」
「あぁ、イーフェなら分かると思うが、大きさは冬木の聖杯に遠く及ばず、魔力量もそれに比例して少ない。
だが小さな願い、かつ屋敷限定なら叶えられるだろう」
「なるほどね。なら……」
ロキは真剣な表情でこう願った。
「僕を消えない体にしてくれ。
あのあらゆる物質を相殺する怪物の力を持っても」
聖杯は……反応しなかった。
「叶えられる範囲を超えているようだ。
当然の話だな。
エーテル相殺で消えないなど、かなり難しい願いになるからな」
「そう……か。なら僕はもう良い。
リッカ、君にでも渡そう」
ロキはそう言って、後ろへと下がっていった。
「え? えっ!? 良いんですか!?」
「良いだろ別に。
お前が帰ってくる前から私に言っていた事だ。
さぁ、どうするリッカ?」
「え? 私は……うーん」
少し悩んだ後、手を叩いてリッカはこう聞いた。
「屋敷の中の願い事なら良いんですよね?」
「あぁそうだが?」
「分かりました!
じゃあ聖杯さん! 向こうの屋敷で帰りたがっている人達を元の世界に帰してください!」
聖杯は光だし……再び元の状態へと戻ってしまった。
「あれ? これって……」
「屋敷限定だから外に出るって願いは無効だったんじゃないの?」
イーフェがリッカにそういう。
しかし。
「いやそれ以前の問題だな」
トウナは静かにそう言った。
「どう言う事だ?」
「向こうの屋敷のメンバーですぐに帰りたいと望んでいる者が今の所いない」
「そうなんですか!? 良かったぁ」
リッカは安心したようにそう言って……。
「でもじゃあどうしよう」
再び考え出した。
「…………決めました!
向こうの屋敷の様子を見せて下さい!
もし家事とかで困っていたら、私に向こうの屋敷を少し手伝わせて下さい!」
「いやリッカ、願いは1つま」
イーフェがそう言いかける中、聖杯は眩く輝き……。
「えっ!? リッカ!?」
気が付けば、リッカの姿は消滅していた。
「おいトウナ、これはどうなっていやがる!」
スピードワゴンがすぐにトウナにくってかかる。
「落ち着け。
恐らく光っている間にリッカの脳内に向こうの屋敷の様子が送り込まれた。
そして、リッカがそれを見て、家事に困っていると判断したんだろう。
だから、聖杯の力で少しだけ手伝いに行く事になったんだろうな。
その少しの時間がどのくらいかは、私も女神に聞かんと分からんが、そう長くはないだろう。
安心すると良い」
「本当かぁ?」
スピードワゴンは訝しげにトウナを見る。
「本当だとも」
「というか、願いは1つだったんじゃ?」
「聖杯が向こうに手伝いに行くという願いと解釈したんじゃないか?
後はおまけで叶えたとか。その辺は私にはわからん。
駄女神製だからな。
それより次は花園ゆりねの分だ」
トウナがそう言うと……。
「え?」
ゆりねの手元にキーホルダー並に小さな聖杯が現れた。
「これが大聖杯? 間違ってない?」
「間違ってないぞ。
普通は魔力量に比例して、物体も大きくなる。
だがその聖杯は、高い魔力密度ゆえ掌サイズになっている。
見た目とは逆の大聖杯なのだよ」
「確かそういう技術の方が脅威的なんだけっけか。
リメイク版月姫の方でも、そんな事が言われてた気がするな。
あれは聖杯に関してじゃないけど」
イーフェは納得したようにボソリとそういった。
「だろう?
花園ゆりね、お前はそれで何を望む?」
「うーん、そうね。
ゆりねキングダムも良いし、学校もバイトもない今、今度こそヴァンパイアになるのも悪くないわ」
「頼む花園さん!
まともなやつ、まともなやつにしてくれ!」
「つーか待てゆりね!
今、今度こそヴァンパイアにって言ったか!?
前になろうとした事あったのかぁ!?」
「今それはいいじゃない。
原作18巻か、アニメ3期の最終話見なさい」
「また変な事言ってんじゃねぇ!」
スピードワゴンの突っ込みを他所にゆりねは……。
「元の世界に帰る以外の屋敷内での大きな願い事。
もしくは元の世界へのちょっとした願い事……うん決まったわ。
私の叶える願い事は……」