貞操観念が真逆の世界で、風俗の受付(兼キャスト)   作:パッチワーカー

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 次回からはほぼ受付やキャストの仕事ですね。
 学生の本分である学業は澪くんにお任せしましょう。
 最後の場面はトーク画面だと思ってください。


学生のおしごと

 

 

 

 

 

 

 

「···ねむ···」

 

 10時にセットしていたアラームを止め、頭がぼーっとしながら、顔を洗い頭も少し濡らす。

 外に出る格好に着替え、適当に髪の毛をセットする。···昨日と何ら変わらない僕のいつも通りだ。

 

 発散した次の日はよく眠れるけど、疲労感があってあんまり好きではない。

 

 机の上に置いてあるバナナを1つ食べて、歯を磨いて学校に行く用意をする。···っていってもカバンを持つだけだけど。

 今週や来週に発表するものや試験といったものもないし気楽にカバンを持ち外に出る。

 

 徒歩で8分ほど歩いてバス乗り場に着き、バスを待つ。

 

 

 登下校中の視線は1番気持ち悪い、朝からそういった目で見られるのは精神的にくる。地下鉄やバスに男性専用車両がないしある程度仕方ない。

 登校にかかる20分程度が苦痛だ。けれど、この木曜日はマシになる。

 待っていたバスが着き、そのバスの中に入り、見慣れた顔を探してその隣に座ると少し驚いた顔でこっちを見ていた。

 

「···澪くんじゃん、おはよー」

「おはよ、なんでちょっとビックリしてるの?この曜日のこの時間にいつも乗ってるんだし、いっしょになることも結構多いのに」

「···いやーそうなんやけど、いきなり男の子に隣に座られるとさ、恥ずかしいしビックリするくない?」

「そういうもんなんね」

「──今日ちょっと目覚め悪かった?」

「ううん、別に。ちょっと睡眠時間が少ないだけだから心配しないでね」

 

 疲労感が出てたのか、睡眠時間不足が出てたのかは知らないけど、ちょっと心配された。よく人のこと見れてるね、仕事以外で人のことをよく見れてる人すごいと思うよ。

 

「ふーん、でも、澪くんたまにあるよね。朝弱いの?そんなんじゃ、バイトとか仕事とか辛いよー?」

「まあ強くはないよ。でも、バイトも昼から夜までだし辛くはないかな」

「そういえば、前もそんなこと言ってたよね。バイトは何してるの?──めっちゃ人気なんやない?」

「知り合いのお店の受付みたいなことしてるよ。お酒扱うところだから、瑠衣さんは来れないよ」

 

 佐々木瑠衣。同じ学科の同級生。

 僕よりも身長が少し高く、髪がウルフみたいになってカッコいい系で、女子に人気がある。···普通に瑠衣さんが女性もいけるタイプだったら、めっちゃ恋人できてそうな感じだけど、そうではないらしい。

 あとお酒に弱く、すぐ酔っ払って僕や仲の良い人にダル絡みしてくる。

 

「···いやー、その節は迷惑をおかけし大変申し訳ございません。···あのときはアタシめっちゃ調子乗って飲んじゃってたんよね···」

「まあ瑠衣さんを盾にして、僕はゆっくりご飯食べられたからいいけど。すごい空気だったんだから反省してね」

「···ごめんなさい···」

 

 先週あった文学科内の飲み会で友だちに乗せられてたくさん飲んだ挙句、僕にダル絡みして空気が終わった。瑠衣さんに嫉妬嫉妬嫉妬の目を向けてるのが僕ですら分かって怖さがあった。

 

「僕以外の仲の良い人にだる絡みしてたら良かったのに、なんで僕に来たの?」

 

 そもそも僕が専攻している文学科は男性15人に対し、女性が90人を越えるほどの歪な性別比だ。

 ──まあ、男性は元の世界で言うと女子校に行く人が多く、大学も男子校がちらほらあるなど隔絶された世界で生きたい人もいるらしい。

 ···女性に対しての免疫がないまま育つのは危険だと思うけど、それがいいと考える親も多いみたいだ。

 

「まーちょっと──自慢したくなって」

「ふふっ、そんなタイプじゃないでしょ?大方、友だちに乗せられて後に引けなくなっただけでしょ?」

 

 そう言うと瑠衣さんは顔を逸らし、窓の方を向いた。どうやら図星だったらしい。

 横を向いたことによって、先週にはなかった緑色のインナーカラーが目に入った。やっぱりオシャレさんだ。

 

「緑色のインナーカラーもいいね、そういう派手なのも似合ってるよ」

「あ、ほんま!ならよかったー、···最近あんまりジャラジャラしてないんやけど、それもいい?」

「うん、別に前のときみたくいっぱい着けてても良いと思うけど、僕は今みたいな感じが好きだよ」

 

