ENTUM23   作:マブラマ

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第158話 ポッキー&プリッツ

東京・港区の高層ビル、最上階。

ENTUM本社の名誉会長室は、黒い大理石の床に銀の燭台が揺らめく、まるで闇の宮殿だった。

重厚な扉が静かに閉まる音が響き、室内に満ちるのは、甘いチョコレートの香りと――底知れぬ嫉妬の匂い。ベアトリクス・ブレーメは、黒いスーツのジャケットを羽織り、

タイトスカートが艶やかに腿を包む。

漆黒のロングヘアーを高く結い上げ、

普段は妖艶に弧を描く唇が、今は鋭く引き結ばれている。彼女は、革張りの椅子に深く腰を沈め、片手で握りしめたスマホの画面を睨みつけた。――

「キズナアイ、『ポッキー&プリッツの日』アンバサダー就任決定!」

茶色の髪を振り乱してポッキーをかじるアイちゃんの笑顔。

セブンイレブン限定クリアファイル、TikTok企画、

「おソロ PARTY!」という甘ったるいキャッチコピー。ベアトリクスの瞳が、まるで深淵の底から這い上がる闇のように、

ゆっくりと黒く染まっていく。

「……ふざけるな」

低く、震える声。

指先がスマホを握りしめ、画面が軋む。

「甘いお菓子? シェア? おソロ?」

彼女はゆっくりと立ち上がる。

黒いハイヒールが大理石を打ち、

カツン、カツン、と死の行進のような音を立てる。

「私こそが、VTuber界の“黒い甘さ”の女王だというのに」

唇が歪む。

妖艶な笑みは消え、代わりに浮かぶのは、

まるで奈落の底から湧き上がるような、純粋な――嫉妬の炎。

「キズナアイ……あの小娘に、11月11日を渡すと思うなよ」

彼女は黒いレースの手袋をはめ、

机の上のポッキー箱を掴む。――黒いチョコレートで塗りつぶされた、自作の“ブラックポッキー”。

「私のブラックパーティーで、貴様たちの甘い夢を、真っ黒に塗り替えてやる」

窓の外、東京の夜景が広がる。

その闇の中、ベアトリクスの瞳だけが、燃えるように輝いていた。――11月11日、甘さと黒さの戦争が始まる。

 

コメント欄の黒い嵐

「ベアトリクス名誉会長、ガチギレwww」

「ブラックポッキー怖すぎて草」

「アイちゃんのピンク vs ベアトリクスの黒、世紀の甘さ対決キター!」

「ENTUM本社、今夜は黒いチョコの匂いで充満してるらしい」

「12.11の海戦コロシアム、ポッキー要素追加でカオス倍増確定」

 

ベアトリクスは、黒いスーツの裾を翻して、名誉会長室の扉を開ける。

「……行くわよ、みんな。甘いだけの世界なんて、私がぶち壊してあげる」

黒いハイヒールの音が、ENTUMの廊下に、静かに、しかし確実に、嫉妬の足音を刻んでいった――。

 

 

 

 

 

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