不死、宇宙、原始と機関。4人と歩む英雄道中 作:灰色の男
バスに乗り、敷地内に併設された市街地演習場に向かう。
複数バスがあったことと、説明中のプレゼントマイクの説明から複数の試験会場があり。
その全てが今俺の前にある演習場と同じ規模なのだろう。
「薄々予感してはいたが……驚いたな……」
[サプライズ。普通に街がある……複数ある演習場も、公平性を考えれば恐らく同じ規模]
[どっから金が出てくるんだか……]
そんな会話をしながらも、俺は懐から1枚のカードを取り出し、
「最初は単騎でやるからアドバイスよろしく。
スター進化、着装〔
そう唱えると、身体が宇宙服を模した服装に包まれていく。
黒地のインナーの上に白い宇宙服をもしたアーマーが加えられ、アダムスキーのそれよりもやや長めに袖が伸び、肩パッドが造成される。
下半身の服装は青い大きめのスラックスに表裏が白と青の腰マントが装着され。
髪は青く染まり、アダムスキーのそれよりもやや短めに伸びて耳にはデバイスが出現する。
瞳もまた、赤く染め上げられ、着装が完了した。
[コンタクト……聞こえる?]
「大丈夫、バッチリ」
いざとなったら他の3人の力を借りるかもと告げたタイミングで不意に試験開始のアナウンスが鳴る
『ハイスタートー!』
アナウンスがなった瞬間、俺は弾かれたように走り出す。身体の主導権は俺にあるとはいえ、ある程度なら侵略者側からもアプローチができる。
今回は戦闘員としてのS級侵略者の反射神経に助けられた形だ
『どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんてねぇんだよ!走れ走れェ!』
ざわめきが大きくなり……
『賽は投げられてんぞ!』
その声でようやく背後から受験生たちが一斉に動き出した気配を感じた。
よかった、フライングとかではなかったみたいだ。
〔目標ハッケン!ブッコロス!〕
「随分と物騒だ……なっ!」
〔!?エラー!エラー!状況不明!状況判断不k〕
一足早く飛び出したことで、1P仮想敵に接敵。
奥に受験生がいないことを確認し、自分が立っている地点から正面に長い直方体状に無重力空間を生成。
そしておもいっきり蹴っ飛ばした。
蹴った先で浮くように角度をつけたため、蹴った仮想敵はどんどん高度を上げていく。範囲外に出た時には既にビルの屋上程度には高度があった。
……まぁそんな高さで重力圏に戻れば一瞬でスクラップになるのは見えていたことだろう。
アダムスキーの異名は「
無重力エリアを生成する、S級侵略者である。
……と、そうこうしている間にカモが集まってきたようだ。
奥の方の十字路で棒立ちしていた甲斐はあったようで、2、3Pの仮想敵がわらわらとやってきた。
実際の敵に近い思考をしているのなら、同胞をバカスカ破壊しているヒーローよりも……
「戦場でも目立つ棒立ちの一般人を狙うよなぁ?」
〔目標発見!ブッコロス!〕
〔敵影発見!ブッコロス!〕
〔
〔人生ハ冒険ダ!〕
〔ウントコサァ!〕
……なんか変なのが混ざってた気もするが。
「さて、ロボット狩りの始まりだ」
[あなた達のハビタブルゾーンは、もう存在しない]
とはいっても、やることは簡単。
周りに集まってきた大型を直上に打ち上げて一定高度でエリアを解除する。
これだけ。
じゃあループ証明しまーす。
初期盤面は仮想敵が一機以上自分の能力で空中にいる状態です。
前提として仮想敵はでっかい鉄の塊のロボットであるとします。
まず一定区画に他の仮想敵が存在することを確認します。
次に打ち上げた仮想敵を落とします。
すると重力と自重でえらくデカイ音がします。
運が良ければ次の仮想敵も巻き込めるでしょう。
結果その音につられて次の仮想敵がやってきます。
その仮想敵を浮かせます。
これで初期盤面に戻ったのでこの手順を繰り返します。
これがまぁ上手く行く。奥の方にいた仮想敵は粗方仕留めたんじゃないか?
一応他の受験生を巻き込まないようにかなり奥の方でやってはいたけど、たまたまこっちに入り込んできたちょっとチャラそうな受験生や紫色の髪をした隈の濃い受験生はドン引きしてた。
ごめんね、変なもの見せて。
スポーンキルとかそういうのができれば楽だったんだけど……出現地は見つけられなかった。残念。
「何機潰したっけ……」
[
「それだけ狩れてれば十分かな。他の受験生のサポートに回ろうか」
[ラジャ]
という流れで中層……フィールドの中央エリアに移動してきた……ところで、ビルにヒビが入り、一部が崩れるほどの地響きが鳴り響く。
「何事!?」
揺れが収まり、発生源の方を見ると冷や汗を流し数秒硬直してしまう
[エマージェンシー。廻の嫌な想定が的中した]
ビルと同じくらいの……否、下手をすればそれより更にデカイ仮想敵……
説明の終盤に言及された、推定0ポイント敵が姿を現した。
「駆動系はキャタピラ……ってことはアレか!さっきの揺れは地中か格納されてた建物ぶっ壊して出てきた音か!」
薄々察していたとは言えデカすぎんだろ!と内心悪態をつきながら距離を取るために移動を始める。
幸いにもその巨大な図体に相応しい愚鈍さなので逃げることは大した難易度じゃない。
幸いにも残り時間は少ない。
このまま巻き込まれる人がいないか確認しながら距離を取りつつ雑魚を狩っていけb「いっ!?……って……」
足を止め、振り返る。
[クエッション。どうしたの?]
