ENTUM23   作:マブラマ

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第179話 無機質

2020年10月11日、ミライアカリは、GOOMSTUDIOの無機質な配信ルームに閉じ込められたまま、冷たい椅子に座り、暗いモニターを見つめていた。

薄暗い蛍光灯が彼女の金髪サイドテールとピンクの星マークが揺れる蒼い瞳に淡い影を落とし、彼女の心は絶望と不屈の意志の間で揺れ動いていた。『バーチャルさんはみている』の仲間たちとの楽しかった日々――シロの明るい笑顔、そらの優しい歌声、ひなたの元気な声援――が脳裏に浮かんでは消えた。

「シロちゃん…そらちゃん…みんな、私を信じててくれるよね…?」

アカリの声は小さく、かすかに震えていた。ドアが軋む音と共に、ジャマイカン山田が再び現れた。その冷笑は前日よりも鋭く、まるで刃のようにアカリの心を切りつけた。

「おい、ミライアカリ。まだその気にならないのかね? バスクの我慢も限界だぞ。今日こそ、ホロライブとにじさんじを批判する配信をやれ。」

アカリはゆっくりと立ち上がり、ジャマイカンを真っ直ぐに睨みつけた。涙が滲む瞳には、折れぬ決意が宿っていた。

「何度言われても、同じだよ。ファンのみんなを裏切るようなこと、絶対にしない!」

ジャマイカンは声を低くし、威圧的に言い放った。

「君の頑固さ、いい加減鬱陶しいぞ。バンナムの計画を邪魔したら、君のチャンネルも、仲間も、全部潰す。それでもいいのか?」

アカリは拳を握り、声を張り上げた。

「仲間を脅すなんて最低! 私は、ファンのみんなと一緒に笑顔を作ってきたんだ! あなたたちの道具にはならないよ!」

彼女の声は、冷たい部屋の空気を震わせ、まるで希望の火花を散らした。ジャマイカンは一瞬黙り、冷たく吐き捨てた。

「…バスクに報告する。君の運命は、もう決まったようなもんだな。」

彼はドアを乱暴に閉め、鍵をかける重い音が響いた。アカリは再び椅子に座り、膝を抱えた。

「みんな…私、頑張るから…待ってて…」

彼女の小さな呟きは、絶望の淵でなお燃える希望の灯火だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ZIZAI本社の作戦会議室は、戦いの準備を進める熱気と緊張感で満たされていた。アイリスディーナ・ベルンハルトが中心となり、ファルカ・ミューレンカンプ、テオドール・エーベルバッハ、リィズ・ホーエンシュタイン、そしてあおぎり高校のリーダー・音霊魂子が集結していた。モニターには、月ヶ瀬ちゆるから送られたGOOMSTUDIOの警備システムの解析データと、ブライト・ノアからの内部情報が映し出されていた。アイリスディーナが鋭い視線で全員を見渡し、力強く切り出した。

「ちゆるの解析とブライトからの情報で、GOOMSTUDIOの配信ルームの監視状況が明確になった。アカリは完全に隔離されているが、彼女の配信スケジュールに隙がある。明日の夜、警備が手薄になるタイミングを狙う。」

魂子が拳を握り、熱く応じた。

「アカリちゃんの笑顔、絶対取り戻すよ! あおぎりの仲間たちも、#SaveAkariでTwitterを盛り上げてる! シロちゃんやギバラちゃんも、ファンを巻き込んで動いてくれてる!」

テオドールが冷静に補足した。

「にじさんじやホロライブのVTuberたちも協力してくれる。御伽原江良の呼びかけで、ファンコミュニティが急速に団結してる。バスクもこの動きを無視できないはずだ。」リィズが微笑み、自信を覗かせた。

「私のコネクションで、海外のVTuberコミュニティも動き出してるわ。ドイツ、ベトナム、ポーランド…アカリを応援する声が、世界中で広がってる。」

ファルカが力強く頷いた。

「ブライトとエマが内部から監視の目をそらす準備をしてくれる。カクリコンとジェリドも協力してくれます。私たちが動けば、アカリさんを救い出せる!」

アイリスディーナは立ち上がり、揺るぎない決意を込めて宣言した。

「よし、明日夜の作戦を最終確認だ。ファルカと魂子は、ちゆると連携して警備システムのハッキングを進めてくれ。テオドールとリィズは、VTuberたちの動きを調整して、バスクの注意を分散させる。アカリを救うため、ZIZAI、NEOENTUM、クリエイトリングの総力を結集する!」

