魔法少女まどか☆マギカ ~少女へ捧げる鎮魂歌~   作:kasyopa

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『今はゆっくり休んで。…おやすみなさい』 byAC4 フィオナ・イェル・ネフェルト




第七話『お持て成しの友達』

Side 黄昏藍香

 

 

「それで、ここまでお客様をお招きしたと」

「ごめんね皆。忙しくしちゃって」

 

風・守だけでなく、時もテーブル出しを手伝い、世は夢と一緒に大急ぎで料理を作っていた。

 

「事前に連絡していただければここまで急ぐこともなかったでしょう。それにこの前より一人多いだけでも、元から大人数ですし」

「あはは……」

 

私も含めて5人。それを今から大至急でもてなす用意をしてと言われれば、大抵は無理な話だ。

それでもこの子達は急ぎながらも、嬉しそうに準備している。

私にかまって貰えるからだろうか。それとも。

 

「とにかく、こちらでは現在人出が足りません。藍香様はお客様の御迎えをお願いいたします」

「はーい。ごめんね皆」

 

夢以外の4人の人形はそんなことないと首を激しく横に振った後、再び用意だなんだと飛び回った。

 

 

/////////////////////////////////////

 

 

招待したお客さんは、まず城から離れた森の広場に送られることになる。

何故かと言えば最初は何も考えてなかったのだが、森という不安を駆り立てる場所におろして、その不安からそこにある道に誘導するため。という結論に至った。

 

まぁ、道も何もなかったら怯えたり戸惑っちゃうだろうから道を作った、ってのもあるんだけど。

 

と、遠くの方に三人の影が見えた。

あれは……杏子ちゃんが居ないのかな。

マミさんとまどかちゃんは何気ない会話をしていたが、さやかちゃんは珍しい物を見る目で辺りを見渡している。

 

「まどか、これってホントに結界だよね?」

「うん、藍香ちゃんの結界。なんでも藍香ちゃんってキュゥべえと契約して魔法少女になったんじゃないんだって」

「なんか、予想とことごとく違うのはなんでだろう」

「私達も初めてここに来た時は戸惑ったものね。でも彼女が作った物だから心配することはないわよ」

「う、うーん」

「ほら、お迎えが来たわ」

 

魔法で聴力を強化していたら、マミさんが私を視界に捕えたのを聞いた。

それに内心ほっとして駆け寄る。

 

「いらっしゃい、マミさん、まどかちゃん、さやかちゃん」

「そういえば今日会ってから挨拶してなかったわね。こんにちは、藍香さん」

「藍香ちゃん、お、お邪魔します?」

「それを言うならお邪魔してますだって。あ、お邪魔してまーす?」

 

それぞれのあいさつを笑顔で返して、お城に案内する。

ちなみに今は日が西へ傾いている。太陽などの位置は、この結界から見た外とリンクしているから、実際に景色としてゆっくり沈むし、ゆっくり昇る。

 

「そういえばあの人形さん達はどうしたのかしら?」

「急に皆招待したから今大急ぎで準備してるんです」

「そうなんだ。でもそれならお邪魔じゃないかなぁ」

「ううん全然? むしろ嬉しそうだったから」

「? 人形って何のこと?」

「私の結界のお仕え役って言ったほうが解りやすいかな?」

「ほんと藍香って何者なのよ……?」

 

さやかちゃんはジト目で私を見てくるが、私はかまわずお城に案内した。

 

「「「うわぁ……(まぁ……)」」」

 

3人は感嘆の声をあげる

お城の前。マミさんもまどかちゃんもこの前来た時は夜だった上に初めてだったから、お城の全部を見ている暇なんてなかった。

でも今は一応日も出てて明るいから、その全貌を見ることができる。

 

「じゃあ、行こっか」

 

門を開き、お城の門も開く。

すると中から時が出てきた。

 

「時、準備終わったの?」

 

皆にぺこりと可愛らしくお辞儀をした時は、私の手を取って応接室まで手を引いた。

 

何をそんなに急いでいるのか解らなかったが、時が応接室の扉を開けると同時に広がった光景に私は納得する。

 

「何してんだ藍香、あんまり遅いからもうこっちで始めてるぞ」

「すみません藍香様、世が何とか止めていたのですが」

「杏子ちゃんだから仕方ないよ」

「それでは私は厨房に戻りますので、席にお着きになられれば及びください」

 

杏子ちゃんは既に椅子に座り、そこにだけ配膳された料理にがっついていた。

うんうん、席はみんなの分もあるし、食器も水もしっかり配膳されてる。

時、風、守、世、夢の頭を撫でて、三人がちゃんと付いて着てるかを確認。

お城の外と変わらない反応をしながら彼女達は応接室に入ってきた。

 

「「いい匂い~」」

「そうね。これは、トマトソースの匂いかしら」

「実際何が出てくるか私も解んないんだけどね。世にお任せしてるから」

「世だけにお任せ?」

「ま・ど・か・ち・ゃ・~・ん・!」

 

私は笑顔浮かべながらもちょっと怒りを覚える。

そんなつもりで言ったわけじゃないんだよー!

