俺、サトシになってました(笑)   作:黒ソニア

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疾風。様
如月冬ニ様、オシドリ様
高評価ありがとうございます。
お陰様で更にこの作品に対しての意欲が高まりました。
それから誤字報告して下さった方々、ありがとうございます。




第48節:『カントーリーグ予選・3回戦』

 

 

 

『第106話:予選第3試合 VS〝カオルコ〟』

 

 

 

「はぁ……疲れた。」

 

 

俺はぐったりとした声でそう吐き捨てる。

 

理由は勿論………2回戦で大活躍してくれたアシレーヌを欲しがる者達を全て拒否するのに手間取った。

最終的にアシレーヌが勝手に出てきては俺に抱き、他の人達には煙たがってる姿から身を引いた流れになった。

それでも、しつこい者達はいたにはいた。

 

 

「大丈夫よ、アシちゃん。

サトシはアナタを絶対に手放したりしないからねぇ?」

 

『フィ〜♪』

 

 

おふくろに撫でられながらアシレーヌは嬉しそうに反応する。

(※尚、アシレーヌはずっと偽サトシに下半身を巻きつけている形で落ちない様に固定している。

後、トゲピーは偽サトシの腕に抱かれながら負けずとしがみついている。)

 

 

「あはは………っ!?」

 

 

俺は何かが急いで迫る気配を感じ取り、足を止めて後ろの皆を静止させる。

 

皆は疑問の顔をしていたが…足音が聞こえた事により、その意味を理解した様子。

 

そして……足音が近付いて来た。

 

 

「早くしないとポケモンセンターが!」

 

 

目の前に現れたのは……タマムシ近くで出会った、サトシキラーの1人であるヒロシくんだった。

 

 

「ヒロシくん?」

 

「え? サトシ!?」

 

 

ヒロシくんは俺の声に素っ頓狂な声を上げるのだった。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

「ふぅ……良かった間に合って。

にしても凄いなサトシは。

直視できない速度でポケモンセンターに行ったから驚いたよ。」

 

「ははは…。」

 

「凄いでしょ? 自慢の息子なの。」

 

 

そう。急いで人が少ないポケモンセンターへヒロシくんのポケモンと俺のアシレーヌの回復をお願いして来たのだ。

 

その間、ヒロシくんは俺の超人離れした身体能力に驚きつつも、オーキド博士も大概な所があると伝えると、オーキド博士の講座などを観た事あるからか、割と納得してくれた。

 

それと、ここで俺のおふくろとリーフ、ナナミさん、ブルーさんを紹介した。

 

 

「本当に凄いよ、サトシは。

ナナミさんとブルーさんに関してはカントー地方では知らない人なんていないレベルの大物だからね。」

 

 

まぁ、言われてみればそうか。

 

 

「…ぐすん。シゲルくんやリーフちゃん、タケシくんやカスミちゃん以外にも仲の良い友達が出来て、ママは嬉しいわ。」

 

「大袈裟だろうが…。」

 

「今後とも宜しくね、ヒロシくん。」

 

「はい。寧ろ、こちらこそ宜しくお願いします。」

 

 

…なんか、気恥ずかしいな…。

何か気を逸らす様な………あ、そうだ!

 

 

「そうだ、ヒロシくん。

ポケナビ買い直したから登録しようぜ。」

 

「ああ! 買い直せたんだね!

……後、くんは付けなくて良いよ。」

 

「ははは。何故か無意識に着いちゃうんだなぁ。」

 

 

と、ポケナビの登録を終え、ついでに今夜の夕食を食べに一緒にレストランに向かう…と。

 

 

「やぁやぁ、2回戦も無事に突破したようだねぇ。

サートシくん?」

 

 

レストランに着くと、そこにシゲル達がいた。

 

 

「あ、シゲ子!」

 

「シゲルだよ!

……たくっ、キミは毎回毎回僕の名前を変な風に呼ぶんだ?」

 

「オメェと一緒だよ。」

 

「フッ、僕は良いんだよ。」

 

 

何でやねん。

 

…ま、それはさて置いて、俺達のこのやり取りに困惑しているヒロシくんにシゲルを紹介する。

 

ナナミさんの弟で、オーキド博士の孫って事で凄く驚いているのと同時にここまで来れているのに納得した様子だった。

 

 

「ヒロシくん、それも間違いじゃ無いけど、一番はシゲル自身が努力しているからだ、それを間違えてはいけない。」

 

「! それも、そうだね。ごめんよ。」

 

「……いや、別に気にして無いから構わないよ。」

 

