俺、サトシになってました(笑)   作:黒ソニア

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オレンジ諸島編も終幕へと近づいて来ました。
残すはラプラスの群れ探しとダクマの進化イベント。
そして今回は後方となります。

YUKI-2様、栃木県FGO様
多重人 格蔵様
高評価ありがとうございます。
お陰様で更にこの作品に対しての意欲が高まりました。
それから誤字報告して下さった方々、ありがとうございます。




第84節:『VS 道場主〝マスタード〟』

 

 

 

『第32話:衝撃の真実』

 

 

 

ヘッドリーダーに勝ち、勝利を収めた偽サトシとポケモン達は壇上に上がって…ユウジから勝利のカップを受け取った。

 

優勝した事で、写真と手跡を刻んで殿堂入りを果たした偽サトシ。

仲間達と共にスタジアムから出ると…そこには何と、ウチキド博士がいたのだ。

 

 

「ウチキド博士!? 何でこんな所に!?」

 

「こんにちは、サトシくん。

試合は観ていたわ。おめでとう。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 

俺がそう言うと、おふくろが「誰? 知り合い?」と聞かれたので、軽く説明をすると…今度はスタジアムから解説をしていたマスタードがやって来た。

 

 

「おめでとう、サトシちゃん。

キミならユウジちゃんに勝てるって思ってたよん。」

 

「マスタードさん、ありがとうございます。

けど、今回は大会のルールでユウジさんは交代無しだったから、次バトルする時は交代有りでも勝てるように頑張りたいと思ってます。」

 

「うんうん。サトシちゃんならいずれ…おや?

ウチキドちゃんじゃない。

もしかして…。」

 

「ええ───彼を待っています。」

 

 

ウチキド博士が何か意味ありげに言い、俺達(特に俺、カスミ、セレナ)は気になった。

 

すると直ぐに………ユウジさんがやって来た。

 

 

「あ、ユウジさん。」

 

「おお、サトシくん。」

 

「あら、何か親しげね。」

 

「まぁね。」

 

「あれ、ウチキド博士はユウジさんと顔見知りなんですか?」

 

「ええ。」

 

 

カスミの疑問にウチキド博士はとんでもない発言(爆弾)を投下する。

 

 

「実は私達───夫婦なのよ。」

 

「「「「え!?」」」」

 

 

何と、ウチキド博士とユウジは夫婦だった。

 

 

「どゆことスカ!?」

 

 

動揺する偽サトシにウチキドはいつもと変わらずに語る。

 

 

「ユウジとは去年にね。

本当は一緒に住むつもりだったんだけど…。

研究者の論文やユウジもヘッドリーダーがオレンジ諸島全体の管理に携わる仕事が入って一緒になれなかったのよ。」

 

 

へ、へぇ…。

 

 

「そうだアイ、引越しの件なんだが…すまない。

もう少し時間がかかりそうなんだ。」

 

「あら、そうなの?」

 

「ああ。それが、ジムリーダーの1人の…ジギーの奴がまた問題を起こしちゃってな。

今回の一件で、アイツが降板になるのが決定してな。

その後継人の事とかで時間がかかりそうなんだ。」

 

「…それって、俺のせいなんじゃ?」

 

「いいや、サトシくん達のせいじゃないんだ。

元々アイツは女性問題でやらかしてたからな。」

 

 

なら良いか。

 

因みに、ウチキド博士の下の名が『アイビィ』というそうで、ユウジさんは愛称で『アイ』と呼んでるらしい。

 

 

「という事なんだ…すまない、アイ。」

 

「大丈夫よ。寧ろ、私の我儘で去年に式を上げた事とかでアナタに負担かけて申し訳ないって思ってるもの。」

 

「負担な訳ないだろ?

俺はキミの事を───」

 

「そう…───」

 

 

ユウジは片腕でウチキドを抱きしめ、2人は甘い空気に包まれていた。

それを見ているマスタードは「お熱いねぇ」と、ハナコは「あらあら」と大人の反応をし、ケンジは「す、凄い事してるよぉ…」と赤面し、それぞれの反応をしていた。

 

…しかし、偽サトシにカスミとセレナは───

 

 

「…ねぇ。」

 

「…ええ、分かってるわよ、セレナ。」

 

「………あの、すみません。

お熱い中の所すいませんが…。」

 

「…あ、ごめんなさいね。」

 

「いえいえ………その、タケシは……。」

 

