貞操観念が真逆の世界で、風俗の受付(兼キャスト)   作:パッチワーカー

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 待ち合わせが盛んなところで歩き回るのかなり面白いです。どういう人が来るのかソワソワしてる人が結構いるので。


受付のおしごと

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、次はちゃんとしたキャストの方にしてね?僕は受付なの忘れないでね!!」

「考えとく〜!また来週ね♡」

 

 ちゅと不意打ちでされた。···普通にここ受付の場所なんだけど···しかも絶対次も僕の指名じゃん。

 

「···はぁ···では帰るときは気をつけてくださいね」

「──はい。また来ますから待っててください」

 

 いつも通りタメ口から敬語にスイッチすることで、もう関係は終わったんだと自分と相手の身体に言い聞かせる。

 それで関係を切り、次の仕事へと切り替えている。

 

 

 

 ──────

 

 

 

 そもそも風俗の受付をしようと思ったのはただ単純に割が良かったからだ。そういうことが好きだからではない。

 元々いた世界では彼女はいたことがあるけど、そういうことはしていない。強いて挙げるとしてもキスとかくらいだ。

 

「──そうだったのに、徐々に色々できるようになってるの嬉しいんだか、悲しいんだか分からないね」

 

 今では風俗のキャストとして平均的くらいの技量にはなったと思う。

 特にどこを責めれば気持ちよくさせられるか、どういうプレイが興奮させられるかといったことに気づきやすくなったと感じる。

 

「まあ大体キスが多めのエッチが好かれるよね。あとは名前呼んだり、恋人みたいな感じでしたりするのがウケがいいなぁ···」

 

「そういう感じのするの疲れないか?俺はずっと演技しないとって考えてしまって、精神的に疲れるんだよな」

 

「···甲斐さん意外に真面目ですよね。その場限りの関係なんですし、もっと気楽にいきましょうよ。その場での恋人って感じで捉えたら、演技しようとしてなくても気持ち入りますよ?」

 

「──そういうのは柄じゃないし、何よりその後が面倒臭いからやらない。お前みたいになるのは勘弁」

 

「僕みたい?···なんかダメなところありますか?」

 

「──厄介なキャストだな、お前は···いつか絶対刺されるから気をつけろよ」

 

「僕の独り言に返してくれるのは嬉しいですけど、そうやって刺さないでくださいよ。──それに僕受付ですし大丈夫ですよ」

 

「···お前···まあいいか、その性根は変わらなそうだしいいや」

 

 ···甲斐さんの目が可哀想な奴を見る感じになっているが、そういうのを気にしていてはキリがない。いつも言われていることだけど、僕には心当たりがない。

 

「甲斐さんは今日何時まで入ってるんですか?」

「俺は0時までだな。れいも最終時間まで受付するんだろうし、最後まで残るだろ?」

 

 このお店は9時〜24時までとクソ長い営業時間だ。その中で、僕は昼間から最後まで受付をすることが多い。

 

「そうですね。──2時間くらいですし、甲斐さんはあと1人入ってますよね」

 

「そうだな。次は30分後からラストまで入ってる。···なんで分かった?」

 

「この曜日のラストはずっと同じ人が入ってるじゃないですか。誰でも分かりますよそんなの」

 

 甲斐さんも僕のことを言える感じではない。男らしいカッコよさと男性らしくない優しさを兼ね備えているキャストだ。受付に引っ張っても問題ない人当たりの良さもある。

 そんなキャストが人気出ない訳はなく、このお店でも5本の指に入るくらい人気だ。というか、特定の曜日しか入っていないから1番になっていないだけで、全力で入ったらもっと人気が出るはずだ。

 

「あ──やっぱり偶然とかじゃないよな···」

 

 そんな甲斐さんだから、こだわりを持ったお客様が多くいる。次来るお客様もその1人だ。この曜日の最後に必ず予約して来て、甲斐さんにお泊まりの要求をしてくる。

 

「一回でもお泊まりの要求に答えたらずっと言われますし、面倒臭いなら出禁にでもします?」

 

「いやーそこまでしなくてもいいさ。その要求だけめんどいだけで、プレイ内容はさっき言ってたみたいな軽い恋人らしい感じだしな。別に変な性癖もないしやりやすい」

 

「──そうですか」

 

 ···多分こういう寛容なところも魅力的なんだろうな。

 