 

シゲルは何故か恥ずかしそうにしている。

 

 

「何恥ずかしがってんだよ、オメェは。」

 

「アンタのせいでしょうが…。」

 

「はいぃ?」

 

「あはは、これがサトシくんなんだよねー。」

 

「?」

 

「流石、私の息子!」

 

「え? 何でこのタイミング?」

 

「ふふふ。ありがとね、サトシくん♪」

 

 

ナナミさんが俺とシゲル、リーフの3人を抱き寄せながら居心地良さそうにし始めた。

 

 

「ちょっ、恥ずかしいよ姉さん…!」

 

「あはは。」

 

「…(あー…ナナミさんとリーフの良い香りがする。)」

 

 

無駄にキリッとした顔でいると、カスミは何故か面白く無さそうな顔をして俺の足を踏み始める。

止めてって…。

 

………しばらくすると、シゲルは何か思い出したかの様な反応をする。

 

 

「そうだ…サトシ、リーフ。

キミ達は耳に入ってるかい?

───ゴンタの奴が2回戦も突破したそうだよ。」

 

 

マジか、アイツ…見ない間に実力をつけたのか?

 

 

「純粋に実力を付けたのならいいんだけどね…。

聞いた話では、負けた対戦相手のポケモンの中で強いポケモンを交換に要求しているそうだよ。」

 

 

前言撤回、アイツの中身は全然変わっていない。

それを踏まえると、実力も大して強く無いと思い…どうやってここまで来れたのかとか、どうやって勝てているのか、疑問に思えた。

 

 

「何よそれ、また強奪してんの!?

しかも、この様な場で!?」

 

「強奪? はぁ………アイツの性格を考えればやっても可笑しくないか。

けど、ここではやや強引気味だが、普通に交換を持ち掛けているそうだ。

それに、負けた相手の強いポケモンをトレードしようとする考えを持つトレーナーは少なく無い。」

 

 

そう…残念、というか仕方ないと言うか…。

勝ち上がる為に交換を持ちかけるトレーナーは少なくないのだ。

 

 

「そんなトレーナーがいるんだね…。」

 

「悪いな、そいつは一応…俺達と同期なんだ。

一緒にされたくねーけど。」

 

「そっか……あ、けど、他にもあまり良く無い話を聞いたな。

何でも、アローラから来たトレーナーが負けた対戦相手を見下しているって話を。」

 

 

ヒロシくんのその話を聞いて、俺達は理解してしまう。

クロス(あの野郎)の事だとな。

 

その話から、俺とシゲルにリーフ、それからカスミとタケシの顔つきが強張った事からおふくろ達に心配をかけさせてしまう。

 

そして、俺達は旅であった事を全て話すのだった。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

翌日。

昨夜途中…あまり良い雰囲気にならなくなってしまったが、気を取り直して行かなければならない。

 

今回の俺は午前の部で、同じ頃にシゲルとヒロシくんも予選3回戦に挑んでいた。

 

俺の対戦相手はカオルコというトレーナーで、フィールドは『草』。

 

俺は…今になってカントー編のアニポケを少し思い出し、コウム、セイジがサトシくんの戦った相手だと思い出し、カオルコの所持ポケモンも思い出した。

間違いでなければ、スピアー、ストライク…それから謎に強いマダツボミだった筈だ。

 

それなら…こっちは最初からベトベトンで挑み、控えにフクスローとリザードンをエントリーする。

 

 

『さぁ、草のフィールド第2試合!

カオルコ選手 VS サトシ選手!

ここまで勝ち上がった者達…一体、どちらが勝つのか!?』

 

 

俺がバトルリングに立つと、相手選手側の…観戦席には応援団が力一杯にカオルコのエールを送り始め、カオルコが入場して来た。

 

…それを見たタケシが何やら「美しい…」と呟いて、カスミがいつもの様に止める行為をしていたが…。

あの人はタケシのセーフゾーンに入っているのか、あまり俺と歳が変わらなそうだけど…。

 

まぁ、何はともあれ、俺の3回戦が始まる。

グローブを力強く嵌め直す事で気持ちを切り替える。

 

 

「それでは両選手、ポケモンを!」

 

「行くのよ、スピアー!」

「ベトベトン、キミに決めた!」

 

 

俺がベトベトンを繰り出すと、カオルコと彼女の応援団が、俺のベトベトンを見て嫌そうな顔をしていた。

応援団に関してはブーイングかましてくる…うぜぇ。

 

 

「ベトベトン! 気にする必要は無いからな!

