前回の《でんこうせっか》を使用していた件について大変ご迷惑をお掛けしました。
白愛様
フォークロア様、神移様
高評価ありがとうございます。
お陰様で更にこの作品に対しての意欲が高まりました。
それから誤字報告して下さった方々、ありがとうございます。
「先ずはおめでとう、サトシ!」
夜、宿泊施設の中でおふくろが勝利のクラッカーで俺の勝利を祝ってくれた。
「後はケーキがあれば…。」
「そこまでは良いよ、まだ1回戦を突破しただけなんだし。」
「そう卑下してはダメよ。
一回戦突破するだけでも凄い事でしょ?
───皆んな、ポケモンリーグに出る為に一生懸命なんだもの。
その中で、サトシやリーフちゃんにシゲルくんは勝てたのよ?
そう思うと、1回戦勝っただけでも祝いたくなるものよ。」
…おふくろの言葉に、俺は思わず言葉を無くしてしまった。
勿論、いい意味でだ。
「おふくろ…詳しいんだね、ポケモンリーグの事。」
「少しはね。これでも昔、今のアナタと同じ歳の頃には本気でポケモントレーナーになろうと思ってたのよ。」
…そうだった。
おふくろは一度ポケモントレーナーになろうとしていたらしい。
だが……色々な事情があってポケモントレーナーを断念せざるを得なくなったらしい。
因みに、オヤジに関してはかつては愛情があった様だが、おふくろの父親と同様にトレーナーになり、家を飛び出してから音信不通などから…2人に関してもう愛情は無いとの事らしい…。
「…そうだったね。」
「そう暗い顔をしなくても良いの。
ママはサトシが元気にポケモンマスターを目指してくれれば良いの。
サトシはちゃんと、連絡を小まめにしてくれるしね。」
「それは当たり前の事だから…そのぉ…。」
「ふふ…サトシはそれで良いの。
アナタは私の自慢なのだから、お祝いしたくなるの。」
と、俺を抱きしめては頭を撫でてくる。
…全く、そんな風に言われてこうされたら、俺は何にも出来ねぇだろうがよ…。
「はは、サトシでもママさんには敵わないんだな。」
「ほんと、こういうの中々見られないからお得よね〜。」
タケシはハハハと笑い、カスミは面白そうにしてながら俺を見てくる。
バーロウ、見せもんじゃねーんだべさ!
「でも、さっきのハナコさんの言う事も間違いじゃ無いと思うよ?
このポケモンリーグに挑む全員はジムバッジを8つ集める程の猛者達。
その中で、勝てた訳だもんね。
浮かれすぎずに喜ぶ、って感じだね!
よーしっ! 次も勝ぞぉー!」
リーフはおふくろの気持ちも組んで、勝利を喜んでいた。
「そうねぇー、ま、ハナコさんの言う事も間違いじゃないわねー。」
ブルーさんが飲み物を飲みながら、何か作業をしている。
「あれ、ブルーさん何をしてるんです?」
「ん? ああ、これね。
私、ポケチューブ活動もしているから。
その為のメモ書きをしてるのよ。」
え、モデルだけで無くそんな事をしてるんですかい…。
ポケチューブは動画配信サイトの事で、その名の通り、ポケモンを主体とした事が多い…てか、しかない。
そして、ブルーさんはラジオ的な活動と、今回の様なポケモンリーグの現場解説や感想を述べたりとしているらしい。
「そう言えば、ブルーさんの『世界一の女』って具体的にはどういったのを示してるんですか?
モデルだったり、ポケチューバーだったり…これらだけでも、ブルーさんなら忙しいのに、チャンピオンリーグも欠かさず出ているみたいですし。」
ここで軽くブルーさんのトレーナーの特徴を述べよう。
ブルーさんは『ベテラントレーナー』。
戦績は…カントー、ジョウト、シンオウ、ホウエン、カロス、イッシュ、ガラルと、現時点でポケモンリーグがある地方の全てに挑戦し、全て制覇している。
加えて、既にトップコーディネーターであり、現時点で5つある地方のコンテストに出場し、ホウエン、イッシュ、カントーの順で3回優勝している。
これだけでも、彼女がベテラントレーナーである凄さを充分理解しているが…驚くべき事に、彼女はカントーのチャンピオンリーグにも出場した事があるのだ。
だが、残念ながらまだ一度も勝てていないが、カントー四天王からその腕前を高く評価されてカントー四天王に勧誘されているとか。
話は戻り、俺が問いかけると、ブルーさんは少し微笑んだ感じになって話し始める。
「私はね…世界一の女になりたいのよ。」
「世界、一の女?」
「そう。難しい話じゃ無いわよ?
