無職転生の二次創作   作:オオユキ

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プロローグ

 

 

 

「コホン。ルーデウスよ、ラノア魔法大学に入学しなさい。

 そこで、フィットア領の転移事件について調べなさい。

 さすれば君は男としての能力と自信を取り戻すことができるでしょう」

 

 え?

 マジで?

 俺のエレクティル・ディスファンクションは魔法大学で治るんですか人神様!

 

 でしょう⋯⋯でしょう⋯⋯でしょう⋯⋯。

 エコーを残し、意識が薄れていった。

 

 

---

 

 

 目覚めると、エリナリーゼの顔がすぐ近くにあった。

 ギョッとして瞠目する。

 そういえば昨晩、「寒くて眠れませんわ」などと言い出し、俺のベッドに潜り込んで来たんだったか。

 

 さて、貞操観念皆無な美人のお姉さんにそんなことされれば、もっと眠れなくなるようなことに発展していくのが、普通の男女の流れってもんだろう。

 しかし、俺もエリナリーゼも、昨晩はぐっすりだったのだ。

 肌と肌で温め合うようなことはせず、何事も無く、穏やかに、ぐっすり眠りについたのだ。

 

 体を起こし、隣に横たわるエリナリーゼの体をまさぐってみる。

 するとどうだろう。

 俺の意識は確かに興奮しているのに、俺の股間は微動だにしない。

 込み上げてくるのは、虚しさばかりだ。

 

「そっか、これが治るのか⋯⋯」

 

 

 いや待て。

 果たして本当に、それでいいのだろうか。

 家族が揃うってのは、パウロがずっと目標にしてたことだろう。

 そりゃミリシオンで再会した時は、飲んだくれのダメ親父になってたが、

 それでも、あいつはずっと、一家の主として頑張ってきたはずだ。

 ようやくあいつの苦労が報われるって時に、長男が家族そっちのけで自分のことを優先してていいのか。

 

 ⋯⋯いや、ミリシオンでのことがあるから、案外治療を優先しても何も言われないかもしれない。

 しかし俺も、魔大陸でゼニスを探してこなかったのは、申し訳ないと思っていた。

 探しても大した成果は得られなかっただろうが、それは結果論だ。

 

 それに⋯⋯

 こうして色々言い訳を探してみたものの。

 まずなにより、俺は今、猛烈にベガリットに向かいたがっている。

 焦っている、とでも言うべきか。

 パウロと早く合流しろと急かされているような感覚だ。

 

 一旦、さっきのヒトガミの話を整理していく。

 

 今回の奴の助言は、魔法大学に行けとのことだ。

 あいつが言うなら、病が治るのは確定的だろう。

 恐らく精神的な問題だが、この世界にはEDに効く魔術もあるんだろうか。

 いや、魔法大学は色んな才能が集まるんだったな。

 エリナリーゼを超える凄腕がいるのかもしれん。

 冒険ではなく、あっちの方のだ。

 

 まぁここら辺はいくら推測したところで、あまり関係ない。

 こんな謎のモヤモヤを抱えたまま、学園生活なんて送ってられるか、というのが正直なところだ。

 今考えるべきは、ヒトガミがさらっと言っていた、俺が後悔することの方だな。

 家族と会うのを遅らせてでも避けるべき後悔なのかを。

 

 いくつか予想はつく。

 

 まずは、ベガリットに向かう道中。

 エリナリーゼの口ぶりでは、俺の実力的な問題はないだろう。

 だが、旅ってのは何が起こるか分からないものだ。

 道中でトラブルに巻き込まれる可能性はある。

 いや、彼女もその辺は織り込み済みか。

 パウロに会いたくないだけで、別にベガリット行きには否定的じゃないもんな。

 うん、ベテランが言うなら、道中は一旦大丈夫だとしておこう。

 

 次に、ラパンに着いてからのトラブル。

 そこについては、あまり心配していない。

 もしそこでトラブルに遭うとしたら、高確率でパウロも巻き込まれることになるからだ。

 行き先が同じなんだから当然っちゃ当然だが。

 これはヒトガミの、行けば後悔するという発言と矛盾する。

 つまり、これもクリアとみなしていい。

 

 最後に、これが最も重要かつ現実的な可能性だが。

 この期を逃すことで、俺の病が二度と治らなくなるのではないか、ということだ。

 ここからベガリットまで、往復で最低2年はかかる。

 例えばその間に、キーパーソンが卒業してしまったら。

 ヒトガミも、説得材料として治療を引き合いに出したわけだし、一番起こりうるのはこれだろう。

 

 この2年、俺には常に寂寥感が伴っていた。

 この苦しみから二度と解放されないとなれば、この先、事ある毎に後悔しそうだ。

 あの時魔法大学に行っておけば、と。

 

 2年間、御神体が無ければとっくに心が折れていたかもしれない。

 これが治るのは、俺にとっては非常に大きく、意味のあることだ。

 

 ⋯⋯ふむ、よくよく考えてみれば。

 俺がここまで来れたのは、御神体の、ひいてはロキシーのおかげだ。

 ロキシーに会うこと以上に大事なことがこの世にあるだろうかいやない!

 この胸騒ぎも、おそらくはロキシーに会いたいという、俺の強い願望なのだ。

 

 ああ、自覚すると、一刻も早くロキシーに会いたくなってきたな。

 もはや女性関係については、半ば諦めている。

 それに自分の成長という観点なら、それこそ家族揃ってからでも遅くないだろう。

 ロキシーだってわかってくれるさ。

 うん、俺にとってはED治療よりも、ロキシーだ

 

「⋯⋯よし」

 

 俺はその夜、ベガリット行きを決意した

 

 




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