2019年6月11日
株式会社ENTUM 第三会議室
ENTUM第三会議室は、夏のコミックマーケット96(8月9日~12日、青海展示棟ホールA、ブースNo.1251)に向けた最終調整で、まるで祭りの前夜のような熱気に包まれていた。壁にはミライアカリのキラキラしたポスター、猫宮ひなたのクールなイラスト、シフィの魔法書風キーホルダーの試作品が飾られ、テーブルには「ミライアカリ、猫宮ひなたと仲間たち」のグッズサンプルや2期生ボイスデータのUSBが山積み。モニターには、『ミライアカリオルタネイティヴⅡ』のゲームトレーラーが流れ、コメント欄は「アカリのRPG、絶対買う!」「ひなたの戦闘シーン、かっこよ!」「シフィ、魔法使い可愛い!」と、ファンの期待が爆発していた。『バーチャルさんはみている』の打ち切りや『シルヴィアさんがみている』の赤字失敗を乗り越え、ENTUMはコミケで起死回生を狙っていた。
名誉会長ベアトリクス・ブレーメが、黒いタイトスカートを翻し、会議室の中央に立つ。彼女の瞳には、aNCHORとの過去の失敗を払拭する野心が燃える。
「昨日、『ミライアカリオルタネイティヴⅡ』のブース販売を発表したが、今日は最終確認だ! グッズ、ボイス、ゲーム…全て完璧に仕上げ、コミケでENTUMの輝きを見せつける!」
ミライアカリが手を挙げ、キラキラ笑顔で叫ぶ。
「アカリのサイン入りポスター、めっちゃ可愛くできたよ! ファンのみんな、絶対喜ぶよね~!」
彼女のエプロンには、昨日こぼしたジュースのシミがうっすら残っている。
猫宮ひなたがクールに言う。
「私の限定アクリルスタンド、ゲーマー仕様でカッコいいぜ。ゲームのひなたも、銃ぶっ放すシーン多めに頼むよ。」
彼女の声には、FPS魂が滾る。
シフィが魔法書ノートを握り、目を輝かせる。
「シフィのキーホルダー、異世界の魔法陣デザインだよ! ゲームでも魔法バンバン使うから、楽しみ!」
だが、彼女の純粋な笑顔に、会議室の空気が一瞬和む。
ベイレーンがドアをガチャンと開け、乱入。
「オイラのTシャツ、過激なスローガンでバズる予定だお! 『YouTube、クソくらえ!』ってプリントしたぞ!」 彼女のピンクのツインテールが揺れ、減俸の恨みをゲームで晴らす気満々。
花野蜜が紅茶をすすり、冷静に言う。
「ベアトリクスさん、aNCHORとの連携は本当に大丈夫? 『シルヴィアさんがみている』の二の舞にならないよう、VTuberのキラキラ感を忘れないでね。」
彼女の声には、過去の失敗を繰り返さない知恵が宿る。
ニコラが書類の束を手に、クールに報告。
「ブースのレイアウトは完成。予算は私が厳格に管理します。aNCHORの石長朝陽には、昨日『マブラヴ要素は控えめにする』と再確認させました。」
彼女のシュタージ仕込みの眼光が、会議室をピリッと引き締める。
ベアトリクスが頷き、企画書を広げる。
「『ミライアカリオルタネイティヴⅡ』は、アクションRPGとしてアカリが異世界の救世主、ひなたが相棒のガンマン、シフィが魔法使い、ベイレーンが…まあ、爆発オチ担当だ。ストーリーはVTuberの魅力を最大限に活かし、コミケ限定パッケージにはサイン入りアートブックを同梱!」
「爆発オチ!? 最高じゃねーかお!」
ベイレーンが拳を振り上げ、叫ぶ。
「オイラのキャラ、ステージぶっ壊して視聴者ドッカーンだお!」
「ちょっと、ベイレーンさん! ゲーム壊さないでよ~!」
アカリが笑いながら突っ込む。コメント欄が「ベイレーン、爆発キャラ草」「アカリとひなたのコンビ、尊い!」と盛り上がる。
シフィが首を傾げ、呟く。
「シフィ、異世界なら慣れてるけど…aNCHORって、なんか怖い雰囲気ない? 前回のアニメ、変な方向に行っちゃったよね…。」
