待ちぼうけの騎士〜天童アリスの護衛従者〜   作:弥次郎兵衛

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チャンバラはロマン

オレは今、護送車の中にいる

 

…勘違いしないでほしいが何かしたわけでは無い、ただの監視だ

汚職研究会とエプロン娘を見張ってほしいと頼まれたのだ

 

まあ…監視って言うよりただ駄弁ってたんだけど

 

[へ〜フウカは給食部ってところに居んのか]

「えぇっと…まあ、はい」

「フウカさんはとても優秀なんですよ」

 

喋ってるのはエプロン娘ことフウカ、銀髪娘ことハルナ(さっき10回ぐらい口に出して覚えた)

 

ちなみに、さっきから護送者の奥で騒いでいる汚職研究会の残り三人は例の般若に捕まったり、道に迷ったりしてたそうだ

 

あの般若に捕まった一人の腕がありえん方向に向いているのに平然としているのを見ると…うん

やっぱり生物としての差を感じる、こういうところがあるからオレは『生徒』を人間として見れない。何故銃弾に当たっても平気でいられるんだい?体の構造は同じなのにボク怖いよ

 

「私たちは俗に言う食レポなどが得意ですね」

()レポ…とな]

 

自分の汚職をわざわざレポートするとは…

とんでもない悪党じゃないか

アル、これがアウトローって奴なのか?

 

[金ピカ魚の賄賂もその職レポに使うってわけか]

「賄賂?」

 

ん?何だその意味が分からないと言わんばかりの顔は

そして何だフウカ、そのジト目は

 

[?]

「?」

「なんか根本的にすれ違ってるような…」

 

あ、そうだ

給食部なんていかにも料理してます感があるし、何かアドバイスを貰いたい

そろそろオレのチャーハンにも何かアレンジが欲しいのだ

 

「あっ私のお団子!」

[ん?]

 

声を出した赤髪(ジュンコ)の方を向けば、何かがこちらに飛んでくる

 

あれは…うん、お団子だね

串団子振り回して吹っ飛んだんだろう

見事に3つオレに向かって飛んでくる…オレ団子に恨まれることしたかな?

 

[よっと]

「わっ、すごい」

「見事に刺さりましたわ」

 

とりあえず右手に転送したバーベキューの串で3つ全てフェンシングの様に空中で刺した

このぐらいはお手のもんよ、どれほど棒状の物を振り回してきたと思ってる

 

「何でバーベキューの串なんか持ってるんですか?」

[いつ王女が『焼きマシュマロしたい』と言ってもすぐ準備できる為に決まってんだろ?]

「…それ別にバーベキューじゃなくても良いのではありませんか?」

 

べつにええやん

棒切れ振り回したいのが男の(さが)って奴なんやで

 

ーーー

ーーー

ーーー

 

⬜︎

 

「久しぶりね、先生」

“久しぶり、ヒナ”

「死体は何処ですか?」

 

私は美食研究会を引き取りにきた空崎ヒナに挨拶をしていた

わざわざ来たあたり相変わらず多忙らしい

 

「死体は何処ですか?」

 

生徒を見守る立場から見ると私と同じくらい忙しいヒナを見ると少し複雑だ

顔を見れば少し隈が増えてる様な…

今度シャーレに来てもらって休んでもらおうかな

 

「死体は何処ですか?」

“………”

 

…うん、聞き間違いだと思って流していたけどはっきり言ってる

ヒナの横にいるから怪しい子じゃ無いはずなんだけど、めちゃめちゃ『死体』って言ってる

生徒にこんなこと思うのは少し気が引けるけど…怖っ

 

何で死体?無いよ?死体

ここキヴォトスよ?そう簡単に死人なんて出ないよ?

そして何故死体を望んでるの?大人でも怖いモノは怖いんだよ?

 

「セナ」

「…失礼、少し噛みました、負傷者は何処ですか?」

 

ヒナが嗜める様に言う

 

あ〜なるほど、噛んじゃったのね、なら仕方ないね

どう考えても最初の一文字も文字数すらも違うけど噛んじゃったんだね

なら仕方ないね!

 

“そう、仕方ない、仕方ないはず”

「…なんかごめんなさい先生」

 

ーーー

ーーー

 

⬜︎⬜︎

 

“…なるほどね、ありがとうヒナ”

 

先生から例の条約について自分なりの考えを伝えた

笑みを浮かべているところを見ると好印象だったみたい

トリニティとゲヘナは仲が悪いことで有名だから心配していたのかしら

 

「それじゃあ美食研究会はこちらで預かるわ」

“うん。ありがとねヒナ”

 

先生から感謝された

 

久々に先生に会えたから嬉しい

今日はよく寝れるかもしれない

 

[はぁ!?汚職研究会じゃなくて美食研究会だったのか!?]