「ああ、そうそうタケシくんの事について言っておきたかったのよ。

彼、1週間前にユウジの事を説明したら…。」

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

曰く…日々ウチキドの研究に積極的に手伝っていたタケシ。

 

彼は完全に自分の世界に入っており、ウチキド博士とムフフな展開に発展する事を願いながらポケモンをフーズを調合していた。

 

寝室で寝ているウチキド博士を、3姉妹が席を外している事から起こしに紳士に対応し、本人の承認を経て部屋に入った時…彼女の部屋にユウジと一緒に写っている写真があった。

 

それは偽サトシが見たという写真であり…それも、結婚式をした時の写真だった。

 

写真を見たタケシは固まる。

そして、写真の…ユウジの事を説明するウチキド。

説明をする中、クールなウチキドが徐々に頬を赤らめていくのを見たタケシは涙を流し、ウチキドに───

 

 

「自分のここでなす事はもう無いようです…!」

 

 

一瞬で自分の荷物を纏め上げ…。

 

 

「自分は…更にブリーダーを極める為に、ここを発ちます…!

……今まで、お世話になりました…!!

お幸せに…!!」

 

 

と、タケシは号泣しながらウチキド博士の研究所から立ち去った。

 

突然の行動にフリーズするウチキド。

しかし、直ぐに元の彼女に戻ったとさ。

 

タケシは勝手に脈があるとウチキドの元に居て、脈が無かったと分かり…自滅して彼女の元から去ったとさ。

 

めでたし、めでたし。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

「…との事なんだけど…。」

 

「「「…」」」

 

 

ウチキドの話を聞き終えた3人は───

 

 

「まぁ、こうなるって分かってたもんだしな…。」

 

「悲しいけど…自業自得な所もあるし…。」

 

 

偽サトシとセレナは苦虫を噛み潰したような顔をしつつも、タケシを心配していた。

 

 

「悲しくも何も無いでしょ、勝手に恋しては自滅しての自業自得でしょ。

それより、そのタケシが何処に行ったのかや無事に生きてるのかが問題じゃ無い?」

 

 

カスミは呆れた様な顔をしていた。

 

確かに…精神が危ない状態の彼が海に囲まれたオレンジ諸島で無事でいるのか。

タケシはみず系ポケモンを持っていない。

ひこうタイプであるゴルバットを持ってはいるが、ゴルバットは体格はタケシに近いが、人を乗せて自由に飛び回れる訳では無い。

 

 

「タケシの奴、無事に生きて………あ、タケシってポケナビを持ってないんだった。」

 

「じゃあ、ジムの方に連絡をして見れば?」

 

「そうだな。流石はセレナだな。」

 

「え? そ、そう…?」

 

 

偽サトシに褒められて頬を赤く染めるセレナ。

ウチキドとユウジに近い甘い雰囲気になりつつあるが、カスミが「ハイハイ、そんな事よりニビジムに…」と偽サトシの頬を抓りながらポケモンセンターに向かい、ニビジムに連絡を入れたが…タケシはいないとの事だった。

 

 

「流石に1週間じゃまだオレンジ諸島にいるんじゃないかしら。」

 

「もしくは、カントーの何処か…。」

 

 

と、首を傾げる中…マスタードがこっちこっちと手招いていた。

 

 

「サトシちゃん、ちょっとだけ良いかな?」

 

「マスタードさん?

…あ! もしかして!」

 

「察しが良いねぇ。

そう、ダクマの試験の準備が出来たよん。」

 

 

そうだ。ユウジさんに勝ったらその試験を受けるって話だったな。

 

 

「はい………って言いたい所なんですけど…。」

 

「良いんじゃ無い?

冷静に考えてみたら、ウチキド博士の研究所のあるダイダイ島ってカントー行きの船があるじゃない。

多分それに乗ってカントーにはいるんじゃない?」

 

 

た、確かに…。

 

 

「カスミの言う通りではあるか。

それに、タケシなら………何となく大丈夫な気もせんでも無い気がするし…うん、大丈夫か。」

 

 

と、言うわけで、俺達はマスタードさん達に…海辺まで誘導されるのであった。

 

 

 

 

 

『第33話:ダクマの試験』

 

 

 

マスタードさん達に誘導されて来た海辺。

その海辺には、久しぶりに会ったマスタードさんの妻と子であるミツバとハイドと共におり、その周辺には何やら置物と青色の掛け軸と黒色の掛け軸があった。

 

 