そのままの通り、世界一の称号が欲しいの。
バトルにおいても、女としても、全てにおいて世界一に私はなりたいのよ。」
カスミの疑問にブルーは真っ直ぐ応える。
…前世だったら、迷わず馬鹿にされる様な夢物語だろう。
しかし、彼女の目は本気だった。
熱意があった。
そして……何より、この世界なら…叶えられる夢であろう。
「ブルーさんらしい、いい夢っすね。」
「あら、馬鹿にしてる?」
…はい? 何を言っているんだ?
「馬鹿にする訳ないじゃ無いですか。
アナタの目を見れば分かる。
本気でその称号を手に入れようとする、強い熱意。
それを馬鹿にする者がいれば、俺はそれを絶対に許さない。」
そうさ、人の夢を馬鹿にする奴なんてクソッタレ。
何よりカッコよくねぇ、ダセェ話だ。
単調すぎないかって?
それで上等、何より…俺にとってはカッコいいは大事なことだからな。
「俺だって、ポケモンマスターになるという夢がある。
強く、優しく、ポケモン達と仲良くてカッコいい奴を目指してるんだ。
ブルーさんに負けない夢を持ってるんっすよ。」
「……へぇ。」
ブルーさんは微笑みから俺を深く見極める顔になり……直ぐに微笑み返す。
「だったら、先ずはこのカントーリーグを優勝してみなさい。
最も、私の可愛い妹のリーフちゃんに勝てるか、分からないけどね。」
ブルーは立ち上がって、今の俺の状態(おふくろに抱きしめられてる)と同じ事をリーフにする。
負けられないな…!
「その状態じゃ、どうカッコつけたって貫禄がないわねー。」
うぐっ!
「おーふーくろー!」
「はいはい、サトシならなれるわよ、ポケモンマスターに。」
「そうじゃなくて、俺をいつまでも子供扱いすんなー!」
「ハッ!」
「やっと分かって───」
「サトシ! おふくろじゃくてママと呼びなさい!」
「今そこぉ!?」
俺等親子のやり取りを見たカスミ達は大笑いだった。
………尚、時は同じくして、シゲルの所ではナナミから可愛がられて恥ずかしがっているシゲルの姿があったとか。
翌日。
午後からの俺の試合…相手はセイジという選手であり、フィールドは『氷』。
リーフとシゲルは午前の部で2回戦も通過した。
「…負けられないな。」
俺はグローブを嵌めながら呟く。
『さぁ! いよいよ氷のスタジアム第4試合!
セイジ選手 VS サトシ選手!
勝利の女神はどちらに微笑むのかぁ!?』
「では、両選手! ポケモンを!」
「いけぇ! ゴルダック!」
「アシレーヌ、キミに決めた!」
セイジはゴルダックを繰り出して、俺はアシレーヌを繰り出した。
因みに、今回エントリーしたのはアシレーヌに、控えのゲッコウガとゼニガメだ。
『おお!! これはまたもや珍しい!
サトシ選手はアシレーヌを繰り出したぁ!
主に生息しているアローラ地方でもあまり見かけず、持っているトレーナーも少な……おお!?
よく見れば、サトシ選手のアシレーヌは色違いだぁ!!』
実況の解説で、会場が凄まじい勢いで盛り上がる。
…よく聞けば、『美しい』『綺麗』と、アシレーヌを褒める声が聞こえて、コチラも気分が良い。
「アシレーヌ、頼むぞ。」
『フィ〜!!』
「…珍しいが何だ! そんなので勝敗は決まらんぞ!」
それはそうだ。
「試合開始!」
「ゴルダック! 《いやなおと》だ!」
早々から《いやなおと》で防御を下げ、物理技で攻める作戦か?
「ならば、こちらは《ハイパーボイス》で対抗だ!」
同じ音技で且つ、こちらはダメージ技で対抗する。
この場合、技の強さとポケモンの力量が勝敗を決める。
音技勝負は……アシレーヌが勝った。
《いやなおと》は掻き消され、挙句に《ハイパーボイス》のダメージをゴルダックは負う。
「なら! 《アクアジェット》だ!」
…恐らく、《アクアジェット》で突撃し、追撃に物理攻撃で攻めるパターンか?
「アシレーヌ、こちらも《アクアジェット》で迎え撃て!」
悪いが、俺のアシレーヌは特殊だけが強い訳じゃないぞ。
物理だって、鍛えているんだ!