お前は俺の大事なポケモン、他の皆んなと一緒で俺のヒーローなんだ!

カッコいい所を相手や観客達に見せてやろうぜ!」

 

『…! ベドォオ!!』

 

 

偽サトシの激励により、ベトベトンに気合が入る。

自分をヒーローだと言ってくれた偽サトシの為、ベトベトンの力が増していく!

 

 

『サトシ選手の言葉にベトベトンの気合いのボルテージが上がったぁ!

彼と彼のポケモンの絆は並のものじゃなぁい!

この私、サトシ選手のこれまでの試合も通して彼のファンになったぞぉ!!』

 

 

そりゃどうも。

 

 

「試合開始!」

 

「先程の無礼は謝罪しますが、容赦は致しません!

行くのよスピアー! 《みだれづき》!」

 

『カオルコ選手のスピアー!

ベトベトンに目掛けて素早く特攻し、《みだれづき》を放つ!

対するサトシ選手のベトベトンは……なんとぉ!?

スピアーの攻撃が全く効いていない!?』

 

 

実況の言葉通り、スピアーの《みだれづき》をベトベトンは動かずに受け止める。

 

本来、ベトベトンは特殊耐久に優れているが…俺のベトベトンは物理耐久も高いのさ!

 

 

「ベトベトン! スピアーの腕を体で取り押さえながら、両腕で《ほのおのパンチ》だ!」

 

 

このスピアーの槍の様な腕でも、俺のベトベトンなら大したダメージにもならないと判断し、そう指示する。

 

結果的にベトベトンは体力を4/5以上も残したまま、スピアーに両腕の《ほのおのパンチ》で戦闘不能にへと追いやった。

 

スピアーは倒れた。

 

 

「スピアー、戦闘不能! ベトベトンの勝ち!」

 

『ああっとぉ!! スピアーの攻撃を受け応えたと同時に強烈な《ほのおのパンチ》を炸裂させて倒したぁあ!!

攻防共に優れた強いベトベトンだぁ!!』

 

「戻って頂戴! よく頑張ったわね。

中々やる様ですわね。

しかし、この子相手にはそういきませんのよ!

行くのよ、ストライク!」

 

『カオルコ選手の二番手はストライクです!

スピアーに引き続きむしタイプですが、ストライクの高い攻撃でベトベトンに立ち向かう作戦かぁ!?』

 

 

…成程、アニメ通りか。

しかし、ストライクは俺も持っているから分かるが、《こうそくいどう》も使えるからな。

ここは───

 

 

「ベトベトン、《ちょうはつ》!」

 

『おっとぉ!! サトシ選手が素早く動いたぁ!

《ちょうはつ》という技により、ストライクは変化技が使用出来なくなってしまったぞぉ!?

サトシ選手は攻撃だけで無く、トリッキーな手も扱えるもよう!』

 

 

トリッキーって程でも無いが…。

あ、いや…アニポケ世界では変化技を駆使するのはトリッキーで、中々の腕前の証だったな。

 

 

「だったら攻めるまでよ!

ストライク、《でんこうせっか》!」

 

 

おっと、それは悪手だぜ?

 

ストライクの《でんこうせっか》を真正面から受けたが、またもやベトベトンに大したダメージは与えられずに、逃すまいと指示を受けなくてもストライクの腕をガッチリと掴んだ。

 

 

「よしっ! ベトベトン、もう片方の腕で《がんせきふうじ》!」

 

「…! ストライク! 《きりさく》!」

 

 

カオルコは抵抗に《きりさく》でベトベトンの腕を解こうとするが、ベトベトンはその攻撃を耐えながら、大きな岩を生成し、それをストライクへとお見舞いし……4倍弱点故に一発で戦闘不能まで持って行った。

 

ストライクは倒れた。

 

 

「ストライク、戦闘不能! ベトベトンの勝ち!」

 

『決まったぁ! ベトベトンの強烈な《がんせきふうじ》の叩き落とし!

『むし・ひこう』タイプのストライクにはその攻撃を耐え抜けずっ!

ストライクも懸命に足掻くも、サトシ選手のベトベトンはその上を行くっ!』

 

 

悪いな、俺のベトベトンはレアだぜ!(※ドヤ顔)

 

 

「くっ…!! ご苦労様、ストライク…。」

 

 

ベトベトンに自慢のポケモンを2体も破られた事でショックを受けるカオルコだが、背後の声援により、元気を取り戻す。

 

……なんか、俺が悪者みたいな感じがするな…。

いや、これは仕方のない事。

改めて勝つという…『責任』というのを肌で、心で理解するのだった。

 

……後タケシ、お前は俺の味方だよな?