「さてサトシちゃん。

キミ達の前に見えるのは、ダクマの試験を乗り越えた時に重要な役割を果たす物だ。」

「重要な、役割…。」

 

 

偽サトシがそう呟くと、惹かれるようにボールからダクマが出て来た。

その後、2つの掛け軸を見て何かを感じ取っていた。

 

 

「ふふ。本能的に分かっちゃうみたいだね。

うん、答えちゃおうか。

サトシちゃんも何となく察してるだろうけど。

この2つの掛け軸はね…ダクマを進化させる為の物なんだよ!」

 

 

マスタードの言葉にセレナ達は驚いていた。

 

 

「え? あの掛け軸って進化する為の物だったの!?」

 

「掛け軸で進化するポケモンがいるのねぇ。」

 

「…もしかして、イーブイの進化系統であるグレイシアとリーフィアが地方によって存在する特殊な消えない鉱石に触れて進化するというのと同じなのかな?」

 

「おー、流石はポケモンウォッチャーのケンジちゃん。

その通りだよ。」

 

 

マスタードから褒められて嬉しそうに反応するケンジ。

 

 

「そう。この掛け軸はダクマがウーラオスへ進化するのに必要なもの。

ダクマがワシちゃんの試験をクリアすれば、どちらかの掛け軸に触れる事が出来るって訳だよ。」

 

「…んで、そのダクマの試験というのは?」

 

「ふふふ…その相手は───」

 

 

マスタードはジャージと帽子を脱ぎ去り、拳法服へと姿を変えて優しそうな一面から戦いを求める様な顔つきとなった。

尚、脱いだ服はミツバの手元へと綺麗に畳まれた状態で落ち、ミツバは真剣モードのマスタードに惚れ惚れとしていた。

 

 

「無論、ワシだよ。

───さぁ、サトシちゃん達…否、お主達の成果を肌で感じさせて貰おうか!」

 

 

マスタードはかかって来いと手で誘って来る。

 

 

「…1対1の真剣バトルはこれが初になる。

ぶっつけ本番のバトルになるが…行けるか?」

 

『ベアー!!』

 

 

偽サトシの問いにダクマは気高き咆哮を上げて飛び、偽サトシのポケモンとして前に立った。

 

 

「その勢は良し! 次はこちらの番!

行くぞっ! ダクマ!」

 

 

マスタードが繰り出したのは、何とダクマだった。

 

 

「ええ!? マスタードさんもダクマなの!?」

 

「これは驚いたなぁ!」

 

「さぁ、見せてもらう。

お主達が身につけた実力を!」

 

 

マスタードがそう言うと、ミツバが審判として立つ。

 

 

「これより、マスタード師範による試練を開始します。

それでは…いざ、尋常に……試合開始!」

 

 

ミツバの開始の合図が出ると、マスタードが「かかって来なさい!」と先手を譲る。

 

 

「…先攻を譲ってもらったんだ。

最初から飛ばして行こうか!

ダクマ、接近して《つばめがえし》!」

 

 

偽サトシのダクマが咆哮を上げながら、マスタードのダクマへと特攻し、《つばめがえし》の拳を放った。

マスタードのダクマは攻撃を受けて悲痛の声が漏れる…が。

 

 

「流石はマスタードさんが育てているダクマだ。

効果抜群の攻撃であろうとダメージの殆どを流すか。」

 

「鍛えているからねぇ…!

さぁ、今度はこちらの番だ!

ダクマ、《しねんのずつき》!」

 

 

額にエスパータイプのオーラを纏って突撃して来る。

 

 

「ダクマ! 《ビルドアップ》して防御だ!」

 

 

対してこちらは攻撃と防御を上げ、防御の構えを取って攻撃を受け切る。

《しねんのずつき》はエスパータイプの技の為、効果抜群だがこちらも防御の構えによる攻撃を流す事を覚えさせている。

 

 

「成程成程…よく鍛えられている。

見ない間に自分の力だけで無く、相手の力をもコントロールする術を会得していたのだな。

だが…! 今度はそう行くかな!?

