「なぁ、コレどうなってんだ?」
【もう面倒くさいから引きちぎってもいい?】
「もう一発腹にご所望か?」
ですよねー
オレとネルは剣と鎖、オレの手が融合し、もはや意味不明な知恵の輪に四苦八苦していた
思いっきり集中して力めば何とかなる気がするが、あの衝撃がモロにくる腹パンを食らいたくない
てかマジでどうなってんだコレ
何でその部分から銃身が出てくるんだ、おかしいだろ
え?オレの手貫通してる?
「コレがこうなって」
【なあ、それさっきよりも絡まってないか?】
「文句言うなら手伝えよ」
【その手が絡まってるから負けたんですが?】
あーでもない、こーでもないとやり取りしてもどうにもならなかったので
最終兵器を使うことにする
【ユミちゃ〜ん助けて〜】
“何やってるの二人とも”
「あたしは悪くねぇ」
と言ってもこの騎士ブレインをもってしても解けなかったこの知恵の輪…いや棒?を解くにはそこそこの時間を有するに決まっている。いくらユミちゃんが生徒たちの指揮で頭脳が秀でていても所詮は一人の人間に過ぎない。さて何時間かか“解けたよ”マジでぇ!?
やべーホントに解けてる
ユミちゃんすげーー!
「じゃ、あたしらはそろそろ戻るわ」
“あれ、アリスはいいの?”
「流石に疲れた、騎士の実力は知れたしそれじゃあな」
行っちまった
意外にもあっさりしたやつだったな
「騎士〜遅いよ〜、もうコメント読み終わっちゃったよ」
【はいアイアンクロー】
「ぎゃあああああああああ!」
【テメーよくも戦ってる間コメントなんて読めたな、喜べ文字通り
「食い込んでる食い込んでる!!」
泣け喚け叫べ、フハハハハハハハハハ!
「騎士!頑張りましたね!」
【これはこれは勇者サマ、ありがとうございます。しかし恥ずかしながら負けてしまいました】
「いいのです、騎士は一生懸命戦いました!さすがアリスの従者です!」
王女…っ!
「…あのーそろそろ離していただけないでしょうか」
【おかわり】
「あ゜ーーーーーーー!!」
あ、そういえば初コメした奴しばきに行かねぇと
ーーー
ーーー
ーーー
”今日で3日目、始まったねミレニアムプライス“
【司会進行はコトリか】
画面の中のコトリが元気よく始まりを口にする
「う〜緊張する」
「だ、大丈夫だよ…きっと」
「そこはハッキリ言って欲しかったな…」
「大丈夫ですっ!!!」
オレの聴覚機能に著しい障害が発生したが今日も王女は愛らしい
それはそうとコトリが順に出品された作品を言っていく
歯磨き粉と見せかけてモッツァレラチーズが出る持ち歩きチーズ入れ
ミサイルが内蔵された護身用の傘
ネクタイ型モバイルバッテリー
etc…
…ミサイルが内蔵された護身用の傘か
かっこいいし今度開発者に作ってもらえないか聞いてこよう
そうして長ったるしい前振りも終わり、いよいよ受賞した作品発表が始まる
『7位はエンジニア部、白石ウタハさんの"光学迷彩下着セット"です!』
『これは身に付けてもその下の素肌が見えてしまうため、着ているのかそうでないのか分からないという作品ですが……露出症の患者さんが合法的に趣味生活を営めるようになるという点で、大変高い評価を貰い7位!』
お 前 か よ
すげぇな、何からツッコめばいいのか皆目見当もつかねぇぞ
やはりエンジニア部はヤバい奴しかいない
関わらんとこ
しかしその後も順に作品が呼ばれるも、一向にテイルズ・サガ・クロニクル2が出てこず
あっという間に次が1位だ
『おまたせしました!それでは今から、第1位の座を手にした作品を発表させていただきます!』
『栄えある第1位は──』
部室に異様な緊張感が流れる
『新素材開発部とエンジニア部です!』
「うわああぁぁぁぁああ!」
【ちょっと待てぇい!!】
あっぶねえ!セーフ!!
モモイこの野郎、テレビに向かって撃ちやがったぞ!
