「なるほど、そんな事があったのね」
「長い間王女を待ち続けた騎士、ですか…まるでお伽話ですね」
無事朝が明けてみんなが集まった中
私はパジャマパーティーで得た情報をみんなに共有していた
「鎧に触った感覚や痛覚があるって事は…」
「分解は彼にとって生きたまま解剖される様なもので…」
「……次会ったらみんなで謝ろう」
エンジニア部は何やら反省している
「アリスとケイ?は随分と仲良くなったみたいだね」
「はい!ケイはヨジロウのことをいっぱい教えてくれました!」
「ヨジロウ?」
みんなが首を傾げているので説明すると
「ほ〜アイツそんな名前だったんだな」
「騎士に名前があったとはね」
「ヨジロウ…確かに騎士っぽく無いね」
『会った時にはあまり言わないであげて下さい、彼のコンプレックスですので』
「ヨジロウッヨジロウッ♪」
ケイが忠告しているがアリスは騎士の名前が知れてかなり嬉しい様だ
「それで、今日はその本体を起こすんだろ?一体どこにいるんだ?」
『それは』
ーーー
ーーー
ーーー
「まさかアリスが眠ってたとこにいるなんてねー」
“正確にはもうちょっと奥らしいけどね”
「ここまでありがとうございますネル先輩」
「おう、気にすんな」
私とゲーム開発部withネルが来たのはアリスが眠っていた台座の部屋
ネルが来たのは護衛と最後まで見たいからだそうだ
それにしても、奥って言うにはここはこれで行き止まりだと思うけど…
『こちらです』
ケイが何か操作すると今までただの壁だと思っていたものが動き出した
「隠し扉!?」
『違います。ここを保護するために他の壁と構造を似せたためこの形になったのです。むしろここが正規の扉なんですが』
初めてここに来た時のことを思い出す。いきなり承認されたこと思えば床が抜けてそのまま落ちたあの思い出。今でもあの時ついた尻餅は痛かった。今思えばあの時も騎士が色々誘導していたのかも知れないな
「先生、お尻さすってどうしたの?」
“過去の思い出に浸ってただけだよ”
『この奥です』
そう言いつつモーター音を鳴らしながら進むケイ
この扉の奥はケイや騎士の鎧の様な近未来があるのだろう
そんな期待を心の隅に抱きながら進んでみれば
期待は裏切られた
いや、正確には扉の向こうには予想外があった
確かに近未来な壁も装飾もある、普段ならその技術に目を光らせていただろう
普段なら
「なにこれ…」
「ロボッ、ト?」
「全部壊れてるの?」
私たちはその光景に絶句した
そこにあったのは残骸
広く長い通路を端までを埋め尽くすロボットの残骸
見渡す限りにある残骸、残骸、残骸…
“一体何が”
『全部あの騎士がやったことですよ』
ふと見ればそうどこか誇らしげな声色で語るケイ
『昨日話した一度だけの大規模な襲撃、その外敵をたった一人で殲滅したのです』
「この数を?」
「ざっと見るだけでも五百はいくぞこれ」
ようやく騎士がどれだけのことをしたのか思い知る
「…ヨジロウはずっとアリスを守ってくれていたんですね」
『王女よこれはあの者の使命であり役目なのです、これぐらいやってもらわないと困ります。…まあ少しは褒めてもいいですが』
「そうですよケイ、頑張った従者にはちゃんと褒美を与えなくてはいけません!さあ、早く行きましょう!」
ロボットの残骸で出来た道を進むと一つの部屋についた
通路にあるロボットはまだまだ続いている。…本当にどのくらい倒したんだろう
『ここはあの騎士のメンテナンス及び開発室です。ここに必要な物があります』
機械チックな部屋に入ると様々なものがあった
見たことのない機械がありエンジニア部が喜びそうだ
みんなも興奮して部屋を散策している
ケイが部屋に入り奥にある機械をいじると、床から直方体の台座が出てきた
その上には…
“指輪?”
