ENTUM23   作:マブラマ

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第124話 ベルリン左翼党本部の静かな衝撃

2019年9月21日、ドイツ連邦共和国の首都ベルリン、左翼党本部の一室は、重厚な静寂に包まれていた。古びた木製のデスクには、書類の山とコーヒーカップが並び、窓の外にはベルリンの灰色の空が広がる。部屋の中心に座るグレーテル・イエッケルン議員は、鋭い眼差しでノートパソコンの画面を見つめていた。彼女の前には、『萌実の発狂シーン集』のサムネイルが映し出されている。萌実がチェーンソーを振り回し、髪を振り乱す姿は、まるで制御不能な嵐のように不穏に光る。グレーテルは、左翼党のベテラン議員として、冷静沈着な判断力で知られていたが、この動画の存在には戸惑いを隠せなかった。彼女はENTUMの株主の一人として、VTuber界の動向をチェックする義務を感じ、たまたま送られてきたこの動画リンクを開いたのだ。だが、画面に映るカオスの予感に、彼女の眉がピクリと動く。

「…日本のVTuber文化、興味深いと聞いていたが…これはいったい何だ?」

グレーテルは呟き、コーヒーを一口飲んで心を落ち着ける。彼女が再生ボタンをクリックすると、モニターから萌実の絶叫が炸裂し、ベルリンの静かな会議室を一瞬でカオスに染めた。

 

 

2017年3月20日

《ふざけんなぁぁぁ!!! ああぁもう!! あーもう!! ふざけんなよ……もう……うぅ…エイレーンの…エイレーンの馬鹿あああああああああ!!!》

パズドラのデータが消された怒りが響く。

グレーテルは目を細め、呟く。

「な……何だ?これは。ゲームのデータが消されただけで、こんな…感情の爆発?」

 

2017年6月23日

《ふざけんなぁぁぁ!!! ああぁもう!! あーもう!! 何でいつも…もう!!…萌実、何も悪い事してないのに……うぅ…これで二回目だよ……もう……うぅ…エイレーンの…エイレーンの馬鹿あああああああああ!!! うぅぅぅ…あああああああああああああん!!…ぐすん…うあああああああああああ!!!》

グレーテルは椅子の背に沈み込み、絶句する。

「…2回も?このベノという人物、なんという無責任な…。だが、萌実のこの叫び、なんとも…強烈だな」

 

2018年1月7日

《バステトォ〜〜〜! バステトォ〜〜〜!! バステトォ〜〜〜!!! バステトォ〜〜〜!!!!バステトォ〜〜〜!!!!!》

萌実がバステトを連呼する姿に、グレーテルの手がコーヒーカップを握り潰しそうになる。

「…バステト?ゲームのキャラクターへの執着が、ここまで?日本のポップカルチャー、理解し難い…」

彼女の声には、困惑が滲む。

 

2019年6月11日

萌実がヴィーガー STG-941(訓練弾仕様)を乱射。

《何笑ってんのよ!!殺す!!》

ガガガガガガガガガガガガガッ!

ベノちゃんが「ひぃ~っ、ごめんなさい!!」と逃げ惑う。グレーテルは目を丸くし、冷ややかな瞳で画面を見つめる。

「…銃!?訓練弾とはいえ、こんな過激な表現を…。VTuberとは、なんという世界だ」

 

2019年7月21日

萌実がGoogle Pixel 3aを投げつけ、「アンタ…何してくれてんのよ!! 本当に!!!」と絶叫。チェーンソーを手に「殺す!!!! 殺してやる!!!!!」と追いかけ、ドアをぶち破る。ベノちゃん、夏希、あかりがパニックに陥り、エイレーンも「ぎゃあああああああああああ!!!」と逃げ惑う。

グレーテルは完全に絶句し、冷ややかな軽蔑の眼差しでモニターを睨む。

「な……何だ?これは!チェーンソーだと!?このカオス、ENTUMのブランドとして許されるのか?」

動画のコメント欄は、まるで無秩序な祭りのようだった。「トイザらスで欲しいものを買ってもらえなかった時の幼児みたい」「檻の中で暴れるチンパンジーを眺めてる気分になる」「チェーンソーは駄目だろ(笑)」「萌実ちゃんの口癖→→→ふざけんなよ。←←←」「ハロー、旦那様。あなたの嫁の萌実だよー。発狂します! は?」「チェンソーはエグい」「夏希ちゃんかわいそう」「萌実ちゃん子供みたいだー。」

グレーテルはコメント欄をスクロールし、冷ややかな声で呟く。

「…視聴者はこれを娯楽として楽しんでいるのか。日本のVTuber文化、想像以上に野蛮だな。萌実の情熱は認めるが、この過激さ…株主としては看過できない」

彼女はコーヒーカップを置き、ノートにメモを取る。

「ベノの炎上商法、萌実のこの…発狂。ENTUMの経営陣は、どう管理するつもりだ?12月11日の生放送、このカオスがどう転ぶか…注視する必要がある」

グレーテルの冷ややかな瞳には、軽蔑と同時に、VTuber界の予測不能なエネルギーに一抹の興味が宿っていた。

「…だが、萌実とエトラのコンビ、この情熱を正しい方向に導ければ、ENTUMの価値は上がるかもしれない。チェーンソーは…即刻禁止だ」

 

 

 

 

『萌実の発狂シーン集』は、ベルリンの左翼党本部にまで波及し、グレーテル・イエッケルン議員を絶句させ、冷ややかな軽蔑を引き出した。萌実の爆発的な感情は、キズナアイの寛大さ、ベノちゃんの炎上商法、ENTUMやにじさんじのメンバーたちの驚愕と交錯し、12月11日の生放送への期待をさらに高めていた。一方、にじさんじのギルザレンⅢ世は新たな策略を企み、樺太のエイレーンは炎上の収束に奔走する。VTuber界の舞台は、カオスと情熱、驚愕と冷徹な視点が絡み合いながら、さらなるドラマへと突き進んでいた――。

 

 

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