もう一人の怪物   作:Quick

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先ずは序章として、吾郎の転校初日の主人公視点から見ていきます。





新学期と転校生

 

 

「お前なんかが野球なんて生意気なんだよ!」

 

「野球なんて諦めさせてやるぜ。」

 

 

「・・・俺は、

 

 

 

俺は」

 

 

 

 

 

 

「・・・・・夢か。」

 

 

どこにでもいるような男子高校生、江川健太は目を覚ます。

 

空はもう朝日が昇っている。

 

 

「そうだ、今日は二学期だ。」

 

 

そう言って、顔を洗い、朝食を取って、制服に着替えて準備をする。

 

 

「行ってきます、母さん。」

 

着替え終わった後、仏壇にそう一言言って手を合わせる健太。

 

バッグを手を持ち、玄関で靴を履いたとき、

 

 

「お兄ちゃん、いってらっしゃい!」

 

「ああ、行ってきます。お前も遅刻するなよ。 朝食、ご飯とみそ汁は準備出来てるから。」

 

「大丈夫、家から学校まで5分だし。」

 

「父さんを起こすのも忘れるなよ。」

 

 

健太の妹、理香が見送ってくれた。

 

 

 

「・・・もう2年の秋になるのか。

 

あっという間だよな、高校生活って。」

 

 

通学路でふと時の流れの早さを感じた健太。

 

 

 

 

何事もなく着いた高校、

 

 

 

聖秀学院高校、彼の通う高校だ。

 

 

 

まだ7時半を回ったばかり、登校している生徒の数の多くない。

 

 

 

「他の男子はまだ1人も来てないか。」

 

 

元女子校で男子生徒としては1期生の健太。健太含めて5人しかいない2年男子は同じクラスで固められている。

 

他の生徒が待つ間、自分の椅子に座り、机に持たれるようにねていた。

 

 

 

「野球?」

 

「あのちっこいボールに棒で打つやつか?」

 

「それでよー。そいつがまたえらく態度のデカい奴でな、何でも野球部を作って俺たちにやらせるらしいぜ。」

 

「何でそれを俺達が?」

 

 

授業前で寝ている健太の横で話している4人の男子、

 

 

髪を染めてチャラそうな雰囲気の藤井、

 

メガネをかけて目立たない雰囲気の宮崎、

 

太っていて運動には縁のなさそうな内山、

 

 

 

「うーーん、

 

ああ、お前らもう来てたのか?」

 

「いや、来てたのかじゃなくて、もう時間になるぜ!」

 

「本当に江川ってマイペースだな。」

 

「そうだな。」

 

「おい、今お前や1年含めて野球部に入れさせられるかもって話をしてたんだよ。」

 

「野球部? そんなモノどこにあるんだ?」

 

 

「さあな、これから転校生が作るらしいぜ。」

 

「転校生?」

 

「お前は寝てて聞いてなかったもんな。」

 

「なんでも、そいつが野球部作るためにウチに転校するってわけだぜ。」

 

「どういうことだ? わざわざここで野球部を作る意味が分からん。」

 

健太に何から何まで意味が分からなかった。

 

 

(何でわざわざここに来るんだ。

 

野球やりたいなら、野球部に行けばいいのにな・・・)

 

 

その転校生が何故ここを選んだのかの理由を知るはずのない健太には到底理解できないものだった。

 

 

こうして始業時間となり、

 

 

「今日から二学期だ。

 

その前に転校生を紹介するぞ。」

 

 

「ちぃーっす。」

 

 

 

 

教室に現れた一人の男子生徒、それが転校生の茂野吾郎だ。

 

 

 

 

(茂野吾郎、か。

 

体格をみる限りは鍛えられてる感じはあるな。

 

まあ、やる気があることは確かそうだが、

 

 

俺は、

 

 

入るつもりはない)

 

 

 

 

そう心の中で断言する健太。

 

 

この日は始業式やホームルームが終わると、これで放課後となる。

 

ホームルームが終わった瞬間、

 

 

健太は真っ先にバッグを持って教室を出てさっさと学校を出て行った。

 

 

その間、転校生がクラスメートに勧誘されてあっさり撃沈した代わりに、スタイルの良い女子マネージャーをゲットしていた頃を知らず。

 

 

 

(高校野球・・・

 

 

今更目指せるものか!!)

 

 

 

そう思いながら、自宅とは違う方向へと向かっている健太であった。

 

 




理由あって高校野球を諦めた健太。彼も吾郎に協力するつもりはさらさらありません。


そんな健太は吾郎と共に野球をするのでしょうか?


あと、野球をやめたと言わず、高校野球を諦めたと表現してますが、それは後々わかります。
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