魔法少女まどか☆マギカ ~少女へ捧げる鎮魂歌~ 作:kasyopa
不完全燃焼かもしれません。
そこらへんの補充等は、後ほどのお話で行います。
では、宜しくお願い致します。
Outside
お昼過ぎ。
3人の少女達は杏子の教会の後にある墓場に集まっていた。
「(昨日は藍香で今日は杏子、今度は何よ)」
「(まぁ美樹さん。とりあえず佐倉さんの雰囲気から察しましょう)」
杏子はマミとさやかを連れてある墓の前で歩みを止める。
「この墓を良く見てみろ」
きわめてぶっきらぼうに言い放った言葉に、疑問を抱きながらもマミとさやかは良く見る。
「あれ、これ藍香の写真じゃない。この二人は、お父さんとお母さん?」
「え、でもなんでこんな場所にあいつの写真が……」
「……美樹さん、この名前よく見てみて」
マミは杏子と向き合い、さやかは固まる。
「佐倉さん、これはどう言う事かしら」
「どう言う事、っていうよりそのままの意味だよ。あいつはもう……死んでいる」
「それこそどう言うことって訳よ。アイツはゾンビでもないし、現に生きてるし、なのに死んでるってどういう事よ!」
「それが解ったら何も苦労しねぇよ!」
杏子は俯き、握りしめて横に振り抜いた拳はその墓にぶつかる。
「アイツは一体何なんだ! あたし達に希望を見せたあたし達と違うアイツが! アイツはもう死んでいたなんて!」
「あたしには解らねぇ! なんで、なんで藍香が……」
その場で泣き崩れる彼女。混乱のあまり自我を失いかけていたのは、火を見るより明らかであった。
二人は掛ける言葉も見つからず、同じ悲しみに浸っている。
「藍香……両親がいるのか解らないって、もしかして生前の記憶が」
「まだ、彼女が死んだと決まったわけじゃないわ」
俯いていたマミは顔を上げ、歩み出す。
「おいマミ! どこに行くんだよ!」
「彼女が死んだ理由を探しに行くのよ。まだ亡くなってから日が浅い。もしかしたら記録が残ってるかもしれない」
「そっか! 新聞!」
「ええ。おくやみぐらいでもいい。残っていればいいのだけど」
図書館へと足を進めるマミを見て、さやかも顔を上げて駆け出した。
「私、ちょっと病院行ってくる」
「さやかまで!」
「なるほど。頼んだわよ、美樹さん」
「任せて下さい。これでも、病院で働いてる人と仲いいんですから!」
恭介が入院している時には、ほぼ毎日面会に行っていたさやか。
病院で働いている者とは多少の縁がある。
「何事もさ、後悔するなら全部やりきってから後悔しようよ。止まってたらもったいないよ。杏子」
「さやか……」
「いつもの佐倉さんじゃないわよ。いつもの貴女なら、当たって砕けるでしょう?」
そうだ、私はいつも、何事にも果敢に挑んでぶつかってきた。
今更臆病になるのもおかしい。
「藍香に直接、当たってみる」
「佐倉さん、でも大丈夫? 彼女だってこの現実を知らないのかもしれない……いや、知るはずがない」
「別のことを聞いてみるんだよ。絶対何かあるはずだ。もしかしたらアイツの見えない性格がぽろっと出てくるかもしれねーだろ?」
「なるほど、杏子もなかなか考えるじゃん」
3人の魔法少女は散る。真実を知るために。
「………」
そして誰一人として気付かなかった一人の存在も、その場から立ち去った。
Side 黄昏藍香
家で遅いお昼ご飯を作る。今日は簡単な親子丼だ。
独りぼっち。でも気にすることはない。
私は私だから。
「お邪魔するよ」
「あ、杏子ちゃんお帰り」
何気なくも他人の家に入るように言葉を添えて家に入ってくる杏子ちゃん。
彼女はすでにお昼を済ませている。何をどこで手に入れ、食べたかは聞くだけ野暮だろう。
「お、親子丼じゃねーか」
「よくわかったね。つまみ食いは流石にできないよ?」
「しねーよそんなこと」
卵焼きとかはよくつまむのに。
卵でとじて後は少しおいて、どんぶりご飯の上に盛り付けるだけ。
「なぁ藍香」
「どうしたの杏子ちゃん」
「いや、お前ってあたしと会う前、どこにいたんだ?」
「どこって……今更だね。杏子ちゃんが元々狩り場にしてた街じゃない」
「それもそうなんだけどよ、生まれたときとか、子供の時とか……」
目線を反らしながらも確かめるように私に質問を飛ばす彼女。
いつもと違うのが解っているけれど、私は普通に答える。
「生まれた時のことなんて覚えてるわけないよー。子供の頃のことも忘れちゃったな」
「何せ、お父さんとお母さんと過ごした時を覚えてないんだから」
「………」
「藍香は、それでいいのかよ?」
「顔も名前も声も覚えてない。でも、私解るんだ。とっても優しい人だったって。今いないのは何か理由があってのことなんだよ」
