ENTUM23   作:マブラマ

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第10話 ENTUMの新章 ~昇格の重圧~

2018年4月9日、株式会社ENTUMの営業統括部は、1000万再生の輝きを背景に、突然の激震に揺れていた。オフィスの喧騒が一瞬静まり返る中、ニコラが萌実のデスクに毅然と歩み寄る。夕陽の光が、彼女の真剣な表情を際立たせていた。

ニコラが落ち着いた声で告げる。

「萌実、お前は副社長に昇格だ」

萌実は書類から顔を上げ、目を丸くする。

「え!? 嘘でしょ!? エイレーンは!?」

彼女の声には驚きと戸惑いが混じり、思わず椅子から立ち上がりそうになった。

ニコラは冷たく、しかし淡々と答える。

「社内の反乱分子として追放した。使えない人材は切り捨てないとな」

萌実は一瞬言葉を失い、呆然とする。やがて、彼女は小さく呟いた。

「……エイレーンは馬鹿だからね」

その声には、どこか複雑な感情が滲んでいた。エイレーンとの思い出が頭をよぎるが、すぐに気持ちを切り替える。

ニコラが萌実の目を見つめ、静かに続ける。

「やり遂げてくれるな、萌実?」

萌実はゴクリと息を呑み、胸に手を当てて気合いを入れる。

「は、はい! 必ず期待を裏切らず、良い動画を投稿してみせます!」

彼女の声は震えながらも、決意に満ちていた。

ニコラがわずかに頷き、厳かに告げる。

「明日は入社式だ。心しておけよ」

萌実が力強く答える。

「了解しました!」

ニコラが踵を返すと、オフィスのモニターでは「1000万再生」の数字が依然として輝き、社員たちのざわめきが再び響き始めた。萌実はデスクに座り直し、深呼吸する。

「(副社長か……エイレーン、馬鹿だったけど、嫌いじゃなかったよ。でも、私がやらなきゃ!)」

ENTUMの新たな物語は、萌実の昇格とともに、また一つの転換点を迎えていた。明日の入社式で、どんな顔ぶれが揃うのか――未来はまだ、誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年4月10日、株式会社ENTUMの大ホールは、記者会見の熱気で沸き立っていた。煌びやかな照明の下、壇上にはベイレーン社長、アイリスディーナ会長、ベアトリクス名誉会長、そしてカタリーナが並び、集まった報道陣の視線を一身に浴びていた。ホールのモニターには「1000万再生」の数字が輝き、ENTUMの勢いを象徴していた。

ベイレーンがマイクを握り、堂々とした声で会見を切り出す。

「それでは、記者会見を始めるだお! まずは――」

フジテレビの報道記者が鋭く手を挙げ、質問を投げかける。

「エイレーン副社長について、詳しく教えてください」

ベイレーンは一瞬目を泳がせ、冷静に答える。

「エイレーン副社長は昨日付けで解雇されたお。理由は、自己中的な内容の動画を投稿しようとしたからだお」

だが、アイリスディーナがすかさず割り込む。

「いや、エイレーン副社長は謹慎処分です。と同時に、役職を降格しました。会社内の秩序の維持には問題ありません」

彼女の落ち着いた声に、会場の空気が一瞬和らいだ。

記者がさらに質問を重ねる。

「では、イメージマスコット広報PRにWake Up, Girls! を起用した理由を教えてください」

ベアトリクスが勢いよく立ち上がり、力強く答える。

「彼女たちは私の部下の推しで採用しただけだ! 我が社のイメージ戦略として、CMにも出演し、アピールする!」

記者が頷き、「なるほど」と呟く。だが、ベアトリクスは止まらない。

「いいか!? 私たちは良き高き動画作りをしている! ミライアカリは、貴様らみたいな底辺とは違って健全たる動画を投稿している! それを邪魔する奴は会社の敵だ!」

ベイレーンとアイリスディーナが同時に顔を曇らせる。

会場が一瞬ざわつく中、カタリーナが柔らかな笑顔でマイクを握った。

「Wake Up, Girls! は私たちにとってかけがえのない存在であり、勇敢たるアイドルグループです! メンバー全員、ミライアカリを応援しています。彼女たちは私にとって、尊愛できる人たち。だから、ENTUMを支持してくれる人たちはたくさんいるはずです! ミライアカリ含め、Wake Up, Girls! を応援してくれたら、会社のイメージ戦略として高められる。これからも株式会社ENTUMを支持して応援してくれたら、私たちは嬉しいと思います」

彼女の言葉は温かく、会場に集まった記者たちの心を掴んだ。ベアトリクスがカタリーナを一瞥し、静かに呟く。

「カタリーナ、貴女は……」

カタリーナは笑顔を保ちつつ、声を震わせて続ける。

「皆様、どうか温かい目で見守ってください!」

だが、その瞳には涙が滲んでいた。彼女の心の中では、遠い記憶が蘇る。声を詰まらせ、壇上で小さく肩を震わせた。

ベイレーンが心配そうに声をかける。

「カタリーナ、泣いてるのか?」

カタリーナは首を振って、必死に笑顔を取り戻す。

「泣いて……なんかないわよ!」

だが、彼女の声は震え、涙は止まらなかった。

会場は一瞬静まり返り、記者たちもその感情に引き込まれる。アイリスディーナが静かに手を差し伸べ、ベアトリクスもまた、黙ってカタリーナの背を見つめた。

ENTUMの物語は、1000万再生の輝きと共に、仲間たちの絆と過去の傷を胸に刻みながら、新たな未来へと進む。大好きより大きな想いが、このホールに響き合い、会社の運命を力強く押し進めていく――。

 

 

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