 そういう会話をしているときにカツンカツンと階段を上がってくる音が聞こえた。このお店は2階にあり、階段で来るのはこのお店しかない。

 

「じゃあ受付の仕事がんばれよ。俺らキャストは顔出さないしな」

「分かってますって──甲斐さんも頑張ってくださいね」

 

 そう言って甲斐さんは控え室に戻って行った。むやみやたらとキャストの顔を晒すのは得にはならないが、甲斐さんくらいのイケメンなら逆に宣伝になりそうだと思うが···

 

「······ん?」

 

 考え事してる中でも扉は開かず、おそらく扉の前に止まっているのだろう。──初めてのお客様かな。

 

 こういうお店を初めて利用するときは扉を開けるのに勇気がいる。それは元いた世界での僕もいっしょだったし気持ちはよく分かる。

 ──そういうときは受付側からの温かい対応が1番必要になる。今日利用するにせよ、今後利用するにせよ第一印象が重要だ。

 

 ビックリさせないように足音をたてながら扉に近づいていき、優しく開ける。

 

「お姉様、いらっしゃいませ。当店のご利用は初めてですか?」

 

 扉を開けると、黒髪ロングで美術や芸術、音楽などが得意そうな気品があり、優しそうなお姉さんが立っていた。顔や手の感じから、25、6程度だと考えられる。

 

か、可愛い···そ、そうです···!──このお店がというより、こ、こういうお店が初めてです」

 

 やっぱり緊張していた。こういうお店を利用するの初めは緊張するし、どうすればいいか分からないよね。

 

「そうですか。数あるお店の中から当店を選んでいただきありがとうございます。予約はされてますか?」

 

「いや、してないです···!や、やっぱり予約されてる方が多いですか?」

 

「半々ですね。お姉様のようにフリーで来られる方も多いですし、キャストを気に入っていただけたお客様は指名していただいていますね」

 

「そ、そうなんですね···」

 

「詳しいお話は待合室でお聞きしますので、こちらへどうぞ」

 

手ちっちゃくて可愛い···めっちゃキレイだし···

 

 手を差し出して案内しようとしたが、お姉さんは僕の手をおそるおそる触りながら何かを呟いていた。ほんとにこういうことは初めてらしい。

 

「お姉様?」

「···は、はい!──というかお姉様···?」

「綺麗なお姉さんですし、お姉様が妥当かなと。···なにか呼び方の希望はありますか?」

「だいじょうぶです!···こういう子が弟に···?」

「ではお姉様、こちらです」

 

 少し話しただけだが、オラオラ系やせっかちな性格の人とは本当に合わなそうで、ちゃんと優しく話してくれる人が適任そうだ。

 この時間帯にそういう人はあんまりいない。

 ···誰を当てよう?

 そう考えながら待合室へと連れて行く。

 

 

 ──────

 

 

 初めてのお客様には色々と説明する必要があるし、ここの店はイベントやらクーポンやらで金額が変動するし聞くことが多くなる。

 

「まず、お姉様の名前をお願いします。···本名ではなく、自分で自分のことだと分かる名前にされる方が多いですね」

「そうなんですね···!んー···じゃあ伊東でお願いします。あのあなたのお名前は···」

「伊東様ですね、分かりました。僕はれいって言います。···次に電話番号の下4桁をお願いします。書いた後にこの店の電話へかけていただけますか?」

「は、はい!」

 

 プルルル···

 

「──はい、ありがとうございます。···伊東様はヘルスの利用が初めてなのですか?それとも風俗自体が初めてですか?」

 

 風俗には色々ある。デリにホテに待ち合わせなどなど。

 形態が変われば勝手もかなり変わる。このお姉さんの反応的には絶対初めてだろうけど。

 

「風俗が初めてで···どうすればいいのかも分からなくて···」

 

「そうなのですね。──新規の方には軽いアンケートをしていただくことで新規割をしているのですが、少しいいですか?」

 

「新規割ですか?ええ、アンケート、私でよければ···!」

 

「ありがとうございます。──では、当店のご利用を決めた理由はありますか?お店が近いからなど簡単にでいいので」

 

「──そうですね、このお店が近かったのと、写真に加工が少なそうに見えたからです···受付の方がこの可愛さですし···信頼できそうです

 

 あー確かに、ここはそれなりに高い分パネルマジック*1は少ない。

 

