摩戸才宴が診療所で休憩にお茶を飲んでいると、坂田銀時がやって来た。
背中に、瓜二つな赤子を背負っている。
「才宴! コイツ、俺の血縁じゃねェよな?!」
「うーん? そっくりだねぇ。もしや、あの時の?」
「違うって! アレはアレだから! ナイナイナイナイ!」
「調べてみてもいいけれど、時間がかかるよ?」
才宴は、笑顔のまま言った。
「頼む!」
「はーい」
医者は、銀時と赤子の髪を一本抜く。
「じゃ、俺はコイツの親探しに行くわ」
「いってらっしゃい」
ふたりを見送り、才宴はDNA鑑定を始めた。毛髪を機械に分析させる。
結果が出るまで、しばらく必要なので、才宴は、例の一番奥の部屋へ向かった。
「お加減いかがですか? 兄上」
意識のない才宴の兄は、何も返さない。
「今日は、私の友人が訪ねて来ましたよ。赤子を連れて。彼の子ではないと思いますけれど」
クスクス笑う才宴。
「私たちは、似ていませんよね。兄上は、生まれながらの人殺しではありませんから。兄上は、私をお嫌いですから、私などに生かされているのは不服でしょうか?」
男は、兄に語りかけ続ける。
「それでも私は、兄上を死なせたくないのです。私は、医者ですからね」
医者の家に生まれた次男、摩戸才宴は、父と兄から鬼子として疎まれていた。
そんな境遇もあってか、才宴は“人を生かす”ことに執着している。
その性質は、彼を、医者としては優秀だが狂気じみた鬼にした。
「……戦争は、まだ終わっておりません。人々は、いつまで争い続けるのでしょう?」
才宴は、一瞬だけ笑みを消した。
「病や戦争を根絶出来るのなら、兄上はどうしますか? 私は…………」
才宴は、口をつぐむ。
「ははは! まあ、私は、やりたいようにやりますよ」
そう言い残し、病室を出た。
その後。銀時と赤子には血縁関係がないという結果が出た。
「やっぱりね」
銀時は、橋田屋の後継ぎのごたごたに巻き込まれた後、才宴の元へ来る。
「血縁じゃないよ」
「だろうな」
「ところで、検査代なんだけれど」
「ツケといてくれ」
「はいはい」
才宴は、お茶とお菓子を出して、友人と話した。
「私は、生まれてよかったのかなぁ?」
なんてことないように、才宴は疑問を漏らす。
「あん? よかったに決まってんだろ。お前の両手には、たくさんの命が救われてんだからよ」
「ははは。ありがとう、銀時くん」
出された茶菓子を頬張る友人を見て、才宴は微笑んだ。
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