ENTUM23   作:マブラマ

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第109話 友人にまたもやパズドラを消されて発狂する萌実

2017年6月23日 萌実自宅

 

萌実の自宅リビングは、VTuberデビューから数ヶ月の熱気と、草野球のテンションでカオスな雰囲気に包まれていた。3月3日に「アニメ娘エイレーン」YouTubeチャンネルで公開された『NieR:Automata』実況『これはパンツじゃないもん!!!』で鮮烈なスタートを切った萌実は、今日、エイレーン軍団vsばあちゃる軍団の草野球試合に参戦予定。リビングのテーブルには『NieR:Automata』の攻略本と、なぜかキズナアイのファンアート本(少し焦げた跡あり)が転がり、壁にはまだミライアカリのポスター枠が空いている。そこに、電脳少女シロのデビュー日(6月23日)という話題が飛び交う中、萌実は野球ユニフォームに着替えるため部屋に引っ込み、ベノちゃんの悪ノリが再び火を噴こうとしていた。ベノちゃんがソファに寝転がり、ニヤニヤしながら言う。

「えー、今日はエイレーン軍団vsばあちゃる軍団の草野球試合に行ってきまーす!」

萌実がリビングのドアから顔を出し、気合い全開。

「絶対勝ってやるから! 見ていてね、旦那様♪」

彼女の初期衣装は、2019年の指ぬきグローブやショートパンツとは違い、シンプルで可愛いデザインだ。エイレーンが微笑みつつ、話題を振る。

「余談ですが、今日って電脳少女シロちゃんがデビューする日ですよ。」

「着替えてくるね!」

萌実が部屋に引っ込む。

「スルーですか…。」

エイレーンが苦笑い。

「シロだろうがクロだろうが、絶対に勝ってやるわ!」

萌実の声が部屋から響き、野球への闘志が炸裂。ベノちゃんがせわしなく言う。

「早く着替えて!」

ガチャ!

萌実が部屋に消えると、ベノちゃんがニヤリと笑い、エイレーンに囁く。

「萌実ちゃんの部屋にいるよー。――ここで萌実ちゃんが動画編集してる! Windows 10搭載のデスクトップパソコンがありまーす! 萌実ちゃんのベッド! …ん? これは、萌実ちゃんがよく使ってるGalaxy Tab S2だね!」

エイレーンが目を細める。

「またやるのですか? やめた方が…。」

彼女の声には、3月のパズドラ売却事件のトラウマがチラリ。

「エボラちゃんにデート断られた腹いせだよ! 萌実ちゃんのパズドラ、弄っちゃおうっと♪」

ベノちゃんがビデオカメラを手に、自分の顔をドアップで映す。

「どうも、みんなこんにちは、ベノちゃんです! 最近、萌実がYouTubeで調子乗ってるから、これから私は萌実を懲らしめようと思いまーす!」

「ベノちゃん、やめましょうよ!」

エイレーンがオロオロしながら止める。ベノちゃんがGalaxy Tab S2を起動し、パズドラアプリを開く。

「お、ランク100までいってるじゃん! ふむふむ。」

彼女の指が画面をスワイプし、悪ノリ全開。

「どれもこれもレベル最大だね。よし、ホノりんを強化して、強化モンスターを売却売却~♪ そして合成♪」

「はぁ、どうなってもしりませんよ。」

エイレーンがため息をつき、責任逃れのポーズ。

「ほれほれ、どんどん強くなれ~!」

ベノちゃんがモンスターを次々合成&売却。

チャリーン!

売却音が響くたび、彼女の笑顔が悪魔的になる。

「…本当に知りませんよ?」

エイレーンが顔を覆う。

「野球から帰ってきたら気付くだろうね…ぷぷぷ…このキズナアイの本とか燃やしたからいけないんだよ…。」

ベノちゃんが焦げたファンアート本をチラ見。

「それはベノちゃんが燃やしたんですよね? 本当に知りませんよ。」

エイレーンが冷や汗。

「そんな悪いことしないで、楽しいYouTubeやろうぜ!」

ベノちゃんがカメラにウィンク。

「だからあなたがやったんですよね?」

エイレーンが突っ込むが、ベノちゃんはスルー。

「じゃ、野球行ってきまーす♪」

ベノちゃんがGalaxy Tab S2を置き、スキップで部屋を出る。数分後、萌実が野球ユニフォームに着替え、颯爽と戻る。

「お待たせ! 行こうか!」

「うん!♪」

ベノちゃんが無邪気に笑う。

「さあ、ばあちゃるさんが待っていますよ。」

エイレーンがホッとした顔で促す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

草野球試合を終え、エイレーン軍団がばあちゃる軍団に勝利したテンションのまま、萌実が自宅に戻る。彼女はベッドにドサッと座り、Galaxy Tab S2を手に取り、パズドラを起動。

「ん~? よーし、勝利の勢いでパズドラも無双するぞ!」

だが、画面を見つめる萌実の目が、徐々に異変を捉える。

「ん~?」

彼女の手が震え、Galaxy Tab S2を握り潰しそうな勢い。

「……!?」

折角苦労して集めたモンスターが、合成され、売却され、消滅。萌実は愕然、呆然、唖然。Galaxy S7を手に取り、エイレーンに電話をかける。

「エイレーン。お疲れ様…ごめんね、ちょっと聞きたい事あってね―――うん。単刀直入に言うけど。パズドラ触ってない? ……そう、あいつがやったの。ベノちゃんがやったんだね。……わかった。」

電話を切り、萌実の表情が凍りつく。リビングに彼女の絶叫が炸裂する。

「ふざけんなぁぁぁ!!! ああぁもう!! あーもう!! 何でいつも…もう!!…萌実、何も悪い事してないのに……うぅ…これで二回目だよ……もう……うぅ…エイレーンの…エイレーンの馬鹿あああああああああ!!! うぅぅぅ…あああああああああああああん!!…ぐすん…うあああああああああああ!!!」

萌実がベッドに倒れ込み、枕に顔を埋めて泣き叫ぶ。テーブルに転がる焦げたキズナアイのファンアート本が、彼女の悲しみに追い打ちをかける。コメント欄を想像すると「萌実、パズドラ再全滅w」「ベノ、2017年から破壊魔王!」「エイレーン、なぜまた止めなかった!」と、未来のファンが騒ぐ声が聞こえてきそうだ。

 

 

 

この2017年6月のパズドラ売却事件は、3月の初回やらかしに続く、ベノちゃんの「破壊魔王」伝説の第二章だった。萌実の怒りは、2019年の「天才萌実先生」シリーズでベノちゃんをネタ化する原動力となり、ヴィーガー乱射騒動やベノちゃんの謹慎へと繋がる。さらに、夏コミ(No.1251)の「萌実のヴィーガーペンライト」は、この二度の裏切りへのリベンジの結晶だったのかもしれない。電脳少女シロのデビュー日に起きたこのカオスは、ENTUM設立前のVTuber界隈のハチャメチャ史に刻まれる一ページとなった。

 

 

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