ダクマ、連続で《ほのおのパンチ》!」

 

 

《しねんのずつき》から《ほのおのパンチ》に変え、それを両手に炎を灯して殴り掛かってくる。

 

それに対してのこちらの行動は、相手の動きを見切らせて回避させる。

しかし、相手は《こわいかお》も同時に仕掛けて来て、素早さを2段階下げる事で、回避を困難にさせて行く。

 

相手の攻撃が見切れない場合は、俺が指示して躱して《にらみつける》を使って相手の防御を下げさせると同時に、一瞬の怯みが生まれる。

その隙を突いて《つばめがえし》を炸裂させてカウンターの一撃をかました。

 

 

「やるな…! しかし!」

 

 

マスタードのダクマは《つばえがえし》を受けた状態から、《しねんのずつき》を展開して、偽サトシのダクマに炸裂する。

その時に鈍い音が響き、吹き飛ばされて倒れた。

 

 

「どうやら、急所に入ったようだ。

勝敗はこれで決した。」

 

「…いいや、まだだ。」

 

 

偽サトシがそう言うと、ダクマはヨロヨロと立ち上がる。

 

 

「それもそうだ。

では、次で確実に決めるぞ!

ダクマ、《ばくれつパンチ》!」

 

 

マスタードのダクマが勢いよく迫って来る。

 

近くにまで来た瞬間に…俺は力強く「ダクマ、強く《にらみつける》!」と叫んだ。

 

それにより、防御が2段階下がったマスタードのダクマ。

そして、強く睨みついた事により相手はさっきよりも隙が生まれた。

 

 

「今だ、フルパワーで解き放て!

ダクマ、《きしかいせい》!」

 

 

《きしかいせい》は残りの体力が少ない程に威力が増す技。

偽サトシのダクマの体力はもうほんの僅かの為に、最大火力の《きしかいせい》となっていた。

 

そこに防御が2段階下がっている状態の為…タイプ一致、最大火力の《きしかいせい》を受けたマスタードのダクマは、先程の偽サトシのダクマよりも凄まじい勢いで吹き飛ばされ、目をグルグルと回していた。

 

マスタードのダクマは倒れた。

 

 

「勝負あり! 勝者、サトシとダクマ!」

 

 

勝者は偽サトシとダクマ。

2人は勝利を謳い、ハイタッチをするのだった。

 

 

「…見事見事。良く…乗り越えたねぇ、サトシちゃんにダクマちゃん。」

 

 

姿は変わっていないが、雰囲気がいつものマスタード。

パチパチと拍手を送り、偽サトシとダクマに近づく。

 

 

「ワシちゃんの予想以上だったよ。

流石だね、サトシちゃん。」

 

「ありがとうございます。」

 

「…ヨロイ島では、女の子故なのか。

自分に合うトレーナーはおらず、1人で力を付けていたキミがここまで成長をしてくれて嬉しいよ。

良いトレーナーに出会えたね。」

 

『べあーま!』

 

 

2人の反応に心の底から嬉しそうにヒゲを摩るマスタード。

 

 

「さて…無事見事試練を乗り越えた!

さぁ、『秘伝のヨロイ』ダクマにそのトレーナーのサトシよ!

キミ達に見えている2種の掛け軸…『水の掛け軸』と『悪の掛け軸』!

青色の『水の掛け軸』は連撃攻撃を得意とする水の連撃ウーラオス!

黒色の『悪の掛け軸』は一撃必殺を得意とする悪の一撃ウーラオス!

キミ達はどちらを選ぶ!?」

 

 

マスタードが説明し、選択を迫られる。

偽サトシとダクマがどちらを選ぶのか…周りは緊張感に覆われる。

 

そして…偽サトシは───

 

 

「ダクマ、お前の行きたい方に行くんだ。」

 

 

選択権をダクマに譲った。

彼はフシギダネが進化したく無いのを容認した様に、ダクマの進化先を彼女自身に選ばす選択をした。

 

 

『…』

 

 

偽サトシのダクマは両方を見た後…自分の進むべき道を選んだ。

 

 

 






・ここだけのウチキド博士の設定。
ウチキド・アイビィ…英語名が『Ivy』との事なので、『アイビィ』にしました。
そして…原作(アニメ)では大人の事情でフラれたタケシが今回この世界では理由が判明した回。
可哀想とは思う反面、自業自得でもあるから…うん。
………タケシ、どんまい。

・ダクマの試験。
無事に試験を乗り越えた偽サトシとダクマ。
彼女(ダクマ)が選んだ道は───


『偽サトシ』
無事に勝利を納め、ダクマに進化先の選択権を讓る。

『ダクマ』
ヨロイ島ではかなりのヤンチャだった模様。
自分に相応しいトレーナーがおらず、我が道は自分で進むと一匹狼だった。

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