のんびり閉鎖空間 〜ランダムで出現するキャラ達と日常は過ごせるのか?〜   作:賭博馬鹿2号

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第6話 小さな発見

「マジかよイーフェ!

これが日本語に見えるってのか?」

「あぁ……これは謎だな」

「おや、何をやってるんだい?」

 

俺とスピードワゴンが食卓で話してると、ロキがやってきた。

もうリッカに、調理器具を教えるのは終わったのか。

 

「ロキさん、もう良いんですか?」

「うん、もう十分だそうだよ。

あくまで知らない道具に興味があっただけみたいだからね。

というか、君達は何をそんな盛り上がってるんだい?」

「へっ! 俺がもう仲間だから敬語は良いって言ったんだ。

そっからはもうダチよ!」

 

そこまで言ってくれるのは、ありがたいなぁ。

本当に初めに会ったのが、スピードワゴンで良かったわ。

 

「いや、仲良くなったきっかけはどうでも良いんだけど……。

今何を話してたんだい?

謎とか聞こえたけど、何か興味深い事でもあったのかな?」

 

あぁ、そういうことか。

 

「そりゃ勿論、奇妙な事だぜッ!

ロキのおっさん! この2枚の紙ッ!

あんたには、何が書いてある様に見える?」

「何って……”この屋敷の謎について”って文だろ?

右の紙には日本語で、左の紙には英語で全く同じ内容が書かれているね。

これが何だと言うんだい?」

 

なんだと?

俺とスピードワゴンは思わず、顔を見合わせた。

 

「何かおかしかったかい?」

 

いや、何もおかしくはない。

それが普通だろうが……。

 

「実はこの紙、俺はどっちも日本語にしか見えないんですよ、ロキさん」

「なに?」

「俺は、どっちも英語に見えるぜ」

「本当かい? なら確かに謎だね」

「いや、そうでもないですよ」

「どういうことだい?」

「今、ロキさんがこの紙を日本語と英語に見えた事で仮説が浮かびました」

「ほぅ、仮説ね」

 

まぁ、説という程、大層なものでもないんだが。

 

「ロキさんは日本語も英語も分かる、と考えていいんですよね?」

「勿論さ」

「この紙。

一方は俺が日本語で書いた文で、もう一方はスピードワゴンが英語で書いた文なんです。

だから、ロキさんの見え方は正しいはずなんですよ。

ですが、実際俺らには異なって見える。

という事は、考えられる原因は……自動翻訳です」

 

俺は日本語以外はほぼ分からないし、スピードワゴンも日本語はほぼ分からないようだ。

異世界ものあるあるの自動翻訳能力。

それを、今俺達は持っていると見るべきだ。

いや俺達がというより、屋敷そのものにかけられた魔法の様な力と見るべきか?

まぁ何はともあれ、今俺らは自動翻訳の影響下にある。

そして、この力は活字も文字通り自動的に翻訳してしまうとみて良い。

だから、英文のはずの活字が俺からは日本語に見えたのだろう。

 

「あぁなるほど。

この屋敷に居る間は、自動翻訳の力が強制適用されるって訳かい」

「じ、自動翻訳だとぉ! とんでもねぇ技術じゃねぇかイーフェ!

つーか、そんな事が起きてるのに平然としてるつぅ事は、まさか未来では当然の事なのかッ!」

「まさか。

ラグがあるならともかく、ノータイムでの自動翻訳は俺の時代でもあり得ない。

そもそも語順の違いがあるから、理論上無理だろう?

でも物語の中なら別。むしろよくある力さ。

そして、この屋敷は物語の中の人間すら出てくる屋敷。

物語の中の力が出てきても、なにも不思議じゃない」

「い、一理あるか? ロキのおっさんはどう思う!」

 

驚くスピードワゴンにロキは何ともないようにこう返した。

 

「異世界人であるはずのリッカと会話ができている時点で今更じゃないか。

そんな事、察していたよ。

翻訳の原理はさすがの僕もわからないけど、特に探求する気も湧かない。

ただ、活字にまで適用されるとは思わなかったけどね」

「その点は俺もです。

活字は読んだ当人の理解できる言語に翻訳される、と考えて良いでしょう」

 

これは一歩前進だ。小さい発見だが、悪くない。

なにせ自動翻訳なんてのは、上手く使えばチート級の力に化ける力の鉄板。

例えば常人が会話できない精霊と話して、力を手に入れたりが王道パターンだ。

もしこの翻訳能力が化ければ。

今後、もし新たに屋敷に誰かが来るような場合があったとして、そいつが悪人だった時の対抗手段になるかもしれない。

この力、解明していくのもアリだな。

 

「みなさーん!」

 

俺がそんな事を考えていると、キッチンの方からリッカが何やら慌てた様子でやって来た。

 

「どうしたんだ嬢ちゃん。

手伝って欲しいのか?」

「えっと、伝える事があったのを忘れてました」

 

えっ、何? 怖い事じゃないよな?

 

「その……ここにある食材だと、私野菜スープくらいしか作れなくて」

「なんだそんな事か。

……え?」

 

いや、結構問題あるな?

普通にこんな腹減ってるのに、スープだけは終わるわ。

カップ麺を俺が作って足すか?

だが待てよ?

アニメとかだと、カップ麺を知らないキャラが初めて食べたら、ハマって俺がそれにずっと付き合わされるオチとか有り得るよな?

スピードワゴン辺りは、ワンチャンそのパターンあるぞ。

なら、なるべくカップ麺は避けるべきか?

するとここは……。

 

「あー、あれだ!

リッカさん。

あくまでここにある食材では、って言ってたよね。

つまり、ここにない物なら大丈夫なのか?」

「はい。

川魚の料理は出来るんですけど、どうにも魚が見当たらなくて」

 

確かに魚ないわここ。

いや加工食品のはあるんだけど、生魚がない。

 

「そういやねぇな。

こうなったら、別に俺が料理を代わっても良いが……。

やっぱし道具の使い方はわからねぇし、何より嬢ちゃんが料理やりたそうだしなぁ。

イーフェ、魚は例の機械で出せねぇのか?」

 

スピードワゴンにそう言われる。

可能なはずだ。

唐突に出現する生魚を食べるのも、勇気が要る気はするが……まぁ、出せる事は出せるはず。

 

「出来るはずだ」

「例の機械って、さっき聖騎士のブローチを出せるかもしれないって言ってたやつですか?」

「そうだよ。

そうだ、丁度良いからそれも出せるか試してみようか」

 

ブローチが出せれば、リッカが変身出来て大分行動の幅が広がるだろう。

 

「例の機械とは、あのPCだよねイーフェ」

「そうですよ、ロキさん」

 

ロキにも、これまでの流れを説明した際に例のパソコンについてざっと話しておいてある。

 

「今後の生活の為、物が出る所は見てみたいな。

今から出しに行くんだったら、同行しても良いかな?」

「勿論良いですよ!」

「私も行きますよ!」

「じゃあみんなで行くか」

「おい、イーフェ! 俺には聞かねぇのかよ!

確かに行くけどよお!」

 

聞くまでもないと言うやつだろう。

さて、腹も減ってきたしサッと行って、魚を取ってくるか。

ブローチの方は本当にどうなるんだろう?

出してもらえると良いが……?

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