不死、宇宙、原始と機関。4人と歩む英雄道中 作:灰色の男
「準備はいいか?」
「勿論、いつでも」
リングの両端にはデュエマのプレイ台。
デッキとシールドをセットし、手札を引いては目を閉じて深く深呼吸。
準備は整った。さあ、始めよう……!
火闇ソニック・コマンド
序盤!デッドゾーンはチャージャーや友愛の天秤を用いて着実に墓地にリソースを稼ぎつつ、【轟烈Xべガスダラー】によるドキンダム・ガチャの効果で的確に廻の盤面を詰めていく!
対して廻は小型のコマンドでマナや手札を順調に伸ばしつつ、トリガーやガードストライクにより致命的な損傷は回避していく!
デッドゾーン ターン6
マナ8 シールド5
「ひゃはははは!オレのターンだなぁ!」
デッドゾーンは漆黒のレース場、そのスタート位置に立ち
「一度は止まったこの身だが……」
首をならしては赤いシグナルを睨み付ける
「甦った今!もう止まる理由はねぇ!」
クラウチングの姿勢をとり、その時を待ちわびる
「エンジンオールグリーン!」
シグナルが青に切り替わった瞬間、目にも止まらない……残像が見えるほどの速度で駆け出していく
「地獄から……戻ってきたぜェッ!」
そしてゴールラインに到達すると同時
「さぁ、レコードタイムだ!ソニックゥ……ドローッッ!」
目の前にあったカードを掴み取りそのまま通過する
「ここが……てめェの墓場だ……!」
「まずは!手札から呪文、【友愛の天秤】!デッドゾーンを墓地に落として2枚ドロー!更に手札から!【轟音ザ・ブラックGS】をバトルゾーンに!」
「そしてブラックの攻撃時!墓地からS級侵略ゥ!」
S級侵略[
「【S級不死デッドゾーン】に進化だァッ!」
ブラックのバイクの進行方向にカードが現れ、そこを通過するとその姿は、暗い紫色のボディのバイクの怪物へと変化した
「先ずはブラックの効果でテメェの手札一枚を刈り取り!デッドゾーンの効果でそこのデドダムを破壊する!」
「そのまま
シールドチェック×
シールドチェック○
シールドチェック×
「……ッ!ガードストライク!【地龍神の魔陣】!べガスダラーには止まって貰う!」
「チッ、ターンエンドだ」
廻 ターン7
マナ9 シールド0
「俺のターン……ッ」
廻はトップのカードに手を置き、目を閉じて深呼吸を繰り返す
「どうした?今更になって怖くなったか?」
そんな廻を見てか、軽薄そうな笑みを浮かべて、やや嘲るような口調で問いかけるデッドゾーン。
しかし数瞬の後、その疑問に帰ってきたのは、ギラついた笑顔と弾けるような《楽しさ》を滲ませた返事だった
「いや、すっごく楽しい!」
想定外の返事に呆気に取られるデッドゾーン。
こいつは何て言ったんだ?
「憧れの猛者との対局、肌がヒリつく威圧感!
何より戦友が俺のすぐ側にいる!
怖いよりも楽しいが先に来る!」
徐々に、デッドゾーンの顔色が変化していく。
先の疑問符を浮かべた顔でもなく。
真剣ではあったがどこか遊びのような雰囲気を感じさせた顔でもなく。
一人の武人としての、戦闘を楽しむ
「ならやってみやがれ!この窮地を、どう脱するつもりだ!?」
その台詞に廻はハッ!とハナで笑い飛ばす。
「窮地がなんだ、逆転こそが!カードゲームだろうが!」
何も見えない暗闇の中。
廻は一人、先も見えない道を歩いていた
「輝ける未来への
隣を見れば、己の"個性"を使い、喝采を浴びながら光に照らされた道を走る同級生達がいた
「もう踏み出すことは、踏み出せることはないと、正直諦めていた」
「だが、そんな俺の前に差し出された、"可能性"の片道切符!」
瞬間、廻の眼前が光で溢れた
「焦がれた、痺れた、憧れた!」
照らされたのは、暗闇に包まれていた己の道。
何も見えなかったその先に、前を向いて走る一人の影が見えた
「絶対に届きやしないんだと、諦めていたその場所に!今!」
その影は消え去り、一枚のカードへと姿を変える
「手が届くかもしれない……」
風に乗り、ひらりひらりと飛んでくるカード
あと一歩、あと数cmのところで届かないそれに
「否!」
一歩踏み出し
「届かせるんだよおぉぉぉぉぉッ!」
しっかりとした手付きで掴みとった
「来たぜ……俺の切り札!」
「行くぜ!手札から【禁断機関VV-8】をバトルゾーンに召喚!」
廻の後方に両腕に1つずつ、両足を纏めて1つ、計3点を封印により空中に縫い付けられたバイクのようなクリーチャーが出現する
「デッキの上から5枚を確認し、内2枚を手札に加えて残りは封印に!」
「続いて!手札から【魔誕人形ランラン】をバトルゾーンに!裏向きのまま手札を破壊する!」
『参ります』
「加えてランランは水文明の"デーモン・コマンド"!