 

「ご、ごめん」

「そこまで怒ってないけど、次は無いからね?」

「はいぃ……」

 

彼女は俯いて縮こまる。

仏の顔も三度までって言うしね。

とりあえず杏子ちゃんの隣に座り、三人を席に座るように薦めた。

 

「とりあえず座って。世が料理を持ってくるし」

「え! 私達もしかしてほんとにお客さまだったの?!」

「そうよ。二人とも、主催者さんに失礼だし座りましょうか」

「「は、はい」」

 

皆が席に座ったのを確認してから、私は手元に置いてある小さなベルを鳴らす。

すると風、守、世、夢が順番に料理を持ってきた。

 

まず生ハムのカルパッチョが出てきた。

最初にこれがこういう料理が来るってことは、これって……

 

「あれ? これだけ?」

「最初にカルパッチョ。藍香さん、これはコース料理じゃないかしら?」

「私も同じ事考えてました。夢、どうなの?」

「ご名答でございます。まもなく次の料理をお持ちいたしますので、少々お待ちを」

「こ、コース料理……」

「うわぁ、私そんな豪華な料理初めてだよ……」

 

まどかちゃんとさやかちゃんは、ちょっと手を震わせながらゆっくりと口に運ぶ。

その瞬間、二人の表情がぱっと開いた。

 

「うまい!!」

「藍香ちゃん、これすっごく美味しいよ!」

「まだ前菜だから、ゆっくり食べて言ってね」

 

晩餐はまだまだ続く。

 

 

//////////////////////////////

 

 

「うーん、食べたは食べたけど、あんまりお腹が膨れないなー」

「だね」

「コース料理とはそういう物よ。どちらかといえば量より質といった感じだから」

「んなもん追加注文すりゃあいいだよ」

 

杏子ちゃんは勿論満足しておらず、世がさっき持ってきたマルゲリータ・ピザを頬張っていた。

出来たてで熱々なので流石の彼女もがっついて食べることはしていないが、やはり手を使って豪快な食べ方を私達に披露していた。

 

「ピザってもっと具とかチーズとか、どばっ!って乗ってる感じがあるんだけどなぁ」

「私達が食べてる一般的なピザはどちらかというとアメリカのピザだから、このイタリアのピザとはかなり違うわ」

「そうなんですか。てっきり私ピザは全部イタリアかと思ってました」

「イタリア生まれのアメリカ育ちってね」

「それにしても杏子、美味しそうに食べるなぁ」

「そんな物欲しそうな顔したってやらねーぞ。イタリアじゃ一人一枚だからな」

「もうひとつ付け加えるなら言うなら、ナイフとフォークで食べるんだけれど」

「細けぇこたぁいいんだよ」

 

会話が絶え間なく続くのだが、頬張りながら喋る杏子ちゃんはマナー違反だったので仕草で注意する。

 

「そういえばマミさんってとっても詳しいですよね? コース料理もそうだったけど、ピザの事についても……」

「あ、それ私も気になった。どうなんですか、マミさん」

「親がイタリア好きで、よく教えてもらってたから」

 

どこか懐かしいような、悲しいような雰囲気を纏い、目を瞑るマミさん。

 

「藍香、私もピザ一丁!」

「はーい」

 

さやかちゃんは杏子ちゃんに負けじと追加注文する。

風はそれを世に伝える為に厨房に飛んでいった。

 

「ピザは生地から作るから時間掛かると思うけど許してね」

「本格的だね」

「料理人としてのプライドかしら」

「そうだね、世はいつも最高の物を食べてもらいたいと思ってるみたい」

「その世ってどうやって作ってるんだろ……」

「いろんな道具使ってるのは解るんだけど、詳しいことは知らないや」

 

厨房はオープンじゃないし、私もちょくちょく見てるだけで、今日のピザみたいに変わった料理法をする料理は見たことがない。

と、そこで夢がやってきた。

 