彼女の純粋な疑問に、会議室が一瞬静まる。
ベアトリクスが咳払いし、強気に言う。
「シフィ、心配するな。今回は私が石長を監視する。『バーチャルさんはみている』の失敗は、aNCHORの無茶なマブラヴ推しが原因だ。今回はVTuberの輝きを第一に、コミケでバズる!」
蜜が微笑み、言う。
「なら、ファンの期待に応えましょう。アカリちゃん、ひなたちゃん、シフィちゃん、みんなでキラキラしたブースを作り上げるわよ。」
「よっしゃ! アカリ、ファンのみんなに最高の笑顔届けるよ!」
アカリが立ち上がり、ポーズを決める。
「ふっ、コミケの会場、ひなたがガチで盛り上げるぜ。」
ひなたがニヤリと笑う。
「オイラのTシャツ、完売間違いなしだお! YouTubeのAIもビビるぜ!」
ベイレーンが叫ぶ。
モニターには、コミケブースの完成イメージが映し出される。アカリのキラキラポスター、ひなたのアクリルスタンド、シフィの魔法書キーホルダー、ベイレーン過激なTシャツ、そして『ミライアカリオルタネイティヴⅡ』の豪華パッケージが輝く。コメント欄は「ENTUMのブース、絶対行く!」「ゲーム、予約開始まだ?」「ベアトリクス、今回は頼むぞ!」と、ファンの熱気が爆発。
ファンの声とベアトリクスの決意
会議室の外では、ファンの水菜月夏希が『バーチャルさんはみている』のグッズを抱え、呟く。
「アニメはなくなっちゃったけど…アカリちゃんたちのゲーム、絶対買うよ!」
音霊魂子が隣で頷く。
「コミケでENTUMの輝き、見せてほしい! 魂子も応援してる!」
ベアトリクスは窓の外を見つめ、内心で呟く。(aNCHORの石長め…今度こそ無茶な要求は許さんぞ。) 『シルヴィアさんがみている』の赤字と『バーチャルさんはみている』の打ち切りを思い出し、彼女の拳が震える。だが、アカリの笑顔、ひなたの気合い、シフィの純粋さ、ベイレーン過激な叫びが、彼女の背中を押す。
ENTUM第三会議室は、コミックマーケット96への情熱で燃えていた。『ミライアカリオルタネイティヴⅡ』は、VTuberの輝きを取り戻す一手となるのか? ブースNo.1251で繰り広げられる夏の祭りが、どんなバズりを巻き起こすのか、アカリのキラキラとベアトリクスの野心に答えは隠されていた。
2019年6月13日 萌実自宅
萌実の自宅リビングは、彼女の新3D衣装のお披露目動画(6月6日投稿)の余韻で賑やかだった。ソファには、ミライアカリのぬいぐるみと『バーチャルさんはみている』のグッズが転がり、壁には猫宮ひなたのポスターが貼られている。モニターには、萌実の新衣装動画のコメント欄が「ヨメミと差別化カッコいい!」「萌実、ショートパンツ最高!」と、ファンの歓声で溢れていた。新衣装は、袖付きの上着、指ぬきグローブ、ショートパンツ、アップの髪型で、ヨメミとの瓜二つなビジュアルを鮮やかに差別化。だが、夏のコミックマーケット96(8月9日~12日)の準備に追われるENTUMで、萌実はどこか仲間外れ感を漂わせていた。
萌実がソファにドカッと座り、スマホをいじるエイレーンちゃんをチラリと睨む。
「何見てるのよ?」
彼女の声には、新衣装の自信と、微妙なイライラが混じる。
エイレーンが隣で微笑み、言う。
「何って? 萌実さん、折角新衣装をあげたのに嬉しくないようですが、何かあったのですか?」
彼女のスーツ姿は、いつものお姉さんキャラらしい落ち着きを放つ。
「ま、いいわ。それよりご飯食べに行かない? 腹減ったでしょ?」
萌実が話題をそらし、立ち上がる。
「え? ああ、行きます!」
エイレーンが慌てて頷く。
「その前にちょっとシャワー浴びてくるね。」
萌実がリビングを出て、バスルームへ向かう。
ガチャ!