水文明のコマンドの登場時!VV-8の封印を1枚墓地へ送る!」
『ハッ!』
ランランがVV-8に向けて片手を掲げると、そこから禁断文字が浮かび上がり、封印を一つ消し去った
「そして!場の天災デドダムの攻撃時に能力が発動!」
ギラギラした目がデッドゾーンを射抜く
「一気に行くぜ!ドカンと!侵略宣言だ!」
S級侵略[
SSS級侵略[
「サンマッドをマナから、デッドダムドを墓地と手札から侵略!」
『三!位!一体!来い、デッドダムド!』
場に出たサンマッドの声に応じ、何処からか飛んできたポットがサンマッドを飲み込んだ。
『応とも!天災の力、見せてくれる!』
そして、そんな掛け声と共にポットのガラスをぶち破り、中からデッドダムドが登場する
「効果処理だ!サンマッドの効果!場に俺のデッドダムド、ランラン、バーロウとそっちのデッドゾーン、べガスダラーの合計5体のクリーチャーが存在する!合計数が3体以上のためデッドゾーンをマナに封じる!」
『封じられてろォッ!』
緑色のオーラを手にまとい、デッドゾーンに向けて勢いよく振り抜くとデッドゾーンは植物のツタに飲み込まれて消滅した
「続けてデッドダムドの効果!べガスダラーを手札に送る!」
「そして!デッドダムドは"トリニティ・コマンド"!よってVV-8の封印が2枚剥がれる!」
『目覚めろ、禁断機関』
デッドダムドはその両の手に禁断文字を出現させ、その両方をVV-8に向ける。
すると、残った2つの封印が消え去り、VV-8は膝立ちの姿勢になり地面に降り立った
「さあ、封印は解放された!」
廻はVV-8に向き直り、その胸の鍵に拳を向ける
「ブイ……ブイバル……」
そして何かをつかむような動作と、それを回すような動作を行い……その動作と連動するように、VV-8の鍵が回り出す
「バル……ブイバルブイバル……ブイブイブイッ!」
その鍵が回りきると、大きなエンジンの音と共にVV-8が立ち上がった
「禁断……ッ!」『……起動ッ!』
VV-8
「禁断起動によりEXターンが確約された!殴り返しは気にせずに行くぜ!!禁断クリーチャーは封印が全て外れたターンに攻撃できる!VV-8の攻撃!」
『次元の狭間でスクラップにしてくれよう!』
「
シールドチェック×
シールドチェック×
シールドチェック◯
「チッ、シールド・トリガー!禁断
「問題ない!ターンを終了する!」
廻 追加ターン1
「全てのカードをアンタップし、ドロー!」
「手札から、【第六戦街ラヴ・ガトラー/インビンシブル・アビス】をバトルゾーンに!」
背に大きな街を背負った大怪魚、
水文明の誇る戦略要塞が1、ラヴ・ガトラーである。
「チッ、耐えきった場合の防護策も万全ってか」
「当然!"本物"相手に気が抜けるわけがない!
バーロウ・ビリーバーの攻撃時、場からSSS級侵略、墓地からS級侵略が発動!」
SSS級侵略[
S級侵略[
バーロウの身体をパーツが包むようにデッドダムドに進化し、背後の地面を突き破って出てきた棺桶に飲み込まれる
『地獄から帰ってきたぜェェェ!』
そして、その棺桶の蓋を蹴破り、デッドゾーンが登場した
「デッドゾーンの効果でドルブロのパワーをマイナス9000!そのまま残りのシールド2枚をブレイク!」
デッドゾーンの腕が黒に染まり、ドルブロの土手っ腹をぶち抜いた。
更に、その勢いは止まらず残りのシールドを破壊する!
『地獄に落ちやがれッ!』
シールドチェック×
シールドチェック○
「クソッ、シールド・トリガー!ドルブロだ!」
「関係ないね!ランランの攻撃時、手札とサンマッドの上に乗ったデッドダムドから侵略!」
SSS級侵略[天災]
S級侵略[宇宙]
『後を託しました』
サンマッドのようにランランがポットに飲み込まれ、中から人形の宇宙船のようなクリーチャーが登場する
『任された』
「ドルブロをデッドダムドの効果で手札に送って、アダムスキーでダイレクトアタック!」
アダムスキーの手が青いオーラに包まれる。
そしてそのままドルブロを睨み付けると、その手を振るった。
するとドルブロは一帯から重力が消えたように浮き上がり、そのまま空中に発生した渦に飲み込まれ消滅した
『勝利プランB、殴り勝つ!』
アダムスキーの拳が守るもののないデッドゾーンに突き刺さる直前、アダムスキーの背後に出現した門から飛び出した無数の手がアダムスキーを拘束する
『なんだとッ!?』
「こいつを使うのは心底気持ち悪いが……そこだッ!革命0トリガー!」
「『!?』」
「呪文!【革命の裁門】!デッキをシャッフルし、トップを捲って"闇文明のクリーチャー"ならテメェのアダムスキーを破壊だ!」
捲れたのは【禁断vキザム】
「文明は火と"闇"!よって破壊だ!」
『ぬうっ……!しっかり〆ろよ、サンマッド!』
その言葉と共にアダムスキーは門に飲み込まれ破壊された
「正直辛いが使った後で革命0トリガーの呪文は山札に回収される!サンマッドでダイレクトアタック!」
が、まだ後続のS級侵略者が残っている!