「この世に存在する親は子を愛する親だけだよ。ただそれが不器用な人がいる。でも心のどこかで愛してる」
「望まれる子が、希望を持って未来へ渡る。先人である大人は今を子に見せ、未来を託す」
「藍香……」
Side 佐倉杏子
変わらぬ笑顔と重く深い言葉。いつもの藍香だ。変わりない。
こいつは、希望の鑑だな。
そうでないと、あたし達を変えられなかったのだろう。
なおさら、こいつが死んでいるなんて信じられない。
「今、か。魂が宿ってないあたし達は今があるんだろうかねぇ」
「ここにあること。それが今。死者には訪れない儚い時。私達は今を生きてる。それだけだよ、杏子ちゃん」
箸を進めながらも、言葉だけはしっかり伝えてくる彼女に送る言葉なんて、なかった。
だからこそ、あたしはこう言わざるを得なかった。
「なぁ藍香。お前がもしも死んでいたらどう思う?」
途端に箸が止まる。普通に流してくれるかと思ったが、そうでもないようだ。
「それって、どういう意味かな」
箸をおいてあたしに向き直る彼女は、いつもと変わらない笑みを浮かべていた。
「どういう意味って、そのままの意味だよ。あたし達みたいにゾンビだったらって」
「そうだねー。相手と自分は別問題だから、もしかしたら絶望してるかもね」
「………」
地雷、だったか。
忘れていた。藍香の超人的洞察力を。
だからこそ、箸を止め置いたのだ。
「嘘嘘。実はね――――」
「私もそう思ってたんだ。それも随分前から」
Side 黄昏藍香
「お前、それ本気で言ってんのか!」
「うん、本気だよ。私の洞察力は相手に対してだけじゃないんだよ」
信じられない者を見るような目で私を見る杏子ちゃん。
当然だよね。私自身が既に死んでいるんじゃないかって仮説を立ててるんだから。
「ねぇ、杏子ちゃん。世界五分前仮説って知ってる?」
「世界が五分前に作られていたっていうやつか?」
「そう。そしてそれ以上過去の記憶は作られ与えられたもの。それ故に過去が存在したという証明もできない。既に『知っていた』世界」
「私はある時からの記憶がないの。それは知ってるでしょ?」
「親の顔とかと関係あるのか?」
「そう。私はある日付のある時間以前の記憶が全くない。でも私の名前と存在は知っている」
「だから、作られた存在なんじゃないかなって。この神の如き力と、幾多の運命も別の運命に導ける存在である私自身」
「作られた人形じゃないかなと、使命を与えられただけの何かなんじゃないかなって」
「私の存在はイレギュラーで、未来をある望まれた形にするためだけの「ちょっと黙れ」」
杏子ちゃんが私の独白に割り込んでくる。
「藍香はそれでいいのか? ただ操られ捨てられる人形で」
「どうだろう。皆と仲良くなって、大切な人もできた。この現実も運命ならちょっと寂しいね」
「ならそんな運命、拒めばいい」
「運命からは抗えない。それが宿命」
「なら惑わせばいい」
「?」
「どこに向かってるか分からなくしてよ。一寸先は闇って言うだろ?」
「運がよけりゃ、お前の運命も変えられるかもしれねぇ」
「なんだったらあたし達が全力でそんなみじめな藍香の運命を、必至で邪魔してやるよ」
「マミが足を縛って、さやかが道を断ち切って、あたしが幻で惑わせてやる」
「よく言うね。私が狂えばみんなの定めがBADENDになってしまうかもしれないのに」
「もうここまで引っ張られてきたんだ。もうあたし達は自分の足で歩く」
「そっか。なら、私はもう必要ないかな?」
「……どういう意味だ?」
「疲れた、かな。もうどうでもよくなっちゃった」
「は?」
「自分の私利私欲の為に動こうかなって。生きようかなって」
そういって外を見つめる。
「なんだよ、途中まで引っ張ってきて最後まで付き合わないなんて」
「私は皆を救う為に動いてきた。でもそれが定めだとしたら、別の世界で私の大切な人の為に全てを尽くそうかなって」
「……裏切り者が」
「皆も裏切る。でないと私の運命は変えられない気もするから」
皆を救うのが私の定めであるなら、なおさら。
「色々私のわがままにつき合わせちゃってごめんね? 今までずっと。長い因果の中で」
「何言ってんだ。あたし達は親友だろ? このくらい気にしねーさ」
「優しいね。杏子ちゃん」
「じゃあね。また別の時間で」
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結界を開いて一人でティータイム。
世が淹れてくれたお茶は美味しい。お茶菓子を作るのも、相当な腕になってきた。
もうすぐ追い越されちゃうかな?