アシレーヌとゴルダックの《アクアジェット》がぶつかる。
…そして、勝ったのはアシレーヌだった。
「馬鹿な!? 物理でも負けた!?」
「アシレーヌ、ゴルダックを下半身で捕えて、フィールドに叩き落とせ!」
アシレーヌは宙の中でもゴルダックを器用に下半身で捕え、フィールドに力強く叩き落としてダメージを負わせ、追撃に《ハイパーボイス》で戦闘不能にする。
ゴルダックは倒れた。
「ゴルダック、戦闘不能! アシレーヌの勝ち!」
ゴルダックが倒れた事で、セイジは悔しそうにボールに戻した。
『サトシ選手のアシレーヌ! ゴルダックを圧倒!
美しいだけで無く、バトルの強さも一級品だぁ!!』
アシレーヌが勝った事で、観客の喝采が凄まじくなる。
おいおい、実況…俺のアシレーヌは一級を遥かに超えるぜ?
「まだ勝負はついていない! パルシェン!」
セイジは二番手にパルシェンを繰り出した。
『セイジ選手、二番手にパルシェンを繰り出したぞ!
さぁ、一体どの様な戦いを見せるのか!?』
「パルシェン、《ちょうおんぱ》だ!」
『ああっと! 今度も音技で攻める!
『こんらん』状態が狙いか!?』
「アシレーヌ、落ち着いて《ハイパーボイス》!」
再び音技による勝負が始まる。
ぶつかり合いの末、勝利したのは…アシレーヌだった。
《ハイパーボイス》がパルシェンにダメージを負わせる。
「くっ! こうなったら…パルシェン、《まもる》!」
パルシェンが殻にこもって《まもる》を発動させて《ハイパーボイス》を無効にする。
俺はアシレーヌに技をキャンセルさせ、パルシェンの《まもる》を解除するタイミングを待つ。
「へへ、どうした? 攻撃しないのか?」
攻撃を誘ってるけど、丸分かりなんだよなー。
…と、考えていると、パルシェンの《まもる》が解除された。
「アシレーヌ、《ハイパーボイス》!」
《まもる》が切れたタイミングで再び《ハイパーボイス》でダメージを負わせ、このまま戦闘不能まで追い込む。
それに対し、セイジは痺れを切らして《とっしん》で特攻を仕掛けてくる。
《ハイパーボイス》をしている最中、《とっしん》で近づいて来たタイミングで───
「アシレーヌ、《ハイパーボイス》から《ムーンフォース》!」
《ムーンフォース》を当て、パルシェンは戦闘不能になった。
パルシェンは倒れた。
『パルシェン、アシレーヌにダメージを与えられずに無念に倒れたぁあ!!
そして、強い、強いぞサトシ選手のアシレーヌ!!』
実況の解説に…セイジはワナワナと肩を震わせていた。
「くぅっ……くぅぅ……だったら、コイツで俺の凄さを見せてやる!
いけぇ、ウィンディ!」
セイジは三番手にウィンディを繰り出した。
『おおっとぉ!? セイジ選手の三番手はほのおタイプのウィンディだ!
氷のフィールドでウィンディを選出した意図は!?』
「………ふーん、成程。
氷のフィールドは水のフィールドに似て、こおりタイプとみずタイプのポケモンはほぼ確実に選出される。
…が、いずれにしてもこおりタイプのポケモンは選出され、最後の一体は切り札であろう事を考慮してほのおタイプのウィンディを選出した訳か。」
「そ、そうだ! それがどうした!」
「先に言っておくよ。残念だけど、今回の俺の手持ちメンバーにこおりタイプのポケモンは選出されていない。」
ま、そもそもこおりタイプのポケモンを持っていないんだな。
「な、何ぃ!?」
『なんという事だぁ!? セイジ選手、裏をかいた作戦であるウィンディがまさかのミスに繋がってしまったかぁ!?』
オマケに、今回のメンバーは3匹ともみずタイプという、ね。
「〜〜〜!!! だ、だったらこいつを喰らえ!
ウィンディ、《りゅうのいかり》!」
ウィンディの《りゅうのいかり》がアシレーヌに放たれる。
アシレーヌはその攻撃を避けずに…攻撃を受けた。
それを見たセイジは物凄いドヤ顔をしていたが……煙から晴れたアシレーヌは無傷だった。
「な、何故だ!?」
「残念だが、アシレーヌは『みず・フェアリー』の複合タイプだ。」
『フェアリータイプにドラゴンタイプの技は効果が無い!
