不死、宇宙、原始と機関。4人と歩む英雄道中   作:灰色の男

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肆 入試……ねぇ?上

「ではクエッション。雄英高校の設立者でもある"個性"黎明期の日本のトップヒーローの名前は?」

 

「《限突ヒーロー》プルス・ウルトラ」

 

「正解。では、その盟友とされたアメリカのヒーローの名前は?」

 

「《シンボル・オブ・アメリカ》ユナイテッド・スター」

 

「正解。では……」

 

 

あの融合の日から数ヶ月が経った。

俺は中学三年生、即ち高校受験のシーズンである。

 

 

「む、もうこんな時間。サプライズ、時間がやけに早く経過する……そろそろ戦闘訓練の時間」

 

「了解……!っと」

 

あのあと数日間、学校に登校したはいいものの。

やはりいじめは発生、エスカレートしていった。

前世はそれなりに生きたとはいえ、やはりいくつになってもこの手の話は辛い。

正直に『学校に行きたくない』旨を4人に伝えると、当然のように疑問が帰ってきた。

 

『うーむ、疑問なのだが。何故行きたくもない場所に嫌々行く必要がある?』

 

『お、確かに』

 

『でも、お勉強とか……大丈夫?』

 

『アンサー。廻はテストの点数は間違いなく取れている。ノートを見る限り3年生の内容は全て予習済み。上に中学校に留年制度はあまりない。行く必要はないと判断』

 

盲点だった。そう、いじめがひどいなら極論行かなきゃいいのである。

別に成績が悪いわけでもないため、普通に明日から行かない旨を学校に連絡し次の日から自宅学習となった。

 

実は中学校には(学校によるのかもだが)強制浪留年という制度はない。

少なくともウチの学校での前例はなく、浪人することがあっても本人か家族の強い希望があってはじめて成立するようで。

正直テストの点がとれていればそれでいいのが中学なのだ。

 

そこで座学の教師役にアダムスキーが立候補、サンマッドとデッドゾーンが実技戦闘の教師役を買って出てくれた。ヴィヴィは審判役である

 

 

「ブハハハハ!今日の相手は俺だ!よろしく頼むぞ!」

 

「押忍、よろしくお願いします!」

 

さて、問題は実質"無個性"な俺はどう戦うのか、という話にはなるんだが。

 

実は侵略者達とカードの融合によって、いくつか嬉しい誤算があったのだ。

やはり元々の俺の"個性"は《カード4枚を体内……というより魂に格納、取り出す》ものだったんだが、そのカードが侵略者達と融合したことでその解釈が拡張されたようなのだ

 

 

「うむ、そしたら早速纏ってみろ」

 

「うし!やるぞ、廻!」

 

俺とデッドゾーンが拳をぶつけ合うと、デッドゾーンの身体が粒子に包まれカードに変化し、俺の体に吸収された。

 

これがまず一つ、《侵略者の体内格納》である。

具体的には、《カードを魂に格納する》という個性が《カードと融合した侵略者を魂に格納する》という個性に変化したのである。

因みに魂に格納されている状態でも外は見えるし俺には声が届くそうである。

 

[んじゃ、やってみろ]

 

「ああ、着装〔不死(ゾンビ)〕!」

 

その声と共に、俺の身体がバイクを模したアーマーに包まれていく。

 

肩には『S級侵略者』の象徴たるマークの入った肩当てが出現し、身体は腹部で上下に別れた黒いボディースーツに包まれる。

脚部は蹴りでの攻撃のためか頑丈かつスポーティーなアーマーに包まれ、右手はデッドゾーンのそれを模したいっそ凶器的ともとれる籠手に包まれている

耳当てとスカーフが出現し、胸元には紫色で《X》の字が刻印されたアーマーを装備し、髪に金色のメッシュと肌の至るところに紫色のヒビの模様が入る

加えて、腰から大腿部にかけても加速装置を兼ねたアーマーが創成された

 

 

これが二つ目、侵略者達の擬似融合である。

正確には《格納した侵略者の装甲・技能・スペックの上乗せ》である

 

アダムスキーによれば、俺の魂に格納された侵略者の侵略ウイルスが俺の個性因子という"個性"を司るモノに影響を及ぼしたんだとか。

難しいことはよくわからなかったが、まあ侵略者達をアーマーとして纏えるようになった、程度に考えている

俺はこれを仮称として《スター進化》と名付けた。

だって似てるし。

 

ただ、カードフレーバーみたいに3人一緒に融合してSSS級!