そんなことを心のどこかで思いながらも、焼き立てのスコーンをほおばる。
うん。美味しい。
「藍香様、今日はよろしいのですか?」
「ん? 何が?」
「昨日はさておき、今日も引き続いて訓練をやるものだと」
「連日はやらないよー。昨日の訓練はだいぶハードだったし、それに見合うだけの成長ぶりを見せてくれたしね」
特にさやかちゃんはかなりの成長ぶりを見せてくれた。
剣捌きといい、サーベル投げといい、速度といい、回復だって。
「なるほど、考えますね」
「それほどでもないよ。さて……問題は4人がワルプルギスの夜に勝てるかどうか、だね」
ほむらちゃん用の兵器等は彼女に渡してある。
あそこまで団結したらなら、もう敵なしだろう。
ちょっと心残りなのはまどかちゃんだけど。
席を立つ。
「どこへいらっしゃるのですか?」
「すぐ戻ってくるよ。そしたら、皆で準備しよう」
「私が定めた物語を」
・
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苔むした祭壇。そして光のベッド。
そのベッドに眠るは、命無き白の魔法少女。
「―――さん。私ね、貴女に出会ったお蔭で変われたの」
「私の運命から抗うことができるのも、―――さんのお蔭」
「出会えてよかった。―――さんは、私の最高の友達だよ」
その問いかけに対して彼女の顔が笑ってくれたような気がした。
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「そっか。君が―――の新しい理解者ってわけか」
「私の名前は黄昏藍香。よろしくお願いします」
「見たとこ新人、いや、特異点ってとこか。私は――――。よろしく」
「苗字で読んだほうがいいかな? それとも」
「名前でいいよ。なんてったって君も私の『恩人』だからね」
「さぁ、貴女達。自己紹介はそれくらいにして、現実を見なさい」
「解ってるよ。相変わらず―――は厳しいなぁ」
「それが彼女。なのかもね。―――さんは―――さんと付き合い長いんですよね?」
「長いよー。―――が一人になっても私だけは付いて行ってたもん」
「そんな友達っていいな。私もそんな人ができるといいな」
「貴女ならなれるわ。いえ、もう既に私たちの恩人として存在する事で既に私達の親友ね」
「―――さん……」
「さて、参りましょうか二人とも」
私達は向き合う。目の前にそびえる絶望と。
『偽りの救済』を倒すために。
更新遅れて誠に申し訳ないです。
そして一応、終了でございます。
さやかやマミさんやほむらはどうなったんだって話ですが、後程のお話、又は後書き等で述べさせていただきます。
では、藍香が何をしたのか、どこの時間軸に行ったのか。
そのお話は次章で。そこからが俺としても本編なんで。
暫く更新は休止いたします。長くて次回お休みなだけで済めばいいなぁ。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
感想もかなり励みになっておりますので、有難い限りです。
もうちっとだけ、続くんじゃよ。
ご希望ありましたら、ワルプルギス戦・文末の回想での決戦も執筆いたしますので、お気軽にどーぞ。