「ふぁ〜あ。お嬢様〜お客様ですよ〜」
「御免! こちらに妹紅がいると聞いたのだが」
全身で「眠いです」と示し、客人を連れてくるには不適過ぎる態度で美鈴が大広間へと現れる。
傍らにはメガネとマスクで顔を覆った不審者ルックの人物がいた。
「このっ莫迦者ォ! 家をめちゃくちゃにした挙げ句片付けもせずに帰るとは何事だ!」
不審者(仮)が妹紅に頭突きをすると、旧地獄まで響く衝撃と共に覆面が吹き飛び、地霊殿でアフタヌーンティーを楽しむさとりの紅茶を揺らした。
「い゙っ……ま、待ってくれよ慧音! あれは人形にやられたんだって! アリスが人形を使って私を襲ってきたんだ!」
後頭部以外からも何か色々なものが漏れてしまった妹紅が必死に弁解するが、慧音は構わず話を続ける。
「何を馬鹿なことを言ってるんだ! あれはお前が昨日蚤の市で買ったんだろうが!」
「「「「「え?」」」」」
思わぬ方向から明かされる衝撃の真実に全員の口がぽかんと開く。
「昨日へべれけになったお前を家に連れて帰る途中で蚤の市がやっていてな。そこでこの日本人形をえらく気に入って買っていたんじゃないか。まったく、寝ながらスペルカードを使って部屋をめちゃくちゃにするのは寝相が悪いというレベルを超えているぞ。ほら、早く帰って掃除だ。花粉が多くて掃除をしないと安眠が……は、はっくしゅ!」
「慧音もその症状が出てるのね。って……花粉? 何それ、異変じゃないの?」
止まらないクシャミに苦しみながらも慧音が説明をしてくれる。
「くしゅ! おっと、真面目に授業を受けていたら知っているはずだぞ霊夢。人によってはこの季節、花粉によるアレルギー症状で……くちゅん! クシャミや鼻水が出る人が多いんだ。外界で無花粉杉という花粉を出さない杉が出来てしまったせいで近年は……は……は……んん。近年は幻想郷で花粉症になる人がとても増えていてな。困ったものだよ……はっくしゅ! はっくしゅ! はーっくしゅ!」
「なーんだ、じゃあ妹紅が襲われたっていうのはただの勘違いで、クシャミが止まらない人がいるのは異変じゃなくてその木のせいってこと? 解散よ解散! まったくもう、これじゃ一銭の儲けにもならないじゃない。骨折り損のくたびれ儲けって奴ね」
「とんだお騒がせだな。あーあ、帰って神社でお茶でも飲むに限るぜ」
かくして事件は解決し、皆三々五々帰路に就いていく。
「よし、魔界まで来ればさすがにあいつらも追ってこないでしょう……まずは現状把握、何故かはわからないけど妹紅が何者かに襲われて、現場には人形が落ちていた。おそらく私に罪を被せるためでしょうね。思い通りにさせるもんですか、絶対に真犯人を見つけて私の潔白を証明してやるんだから! 待ってなさい妹紅! 貴方の仇は私が討つわ!」
彼女がもう追われていないことに気付いて妹紅宅に殴り込むまで、あと二日。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
こちらはテーマワード「指名手配」東方オールキャラ合同本「Wanted!!!」へ寄稿したものとなります。
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