ヨジロウが
朝、俺は土下座していた。
誰にかって?ユミちゃんにだよ
「おはようございま…アズサちゃん、何ですか?あれ」
「ああ、おはようヒフミ。あれは食費がなくて困っているヨジロウが台所係をする代わりに食事を分けてくれないか先生に土下座して頼んでいる図だ」
「すごく簡潔に言いましたね…」
おや、ヒフミが起きてきたようだ
もう最初から一部始終を見ていたアズサから解説を受けてる
コイツらは合宿だからメシは免除されるし先生も依頼だから同じだ
だがオレは違う
オレは生徒じゃないし、学校の関係者でもない。ただの護衛だ
自分の飯は自分で買わなきゃいけない
だけどな?無いんだよ、金が
サクラコにお土産に使って財布は空になり、なんとか残っていた金も昨日尽きた
俗に言うドジっ子属性ってヤツだな!
…多分キィにバレたら
と、言うことで…
[お願いしまーすっ!!]
“いや別にいいんだけど…何でお金無くなっちゃったの?結構溜めてたよね”
オレは三つ編みが地面につかないギリギリで再び土下座する
ふっ…何故、か
[電車の中で恩人がいるって言ったじゃん?その恩人にお土産買ってたらお金、全部なくなっちゃった☆]
“無くなっちゃった☆、じゃないでしょ。何やってるの、もう…”
そうは言っても舞い上がっちゃたんだもん、しょうがないだろ?
ユミちゃんだって好きな特撮のフィギュアとか玩具を買うとき財布見ないじゃん
“…まあ、そうだけど…”
[ほら見たことか!オレも同じなんだよ!生憎オレにはユウカみたいな存在がいないから浪費癖があるユミちゃんみたいに財布の紐を握られてないんだよ!]
“ぐっ…”
[大体なんで『生徒』に財布の紐を握られてんだよ!年上だろ!しっかりしろ!]
…ピキッ
あっやべ、一線軽く超えたかもしれん
“そう言うんだったら、早速何か作って貰おうかな?美味しくなかったら提案は無しだよ”
[な、何ぃ!?]
くっ、そう来たか!
…まあどちらにしろ台所係になったところで作るんだから遅いか早いかの違いか
[よっしゃやったらぁ!王女のために練習したチャーハンを作ってやるぜぇ!]
“なんて微妙なチョイス…”
シャラップ!
とりあえず台所の方に行き、エプロン着て、フライパンとお玉を両手に持ち
いざ!着火!
ドカーーーン!!
“な、何!?何したのヨジロウ!”
[オレじゃねぇよ]
台所の火をつけたら爆発って、立派な事件じゃねぇか
音から察するに外から聞こえたが…
「ふむ、昨日玄関に仕掛けておいたトラップに誰か引っかかった様だな」
[何やってんだアズサァ!!]
何で合宿するのに罠が必要なんだよ!
まずい!
このままじゃ見ず知らずのAさん(仮称)が危ない!
[すぐ止めに行くぞ!]
待ってろAさん(仮称)!
ーーー
ーーー
ーーー
[大丈夫かAさん(仮称)!]
「すみません!うちのアズサちゃんが!」
ぐっ煙たい!
「えーさん?とりあえずぶ、無事ですよ…」
「ひ、日々の暮らしに安寧を…」
なってこった!Bさん(仮称)もいるじゃないか!
それにしてもこんな状況で祈るとは…恐れ入るぜ
「ええっと、どちらに…」
「ま、前が…」
煙が上がりすぎてろくに前が見えないのか、二つの陰がウロウロしている
…むっ!危ない!
カーーーン!!(持っていたフライパンで瓦礫をホームランする音)
爆破の勢いで飛んだ瓦礫をとりあえず防ぐ
ようやく煙が晴れてきて、そこには…
「あ!ありがとうございます!」
[大丈夫か?悪い、うちのバカが…ってサクラコ?マリーの嬢ちゃんも!]
「こ、こんにちはヨジロウ様」
仮称が無くなった