ギリギリ画面とモモイの間に剣を差し込んで銃弾を防いだから何とかなったからいいものを
「何すんのさ!!」
【こっちのセリフだ馬鹿野郎、一旦落ち着いて続き見てろ】
「でももう一位は決まっちゃたし…」
「あれ?本当にまだ続きが」
さすがミドリ、どこぞのアホピンクより聡い子だ
画面のコトリが満を辞して喋り始める
『…ミレニアムプライスはこれまで、生徒たちの才能と能力で作られた作品に対し、"実用性"を軸に据えて授賞を行ってきました。しかし今回の作品の中には、とある"ゲーム"が実際に、懐かしい過去をありありと思い出させ、未来への可能性を感じさせてくれたのです。…よって私たちはこの度、異例の選択をする事にしました』
『今回は特別賞を設け、そしてその受賞作品は─テイルズ・サガ・クロニクル2です!』
「「「「…え?」」」」
ほれ見たことか
『プレイしながら、かつて初めてゲームに夢中になった頃の思い出を鮮明に思い出しました。そういった点を評価して、今回この作品に』
『ミレニアムプライス"特別賞"を授与します!』
「と、と言う事は」
「廃部の件って…」
“ここまでの成果を出したんだから十分じゃないかな?”
そりゃそうだ、あのゲームは長年遊び道具を探し続けているオレからしても面白い
1位じゃなくても何らかの賞ぐらいは貰えるだろ
【よくやったじゃねぇか、ゲーム開発部】
「や、やったああぁぁぁぁぁぁ!?!」
「よかったーーーーーー!!!」
「これでまだ皆んなと一緒にいられるんですよね!!」
「そうだよアリスちゃん!!」
廊下からドタバタと誰か走ってくる音が聞こえる
「おめでとう!」
「ユウカ!」
ユウカがクラッカーを鳴らしながら入ってきてゲーム開発部と共に喜んだ
部室は完全にお祝いムードだ
“ふふ、ハッピーエンドだね”
【ああ、そうだな】
ーーー
ーーー
ーーー
薄暗い部屋で一人の女性がモニターの前でつぶやく
「ネルを差し向けて現在の実力を測ろうとしたのだけれど」
「とんだイレギュラーね」
「最後の攻撃は運が悪かった、不注意だったで済まされるけれど」
「ネルと1時間にわたって戦い続けたことには目を見張るものがあったわ」
「昔から噂だけの存在だったのに突如として現れたシャーレに所属する先生の護衛」
「いつからいるのか分からず」
「噂はあるのにデータを漁ってもそれらしい記録もない」
「その噂もどこから出たのか、何が原因なのか分からない」
「アリスの従者を名乗っているようだけど」
「その時が来て、もしも立ちはだかるような事があれば」
「覚悟、する必要があるかもしれないわね」
モニターには物語に出てくるような、そんな騎士がいた
ーーー
ーーー
ーーー
夜、誰も来ない高層ビルの屋上
そこに佇む騎士は語る
勇者は優しい仲間たちと出会い、折れそうになっても助け合い、立ち上がり、宝箱が空だとしても進み続け、見事に自分たちの力で目的を成し遂げた
【まさにハッピーエンドってやつだな】
『………』
なあキィ
【もう辞めにしないか?王女は今を楽しんでる、このまま一人の少女として『それでも』
『それでも、私は『鍵』なんです』
『私が作られた理由であることに変わりはりません』
『これは誰にも変えられない事実であり歴史なんです』
…そうかい
【昔したあの喧嘩、覚えてるか?】
『忘れるわけないでしょう、最後は不満がありますが』
それについては否定しない
最終的に自然消滅したからな
まあ、個人的には満足だったんだが
【それでも綺麗だったろ、あの光景は】
『…否定はしません』
昔から天邪鬼なんだよな、この
【オレは今でも脳裏に焼きついてるぜ】
『貴方に脳は無いでしょう?』
あるわ、語弊を招くようなことを言うなこのポンコツ
『そういえば、貴方は
【いや、いい。いつか王女にオレのことを知ってもらう日まではこのままだ】
少し話が脱線したが…
【何にせよオレはお前がどんな事をしようと否定しねぇよ】
ま、流石に邪魔はするが
『…何故ですか、貴方は王女を大事にしているでしょう』
何言ってんだ、お前もだろうが
【昔から言ってんだろ】
【オレは
騎士だって】