「声が聞こえた。後方、砂煙の中……!」
現在地点は逃げる受験生の最後尾……つまるところ俺の後ろにいることと聞こえてきた声からして該当の受験生は……
「逃げるタイミングで怪我をした……!」
[今から戻って捜索する時間は……]
「ない。正直ここで見捨てても最悪なんとかなる」
終了時間も近いし、多分どうとでもなるだろう。
死ぬことはないだろうし。
でも……
「ここで見捨てるのは……ヒーロー候補生失格だろう!」
[その思考は合理的じゃない。メリットは一切ない。それでも?]
「当たり前だろ!」
[即答、嫌いじゃない。どうするつもり?]
「多分
カードを一枚、新たに出現させて叫ぶ
「スター進化!着装〔
[ブハハハッ!出番だな!]
筋肉が一回り大きくなり、赤い角が生え、髪と髭が茶色く染まり、艶やかだったアダムスキーのスター進化とは対照的に荒々しく伸びていく。
インナーは消え、上裸になり、左肩、左腰、そして顔に超獣の頭蓋を模したアーマーが装着される。
仮面のようにしたアーマーには「1」の文字が。
腕には篭手が付けられ、そこには「2」の文字が。
胸元には三本の牙の首飾りを。
緑を基調としたズボンには「3」の文字が刻印されている。ボロボロの帆前掛けにはS級侵略者の印が刻印され、靴は石造りのそれになり、傍らには大きな木と石で作られた原始的な戦鎚が出現した。
瞳がアダムスキーの赤から水晶のような青に変わり、着装が完了した。
戦鎚の柄をがっしりと掴み、肩に担いで0Pの正面にあたるやや背の低いビルに飛び上がる。
[ここでデッドゾーンではないと言うことは……]
「あぁ、真正面からの一撃で完全に破壊する!」
サンマッド最大の武器は、その筋量から繰り出される純粋な火力。
元より搦め手を得意とするアダムスキーはもとより、デッドゾーンにも追随を許さない圧倒的な一撃の火力である。
「三」
正面に0Pを睨み付け
[位]
屋上の床が抉れるほどの力で屋上から飛び上がり
「[一体ッ!]」
思いっきり振り上げた鎚を全力で正面から叩きつけるッ!
0Pの顔面は大きくめり込み、中からは機械が破壊された音がし、そのままキャタピラごと背面に倒れていく。
ズウゥゥゥゥン………
『終了~!!』
派手な音を立てて0ポイントが倒れると同時に、試験終了のアナウンスがかかった。
さて、相応の高さまで飛び上がったはいいものの、どう降りたものか。
そのまま着地しても正直構わないんだが……
「足、無事かな……」
[まぁ暫く反動の筋肉痛には悩まされそうだな!]
[えっと……あんまりお薦めはしない……かな?]
「だよなー……」
とはいえ、もう地面までの距離は大してなく、渋々着地の姿勢を取ろうとした時、不意に上方持ち上げられる浮遊感が襲う。
「へっ!?」
身体が宙に浮き、ゆっくりと残り数十センチを下降していく。
少しはなれた場所から、灰色の髪をした女子と紫色の髪をした……あ、さっきドン引きしてた受験生だ……男子が駆け寄ってきた。
地面に着地すると浮遊感が完全に消えたため、スター進化を解除して元の姿に戻る。
するとその二人はやや驚きながら話しかけてきた。
「おい、大丈夫か?」「大丈夫?無事?」
「大丈夫、怪我はないよ」
話を聞くと男子の方は先程怪我をして逃げ送れた受験生のようで、落下してくるのを見て対処できそうな他の受験生に声をかけてくれたそう。
「マジか。悪いね、助かったよ」
「いや、俺はなにもできなかったし。礼ならこっちの女子に」
「うーん、でも私も声かけされるまで動けなかったし……」
手柄の譲り合いで口論を始めた二人。
最初は微笑ましかったが段々腹が立ってきたので強引に占める。
「俺からしてみりゃどっちも恩人だから!呼んできてくれたのも対処してくれたのも普通にありがたかったからさ!それでよくねぇ!?」
「「あんた/君が……そういうなら」」
仲いいね君たち。
その後、自己紹介をして、連絡先を交換して、ご飯を食べて帰った。
灰色の髪の女子……柳さんと言うらしい……は自信ありげだったけど、紫髪の男子……心操君というらしい……は正直厳しそうとのこと。
全員受かってると俺的には嬉しいな……
お待たせしました