大丈夫じゃなかった
[合宿…か]
“まあまあ”
あれから数日
オレ達は現在埃臭い建物の前にいる
[一次試験、見事に落ちたな]
「あはは…」
何とこの補習部は定期的にテストが行われ、最初の一回目を落ちると強制的に合宿が始まるという早く王女に会いたいオレとしては悪夢の様な仕組みがあった
しかも連帯責任……鬼畜か?
ヒフミは良かったんだよ
合格点を超えてたし
だが他の三人がダメだった
アズサは勉強意欲があるが土台がなってないし
ハナコは…多分わざとだろうな
テスト前までアズサ達を教える側だったのに点数は最下位の2点だ
いつも下ネタ言うし余裕の表情で笑ってるし
何か理由でもあんのか?無かったら
コハル…アイツはただのバカだ
何でわざわざ上の学年のテストを受けようとするんだ?バカなのか?
……バカだったわ
「ちょっと!バカバカ言わないでよ!」
[黙れバカ、お前らのせいで王女と会える日が伸びていくんだ、さっさと点数上げろ]
あ〜、もう王女とキィに会いたくなって来た
ユミちゃんには感謝しまくってるし辞めるつもりはないが
護衛の依頼がなければミレニアムに永住するんだがなぁ
…ダメだ、サクラコと会えなくなる
[一体どうすれば…]
「ねえ、その時々言ってる王女って誰のことなの?」
ふと見れば疑問を問いかけてきたコハル、アズサとハナコも聞き耳をたてているのかこちらを見ている。ヒフミはある程度理解してくれているのか苦笑いしているな
ほほう、そんなに我らの王女を聞きたいのか…
まったくしょうがないな
いやー!しょうがないなー!!
オレはあるものを右手に転送する
「わ!いきなり出てきた!」
「コーチお得意のマジックですよ」
ようやくだ
ようやくこれが日の光を浴びることになるとは、頑張って作った甲斐がった
さあ、刮目するがいい!
“それは?”
[オレ&キィ作、世界一可愛い王女の魅力説明紙芝居]
そう、取り出すはオレと(駄々こねて手伝ってもらった)キィとが一緒に作った紙芝居
タイトルは『世界一可愛い王女の魅力説明紙芝居!!』
“そのまんまじゃん”
別にええやろ、分かりやすいし
キィが台詞を執筆、オレが絵の担当したってわけだ
絵に関しては王女が目覚める間にアホほど描いたからな
…ほとんど風景画だけど
「この絵を全部コーチが描いたんですか?それにしては絵のタッチがそれぞれ違う様な…」
[色々な絵を真似てたら色々な癖がついただけだ]
“そんなことある?”
あるんだよ、真似てればいつか本物として自分のものになるんだよ
[さあさあ、よってらっしゃい見てらっしゃい、紙芝居が始まるよ〜]
「いつの時代よ」
やめて、オレにとっちゃ最近なの
ーーー
ーーー
ーーー
「面白かったです!」
「騎士と言うのはよく分からなかったが中々興味深かった」
「その三つ編みを結ってくれた方なんですね♡」
やったぜ、結構好評だ
「ミレニアムの一年生を主人にするって…ハッ!まさかロリk[コハル]…な、何よ」
オレは義手の手首を回転させながら言う
[オレの手首はご覧の通り360度回転することを可能なんだ、これでアイアンクローをするとどうなると思う?]
「…………もげる?」
[良くて片刃のプロペラ状態だな]
こう、頭を支点として足を振り回す様なことになる
それを想像したのかみるみるコハルの顔は青ざめていく
オホホホ、ピンクの髪もあってカラフルだこと(サイコ)
[ま、さっきハナコが言った様にこの三つ編みは王女が結ってくれたお守りでな、オレの大切な物だ]
それ故に色々苦労した
どうにか崩さないように髪を洗うため、エンジニア部に超音波とか振動を使って洗う機械を作ってもらったし
[まさかこんな埃くさい場所でお披露目するとは思わなかったがな]
「それなんですが、提案があるんです」
ハナコがいつもの笑みを浮かべながら手を挙げる
「大掃除しましょう!」
ヨジロウは昔一度だけ想像でアリスとケイと自分の三人がいる絵を描いたことがあるが、書き終えた後に形容し難い感情に襲われてビリビリに破いた
それ以降頼まれでもしない限り人を描くことをやめるようになった