カオルコ選手が落ち込んだ時、お前…同情して泣いてたよな?

 

 

「最後はアナタよ! マダツボミ!」

 

 

やはり、出たか…謎にハイスペックなマダツボミ!

 

多くの人が、最後のポケモンがマダツボミである事にポカンとしていたが、試合開始の合図共にマダツボミが凄い速さでベトベトンに近づくと、片腕で持ち上げて何度も《たたきつける》で攻撃してくる。

 

その行動に地面に叩きつけられた衝撃がエグい音で、大ダメージが入ったと皆が驚愕し、カオルコの応援団達は物凄い笑顔で盛り上がっているが……ベトベトンは「何かしたか?」の様な反応で平然と立ち上がった。

 

 

「何ですって…!?」

 

「残念だが、俺のヒーローは簡単には負けないぜ?

行くぞベトベトン!

最大パワーで《ダストシュート》だ!」

 

 

俺の指示に、ベトベトンは凄まじい雄叫びと共にどくタイプのエネルギーを集約させ、それを一気にマダツボミに向かって放つ。

 

マダツボミはステップを弾みながら躱そうとするが、凄まじい勢いと威力の《ダストシュート》を避けられずに受けてしまい、そのまま壁にへと叩きつけられてしまい、そのまま戦闘不能になった。

 

マダツボミは倒れた。

 

 

「マダツボミ、戦闘不能! ベトベトンの勝ち!

よって勝者、マサラタウンのサトシ!」

 

『見事なバトルだぁ! 惜しくも負けてしまったカオルコ選手でしたが、最後のマダツボミの奮闘はつい応援したくなったぞぉ!

そしてそして! そんなカオルコ選手のマダツボミを倒したサトシ選手とベトベトン!

素晴らしい活躍だったぁ!

最初、誰もがベトベトンで困惑したが、一変してその凄さを見せつけられたぁ!

3連続共に3タテで勝ち進んだトレーナーは稀だぁ!

サトシ選手は今大会のダークホースと言えるだろう!』

 

『ホッホッホ、迫力のあるいい試合だったのぉ!』

 

『おお! これはタマランゼ会長!

いらっしゃったのですね!』

 

 

ふぅ…いやぁ〜、カッコよかったぞぉベトベト〜ン。

 

俺は勝利した瞬間に駆け寄ってきた甘えてくるベトベトンを抱き寄せ、撫で撫でをしまくる。

 

 

「本当にカッコよかったぞ、ベトベトン。

よく頑張った。」

 

『ベトベトォ〜!』

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

「やぁ、お疲れ様。

見ていたよ、凄く強いベトベトンを持っているんだね。」

 

 

会場を後にすると、ヒロシくんが手を挙げて待っていた。

 

 

「ありがとう。何せ、俺のベトベトンだからなぁ。

むふふん…!」

 

「ははは、サトシはベトベトンの事が好きなんだね。」

 

「ベトベトンだけじゃないさ。

俺のポケモン達は皆んな大好きさ。

さっきも会場で叫んだけど、俺のポケモンは皆んながヒーローだからな!」

 

「……ベトベトンを見ていて思ったよ。

サトシと戦う時になったら、より一層緊張感を持って挑まないとねって。」

 

『ビィカァ…!』

 

 

ボールから出ていたヒロシくんのピカチュウ(レオン)が「負けんぞ!」と言っている様に頬の電気袋をビリビリとさせていた。

 

 

「頼もしいな。」

 

「ああ。何せ、レオンは僕の相棒だからね。」

 

 

ヒロシくんがレオンと見つめ合っていると───

 

 

「へっ! そんな弱そうなのが相棒とはなぁ…笑わせるぜ。」

 

 

…と、豪語しながら前に立ちはだかる様に現れるのは、ジャイアンもどきのゴンタだった。

 

 

 






・偽サトシくんまたもやポケモン1匹で3タテしたぞい。
ゲッコウガ、アシレーヌに続いて3タテで勝ち進んだのはベトベトン。
…因みに、このベトベトン…まだまだ強くなる余地があるらしい。
レベルとかもさながら…電気受け付けない体質に、彼のベトベトンにしか扱えない戦法がある……何処かで披露出来るでしょう。


ベトベトン
ゲッコウガ、アシレーヌと続いて3試合連続3タテを果たした。
純粋なパワーなら素のゲッコウガと同等だと思われる。

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