2018年4月10日、PM19:00。株式会社ENTUMの社長室は、昼間の記者会見の喧騒が嘘のような静けさに包まれていた。窓の外には夜の東京の灯りが瞬き、室内にはベイレーン社長のデスクに置かれたランプが暖かな光を投げかけていた。
ベイレーンが書類を整理しながら、ふと顔を上げる。
「え? 会社に寝泊まり?」
彼女の声には驚きと、少しの好奇心が混じっていた。
カタリーナがデスクの前に立ち、どこか疲れた笑顔で頷く。
「はい……ちょっと、色々あって」
彼女の瞳には、記者会見での涙の余韻がまだ残っているようだった。
ベイレーンは一瞬カタリーナを見つめ、すぐに笑顔を浮かべる。
「よし、許可しよう! 仮眠室で寝ていいぞ。名誉会長にもちゃんと伝えておくだお」
カタリーナがホッとしたように肩を下ろす。
「すいません、ありがとうございます」
ベイレーンは書類を脇に置き、椅子にふんぞり返る。
「会社で残業か? よし、特別手当を出そう!」
カタリーナが目を丸くする。
「え!?」
「遠慮せず受け取れだお!」
ベイレーンがウインクし、いたずらっぽく笑う。
「カタリーナ、今日の会見で頑張ってたもんな。少しでも力になれればいいだお」
カタリーナは一瞬言葉に詰まり、胸に温かなものが広がるのを感じた。
「社長……ありがとう」
彼女の声は小さく、しかし心からの感謝に満ちていた。
社長室の外では、オフィスのモニターに「1000万再生」の数字が静かに輝き続けていた。夜のENTUMは、仲間たちの小さな支え合いが、未来への道を照らす灯火となる。カタリーナは仮眠室へと向かう足取りを軽くし、ベイレーンは再び書類に目を落とす。物語は、こんな夜のひとときにも、静かに紡がれていく――。
株式会社ENTUMの仮眠室は、静かな夜の息吹に包まれていた。柔らかな間接照明が部屋を照らし、簡素ながら心地よい空間が広がっている。カタリーナは仮眠室のベッドに腰掛け、疲れを癒すように深呼吸していた。
突然、ドアが小さく開く音。ニコラがひょっこりと顔を覗かせる。彼女の手には、なぜかコーヒーの入ったマグカップが握られていた。
カタリーナが目を細め、くすっと笑う。
「フフフ―――――ニコラ、そこは……いけないよ」
彼女の声は軽やかで、どこか茶目っ気たっぷり。記者会見の重い空気を吹き飛ばすような、親しみのある響きだった。
ニコラがニヤリと笑い、部屋に入ってくる。
「…仮眠室まで押しかけて悪いな。このコーヒー、お前の分だ」
彼女はマグカップをカタリーナに差し出し、隣にどっかりと腰を下ろす。
カタリーナがマグを受け取り、温もりにほっとした表情を見せる。
「ありがと、ニコラ。こんな時間にコーヒーって、寝れなくなるんじゃない?」
「寝る前に一仕事だろ? それとも、Wake Up, Girls! の新曲でも語りたいか?」
ニコラがからかうように言うと、カタリーナが笑いながら肩を叩く。
「もう! かやたんとみゅーちゃんの話は、また今度ね!」
二人の笑い声が仮眠室に小さく響き合い、夜のENTUMに温かな一瞬を刻む。遠くのオフィスでは「1000万再生」の数字がモニターに輝き続けていたが、この小さな部屋では、仲間同士のささやかな絆が心を満たしていた。カタリーナとニコラの物語は、こんな夜のひとときにも、静かに深まっていく――。