『言われずとも!これでしまいだあッ!』
「……チッ、これを防いでも後続がまだいやがる。手札も空……流石に負けたか」
サンマッドによる攻撃が突き刺さる瞬間、デッドゾーンは悔しそうな口元を緩めて言った
「ハッ、合格だよ」
「完 全 決 着!」
「あー、負けた負けた」
そう言うとリングに仰向けで倒れるデッドゾーン
「ったく、外であった時は符抜けみてぇなツラしてやがったから不安になって勝負を仕掛けたけどよ……」
勢いをつけ、上半身だけ起き上がる
「んだよ、しっかり強ぇじゃねぇか」
「ブハハハハ!勝負あったな、デッドゾーン!」
「サプライズ。まさかここまで使いこなすなんて」
「1枚しか入ってないカードも的確に引き当てて……」
デュエマが終了したことを確認して近付く侵略者達。
サンマッドはデッドゾーンを煽り、アダムスキーとヴィヴィは感想戦をしている
俺はというと……
「つ、疲れた……」
疲労からか、あるいは緊張感から解き放たれたからか、足を投げ出して床に座り込んでいた
[主……]
「……ありがとうね、アダムスキー」
再び投影されたアダムスキーに話しかける
「この後、君達が吸収されるとして、そうなれば俺のもとにある侵略者のカードは君たちじゃなくて彼女達のそれになる。そうだろ?」
[………昰、我等は意識と共に彼等と同化することになります故、主の手元に残るのは彼等がカード化したそれになります]
「だよな」
俺は天井を見上げ、肺いっぱいに息を吸い込んで……
「楽しかった!」
そう叫んだ
「君たち全員の顔を見れて、君たち全員と、全力で"本物"の格上と全力でぶつかれた!」
そう、楽しかったんだ。
不安に思う心も、恐怖に怯える心も、まあ無いではなかった。
だが、それ以上に楽しかった。全力で、相棒達と心を通わせながらぶつかり合う。
なんて贅沢な体験だっただろうか
「これ以上ない贈り物だ」
そう言って、デッキから相棒達を取り出し、掲げる
「俺と出会ってくれて
共に戦ってくれて
……チャンスをくれて。
ありがとう。俺は、最高の相棒に出会ったよ」
[……我等一同、主のこれからの旅路に大いなる幸あらんことを、心から祈っております]
……対面から、デッドゾーンが歩いてきた
「……立てるか?」
「あ、ありがとう」
手を差し出されたので、素直に掴んで立ち上がる
「いい戦いだった。お前なら、しばらくは下にいてもいいと思えるような、な」
「……そう言ってくれて嬉しいよ。……ありがとう、デッドゾーンさん」
「あー、さん付けはやめてくれ。なんか背中に悪寒が走る……呼び捨てで構わねぇよ」
「ブハハハハ!見てるこっちも熱くなるいい戦いだった!」
「サンマッドさん……」
「おいおい、デッドゾーンは呼び捨てだったろう俺もそれで構わん。アダムスキー!ヴィヴィ!お前らもそれでいいだろ!」
「ノイジー。そんな大声を出さなくても聞こえてる。私もそれで構わない」
「わ、私も大丈夫だよ。よろしくね!……えっと、なんて呼べばいい……?」
サンマッド、アダムスキー、ヴィヴィも寄ってきてはそう言った
「……あぁ、よろしく頼む……!俺は……俺も下の名前の呼び捨てでいい」
そうやって2時間ほどだろうか。
カードのアダムスキーも混ざり、和気藹々とした楽しい時間も終わりを告げる。否、告げるべき時がきた
[……主よ]
「……解ってる。今までありがとう、みんな」
カードを取りだし感謝を告げると、該当する侵略者達にカードを渡し、頭を下げる
「改めて、俺からもお願いさせてください。
俺の、夢を叶える為の力の一端に、なってください」
呆気に取られているのか、数瞬沈黙が走り……
バシィッ「あいたぁっ!?」
背中から二つの打撃音が鳴ったことで、その沈黙は破られた。
「あたぼうよ!今更撤回なんざするわけねぇだろ!」
「ブハハハハハ!デッドゾーンの言う通りだ!」
バシバシと背中を叩くデッドゾーンとサンマッド
「うん、よろしくね!」
「
こうして、俺の切り札は4人の侵略者と融合し
俺に、新たな個性が……家族ができた。
ここから。ここから、俺は
ああ、定番のアレを言ってなかったね
これは
俺と侵略者達が
最高のヒーローになるまでの物語だ
やっぱりデュエル描写難しい。
大分遅刻してしまった
(本来弐に入れる予定でしたが、長くなりすぎることを危惧して二つに分けました)