のんびり閉鎖空間 〜ランダムで出現するキャラ達と日常は過ごせるのか?〜   作:賭博馬鹿2号

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第4話 潜む者

全員で1階のキッチンへと歩いていく。

それにしても、一体なんなんだこのメンバーは。

ギャンブル中毒者(俺)に解説王、小物悪人ってどんなパーティだよ。

次はまともな人来てくれないかな。

というか頼むから、まず第一に味方であってくれ。

こんな閉鎖空間で争いとか詰むから。

 

「イーフェ。そこのドアか?」

「え、えぇ、そうですが?」

 

唯一屋敷の構造を知る俺が先導していた所、スピードワゴンが後ろから声をかけてきた。

 

「ドス黒い感情にでもなりましたか?」

「お前は俺のことをなんだと思ってやがる。

少なくとも嫌な気配はまだ感じないぜ、安心しな。

だがここは俺がドアを開ける。

生身なら、この中で俺が1番強いんだからよぉ」

 

そう言って、スピードワゴンは俺をドンと押し退けた。

やり方はちょっと乱暴だが、やってる事は紳士的だ。

ジョナサンを見習っての事かもしれない。

そのままスピードワゴンはドアを開けた。

 

「誰も居ないぜ、イーフェ、ロキのおっさん」

「そうですか。

なら夜も遅いし、ここで1回食事を取るというのはどうですか?」

「悪くないね。

イーフェは料理が出来るのかい?」

「いや全く」

「えぇ……じゃあなんで言い出したの?」

「ならッ!

このスピードワゴンが力が付く漢の飯を作ってやる! キッチンはどこだッ?」

「あっ、待って下さいスピードワゴンさん!

貴方の時代とは調理器具が違」

「うおおああ! なんだぁこいつは!

見た事もねぇ器具がたくさんありやがる!」

「ま、まぁ、そうですよね」

 

炊飯器や電子レンジもある台所。

1800年代後半の人間からすると、意味不明にも程があるだろう。

何から伝えて、どう料理して貰えば良いんだろう。

待てよ、ロキならミッドガルドの知識があるはずだし、現代の電化製品でも使えそうな気が……いや、ロキが手伝ってくれる訳ないか。

もういっその事、俺がカップ麺とかを作って。

 

「ん?」

「どうかしましたかロキさん?」

「そこの籠。倒れて中の野菜が落ちてる。

少し不自然だが、あれはイーフェがやったのかい?」

「……いや、俺は触ってないですね」

「なに!?

つぅ事は、俺たち以外に誰かがここに来たって事か!」

 

マジか、そりゃ大事だぞ。

誰かが来たなら、合流する為に足取りを追った方が良い。

少し手掛かりを考えてみよう。

この籠は足元、足を引っ掛けやすい位置。

足を籠に引っ掛けたという事か?

よく見れば棚も少し開いていて、中からは木のまな板が出かかっている。

 

「おいイーフェ。こりゃ、もしかして」

「スピードワゴンさんも気付きましたか。

籠を倒した人物は籠を直さないんじゃなくて、直せなかった」

「あぁ、野菜の乱雑な散らかり方に対して、他の場所は綺麗に整ってやがる。

なら、意図した散らかりじゃねえ。

さらに木のまな板が出かかってるつぅ事は、使おうとした最中だった可能性が高い。

と来れば、そいつが今いる可能性が1番高いのはッ!」

「この部屋の中! ですよね」

「あぁ! 俺達が来たので、慌てて身を隠したッ!

そいつが最も高い可能性だぜ!」

 

魔法使いも何でもありのこの屋敷。

他に考えられる要因はいくらでもある。

だが、1番高い可能性と言ったらこれしかないだろう。

 

「ロキさん。

隠れられそうな場所はどこがありそうですか?」

「さぁ?

そこにあるワインセラーの中とかなんじゃないの?」

「このキッチンの奥か! 確かに良い隠れ場所だぜ!」

「でも、問題は隠れている人を追うか追わないかだよね。

僕は君達に任せて、ここに残るよ」

 

いざという時の戦力が減ったか。まぁ仕方ない。

だが向こうから隠れるくらいだし、警戒はさほど必要ない……か?

ここは。

 

「行きましょう、スピードワゴンさん」

「オウ!」

 

俺とスピードワゴンは、ワインセラーの中に入っていった。

俺が電気をつけると、中が明るくなる。

だが、人影はみえない。

 

「いねぇな……」

「ん?」

「イーフェ、どうした?」

「あの棚だけ配置がおかしいなと思いまして」

「確かに、言われてみりゃそうだ。

どけるぜ!」

 

スピードワゴンは棚を退けた。

すると、そこには……。

 

「女?」

 

ワインのビンを片手に持った少女が座り込んで、こちらの様子を伺っていた。

かなり警戒しているようだ。

 

「おい、イーフェ。

こいつの事はわかるか?」

「いや、見ただけじゃなんとも……ん?」

 

編み込んだ黒髪。いかにも村人らしい緑色の服。

水色の瞳……少し思い当たるキャラがいるな。

だが、確定じゃない。

 

「なんで、警戒してるんですか?」

 

一応話しかけてみる。

 

「来ないで!