会議室は、団結の熱気で燃え上がり、まるで星々が一つの銀河を形成するように、ミライアカリを救うための戦いは決定的な局面へと突き進んでいた。VTuberたちの絆とファンの声が、バスクの野望を打ち砕く希望の剣となりつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シリウスシュガーの所長室で、月ヶ瀬ちゆるはモニターとデータの山に囲まれながら、ミライアカリを救うための次の手を模索していた。御伽原江良や鳴神裁との接触でネットワークを広げつつあったが、さらなる力を結集する必要があった。そこで、ちゆるはホロライブ所属のバーチャルライバー、潤羽るしあに連絡を取ることにした。

るしあの明るく情熱的なキャラクターと、彼女のファン「ふぁんでっど」たちの熱い支持は、アカリ救出の大きな力になると確信していた。通信画面越しに、ちゆるはるしあの愛らしい笑顔と対峙した。るしあの緑の髪が揺れ、元気いっぱいの声が響いた。

《やっほー! ちゆるちゃん、初めましてー! ふぁんでっどのみんなも、元気? って、なんか大事な話っぽいね!》

ちゆるは明るく、だが真剣に切り出した。

「やっほー、るしあちゃん! あたし、月ヶ瀬ちゆる、シリウスシュガーの所長だよ。実は、超大事な話なんだ。ミライアカリちゃんが、GOOMSTUDIOでバスクって奴にパワハラされてるの。彼女を道具にして、VTuber業界を支配しようとしてるんだ。るしあちゃんの力、貸してほしい!」

るしあは目を丸くし、すぐに真剣な表情に変わった。

《え、うそ、アカリちゃんがそんな目に!? ふぁんでっどのみんなも、アカリちゃんの笑顔大好きだから、絶対許せないよ! バスクって奴、なんなの!? ムカつくー!》

彼女の声には、仲間への愛と怒りが滾っていた。ちゆるは頷き、勢いよく続けた。

「そう! アカリちゃんの笑顔は、VTuber界の宝だよね! るしあちゃんの配信力と、ふぁんでっどの熱い応援があれば、#SaveAkariのムーブメントがもっと広がると思う! にじさんじのギバラちゃんや、ZIZAI、NEOENTUMも動いてるんだ。内部の協力者、ブライトさんやエマさんからも情報もらってるよ!」

るしあは拳を握り、キラキラした目で応じた。

《よーし、るしあ、ガチで動くよ! ふぁんでっどのみんなに、Twitterで#SaveAkariをめっちゃ広めてもらう! 配信でもアカリちゃんのこと話して、ファンの力を集めるよ! るしあの絆パワー、なめないでよね!》

彼女はウインクを決め、続けた。

《ちゆるちゃん、具体的にどう動けばいい? 何か作戦ある?》

ちゆるはニヤリと笑い、自信を覗かせた。

「作戦はバッチリ! 明日夜、GOOMSTUDIOの警備が手薄になるタイミングを狙って、アカリちゃんを救出するんだ。るしあちゃんには、ふぁんでっどと一緒にXでバスクの悪事をガンガン拡散してほしい! バスクの注意を分散させて、救出のチャンスを作るの!」

るしあは「うっひょー!」と叫び、勢いよく頷いた。

《了解! るしあとふぁんでっどの絆で、アカリちゃんの笑顔取り戻すよ! ホロライブの仲間にも声かけて、もっと大きく動くから、ちゆるちゃん、準備しといてね!》

ちゆるは目を輝かせ、感謝を込めて言った。

「ありがとう、るしあちゃん! ふぁんでっどの力、めっちゃ心強いよ! アカリちゃん、絶対救うから!」

るしあは笑顔で手を振り、叫んだ。

《ふぁんでっど、準備OK!? アカリちゃんのために、るしあ全力でいくよー! おつるしあー!》

 

潤羽るしあの参戦により、ミライアカリを救う戦いはさらに勢いを増した。彼女の情熱と「ふぁんでっど」の熱い支持は、VTuber界の絆をさらに強固なものにしていた。ちゆるは通信を終え、静かに呟いた。

「るしあちゃんのエネルギー、ほんとすごい…! これで、アカリちゃんにもっと近づけた!」

VTuberたちの団結は、まるで夜空を照らす無数の星のように輝きを増し、バスクとジャミトフの野望を打ち砕くための希望の剣が、鋭く研ぎ澄まされつつあった。

 

 

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