[…ねむい]
夜の街に繰り出したのはいいものの、眠い
まだこの睡魔があるうちに寝ておかないと後で苦労するから今のうちに寝たい
「大丈夫ですか?コーチ」
“合宿所で寝てても良かったんだよ?”
ヒフミとユミちゃんが心配してくれるがオレとしてはそのつもりはない
理由は…まあ小っ恥ずかしいが
[一人は寂しいから]
“ヨジロウ…”
…うん、分かったから頭撫でようとすんな
オレお前の何倍年上だと思ってる
おい、おいコラ撫でんな!
オレを撫でていいのは王女とキィか撫でてほしい時だけダァ!
[…はぁ]
…こんなこと思っちゃったから王女とキィに会いたくなってきた。元気にしているだろうか?時々キィから送られる写真と動画が心の癒しだ
30秒ほどの動画を延々と見続けて2時間経っていた時は流石に危機感を抱いたし、ユミちゃんにヤバいやつを見る目で見られた。ついでにヒフミからは病院を勧められた……誰が行くか
あ〜どこかに王女とキィいないかな〜
ネルとも遊びたいし…もういっそ野生のネルでもいい(錯乱)
…なんか今睡魔に襲われて訳わかんないこと思わなかったか??(正気)
それにしても眠い
何故コイツらは和気藹々と元気におしゃべりしてるんだ?
普段オーバーワークしてるユミちゃんはともかくコイツ等は人間じゃないのか?
…人間じゃなかったわ
「コーチ、あのスイーツ屋さんに行きますよ!」
いつのまにか話しが纏まっていたのかヒフミが教えてくれる
いかんな、頭に入ってこなかった
…スイーツか、美味しいのがあったら今度サクラコに教えよう
そうして、かろうじて動く頭を回転させながら
少しの好奇心と共に店内に入って行った
ーーー
ーーー
ーーー
[さて、何故こうなった]
目の前から髪を強制にオールバックにする爆風に爆発音
なんか縄で縛られてエプロン着たゲヘナ生徒と思われる人物
そしてそのエプロン少女に一方的に話しかける銀髪娘
その方、口塞がれてて会話になってませんよ?
おっかしいなぁ
ただスイーツ屋に入っただけなのに何故こんな光景を見なきゃならんのだ
もう眠気が限界超えて色々意識が覚醒してしまった
“ヨジロウ、大丈夫?”
[ハハっ
店に入ったのが始まりだった
そこでコハルの先輩と出会った…確かハスミって言ったか?
それに関しては別にこの際いい
こっからだ、こっからトリニティに襲撃があったとか先輩さんに連絡があったかと思えば条約前に事を荒げたくないとか何とかで『シャーレ』に救援を頼みやがった
『先生』であるが故に『生徒』を見捨てることができないユミちゃんは勿論その頼みを承諾
そして護衛であるオレもついでと言わんばかり連れていかれ現在
「あっ!ゴールデンマグロがーっ!」
なんか金ピカな魚が空に吹き飛んでるし
何だっけコイツ等の名前、なんたら研究会だってことは覚えてるんだが
び…美…美しょ………ああ、思い出した
確かに汚職なんて言葉を自分たちのグループ名にする奴らだ
そりゃトリニティに入れる理由は無いわな
きっとあの金ピカな魚も賄賂か何かだし、さっきの爆発も汚職の隠蔽か何かだろ
そうだ、そうに違いない
汚職か……リオとか推薦してみようかな?
それはそうと、この覚醒をどうしてくれよう
さっきまであんなに目がシバシバしてたのに今じゃガンギマリだ
そのくせテンションは変わらない…何これ、気持ち悪っ
[…ガンギ
…殺されそうだからやめとこう
眠気?吹き飛んで今頃お空で人工衛星とタップダンス踊ってるよ
いや、ブレイクダンスか?
“どうしたのヨジロウ、考え事?”
[人工衛星ってタップダンスとブレイクダンスどっちが好きかなって]
“…なんか面白そうだし録音しとくね”
正義実現委員会の援護としてヒフミ達の指揮をとっていたユミちゃんが聞いてきた
録音?何故?何かおかしなこと言ったか?
「これは…皆さん!一旦バラバラに逃げて後ほど合流しますよ!」
む!汚職研究会どもが逃げようとしている
逃すかぁ!この意味分からん覚醒になった恨み、晴らさせてもらう!
[セイッ!]
オレは右手に転送した剣を銀髪娘に思いっきりブン投げ
その銀髪に吸い込まれる様に軌道を描き
「う゛っ」
はい
距離は…大体10mってところか
これダーツなら100点だろ
あっでもダーツって最高点60だったな…まあいっか
[よう、届いたか?オレの思い]
「…純度100%の殺意でしたわ」
それはけっこう
何ならおまけでもう一発くれてやろうかしら?
地に伏しながら喋る銀髪娘を横目に、他に逃げていったやつを追うとしよう
ヒフミ達はさっきの戦闘で疲れてるっぽいし、やるっきゃねぇ
「ん〜!ん〜!ん〜!」
[何だ?
あ、違うわ
今叩きのめした銀髪娘に執拗に喋りかけられてたエプロン娘か
ありゃ〜縄でグルグルだし口も塞がれて、可哀想に
「ん〜!んっ!んん〜〜!」
[ふむ…あの銀髪娘にもう一発喰らわせろって言いたいんだな、よっしゃ任せろ!]
「フ、フウカ…さん…?」
「んん〜〜〜〜っ!!!」
違うっぽい
何言ってんのか分かんねぇしさっさと口の布外すか
「ぷはっ!あ、ありがとうございます…」
[よく分からんが大変だったな、汚職する奴等に攫われるなんて]
「汚職?」
これで会話も出来るだろ
[よし、それじゃあ改めて残りの奴等を追うとす……ん?]
「きゃっ!」
意気揚々と向かおうとしたら
オレ達の背後から何者かが猛スピードで走り去っていった
「ウウォァァァァァァ!キヒャハハハハハァァァァッ!」
「ちょ、ツルギ先輩!」
ドドドドドドドドッ!(進行方向に存在する森羅万象を破壊する音)
[………]
「………」
「………」
なにあれ
服装から見るにコハルとかの仲間だと思うんだが…スカートの端が真っ赤になってるぜ?血かな?
うわっ『生徒』が潰れた缶みたいになってる、怖っ
[…なあエプロン娘、あれが般若って奴かな]
「え?さ…さあ?」
やはりキィを怒らせるのはやめておこうと、オレは再び心に誓ったのであった