「一生大切にする」
「そんなに喜んでもらえてこちらも嬉しいです!」
オレの目の前でアズサとヒフミがにこやかに話している
周り…と言うか隣を見れば、ユミちゃん含めたコハルとハナコの三人が苦笑いしている
三人の視線の先にいるのは
「やっぱりペロロ様は可愛いですよね!」
アズサとヒフミが抱きしめている
奇怪な姿をした鳥、猫、ドクロの
ーーー
ーーー
ーーー
数日前
「モチベーションのために頑張った人にはこの中から好きなものを差し上げます!」
と、ヒフミが言い出した
内容は単純、言った通りテストのご褒美としてヒフミが集めたキャラクター達の人形をくれるというものなのだが…
「…何これ、カバ?」
「ペ、ペロロ様ですよぉ!」
これが噂のヘドロ様…なんて微妙なデザインなんだ
何だこの…これ、目の焦点があってねぇんだけど
他にもドクロがいたり、妙に長い黒猫…え?いつもウェーブして踊ってるって?
……踊る猫って何??
ほれ見てみろ
コハルは引いてるしハナコは苦笑い、アズサは目を輝かせている
…おい待て『輝かせている』?
「か、かわいい!」
「! そうですよねアズサちゃん!可愛いですよね!」
な、何ぃ!?
う、嘘だろ…これが、これが今の可愛いなのか…っ!?
半信半疑…いや、一信九疑で見てもそのまま談笑するあたり勘違いとかでも無さそうだ
そうか…これが現代の可愛いなのか
こんな
[…ん?]
あれ?待てよ?
不気味って言葉、オレ最近聞いたぞ
そう、例えばオレの自作人形をミレニアムの皆に布教しようとしたら
ほぼ全員の口から聞こえたような…ま、まさか!
[アズサ!]
「何だ?」
オレは淡い期待を胸に、あるものを転送する
[これはどうだ!カワイイだろう!]
「何よそれ、機械?」
コハルが訝しげに聞いてくる(訝しげに聞くな)
そう、オレが取り出すは
[オレ自作!『追従者』である無名の守護者Type.M人形だ!]
ミレニアムじゃ散々不気味とか言われたが…ここならば!
あの不気味なモモフレンズ?なる物を可愛いと言うアズサだ
もしかしたら…もしかしたら!
「なんだその不気味な人形は、全然かわいく無い」
[ガフッ]
「コ、コーチ!?」
ま、まだだ!
あまりに純粋な目で貶されたから思わず片膝をついちまったが…
まだこちらにもモモフレンズ同様、他のレパートリーがある!
[ならType.Bは!]
「…虫か?」
[Type.F!]
「不気味な蜘蛛だな」
くっ…!な、なら!
ミレニアムで知り、オレの人形コレクションに突如として乱入することになった
いわばダークホース!
[新星!アバンギャルド君はどうだ!]
「ヘンなロボットだ」
「何これ、ダサい」
[グフゥッ!]
“ヨ、ヨジロウーー!!”
全……滅…
リオ、オレ達の美的センスは世界に理解されなかったよ…
コハルの援護射撃も加わりオレの心はボドボドだぜ
ーーー
ーーー
ーーー
と言う事があって、現在
[
「ペロロ様です」
「ペロロだぞヨジロウ」
へいへい
『一生大切にする』…か
アズサ、その気持ちよく分かるぜ
嬉しいよね、誰かからの贈り物ってメチャクチャ嬉しいよね
サクラコのしおりも然り、王女とキィから貰った三つ編みとミサンガも貰った時は飛び跳ねそうになったわ
そういうところがあるアズサは個人的に好感が持てる
だが、
[…なぁアズサ、やっぱりType.Mも「いらない」……ソッカ]
この前もそうだが、そんなにもはっきり言われると流石に傷つく
これがあれか、10の声援よりも1の罵声が響くとか言うあれか
…あれ?10どころか1つも声援を貰ってないな、これじゃただの罵声だけだ
…泣いていい?