「世の調理法ですか?」

「あ、うん。どうしてるの?」

「ならお呼びになったらいかがですか? 彼女も、あなた達の前で披露したいと思っていますでしょうし」

「そっか……気付いてあげられなかったな」

「藍香様はご心配なさらず。私達のことで気になることがあれば、本人に聞けばいいのです」

「うん。あいがと、夢」

 

ペコリとお辞儀してから厨房に消えていく夢。

 

「藍香さんも大変ね」

「あの子達は私が作ったって言っても、あの子達には自我と意思があるから。この結界の部下である前に、大切な友達だから」

 

時が近寄ってきて何かをねだる。

私は座ってる椅子を引いてスペースを作ってあげると、ちょこんと座った。

それを見て風は私の頭の上に、守は私の右肩に座った。

3人とも嬉しそうに足を振ったり、髪の毛をいじったりしている。

 

「「わぁ……」」

「ふふふ、皆藍香さんの事が大好きなのね」

「あわわ、ちょっ、髪の毛はいじっちゃ駄目だって!」

 

さらさらしてる髪だけど、あまりにも弄られてると形変わっちゃうからやめてほしい。

そんなことを思ってたら、世が機材と材料を持ってこっちにやってきた。

それに反応するかのように風と守が追加の机を持ってくる。

 

「おお! ほんとに実演!」

 

さやかちゃんの発言に世が笑みを零して、生地を練っていく。

 

「この子達の手ってどうなってるの?」

「ん? 人と限りなく近い感触の素材かなー。衛生面とか安全面とかも考慮はしてるよ」

 

すると守がふわふわとまどかちゃんの近くに寄っていった。

そっと手を差し出し、手に触れようとする。

 

「この子は人懐っこいのかなぁ」

「守はのほほんとしてるから、一番懐っこいのかな?」

 

時が一番甘えん坊さんなんだけど……

 

わたわたと手を振り、バランスを崩し宙で一回転。

それを見たまどかちゃんが笑って、手を差し出した。

その手を触る守。

 

「温かい」

「人と同じ。人間の心と人と同じような体。この子達も、また人間であってほしい」

「おおー!!」

 

そんなことを言っていると、さやかちゃんが歓声を上げた。

世の方に視線を送ると、生地を頭の上でくるくる回しながら、たまに放りあげてを繰り返して生地をのばしていた。

思わずその光景に私も、まどかちゃんもマミさんも見入ってしまう。

膝の上で時が、頭の上で風がそれを見てキャッキャとはしゃいでいた。

 

皆の視線の集中で世は顔を赤くしながらも、綺麗に広げ、トマトソースを塗り、チーズとバジルの葉を掛けていく。

出来上がったそれを厨房まで持って行った。

 

「いやぁー、あそこまで見せつけてくれるとは。これは近い将来一家に一人の時代が来ますなぁ」

「さやかちゃん……」

「それにしても見事な手際。流石は藍香さんの作った人形ね」

「それほどでもないよ。私が皆を作って、皆にお料理の仕方を教えてあげただけ。その中で世が一番興味を持ってくれたから、細かく教えてあげて、今に至る」

「じゃあ皆、藍香がこれをやれー!って初めから命令しなくても、やってくれてるってこと?」

「だね。皆好きな事とかあるし、自分に一番合ってる仕事をやってくれてるの」

 

皆、仕事をしてる時は生き生きしてる。

本当に好きな事をしていれば、苦悩なんてない。

 

厨房から湯気を立てているピザが運ばれてきて、さやかちゃんの前に置かれる。

 

「ありがと。それじゃあいっただっきまーす!」

 

その直後、ピザを頬張ったさやかちゃんであったが、あまりの熱さに上がった悲鳴がお城の中に木霊した。

 




休める時に休むのも、仕事だぞ。
という言葉を添えて、癒しを共に。

なんとまぁ、全員集合回(ほむら以外)です。
このお茶会での言葉は、結構影響力を持つように頑張ってたりなかったり。
独自設定、マミさんの両親について。マミさんの技名が全部イタリア語なんでおかしくないかなと。(杏子、さやかの一部もそうだが)
次回は、まさかのマミさんパート。彼女の強さが解る回。

次回予告 CV;巴マミ

ここで絶望したら、自分の今までしてきたことの意味も、
自分が望んだ願いも、すべてをここで否定することになる。
私はそれを一番恐れているんだ。

『魂の宝石』
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