萌実の足音が遠ざかると、ベノちゃんがニヤリと笑う。
「行った?」
「うん。」
エイレーンが小さく頷く。
「あ~っ、腹減ったね!」
ベノちゃんがソファに寝転がり、呟く。
「そうですね。」
エイレーンが相槌を打ちつつ、テーブルに置かれたデバイスに目をやる。
「ん? これは…Pixel Slate?」
「Pixel Slate? 萌実さん、買い換えたんですね。まるでビジネスマンみたいですよ。」
エイレーンが感心したように言う。
ベノちゃんが目を光らせ、Pixel Slateを手に取る。
「えーっと、パズドラフォルダは……あった!」
彼女の指が画面をスワイプし、悪ノリ全開の笑顔。
「ベノちゃん、何する気ですか?」
エイレーンが不安げに眉をひそめる。
「最近、萌実ちゃんさ。新衣装与えられて調子に乗ってるよね?」
ベノちゃんがニヤニヤしながら言う。
「アイツを貢献したつもりで、金増やしてやろうかな!」
「若気の至りですよ。そのうち慣れます。」
エイレーンがフォローしようとするが、ベノちゃんは止まらない。
「…ん? あれ? 金少ないね。え~と…これを外して。どれだっけ…あ、あった! モンスター売却!」
ベノちゃんが画面をタップし、萌実がコツコツ集めたモンスターを次々選択。
「これとこれ…これも…これも売却…これもだ…これも売却!」
エイレーンが焦り始める。
「ベノちゃん、ちょっと…!」
「え? 1、10、100、1000、10000、100000…ぷふぅ! 2310190!? ええっ!? こんなに高いの!!? これは売るしかないでしょ! じゃ、売りまーす!」
ベノちゃんが悪ノリでポチポチと売却ボタンを連打。
警告ポップアップ
「覚醒済みのモンスターが含まれています。本当に売却してもよろしいですか?」
ベノちゃんが即座に「はい」をタップ。
次の警告
「強化されたモンスターが含まれています。本当に売却しても…いいよ、はい!」
ベノちゃんがノリノリで進める。
さらに警告
「★3以上のレアモンスターが含まれています。本当に売却しても…いいよ、はいポチッとな!」
ベノちゃんの指が止まらない。
「何かヤバくないですか!? これ以上やったら萌実さん、怒るどころかチェーンソーで私たちに襲い掛かってきそうですよ!」
エイレーンがオロオロしながら叫ぶ。
「考え過ぎだよ、お姉ちゃん! …ん? もういいって! 『選択したモンスターをまとめて売却します。売価は2310190コインです。本当によろしいですか?』 はいポチッとな!」
ベノちゃんが満面の笑みでタップ。
チャリーン!
売却音が響き、ベノちゃんが爆笑。
「おおっ!! ぷふぅぅっ! アハハハハハハッ! 4307559コイン! ぷぷぷっ!」
「ベノちゃん、そろそろやめましょうよ!」
エイレーンが必死に止める。
「待って、もう一回やらして! こいつとこいつを売却して…べリアル持ってる! 生意気! これも売却! これもこれもこれ!」
ベノちゃんがさらに悪ノリ。
「どーせ使わないよねwwwww」
「(私、しーらない!)」
エイレーンが顔を覆い、責任逃れのポーズ。
チャリーン!
また売却音が響き、ベノちゃんが腹を抱えて笑う。
「アハハハハハハハッ! クックックックッ! ぷふぅぅっ! あ、やばっ、これでいいや。フフフッ、ざまーみろ!」
1時間後
ガチャ!
バスルームから戻った萌実が、タオルで髪を拭きながらリビングに登場。
「ふーっ、サッパリしたあ…あれ? ベノちゃんいたんだ。」
彼女の新衣装のショートパンツがキラリと輝く。
ベノちゃんがニヤニヤしながら言う。
「何か良い感じになったよ~。」
「?」
萌実が首を傾げ、Pixel Slateに目をやる。
エイレーンが恐る恐る口を開く。
「萌実さん、実はですね。ベノちゃんが…」
「え? 何? 夏コミの準備のこと? 萌実だけハブらせて…どういう神経してるのよ!」
萌実がムッとして、テーブルを叩く。彼女の声には、ENTUMのコミケ準備で蚊帳の外にされた不満が滲む。
「いえ、そうじゃなくて萌実さん!」
エイレーンが慌てて続ける。
「ハブらせたことは謝罪しますから、話を聞いてください!」
「……言い分だけ聞いてあげる。」