みたいな真似はできなかった。

全員まとめて格納ということ自体はできたが、表層化できるのは1人だけらしい。

 

加えて、(デメリットらしいデメリットではないが)デメリットもある。

スター進化していない侵略者達の行動範囲に制限がかかる。

具体的には俺を起点に半径200mの範囲しか動けないそう。

超過しようとしたら強制的に範囲内に引き戻されるんだそうだ

更に、同時に出せば出すほど各々の戦闘能力は低下する。真面目な戦闘で出せるのは憑依含めて二人……ってとこかな?

 

 

「ブハハハハハ!逃げてばかりでは勝てんぞ!」

 

 

サンマッドの攻撃の合間を縫って蹴りをいれたり、

殴り付けて攻撃したりしてみるも全て回避されるか防御されるかしてしまう。

これは完全に俺の戦闘経験の薄さが出てるな……

 

ただまぁ自分も負ける気はないので攻撃は全て回避している。

というか当たったらほぼ確実にワンパンKOだから意地でも避けている

 

 

「エンディングタイム。ヴィヴィ、切り上げて」

 

「え?……あっ、もうこんな時間!試合終了!引き分け!」

 

演習場に入ってきたアダムスキーがそう言うと、ヴィヴィが切り上げの合図をする。

サンマッドは攻撃の手を止め、デッドゾーンが俺の中から出てきた

 

「間違いなく動きはよくなっている。基礎は叩き込んだし、後は実践あるのみだな!」

 

「日を追う毎に動きがよくなっていってる。がんばって!」

 

上機嫌に笑うサンマッドと、外からの目線でそう言ってくれるヴィヴィ。

その後もしばらく講評を聞いていると、離れたところで話していたらしいデッドゾーンとアダムスキーが近付いてきた

 

「アドバイス。今日はもう寝た方がいい」

 

「明日は実技試験だろ?」

 

 

そう、明日は雄英高校の実技試験。

今日の実技授業は明日の入試のための演習も兼ねていたのだ。

現在時刻は夜10時。朝と昼にも座学や用事の合間を縫ってサンマッドとアダムスキーの力を使った演習を行っていた

 

「そうするよ。風呂入って寝ることにする」

 

正直少し眠いし、と欠伸をしながら言って

 

「明日はよろしくね。おやすみなさーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして時は過ぎ、夜は明け、その時がやってくる

 

俺は、実技試験の説明会場になる体育館へとやってきていた。

 

 

 

ヒーロー科。

そこはプロヒーローとして活動するにあたり必須である『資格』の取得を目指す養成学科である。

 

そして俺が今から受験するのは

全国のヒーロー科の中で

『最も人気』、かつ『最も難しい』とされており、

偏差値79、総受験者人数は12000人以上、毎年の受験倍率は300倍を超えるという化け物っぷり

 

不動のNo.1、"平和の象徴"オールマイトや轟炎で敵を鎮圧する"ヘルフレイム"エンデヴァーなど、あらゆる世代を代表するトップヒーローを排出したマンモス校

 

 

 

 

雄英高校ヒーロー科である

 

 

 

 

 

 

『今日は俺のライヴにようこそー!!エヴリバディセイヘイ!!!』

 

 

 

雄英所属のプロヒーロー、プレゼントマイクが実技試験に関する説明を始める

 

 

 

シーン……

 

 

普段のライブやラジオよろしくハイテンションで進行していくが、あいにく会場にいるのは受験生。

今後の人生が決まるかどうかの緊張感の中、そのコールにレスポンスできる者はいないようだ。

 

 

……俺?無理。絶対。

 

 

 

 

『こいつァシヴィーー!受験生のリスナー!

 実技試験概要をサクッと解説するぜ!アーユーレディ!?』

 

 

 

シーン……

 

 

 

 

 

ここまで反応ない中でもあのテンションを持たせられるのはシンプルにすごいと思う

 

 

 

 

 

『入試要項通り!リスナーにはこの後、10分間の模擬市街地演習を行なってもらう!』

 

『道具の持ち込みはFREE(自由)!プレゼン後は各自指定の演習場へ向かってくれよな!』

 

『演習場には〈仮想(ヴィラン)〉を3種、かつ多数設置しており!