銀色の指輪がそこにあった
『これは指輪型空間転送デバイス、対象の座標に合わせ物資を転送することができる機器で、また本体の安置する部屋の鍵です。どうやら騎士はもしものために、ここに保管していたのでしょう』
「ほおー、ずいぶん未来ってカンジだな」
「これでヨジロウを起こせるのですね!」
目的のものを発見し、いざ本体を起こしに行こうとすると
「ねえ皆んな!こっち来て!すごいのがある!」
モモイがやや興奮した声で呼んできた
『ああ、そちらの部屋は確か』
「ケイ、何か知っているのですか?」
『…行ってみればわかります』
声の方向に歩いていくと扉の前で目をキラキラしながら元気いっぱいにこちらに手を振っているモモイがそこにいた
「ここ!この部屋!」
モモイに連れられその部屋に入ると
「わぁ!」
「おおー!」
「これはすげえな…」
皆んな多様な反応をするが共通する感情は恐らく好奇心だろう
何故ならそこにあったのは
「おもちゃがいっぱいです!」
広い部屋の床、棚を埋め尽くす大量のボードゲーム、ぬいるぐみ、絵本、ブリキ人形、さらには遊具。
ありとあらゆる遊び道具がそこにはあった
「まるで玩具屋さんみたい」
“ここは…”
『騎士の部屋ですね』
もはやガイドさんと化したケイが言う
「騎士の?」
『正確には騎士の夢の為の部屋です』
夢?
こんな大量のおもちゃがいる夢ってなんだろうかと悩んでいると
ケイが何処か哀愁を感じる声色で語る
『…いずれ起きる王女と一緒に遊ぶこと、それが騎士の夢でした』
『起きたばかりの王女は知能が幼いであろうと推測し、騎士は王女に娯楽を与えたかったそうです。世界を滅ぼしても一人の少女として笑顔でいて欲しかったらしく』
『あわよくば一緒に遊んでその笑顔を見せてほしい』
『それが騎士の夢でした』
『外におもむけば何処からか拾ってきたボードゲームやぬいぐるみ、はてには遊具そのものを作ったりしていましたし』
『いつか目覚める王女と一緒に遊びたい』
『よく、彼はそう言ってました』
だからこの部屋はあの騎士の夢の部屋だと
改めてこの部屋を眺める
床には最低限通れるほどしかスペースはなく、棚には綺麗なショーケースに玩具が置いてある。
どれも破損しておらず埃一つ無い
これほど集めるのにどのくらいかかったのだろうか
時々遊び道具を探していたのはそんな意図があったんだ
「ケイ、ここにある玩具を持ち帰ることはできますか?」
『可能です。先ほど入手したデバイスによってここの部屋は接続されていますのでいつでも取り出すことができます』
「アリスはここにあるものでヨジロウと遊びたいです、絶対に起こして一緒に遊びます!」
『はい、きっと彼も喜びますよ』
そうと決まれば一緒に遊ぶおもちゃを今のうちに少しだけ選ぶことになり
それぞれが物色し始めた
「この人形すごく伸びる!」
「すごいこのボードゲーム、ホログラムが使われてる」
「このブランコ、騎士が作ったんだ」
「ケイ、これはどうでしょう?」
『それは少々難しいかと」
「おっ、射的もあるじゃねえか」
おのおの色んな玩具で遊んでいる…ていうかあの人形5mくらい伸びてない?
「あれ?」
モモイが伸ばしている人形に慄いているとミドリが何か発見したようだ
「このボードゲームも、他のも全部使う駒が三つしかない」
「なんか描いてあるぜ」
確かに駒が必要なものには三つしかない
わざわざ駒を作った形跡もある
そしてそれらの駒にはそれぞれ[王女][騎士]
最後に
[鍵]と刻まれていた
まるで一緒に遊ぶこと決定されていたように、他のゲームの駒にも必ず三つの駒と同じ言葉がある
『…そうですか』
そんなケイの声色は何処か嬉しそうだった。
Q. あれ?台座の奥の通路で戦ってたら資格なくても入れてね?
A. この台座の部屋は一度閉じると内側からしか開けることができず、資格を持つ先生が入ってきたルートは言わば裏口。そのため騎士は扉一枚、目と鼻の先いる王女に会えないという残酷な焦らしプレイを経験する羽目になり、あまりここまで来なくなった
…と言うことにしておいてください。頼みます
あと「転送って何だよ」って思ったそこの君!作者も分かんない!
ただ、もしこの小説を続けるならこれぐらいの代物が無いとヨジロウがキヴォトスで生きてけないと判断した結果入れました