萌実が腕を組み、渋々頷く。
「はい。ベノちゃんが萌実さんのPixel Slateを弄ってて、パズドラのモンスター売却しちゃったんです!」
エイレーンが一気に告白。
「は?」
萌実の目が鋭くなる。
「ですから、パズドラのモンスターを売却しちゃったんですよ! 私はやめろと言ったのですが、ベノちゃんが聞く耳持たなくて…ごめんなさい!」
エイレーンが頭を下げる。
萌実がPixel Slateを手に取り、画面を確認。彼女の顔がみるみる青ざめる。
「ふぅん…で? ベノちゃん、パズドラ触った?」
「な…何のことかさっぱり…。」
ベノちゃんが目を逸らし、口笛を吹く。
「顔が横向いてるよ。」
萌実が冷たく言う。
「え? あ、いや…。」
ベノちゃんがしどろもどろ。
「私は無実です! 信じてください! 萌実さん! これが嘘吐いてる目に見えるんですか?」
エイレーンが必死に弁解。
「……ぷふぅっ! え? あれ?」
萌実が画面を凝視し、声が震える。
「マジかよ…おい…」
「ぷぷぷ。」
ベノちゃんが堪えきれず吹き出す。
「ソニア売ったでしょ?」
萌実の声が低くなる。
「え?」
ベノちゃんが固まる。
「ソニア2体売ったよね?」
萌実がさらに詰め寄る。
「何の事かな~、さっぱりわかんないよ。」
ベノちゃんが誤魔化す。
「……ソニアだけじゃないわね。色々いない…赤青全部ないわ。これどーいうことか説明してよ!」
萌実がPixel Slateをテーブルに叩きつけ、叫ぶ。
「…。」
ベノちゃんが沈黙。
「だから言ったのに…。」
エイレーンが小さく呟く。
「あああああああああああああっ!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!ああああああっ!もおおおおおおおおおおおっ!!ふざけんな!!マジで!!!」
萌実が絶叫し、髪を振り乱す。
「ぷっ…アハハハハハハッ!!」
ベノちゃんが腹を抱えて爆笑。
「何笑ってんのよ!!殺す!!」
萌実が激昂し、どこからともなくヴィーガー STG-941(訓練弾仕様)を手に、乱射モードに突入。
ガガガガガガガガガガガガガッ! 訓練弾がリビングに響き、クッションやぬいぐるみが飛び散る。
「ひぃ~っ、ごめんなさい!!」
ベノちゃんがソファの裏に隠れ、叫ぶ。
「ふざけるな!!」
萌実がさらに乱射。
ガガガガガガガガガガガガガッ!
「ごめんなさい! もうしません!!」
ベノちゃんが必死に謝罪。
「許さないよ!!」
萌実がヴィーガーを振り回し、リビングが戦場と化す。
エイレーンがオロオロしながら叫ぶ。
「萌実さん、落ち着いて! 訓練弾だから誰も死なないですけど、部屋が壊れますよ!」
モニターには、萌実の新衣装動画のコメント欄が「萌実、怒りの乱射w」「ベノちゃん、やらかしたな!」「ヨメミもこれ見て泣いてるぞ」と、視聴者のツッコミで溢れる。萌実の怒りとベノちゃんの悪ノリが、ENTUMの新たなカオスを生み出していた。夏コミの仲間はずれ感を忘れるほどの騒動が、どんなバズりを巻き起こすのか、萌実の新衣装とヴィーガーの銃口に答えは隠されていた。
2019年6月14日 株式会社ENTUM 名誉会長室
ENTUM本社の名誉会長室は、まるで裁判所のような重厚な空気に包まれていた。黒いカーテンと東ドイツ国旗が飾られた部屋の中央には、ベアトリクス・ブレーメが威厳たっぷりに座る。彼女のデスクには、ミライアカリのキラキラステッカーが貼られたコーヒーカップと、夏コミ準備の書類が山積み。壁には猫宮ひなたのポスターと『ミライアカリオルタネイティヴⅡ』の試作用パッケージが飾られ、モニターには昨日萌実宅で起きたパズドラ騒動のファン投稿動画が「萌実、ヴィーガー乱射w」「ベノちゃん、やらかしすぎ!」「ヨメミも泣いてるぞ」と、コメント欄で大盛り上がり。だが、今日はそのカオスな事件の後始末の日だ。
ベアトリクスが黒いタイトスカートを翻し、鋭い眼光で3人を睨む。
「ベノ、エイレーン、萌実。昨日のお前たちの愚行は、ENTUMの名を汚した。説明しろ。」
彼女の声は、シュタージ仕込みの迫力で部屋を震わせる。
ベノちゃんがソワソワしながら、頭を掻く。