「その様に思われていたとは…心外ですわ」

「やってる事はほぼテロリストでしょ、あんた達」

 

声がした方を向けば美食研究会のハルナと給食部のフウカが誰かと喋っている

あれは

 

“そういえば初めてだったね、彼が私の護衛をしてるヨジロウだよ”

 

先生から紹介を受ける

 

「彼が…」

 

存在は知っている

先生の護衛という役職に就いたから少しの私情(嫉妬)と共に調べたからだ

 

突如としてシャーレに先生の護衛として現れた人物

はじめの頃は騎士の姿をしたロボットで自分の事を『騎士』と名乗っていたが

ある時期から今の様な人間の姿をし、『ヨジロウ』を自称している

 

詳細は不明、それどころかシャーレに入る以前の記録が殆どない

せいぜい不良が廃教会の近くで見たとか、砂漠をウロついていたのを目撃した等のもので

何か核心を突ける情報に絞れば殆どどころか、皆無に等しい

 

“大丈夫だよ、ヨジロウは信頼できる”

 

そんな思惑が伝わったのか先生が擁護する

 

「…ええ、分かってるわ」

 

だけど正直、羨ましい気持ちがあるのは本当

 

先生の護衛なんて役職、出来ることなら私がやりたかった

先ほどから彼の様子を伺ってるが今もフウカとハルナに喋りかけてるだけ

特筆するところが見当たらない

 

…なんかハルナの顔を掴んでるし

 

“あれ?ハルナがアイアンクローされてる、あれ地味に痛いんだよね”

 

果てには先生にもアイアンクローをしているらしい

羨ま…いいえ、よく無いことよ

しっかりしなさい空崎ヒナ

 

「…はぁ」

 

隙も無いわけでは無いし、特別強そうに見えない

何かあるとしたら噂のマジックぐらいね

 

“…まあ、確かに護衛と言ってもお手伝いみたいなものかな?ねぇヨジロウ”

 

「? 先生、彼はあそこに[心外だ]…ッ!」

 

それは条件反射と言うか、ゲヘナで培った癖と言うべきか

いきなり後ろから先程まで嫉妬していた声がし聞こえたせいか

 

つい、本当に『つい』自分の愛銃で振り向き様に頭を目掛けて振りかぶってしまった

 

 

 

 

[おっと]

 

 

 

 

()()()()

 

「なっ…!」

 

バットを振る様に振りかぶった愛銃は自分の手元に無く

 

[悪い驚かせたな、はいこれ…それにしてもゴツいね、お嬢ちゃんの銃]

 

彼の手元にあった

 

現代()の子ってこんなゴツい銃使ってんの?…いや、昔友達にこんなの使ってるやついたわ]

 

一体いつから?いつ盗られた?

そもそもさっきまでフウカ達と喋っていたのに何故背後に?

先生は気付いていた、つまり瞬間移動とか高速で現れたとかでは無い

 

歩いて?私に気づかれずに?

これでも治安が悪い事で評判なゲヘナで風紀委員長を努めている

そんな委員会に入ったばかりの新入生がする様なヘマはしない

 

[話を戻すがこれでもちゃんと仕事はしてるぞ、ただ『シッテムの箱』が想像以上に便利なのが問題だ。やっぱ何か入ってんだろ、そのタブレット]

“な、何のことかなぁ〜?”

[お手本の様にうわずった声をどうもありがとな!]

 

先生はいつも通りだった

 

ーーー

ーーー

◼️

 

悪いことをした

ユミちゃんとゲヘナのお嬢ちゃんがオレの事を話してるみたいで近づいたら驚かせてしまった

あんな驚くとは思わないじゃん、ゴツい銃で叩かれそうになったわ

 

まあ、あの銃も所詮は棒

オレの間合いにかかれば奪うのも容易い、恐るるにたらんわ!

ガーハッハッハッハッハッハッハ!

 

「ヒナ委員長、死体…もとい負傷者の回収が終わりました」

「分かったわセナ」

 

ええ…?

 

[いきなりJKが死体とか言うのは流石に恐れるぞ]

“分かるよ、すごく分かる…っ!”

 

良かった、ユミちゃん(仲間)がいた

と言うか死体って…ああ、ヘンな子なのね、理解したわ

 

そんな一種のシンパシーと共にオレ達は合宿所に戻り

慌ただしい夜をを終えたのであった

 

 

 

 

 

次の日、ユミちゃんから録音を聞かされたのだが…

『人工衛星がタップダンス踊る』って何?




ヨジロウは棒状の物に関しては一流と言えるほど遊b…訓練して来たのでこのくらい余裕です
棒状であれば電柱とかはともかく大抵のことは出来ます


・振られ途中の棒を奪うことができる
・ギリギリ100m圏内なら投げてもほぼ100%当てられる
・傘を手のひらに立ててバランス取るヤツを1mmも動かさないで長時間保てる(止めるのは飽きるため)
・ペン回しがメッチャ上手い
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