ってあれ? 襲うつもりじゃないんですか?」

「俺らがそんな事する訳ないだろ!

なぁ、イーフェ!」

「そりゃそうです。

でも、なんでそう思ったの?」

「すいません、勘違いしてました。

私、気づいたらこの場所に転移させられてたんです。

移動の感覚がトラップの転移魔法陣に似てたから、モンスターの罠なのかと思って警戒しちゃって……。

ってこんな事言っても、分かりませんよね」

「モンスター? 転移ゲート?

何言ってんだ、嬢ちゃん?」

 

まだ確定じゃない。じゃないが……多分。

 

「モンスターって事は、貴女はモンスターと普段から戦ってるの?」

「最近は戦ってませんけど、こう見えて半年くらい前までは聖騎士として戦ってたんですよ!

もうブローチがないから変身出来ませんけど。

ほら、あの聖騎士像って知ってますか?

私、一応あれの本人なんですよ」

「…………確認だけど。

戦った相手の名前、アークリッチだったりしない?」

「そうです! 私がその聖騎士です!

って威張ってみたけど、結構恥ずかしいかも……」

 

間違えない。聖騎士リッカの物語の主人公 リッカだ。

……っしゃおらぁ、SSRキタァ!

今は変身出来ないらしいけど、ブローチは多分生活必需で出してもらえるでしょ。

仮に出来なかったとしても、この子は鍵になってくれそうな気がする。

 

「スピードワゴンさん、俺やっぱこの子知ってました」

「おお、やるなイーフェ!

で、何者なんだよ?」

「えっと……」

 

ジョジョ世界でいうと何だ?

実績的には柱の男壊滅させたジョセフクラスか?

いや、そういってもこの時代のスピードワゴンは知らないしなぁ。

 

「まぁとにかく凄い英雄なんです。

物語の中の」

「英雄? こんな少女が?

まぁ物語の中なら不思議でもねぇか」

「物語の中?」

「リッカさんで間違えないですか?」

「そうですよ。

もしかして王都の聖騎士の話で、私の名前を知ったんですか?

物語の中の英雄っていうのはそういう意味で……」

 

あー、そうか。

アークリッチ倒した後なら、有名人だから別に知らん人である俺が名前知ってても不思議ではないのか。

 

「あ〜いえ、そういう訳でなくですね。

えっと、異世界人なんです俺は。

それで、異世界ではリッカさんの物語がゲームという形で知られていて、それで知ってる訳です」

「異世界人?

そういえばクレレちゃんが東の国に異世界人がいるって言ってたような」

「そうそうそれです。

そして、ここも恐らく異世界……と思ってもらって大丈夫だと思います。

少し長くなりますが、今どうして貴女が飛ばされたか、ここはどこか俺の知ってる範囲で話すと……」

 

俺はこれまでの事情は全てリッカに伝えた。

 

「うーん、この屋敷の主さんは何が目的なんでしょう」

「俺にもなんとも。

ただ今は脱出出来そうにないです。

さっき物を出せる機械の話をしましたが、仮にアレでブローチを出してもらえれば、聖騎士の力でドアを破れるかもしれません」

「確かに。

そういう事なら私も協力します!」

 

よし、かなりいい感じだ!

これはもう順調に行く気しかしないぜ!

 

「じゃあ、キッチンに戻りましょう」

「これからよろしくお願いしますね!

後、少しだけ料理っていう単語が聞こえて来たんですけど、もしかして料理を作ろうとしてたんですか?」

「まぁ、そうだよ。

ただまともに作れそうな人が俺含めて居なくてね」

「何言ってんだイーフェ!

俺はちゃんと作れるぜ! あの器具がよくわかんねぇだけだ!」

「確かにあの器具分かりませんよね、スピードワゴンさん。

でも分かる物もいくつかあったので、私なら作れそうですよ!

良かったら、作りましょうか?」

「えっ? 良いの?」

 

というか料理出来たっけ? ミリアに作ってもらってたような。

……あっ、冒険中にモンスター焼いて食ってたけど、まさかあれが出てくるんか?

 

「なんですかその微妙な顔は。

どこまで私の事を知ってるかは知りませんけど、私も一応、お姉ちゃんが結婚してから勉強して、少しは料理出来るようになってきたんですから!」

 

あっ、そういうことね。

モンスター食う流れじゃなくて良かった。

 

「まぁ、嬢ちゃんがそういうなら構わねえぜ。

俺も使い方が分かれば腕を振るえたんだがなぁ。

また別の機会にしとくとするかぁ」

 

なんで作りたそうなんだよ、スピードワゴン。

特に料理好き設定とかないはずだが……。

まぁでも、貧民街でボスとして慕われてた時にみんなに料理振る舞うとかしてたのかもしれん。

そうなると、久しぶりにみんなに振る舞いたいとか思うのかもしれんな。

 

「でも、リッカさん器具の使い方本当に大丈夫?」

「えと……い、いざとなったらお願いします」

 

……これ俺が教える流れになったりしないよな。

ま、とりあえずキッチンに戻って全員集合だ!

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