「そう感じてもらえて嬉しいです。他店では写真加工で別人くらい良く見せようとしてるところもありますしね。このお店ではそんなことありませんし、後でキャストの写真持ってきますね」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「アンケートのご協力ありがとうございました。このお店では要望表として、お客様の希望に答えられるキャストを出しているのですが、伊東様も書いていただけますか?」

 

「あの···アンケートは終わりですか···?要望表は書かせてもらいますけど···」

 

「では、こちら要望表とペンです。アンケートは一旦今ので終わりです。あとのアンケートは終わってからですね」

 

「わ、分かりました···!」

 

「では、一旦失礼します。お書きになられましたら受付の場所にいますので声かけてくださいね」

 

「は、はい!色々とありがとうございますね」

 

 要望表はあまり他店にはない、ここ独自のものだ。聞く内容はシンプルで、どういうプレイが好きか、どういう容姿•性格が好きか。また、どう呼びたい•呼ばれたい、敬語ありなしなどプレイする前に必要なことを聞いている。

 これがあると会ってから色々聞くことも減るし、始めからそういう気分になれる。

 

 そして、なにより自分の求めているキャストが来るというのが好評だ。ここにいるのが皆んな良いキャストだ。だから余計に客に合った人を当てたい。こういう店が初めてな客が満足できない、ガッカリされてしまうのは損でしかない。

 

 ──要望通りのキャストがいますように···

 そう願いながら、予約しているお客さんの対応やプレイが終わったお客さんのお見送りをした。

 

 

 

 ──────

 

 

「······んー······」

 

 お姉さんに要望表を渡してから5分くらいが経った。それなのに、何のアクションもないため気になって、待合室を覗くとなにやら悩んでる様子だった。···一応今残っているキャストの写真を持っていこう。

 

「お姉様?」

「わっ!──れ、れいさん?」

「ふふ···すいません、ついお姉様が可愛くて笑ってしまいました」

 

 お姉さんとは思えないくらい可愛い反応で思わず普通に笑ってしまった。···ちょっと緊張和らいだかな?

 

か、かわいい···

「驚かせてしまい申し訳ございません。──要望表はお書きになられましたか?」

「は、はい!──今書けました!」

「ありがとうございます。それでは確認しますね」

 

 そう言って要望表に目を通す。

 最終時間前ということもあり、今残っているキャストは少なく、カッコイイ系や兄系しかいない。プレイ内容で見ても、いちゃいちゃ好きというよりかは女性を責めるのが好きって人が多い。

 そのため弟系、可愛い系、いちゃいちゃ、男性を責めるのが好きと書かれていると非常に困る。非常に困るんだけど──

 

「────写真持ってきましたが、お姉様的に好みの方はいますか?」

「──れいさんがいいのですが、ダメですか···?」

 

 

 ──────

 

 要望表

 1. お名前(ニックネーム可)

 なぎさ

 

 2. 年齢(または年代)

 25歳

 

 3. 本日ご希望の内容(複数選択可)

 - 話を聞いてほしい

 - 優しくハグやキスをしてほしい

 - 手をつないでデート気分を味わいたい

 - たくさんいちゃいちゃしたい

 - 癒されたい

 - 甘えるより甘えられたい

 

 4. NG行為・苦手なこと•苦手なタイプ

 - 乱暴な行為

 - 乱暴な口調で話されること

 - 派手な髪やタトゥーが入ってる人

 

 5. スキンシップの希望レベル(目安)

 ★☆☆☆☆=ほぼなし

 ★★☆☆☆=軽く触れる程度

 ★★★☆☆=友達以上恋人未満くらい

 ★★★★☆=恋人っぽい

 ★★★★★=恋人以上に甘々に

 

 希望★★★★☆

 

 6. 好きなタイプ

 年下、弟系、可愛い系、身長低め、細め

 

 7. 呼ばれたい呼び方(ニックネーム・敬称など)

 呼び捨てかさん付け

 

 8. 相手にどう接してほしいか(自由記述)

 - 話を優しく聞いてほしい

 - 甘えに来て癒してほしい

 - 恋人みたいに接してほしい

 

 9. その他、決めておきたい•伝えておきたいこと

 敬語なし

 始めから恋人のような感じで接してほしい

 

 

 ──────

 

 

 ──まあ僕か。

 

 

 

 

 

 

 

*1
写真を加工することで現物とは全く異なる容姿を見せること。なかなか見抜けない。





 誤字報告など待ってます。

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