ENTUM23   作:マブラマ

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第141話 桜月花音の配信部屋の恐怖と複雑な想い

2019年10月4日の夜、桜月花音の自宅配信部屋は、桜色の柔らかな光に包まれていた。ピンクと白の花柄カーテン、桜の花びらモチーフのクッション、清楚な雰囲気のデスクには小さなぬいぐるみが並び、彼女のキャッチフレーズ「あなたに寄り添う心のヒロイン」を体現する空間だった。自称・清楚系バーチャルYouTuberの花音は、毛先に向かってピンクのグラデーションがかかった黒髪ロングヘアを揺らし、配信中のモニターに向かって微笑む。

「ふふ、のん、今日もみんなに癒しを届けるのです~!チャットでリクエスト、待ってるのです~!」

配信中のチャット欄は、いつも通りファンからの温かいメッセージで賑わっていた。しかし、あるリスナーのコメントが花音の目を引く。

「花音ちゃん、ENTUMの『萌実の発狂シーン集』見た?チェーンソーやばいよ!」

花音は一瞬固まり、清楚な笑顔を保ちつつ、モニターに身を乗り出す。

「…え、萌実さんの発狂シーン集?チェーンソー?な、なんですの、それ!?のん、清楚なヒロインなのに、怖いのはちょっと…なのです!」

彼女の声には戸惑いが滲むが、ファンの盛り上がりに押され、配信を終えた後に視聴を決意する。配信終了後、花音は震える手でYouTubeを開き、『萌実の発狂シーン集』のサムネイルを見つめる。萌実がチェーンソーを振り回し、髪を振り乱す姿は、まるでホラー映画のラスボスそのもの。

「…これ、ほんとに見るのです?ハニーストラップのメアリさんたちも愕然としたって噂…。でも、のん、心のヒロインとして、ファンのリクエストに応えるのです!」

花音は気合を入れ、再生ボタンをクリック。次の瞬間、彼女の配信部屋は萌実の絶叫に飲み込まれ、不快感と恐怖、絶望が心に押し寄せた。

 

2017年3月20日

《ふざけんなぁぁぁ!!! ああぁもう!! あーもう!! ふざけんなよ……もう……うぅ…エイレーンの…エイレーンの馬鹿あああああああああ!!!》

パズドラのデータが消された怒りが響く。

花音は目を丸くし、ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。

「…ひぃ!萌実さん、こんなにキレるのです!?パズドラ消されたのは可哀想だけど…この叫び、のんの清楚な心が震えるのです…!」

 

2017年6月23日

《ふざけんなぁぁぁ!!! ああぁもう!! あーもう!! 何でいつも…もう!!…萌実、何も悪い事してないのに……うぅ…これで二回目だよ……もう……うぅ…エイレーンの…エイレーンの馬鹿あああああああああ!!! うぅぅぅ…あああああああああああああん!!…ぐすん…うあああああああああああ!!!》

花音は椅子からずり落ち、震える声で呟く。

「2回も消されたのです!?ベノさん、なんてひどいことを…!萌実さんの悲しみ、のんの癒しでもカバーしきれないのです…!」

 

2018年1月7日

《バステトォ〜〜〜! バステトォ〜〜〜!! バステトォ〜〜〜!!! バステトォ〜〜〜!!!!バステトォ〜〜〜!!!!!》

萌実がバステトを連呼する姿に、花音がぬいぐるみを投げる。

「バ、バステト!?この執念、のんの清楚な配信じゃ出せないのです…!萌実さん、怖いけど…なんかすごいのです…!」

花音の声は恐怖と驚嘆が混じる。

 

2019年6月11日

萌実がヴィーガー STG-941(訓練弾仕様)を乱射。

《何笑ってんのよ!!殺す!!》

ガガガガガガガガガガガガガッ!