 それぞれの『攻略難易度』に応じてポイントを設けてある!』

 

『各々なりの"個性"で〈仮想敵〉を行動不能にし、ポイントを稼ぐのが君達リスナー諸君の目的だ!』

 

 

 

なるほど、今回の試験では単純に戦闘力を測るらしい。

 

ウチのアダムスキーのように絡め手をメインウェポンにする者もいないことはない。

が、現時点では圧倒的に戦闘で敵ヴィランを制圧するヒーローが多い。

実際、その得意とする絡め手が効かなかった場合はそのヒーローの腕っ節が試される。

 

ゲームならリセットしてのやり直しができるが、

現実では「効果なかったので出直してきます」なんて話は通らない。 

要は第二第三の武器が求められるわけだ。

 

聞くところによれば現時点で合格範疇の実力を伴わない受験生は一度普通科へ。

その後の成績によってはヒーロー科に移籍、というスタンスをとっているらしい。

間違いなく合理的ではあるが……正直実際のところそれが正解なのかはわからない。

 

 

 

 

『勿論!他人への攻撃を初めとするアンチヒーロー行為はご法度だぜ!』

 

 

「質問よろしいでしょうか!」

 

 

ここで俺の前の方の席に座っていた男子が声を上げる

 

「プリントには4種(・・)の仮想敵が記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!」

 

 

 

お堅いなぁ……

 

しかしまぁ確かに気になってはいた。

P制のこの実技試験……

プリントには確かに4種類の敵影が描かれている。

1P2P3Pと、所持P数が上がっていくほど討伐難易度が上がる仕組みだろう。 

無難に行けば装甲が厚くなったり、攻撃力が上がったりするのかな?

 

しかし最後の仮想敵の所持Pは0P。

討伐する旨味が微塵もないコレを、雄英側はどういう意図で用意したのか……

 

 

「ついでにそこの縮毛の君!」

 

 

そのまま質問した生徒が俺のさらに後ろの席の男子を指差す

 

 

「先ほどからボソボソと……気が散る!物見遊山のつもりなら、即刻ここから去りたまえ!」

 

指摘された男子は恥ずかしそうに背を丸めていた。

 

 

……酷なことをする。

恐らく緊張症かシンプルに考え込んでいるだけか。

どちらにせよ持ち前の性格の表れだろう

 

……彼がこの試験で全力を出せるのか、少々心配だ

 

 

 

『OKOK!受験番号7111番君、ナイスなお便りサンキューな!4種目の敵は0ポイント!そいつはいわばお邪魔虫……!』

 

『レトロゲーのスーパーマリオブラザーズやったことあるか!?』

 

『アレのドッスンみたいなモンさ!各会場に1体!所狭しと大暴れする"ギミック"よ!』

 

 

 

「ありがとうございます!失礼しました!」

 

 

 

所狭しと大暴れ(・・・・・・・)

 

資料によれば実技試験は敷地内にある模擬ビル街の中で行われる。

具体的な広さは明記されていないが、それでもそれなりの広さはあるはず

 

……まずいな、対人訓練はある程度積んだとはいえ。

それはあくまでも人のサイズの仮想敵を対象にした訓練。

反面この0Pはまず間違いなく超大型!

一筋縄では行かないぞ……!

 

 

 

 

『俺からは以上だ!最後に!リスナーへ我が校の校訓をプレゼントしよう!』

 

 

 

『かの英雄!!ナポレオンボナパルトは言った!』

 

 

 

 

 

真の英雄とは

 

 

 

 

 

人生の不幸を乗り越えて行く者

 

 

 

 

 

 

 

Plus Ultra(更に向こうへ!)!』

 

 

 

 

 

 

 

それでは諸君、良い受難を。 

その言葉で説明は締められ、受験生は説明通りに移動して行く。 

その流れに乗り、俺も移動を開始する

 

[おい廻、どうするつもりだ]

 

今日は全員魂に格納してついてきて貰っている。

何があっても対応できるように

 

だから……

 

「手広く行こう。敵は翻弄し……破壊する」

 

 

 

 

実技試験が……幕を開ける




今回も二つに割りました。
次回、実技試験


※最初の問題は捏造です

多分今回から感想返します。誤字報告感謝
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