ENTUM23   作:マブラマ

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第110話 新年早々パズドラ消されて大発狂する萌実

2018年1月7日 城崎温泉 旅館の和室

 

城崎温泉の旅館は、エイレーンたちが織りなすカオスな熱気で、まるでVTuber界の戦場と化していた。2泊3日の旅行に集まったのは、萌実、エイレーン、ベノちゃん、そして本日デビューしたばかりのヨメミ。畳の部屋には、ミライアカリのキラキラステッカーが貼られたスーツケースや、猫宮ひなたのクールなキーホルダーが転がり、窓の外には雪景色と温泉街の灯りが広がる。ヨメミのデビューを祝う旅行のはずが、ベノちゃんの悪ノリが再び火を噴こうとしていた。ヨメミが浴衣姿で扇子を振り、元気いっぱいに言う。

「ハロー! ダーリン、ヨメミだよ♪ 今日はヨメミがVTuberデビューする記念に、城崎温泉に来てまーす♪」

彼女の声は、初々しさとキラキラ感で部屋を照らす。ベノちゃんが隣でニヤニヤ。

「私もいるよー。」

彼女の浴衣は少し乱れ、悪ノリオーラが漂う。

「いやー、来て良かったねぇ。ヨメミも温泉入ろうかな!」

ヨメミが目を輝かせる。

「お姉ちゃんと萌実ちゃんは今寝てるし、一緒に…ん?」

ベノちゃんの視線が、畳の隅に置かれたSamsung Galaxy Tab S2にロックオン。

「どしたの?」

ヨメミが首を傾げる。

「Galaxy Tab S2があるね。」

ベノちゃんがニヤリと笑う。

「お、萌実ちゃん、いいタブレット持ってるじゃん。ヨメミも欲しいな…。」

ヨメミが無邪気に感心。

「暇なので弄っていくよ~♪」

ベノちゃんがタブレットを手に取り、悪ノリスイッチ全開。

「え? やめた方が…。」

ヨメミが不安げに言う。デビュー直後の彼女には、ベノちゃんの「パズドラ破壊魔王」伝説はまだ知られていない。

「大丈夫大丈夫…ん? ぶほぉ! 萌実ちゃん、まだパズドラやってたんだ! しかもランク107だし…やり込んでるね~。」

ベノちゃんがタブレットをスワイプし、目を輝かせる。

「どうするの?」

ヨメミがドキドキしながら見つめる。

「合成して強化するんだ。へぇ、チョコボいるんだ。此奴は売却せずに放置…Androidいるじゃないか! 此奴を強くして…これと、これと…あとはこれだな!」

ベノちゃんがパズドラのモンスターを次々合成&強化。

チャリーン!

合成音が響くたび、彼女の笑顔が悪魔的に。

「ベノちゃん、大丈夫? マズいんじゃ…。」

ヨメミがオロオロ。彼女の扇子が震える。

「…このくらいにしておくか。」

ベノちゃんが満足げにタブレットを置く。だが、その目はまだ企みを隠している。ベノちゃんが布団で寝ている萌実を揺さぶる。

「萌実ちゃん、ドロイド君を強化したよー!」

「んん…何よ。まだ夜中の3時だよ…。」

萌実が眠そうに目をこする。彼女の浴衣は少し乱れ、パズドラ愛だけが冴えている。

「いいから!」

ベノちゃんがタブレットを突きつける。

「ん……え?…。」

萌実が画面を見て、目が点に。強化されたドロイド君の裏で、彼女の愛するバステトが合成素材として消滅していた。萌実が布団を跳ね除け、浴衣のまま部屋を飛び出し、旅館の廊下へ。そして、雪がチラつく温泉街の夜空に、彼女の絶叫が響き渡る。

「バステトォ〜〜〜! バステトォ〜〜〜!! バステトォ〜〜〜!!! バステトォ〜〜〜!!!!バステトォ〜〜〜!!!!!」

旅館の窓がビリビリ震え、近くの温泉客が「何!? 地震!?」と慌てる。ヨメミが廊下に飛び出し、叫ぶ。

「萌実ちゃん!? どうしたの!?」

ベノちゃんがニヤニヤしながら呟く。

「ぷぷぷ…バステト、銀河の彼方に消えたね…。」

部屋の中で、エイレーンが目を覚まし、寝ぼけ眼で呟く。

「…何? またベノちゃんがやらかしたの? 私は知りませんよ…。」

彼女のスーツ(旅行中なので私服だが)は、いつものお姉さんキャラの落ち着きを保ちつつ、カオスに巻き込まれ気味。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝、旅館の朝食会場で、萌実が赤い目で味噌汁をすすりながら睨む。

「ベノちゃん…バステト、返して…。」

「えー、ドロイド君めっちゃ強くなったじゃん! 感謝してよ~!」

ベノちゃんが無邪気に笑う。

「ヨメミ、知ってたの?」

萌実がヨメミに鋭い視線。

「え、ヨメミ、止めようとしたけど…ベノちゃんが…!」

ヨメミが扇子で顔を隠し、オロオロ。エイレーンが味噌汁をすすりながら、ため息。

「ベノちゃん、これで3回目ですよ。2017年の3月、6月に続き…次やったら、2019年の何かで大騒動になりますよ…。」

コメント欄を想像すると「萌実、バステト全滅w」「ベノ、温泉でも破壊魔王!」「ヨメミ、巻き込まれ乙!」と、未来のファンが大騒ぎしそうな雰囲気。城崎温泉の夜は、萌実の絶叫とベノちゃんの悪ノリで、ENTUM設立前のVTuber界隈のハチャメチャ史に新たな1ページを刻んだ。

 

この2018年1月のパズドラ売却事件は、2017年の二度(3月、6月)に続く、ベノちゃんの「パズドラ破壊魔王」伝説の第三章だった。萌実の怒りは、2019年の「天才萌実先生」シリーズでベノちゃんをネタ化する燃料となり、ヴィーガー乱射騒動やベノちゃんの謹慎へと繋がる。城崎温泉でのヨメミのデビューとバステトの悲劇は、夏コミ(No.1251)の「萌実のヴィーガーペンライト」を生み出す、萌実の情熱の原点だったのかもしれない。

 

 

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