ーーー
ーーー
「〜♪」
私はいつも通りにサンドウィッチを作ってヨジロウ様がいる合宿所に向かっていました
最近はずっとこの時間が好きです
この朝の清々しい空気と共に…す、好きな人に毎日会えるのですから
今日はデザートとしてフルーツも持ってきましたし、いつもより一緒にいられる筈です
「今日も美味しいと仰って下さるでしょうか」
…いいえ、大丈夫です。大丈夫ですよサクラコ
以前毎日の様にサンドウィッチでは飽きてしまうのではないかとお聞きした時
[いいや?全く]
[お前がオレのために作ってくれた物だぞ?飽きる要素なんて無い、逆に見つける方がムズい]
まだ世界の写真からシャ◯ガイ探す方が簡単だ と、褒めてくれたではありませんか
シャイガ◯という存在がどの様なものがわかりませんが
「…えへへ」
ハッ!い、いけません
顔がニヤけてしまいました
「ふぅ…そういえば、今日の具材でヨジロウ様が初めて食べる物はあるでしょうか?」
サンドウィッチの入ったバスケットを腕に通し、両手で頬をグニグニしながら疑問を持ちました
この前は初めてハムを食べたと仰っていましたし
その前は初めてのトマトが酸っぱかったのか顔をギュ〜ってしていました……可愛かったです
「…あ」
そう考えている間にもいつの間にか合宿所についてました
いつもはこの場所に早く着きたいと思うのか、遅く感じるのに…不思議です
そんな考えを持ちながら、私はドアノブに手を伸ばしました
ーーー
ーーー
「ヨジロウ様、今日もお昼を一緒に…ヨジロウ様?」
普段なら迎えにきてくれるヨジロウ様がいない
まさか、私の差し入れに飽きてしまったのでしょうか…
「……グスッ」
“違う違う、絶対違う”
「あっ、せ、先生」
もしかしたら、と言う不安に襲われているところを先生に止められる
「あの、ヨジロウ様は一体どちらへ?」
“ほら、アレ”
先生が指を刺す方には山のように積み上がった
あれは…お人形さんでしょうか?
その中から埋もれて、僅かに見えるのは見覚えのある
“自分が作った人形に散々言われて拗ねちゃったんだ”
「は、はあ…」
事情を聞けば補習授業部の皆様に自分が作ったぬいぐるみが不評だったらしく
例の転送に登録していた今まで作った物を全部出し、その中に埋もれたとか
「お人形…ですか」
見れば丸い体に触手?が生えているものや
蠍のようなもの、同じく丸い体に蜘蛛のような足が生えたもの
あとは…ヘンテコな顔をした四本腕の人形もありますね
“アバンギャルド君はともかく、やっぱりビジュアルがなぁ〜…”
ほら見てよこの目、夜に目が合っちゃってさぁこの間ガチビビりしたよ…と、先生は積み上がった人形の一つを手に取って言う
そんなに怖いでしょうか
改めて見ても可愛らしいお人形なのですが…
“これじゃ生徒たちに人気が無いのも[何でだよ!]あ、おはよう“
お人形の山からヨジロウ様が飛び出してくる
[ほら見ろこのクリクリとした目!丸っこいフォルムに3種のレパートリー!それに沢山いてワチャワチャしてる!現代の可愛いに当てはまってんじゃん!]
ヨジロウ様は少し涙目になりながら捲し立てる
“いや、その特徴は驚くほど捉えてるんだけど…こう、威圧と言うか兵器感があるだよ、だからじゃない?”
[戦車とか乗り回してるのに何を今更]
“うわすごい、何も言い返せない”
まあ、確かにクルセイダー?と言う戦車を貸し出してると聞きますし、今更と言えば今更ですね
先生はそのまま口を閉ざしてしまいました
「…?」
いえ、これは声を出さず口の動きで何か私に伝えていらっしゃる?
えぇっと…
(今可愛いって言えば好感度バク上がりだよ!)
「えぇっ!?」
[? どないしたサクラコ]
そ、そんな方法は…何かヨジロウ様に対して気が引けると言いますか…
もう!
「……」
で、ですが可愛いと思ったには事実ですし…
ヨジロウ様の作った人形ですし…
……よし
「…わ、私は丸くて可愛らしいと思いますよ?」
[ッ!!]
うぅ…言ってしまいました…
ちゃんと本心から言ったつもりなのに意図があると思うと罪悪感が…
ああ主よ、私はヨジロウ様に少しでも好きになられたいあまり、こんな[サクラコ!]ひゃい!
声を上げたヨジロウ様は私の肩を掴み、顔を近づけて…か、顔!?
[そうだよな!可愛いよな!流石よく分かってる!]
「か…顔、近」
興奮しているのか顔が目の前に…っ!
ち、近いです…っ!
[そうだ!今度サクラコの人形も作ろう!お礼だ!]
「か、顔が…」
うぅ、私の顔も熱くなってきました
大丈夫でしょうか、変な顔になってませんよね…?
[顔?ああ、もちろんお前みたいにとびきり
「か!かわっ!?」
ヨジロウ様が私をか、可愛い?
可愛い、かわいい、とびきりかわいい…
“あの…大丈夫?サクラk…サクラコ!?顔から湯気が!!”
「キュ〜…///」
その後キャバオーバーで倒れてしまった私は無事に目覚め
持ってきたサンドウィッチをヨジロウ様と一緒に庭の木陰で食べました
その時に食べたデザートのキウイが甘酸っぱかったのか、また顔をギュ〜ってしました
可愛かったです
サクラコの日誌より抜粋
…あれ?追従者って実質ミニ◯ン?(錯乱)(洗脳)(混乱)
一応ヨジロウは食べ物に慣れるためにミレニアムで色々食べています
以下、古代兵器達の初めてのコーヒーより
「うわーん!コーヒーが苦いです!」
『貸してください王女、私が飲みます…………ッ』
[お前も飲めないじゃん、貸せオレが飲mマッッッズ!!!!]