ベノちゃんが「ひぃ~っ、ごめんなさい!!」と逃げ惑う。

花音は悲鳴を上げ、机の下に隠れる。

「ひゃあ!ヴィーガー!?こんなの撃つなんて!?のん、心のヒロインなのに、こんなカオス耐えられないのです…!」

 

2019年7月21日

萌実がGoogle Pixel 3aを投げつけ、「アンタ…何してくれてんのよ!! 本当に!!!」と絶叫。チェーンソーを手に「殺す!!!! 殺してやる!!!!!」と追いかけ、ドアをぶち破る。ベノちゃん、夏希、あかりがパニックに陥り、エイレーンも「ぎゃあああああああああああ!!!」と逃げ惑う。花音は完全に凍り付き、モニターを呆然と見つめる。不快な表情が浮かび、桜色の髪が震える。

「…チェ、チェーンソー!?ドアぶち破る!?萌実さん、のんの清楚な世界が崩れるのです…!怖すぎる、絶望しかないのです…!」

彼女はぬいぐるみを抱きしめ、恐怖と絶望に飲み込まれる。しかし、動画を見終えた花音は、深呼吸してモニターを見つめる。萌実の爆発的な感情に悪意がないことを感じ取り、複雑な表情を浮かべる。

「…萌実さん、こんなカオスだけど…本当は優しい気持ちでやってる気がするのです。のん、怖かったけど…なんか、萌実さんの情熱、嫌いじゃないのです…」

彼女の清楚な心は、恐怖と共感の間で揺れていた。

コメント欄は、まるでカオスの祭りのようだった。

「トイザらスで欲しいものを買ってもらえなかった時の幼児みたい」「檻の中で暴れるチンパンジーを眺めてる気分になる」「チェーンソーは駄目だろ(笑)」「萌実ちゃんの口癖→→→ふざけんなよ。←←←」「ハロー、旦那様。あなたの嫁の萌実だよー。発狂します! は?」「チェンソーはエグい」「夏希ちゃんかわいそう」「萌実ちゃん子供みたいだー。」

花音はコメント欄をスクロールし、震えながら呟く。

「…みんな、こんな怖い動画で盛り上がってるのです!?『チンパンジー』とか、ひどいのです…!でも、萌実さんのこのパワー、ファンをこんなに熱くするなんて…すごいのです…」

彼女は不快感と恐怖を覚えつつも、萌実の情熱に一抹の尊敬を感じていた。花音はぬいぐるみを抱き、決意を込めて呟く。

「のん、心のヒロインとして、12月11日の生放送、萌実さんとエトラさんのカオスを見届けるのです!そして、のんの清楚な配信で、みんなを癒すのです~!…でも、チェーンソーは絶対NGなのです!」

この時、彼女はまだ知らなかった。2020年以降、萌実とのコラボ配信の機会が増え、意外な友情が芽生える未来が待っていることを。

 

『萌実の発狂シーン集』は、桜月花音に不快感と恐怖、絶望を植え付け、彼女の清楚な配信部屋をカオスの嵐で揺さぶったが、萌実の悪意のない情熱に心のヒロインとしての共感を呼び起こした。萌実の爆発的な感情は、キズナアイの寛大さ、ベノちゃんの炎上商法、ENTUMやにじさんじ、.LIVE、ゲーム部、upd8、ミライアカリ、鳴神裁、夢月ロア、郡道美玲、白銀ノエル、兎田ぺこら、さくらみこ、黄ノ星つくり(後のぷわぷわぽぷら)、雛見沢くるみ、朝霞しお、音霊魂子、水菜月夏希、石狩あかり、根羽清ココロ、因幡はねる、宗谷いちか、日ノ隈らん、宇森ひなこ、西園寺メアリ、島村シャルロット、周防パトラ、堰代ミコの反応と交錯し、12月11日の生放送への期待をさらに高めていた。ぴぐまりおん。のくるみがあおぎり高校とコラボを模索し、ベアトリクス・ブレーメが削除を断念したこのカオスは、VTuber界全体を巻き込む嵐となっていた。ギルザレンⅢ世は新たな策略を企み、樺太のエイレーンは炎上の収束に奔走する。VTuber界の舞台は、カオスと情熱、恐怖と絆が絡み合いながら、さらなるドラマへと突き進んでいた――。

 

 

 

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