 前までは指輪やネックレス、ピアスかイヤーカフかが結構着けてたけど、最近はシンプル目になってきていた。僕的にはこっちの方がさっぱりしてて、瑠衣さんの良さが分かりやすいと思ってる。

 

「そ、そっか!──でも、オシャレって難しいよね···」

「瑠衣さんは十分オシャレだと思うよ?···僕なんて毎日おんなじような服なんだし」

 

 上は体型を隠せるゆったりとした服に、下はシルエットが太めの黒のデニムパンツといった具合に必要以上のオシャレをする気がない。

 

「澪くんは確かにいつもゆったりとした服着てるもんね。どう見ても体細いんだし、いっそのことスキニー履いてみたら?」

「女性に対する当てつけみたいになって嫌かな。──瑠衣さんは普段どの辺で服買ってるの?」

「どの辺···まー、古着屋で買うことが多いくらいで特定の場所はないよ」

「そっか、行きつけのところとかオススメの場所があれば教えてね」

 

「澪くんはどこで買ってるの?」

「僕は叔父さんが服屋さんだからその服で構成されてるよ」

「···なるほど。オシャレに興味なさそうなのに高そうなズボン履いてるから気になってたけど、そういう感じか···」

「だから自分で服買いに行くことがないから、あんまり分かんないんだよね。ここら辺結構服屋さんあるし、古着屋さんもあるし今度服屋さん巡りとかしてみない?」

 

 甲斐さんにも言われたし、ちょっと服装変えるためにも服屋さんには多く行っておきたい。

 ···あ、もう大学着くのか。友だちと話してると早く感じる。少しぼーっとしてる瑠衣さんを促し、運転手さんに定期を見せて外に出る。

 外に出てからも何も話さない瑠衣さんの顔を見ていると、急に顔が赤くなって逸らされた。

 

「──────え、ま、マジ?──めっちゃリサーチしとく···!」

「···やる気めっちゃあるね、──じゃあ、僕と瑠衣さんは確定として、あと誰呼ぶ?」

「────うーん、まー、人多いと一人一人の時間が少なくなって巡るのに時間かかるから2人でいいんやない?」

 

「···お酒飲まないって約束してくれるならいいよ」

「絶対飲まないから!」

「なら2人で行こっか。いつ空いてる?僕は今週の金曜と日曜は昼からバイトだし今週行くなら土曜日がいいかな」

「うん!アタシも土曜日はバイトもなくて暇だし大丈夫!···いつも土曜日はバイトないん?」

「そうでもないけど、日曜はほぼバイト入ってて土曜日は半々くらいかな」

「そんな感じなんや、じゃあ時間は場所が分かってから決めよ!次の授業中めっちゃ調べとく!」

「じゃあ僕は授業聞いてレジュメ取っとくね。後ろの方の席取りに早くいこ?」

 

 あぶな、いつもの感覚で手を取りそうになった。

 なんとか誤魔化して、教室へと向かった。

 

 ···授業中あまりにもスマホを触りすぎて、瑠衣さんが先生に注意されているのだけが記憶に残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 守る会(3)

 

 

 

 

 ──澪くん、お酒を扱うところで受付やってるらしい。

 

 ──そっち系か、何曜日?

 

 ──一旦聞いたのは、日曜日はほぼ入ってて土曜日は半々らしい。金曜日も入るのが多そうやった。

 

 ──なら日曜日にあの辺りのお店しらみ潰しに行きますか?

 

 ──まだお酒扱うところの情報しかないし無理そうやない?ホストとかの可能性もワンチャンあるし。普段の気遣いとかがそういう系っぽいんよな。

 

 ──まあでも、これでえっちなお店で働いてる線は薄くなったか?

 

 ──そういうところで働いていましたら正直に言う気がしないですけどね。

 

 ──あの風俗街らへんで夜遅くに目撃されてるし無くは無いけど、澪くんがそういうのするかな?

 

 ──やってなさそうな見た目でやってるのが興奮するだろ

 

 ──それはそうですね。

 ──それはそうやけど。まあ一応日曜日にお酒扱ってるところで働いてるってことは皆んなに言っとこ。その方がフェアやろうし。

 

 ──優しいな、同じ方向だからって登下校いっしょにするようになった女の余裕か?

 ──今もメガネを掛けているという珍しい状況を隣で見れてる余裕ですか?

 

 ──あと、土曜に服屋巡り誘われたから2人で行ってくるわ。

 

 ──は?

 ──は?

 

 

 

 

 

 

 






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