つまり、ウィンディの《りゅうのいかり》はダメージすら入らなかったという訳だぁあ!!』
「な……なん、だって…!?」
「アシレーヌ、《ねっとう》!」
相手は戦慄しているが、こちらは容赦なくこの技で攻めさせてもらう。
ウィンディは《ねっとう》を上手く躱していく。
「は、はは! 当たらなければ意味がない!!」
「そうだな。
───けど、その行いが自分自身を苦しめるって事になるけどな。」
躱し続けていたウィンディの動きが止まる。
セイジは「何をしてる!」と叫ぶが、氷のフィールドが《ねっとう》により崩壊しつつあり、ウィンディの立っている場所以外は《ねっとう》の水で浸り、挙句にはヒビ割れ始めていた。
『何て事だぁ!?
氷のフィールドが崩壊し始めている!?』
「んなっ!?」
「《ねっとう》は文字通り、熱湯だ。
熱い湯水でフィールドを溶かし、そこへ───
アシレーヌ、フィールドに《ハイパーボイス》!」
アシレーヌの《ハイパーボイス》が半壊しつつあった氷のフィールドを完全に破壊した。
それにより、氷のフィールドの外側にあった水がフィールド全体にへと広まり…氷のフィールドは最早水のフィールドにへと変貌した。
「くぅ…!! だったらウィンディ!
アシレーヌに《かみなりのキバ》!」
「アシレーヌ、《ねっとう》で迎え撃て!」
ヤケになったセイジはウィンディに攻撃を指示するが、行動範囲を狭まれた状況で《ねっとう》を外す事なく、ウィンディに被弾し、効果抜群の大ダメージでウィンディは氷から水に化したフィールドに落ちた。
まだウィンディの体力は残っており、苦手な水の中でもがき苦しんでいた。
…可哀想だが、勝負なので容赦無くトドメをささせてもらおう。
「アシレーヌ、《ハイパーボイス》!」
アシレーヌの《ハイパーボイス》により、ウィンディは戦闘不能になった。
ウィンディは倒れた。
「ウィンディ、戦闘不能! アシレーヌの勝ち!
よって勝者、マサラタウンのサトシ選手!」
『決着! 見事サトシ選手が2回戦を通過したぞぉ!
しかも、1回戦に続いて、ポケモン一体で3タテだぁあ!!』
連続の3タテ勝利に会場が盛り上がる。
「うしっ! よく頑張ったなアシレー───」
俺がアシレーヌの名を口にした瞬間に、アシレーヌが《アクアジェット》で瞬時に俺の元へと近づき、技を解除しつつ俺を押し倒す。
「あははは…うん、本当によく頑張ったね、アシレーヌ…。
うん、うん……そ、そろそろ、一旦離れ………うん、アシレーヌ?
こらこら、嬉しいのは俺も一緒だけど……そろそろベロベロを止めようか?」
アシレーヌはそんなの知らんとばかりに俺の顔を舐め回し続ける。
うん………嬉しいんだけど、ね…?
そろそろ、会場を後にする為───あ、止まらねぇや…。
『サトシ選手のアシレーヌ!
勝利した瞬間、サトシ選手へ特攻かけたと思えば、物凄い愛情表現をしている!!
ゲッコウガに引き続き、3タテをこなしたのは主人への強い愛情なのか!?』
この後もインタビューしにカメラマン達が駆け寄って来て、色々と大変でした…。
・ブルーさんは実力派のベテラン。
全ての地方リーグ初参加で全て優勝。
ポケモンリーグを制覇しつつ、コンテストでナナミと渡り合っている為、マジもんの凄い人。
しかし、彼女は『世界一の女』を目指してる故か、四天王に推薦されても乗り気では無い。
何故なら…彼女は四天王という玉座の前に立ちたいのでは無く、チャンピオンという玉座に付きたいからである。
因みに、偽サトシにますます興味を抱いた模様。
アシレーヌ
進化して力を付けただけ無く、偽サトシの特訓もこなしたからこその実力。
そこに偽サトシへの愛のパワーも重なり、ゲッコウガに続いて3タテした。
…まぁ大体想像つくでしょうが、2回戦後にはアシレーヌを交換して欲しいのラッシュが来たが、偽サトシは交換しない主義なので断った。
加えて、アシレーヌが勝手に出てきて物凄いアプローチをして、無理だと分からされた。
《ねっとう》で氷のフィールドが簡単に溶けるかと疑問に思うかもしれませんが、ここでの氷のフィールドは割と柔いという感じでお願いします。