坂田銀時が交通事故に遭い、記憶喪失になった。
そして、新八と神楽に連れられ、摩戸診療所を訪れる。
「才宴さん、なんとかなりませんか?」
「銀ちゃん、元に戻してほしいアル」
「うーん。難しいね」
才宴は、顎に手をやり、思案した。
「あの、僕とこの人は、どういう知り合いなんですか?」
「銀時くんは、私の友人で、実験の被験者だよ。いつもとても役に立ってくれていた」
「被験者じゃなくて、被害者ですよね、それ」と、新八。
「記憶を取り戻す試薬ならあるけれど、どうする? 銀時くん」
才宴は、透明な液体の入った小瓶を取り出した。
「飲……」
「飲めェェェェェェェェ!」
銀時が返事をする前に、神楽が小瓶を奪い取って無理矢理飲ませる。
「がっ! 苦っ! 苦い!」
「良薬口に苦し、だよ~」
才宴は、手帳を取り出して記録をつけ出した。
「何か思い出したかい?」
「僕は……才宴さんと昔からの知り合いだった…………? そんな気がします」
「記録。2分30秒。変化あり」
「昔……君は、僕のことを……危険も省みずに助けに来て、怪我をした…………」
「ああ、懐かしいね」
「才宴さん、そんな過去があったんですか……」
だから、銀時は彼の友人であり続けているのだろうか?
「才宴は、銀ちゃんの命の恩人アルか?」
「そんなに大袈裟なものじゃないさ。お互いに貸し借りなんてないよ」
少なくとも、才宴は、銀時を対等な友人だと思っている。
「銀時くん?」
「頭が、痛い…………」
「頭痛の副作用あり。これ以上は無理そうだね。銀時くん、お大事に」
「……はい」
それから、数日後。
工場で起きた爆発事件の怪我人の手当てに、才宴も駆り出された。
そして、その現場には。
「奇遇だね、山崎さん♡」
「嫌ァっ!?」
軽傷の山崎退がいた。
「俺は平気なんで! 他の人のとこに行ってください! 頼みますから!」
「重傷者は、大江戸病院に運ばれたから大丈夫だよ」
「なんで、こうなるかなァ!」
嘆く山崎をよそに、才宴は治療を始めている。
迅速かつ、的確に。両手を器用に動かして傷を手当てする。
「はい、終わり。お大事に」
「はい……ありがとうございます…………」
「何かあってもなくても、ぜひ摩戸診療所へ来てね♡ 歓迎するよ、山崎さん♡」
「結構です!」
才宴の“歓迎”など、どうせ、ろくでもない。
それは、山崎の考えの通りで、才宴の愛情表現は屈折しているため、理解出来ないだろう。
私を嫌がる君が好き。
摩戸才宴の片想いは、自己完結型の厄災である。
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