ENTUM23   作:マブラマ

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第159話 PINK&BLACK

2019年10月16日

ENTUM本社 控え室

 

高層ビルの最上階、名誉会長室の隣。

黒い扉の向こうから、ガンガン!と机を叩く音が響き渡る。

ENTUMの控え室に集まった四人の少女たちは、

息を潜めてドアを見つめていた。猫耳がピクピク震える猫宮ひなたが、小声で呟く。

「名誉会長、完全に怒ってる……」

ふわふわのひよこヘアーを揺らして、もちひよこが肩をすくめた。

「そりゃあ、『キズナアイ、ポッキー&プリッツの日アンバサダー就任決定!』って、街中のセブンイレブンがピンク一色に染まったら……ね?」

ひなたは両手を広げて、まるで爆発寸前のチェーンソーを抱えるような仕草で、「これってさ……私怨じゃないの?」

隣で優雅に紅茶をすすっていた花野蜜が、黒色の髪を耳にかける。

「『バーチャルさんはみている』の失敗を糧にして、アイちゃんは別の成功を掴んだのよ。あのアニメ……1話の静止画で、みんなの心に深い傷を残したけど、それでも彼女は立ち上がった。凄いわね……」

ひなたが目を丸くする。

「蜜先生……?」

蜜はカップを置き、遠くを見るような瞳で微笑んだ。

「アイちゃんも凄いわね……」

もちひよこが、ぽん、と手を叩く。

「失敗しても、別の成功が転がってるんだね……」

控え室の隅で、ヒーローコスチュームの裾を握りしめていた皆守ひいろが、小さく頷いた。

「そうだね」

――ドアの向こうから、黒いハイヒールの音が近づいてくる。

カツン、カツン。

四人が一斉に背筋を伸ばす。 扉が開き、深淵の闇を宿した瞳が、静かに彼女たちを見据えた。

「――聞いていたわね?」

ベアトリクス・ブレーメの声は、チョコレートのように甘く、毒のように冷たい。

「11月11日、私たちのブラックパーティーで、あの甘ったるいピンクを、真っ黒に塗り替えてあげる」

ひなたがゴクリと唾を飲み、もちひよこがひよこポーズで震え、蜜が紅茶を零し、ひいろがヒーロー変身ポーズで固まる。控え室に、黒いチョコの香りと、四人の少女たちの悲鳴が、静かに溶け合った――。

 

コメント欄の甘黒カオス

「ENTUM控え室、今日も平和w」

「蜜先生の過去暴露キター!」

「バーチャルさんはみているの傷、まだ癒えてない民おおい」

「ブラックポッキー、絶対苦いヤツだろwww」

「11.11、ピンクvs黒の甘さ戦争開幕!」

「12.11海戦コロシアム、ポッキー砲搭載確定」

 

ベアトリクスの黒い笑みが、ENTUMの廊下を、甘く、黒く、染め上げていく――。

 

 

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