「えっと…あの…ただのイタズラだっただけだよ~。萌実ちゃんのパズドラ、ちょっと弄っただけで…。」
彼女の声は、悪ノリがバレバレの弱々しさ。
萌実が新衣装の指ぬきグローブを握りしめ、ムッとして叫ぶ。
「ちょっと!? ソニア2体、赤青全部売られたんだから! 何年かけて集めたと思ってるの!? ヴィーガーで撃ったの、訓練弾でよかったわよ!」
彼女のショートパンツが怒りで揺れる。
エイレーンがスーツを整え、必死に弁解。
「名誉会長、私は止めようとしたんです! ベノちゃんが聞かなくて…! 私は無実です、信じてください!」
彼女の声には、お姉さんキャラの焦りが滲む。
ベアトリクスがデスクをバンと叩き、言う。
「黙れ! ベノ、お前の軽率なイタズラが、萌実の精神を傷つけ、ENTUMの評判を落とした。コメント欄を見ろ! 『ベノ、やらかしすぎ』『萌実の乱射、草』と、視聴者が祭り状態だ!」
モニターに映るコメント欄が「ENTUM、カオスすぎw」「萌実のヴィーガー、欲しい!」と、さらに加速。ベアトリクスがため息をつき、続ける。
「夏コミの準備で忙しい中、こんな騒動を起こすとは何事だ! 『バーチャルさんはみている』の打ち切りや『シルヴィアさんがみている』の赤字で、ENTUMは崖っぷちだぞ!」
萌実がムスッと口を尖らせ、言う。
「それなら、名誉会長! 夏コミの準備で私だけハブられてたの、どういうことですか? アカリちゃんやひなたちゃんはグッズやゲームでキラキラしてるのに、私には何も…!」
彼女の声には、仲間はずれの不満が滲む。
ベアトリクスが一瞬目を細め、冷静に返す。
「萌実、あなたの新衣装は6月6日の動画で大好評だった。ヨメミとの差別化も成功だ。夏コミでの役割は、これから決める。焦るな。」
「ほんとですか…?」
萌実が半信半疑で呟く。
ベノちゃんがニヤリと笑い、囁く。
「萌実ちゃん、グッズ作るならヴィーガー型のキーホルダーとかどう? 売れるよ~。」
「ふざけるな! まだソニアの件、許してないから!」
萌実がベノちゃんを睨みつけ、指ぬきグローブを握りしめる。
エイレーンが慌てて仲裁。
「二人とも、落ち着いて! 名誉会長の前ですよ!」
ベアトリクスが咳払いし、裁きを下す。
「いいか、処分を言い渡す。ベノ、1ヶ月の謹慎処分。配信と夏コミ準備への参加を禁止。反省しろ。」
「えー!? 1ヶ月!? やばいよ、ファンに忘れられちゃう!」
ベノちゃんがソファに倒れ込み、嘆く。
「エイレーン、萌実、貴様たちは厳重注意だ。エイレーンはベノを止められなかった責任、萌実は訓練弾とはいえヴィーガーで乱射した責任を取れ。次はないぞ。」
「了解しました…。」
エイレーンがシュンとし、頭を下げる。
「ちっ…仕方ないか。」
萌実が腕を組み、不満げに呟く。
ベアトリクスが立ち上がり、言う。
「ENTUMは『ミライアカリオルタネイティヴⅡ』と夏コミで再起をかける。aNCHORとの契約も慎重に進める。お前たちも、VTuberの輝きを忘れるな!」
モニターには、コミケブースのイメージが映る。アカリのポスター、ひなたのアクリルスタンド、シフィのキーホルダー、そして新たに「萌実のヴィーガー型ペンライト(仮)」のデザインが追加。コメント欄は「萌実のペンライト、欲しい!」「ベノ、謹慎w」「ENTUM、負けるな!」と、ファンの応援が溢れる。
名誉会長室の外では、花野蜜が苦笑いしつつ呟く。
「萌実ちゃん、ベノちゃん、エイレーンちゃん…カオスすぎるわね。でも、これがENTUMの魅力よね。」
彼女の微笑みには、過去の『バーチャルさんはみている』の失敗を乗り越えた余裕が漂う。
シフィが魔法書ノートを抱え、廊下で言う。
「シフィ、異世界でもこんな騒動なかったよ…。萌実ちゃんのヴィーガー、怖かったけど、かっこよかった!」
アカリが駆け寄り、笑顔で言う。
「萌実ちゃん、夏コミでグッズ出そう! ヴィーガーペンライト、絶対バズるよ~!」
ENTUM名誉会長室での裁きは、カオスな騒動に一つの区切りをつけた。ベノちゃんの謹慎、萌実の不満、エイレーンの中立が、夏コミへの新たな火花を散らす。ブースNo.1251で輝くENTUMの未来は、萌実のヴィーガーとアカリのキラキラ笑顔に答えが隠されていた。