2020年10月13日、某所
鳴神裁は、ミライアカリがGOOMSTUDIOでバスクのパワハラに苦しんでいるという情報を既にちゆるから聞き、血気盛んに立ち上がった。いつも通り鋭い目つきで、拳を握り締め、怒りを滾らせていた。部屋の空気が彼の苛烈なオーラで重く淀み、まるで嵐の前触れのように張り詰めていた。
「バスクって奴、なんて汚ねえ真似してやがるんだ! ミライアカリをそんな目に遭わせるなんて、許さねえ! 今すぐGOOMSTUDIOに乗り込んで、ぶっ飛ばしてやるぜ!」
彼は勢いよく動き出そうとしたその瞬間、萌実が冷静な表情でその前に立ちはだかった。彼女の目は静かな決意に満ち、穏やかだが強い口調で言った。萌実は、まるで嵐を抑える穏やかな風のように、鳴神の前に佇んでいた。
「鳴神、落ち着いて。突っかかっても、アカリちゃんを救うどころか、状況を悪化させるだけだよ。」
鳴神は苛立ちを隠せず、声を荒げた。拳が震え、目が赤く燃えるように輝いていた。
「何!? 萌実、アカリがあんな目に遭ってるのに、黙って見てろってのか!?」
萌実は首を振って、落ち着いた声で続けた。彼女の言葉は、理性的な光を放ち、鳴神の感情を少しずつ包み込むようだった。
「違うよ…萌実もアカリちゃんを救いたい。でも、力ずくじゃバスクの思う壺。ZIZAIやNEOENTUM、シリウスシュガーの月ヶ瀬ちゆるさんたちが動いてる。#SaveAkariのムーブメントも広がってるんだ。萌実たちは、頭を使って、ちゃんと計画を立てて動かないと。」
鳴神は一瞬言葉に詰まり、拳を握り直した。苛立ちが収まらず、息を荒げながらも、萌実の瞳に宿る確信に少しずつ引き込まれていく。
「…ちっ、確かに無計画に突っ込むのは俺らしくねえか。で、どうすりゃいいんだ?」
萌実は小さな笑みを浮かべ、力強く言った。彼女の声は、仲間を導く灯火のように優しく、しかし熱く響いた。
「アンタの情熱は、アカリちゃんを救う力になるよ。Twitterで#SaveAkariを拡散して、ファンの声を大きくしてほしい。鳴神の影響力なら、もっと多くの人にアカリちゃんの状況を知らせられる。萌実も、みんなと一緒に動くから。」
鳴神はしばらく黙って萌実を見つめ、やがてニヤリと笑った。その笑みは、苛立ちが新たな決意に変わった証だった。拳を緩め、闘志を新たに燃やした。
「へっ、さすが萌実、頭いいな。分かったぜ、俺の声でバスクの野望をぶち壊す火種を撒いてやる! アカリ、待ってろよ!」
こうして、鳴神の衝動は萌実の冷静な判断によって方向づけられ、#SaveAkariのムーブメントはさらに勢いを増すこととなった。二人の絆が、VTuber界の闇を切り裂く新たな光を生み出し、ミライアカリの救出に向けた戦いは、静かに、だが確実に加速していった。
2020年10月14日、株式会社クリエイトリングの会議室は、張り詰めた空気に包まれていた。ミライアカリの救出を巡る動きの中で、鳴神裁の過激な発言が波紋を広げていた。彼は、金魚坂に近しい人物から得たという情報に基づき、「にじさんじ内部でのいじめ」や「ディスコードのリークがあるが証拠は出せない」と繰り返し発言し、いちから公式の見解発表後にも「燃えるような要素があるのは運営が悪い」と連呼。さらに、ゲーム部やアズマリムの騒動から一年も経たないうちに運営批判を展開し、隠されたリークの存在を匂わせ、ファンの間で混乱を招いていた。この行動が、ミライアカリ救出作戦を指揮する音霊魂子たちの耳に入った。魂子は、クリエイトリングの会議室で鳴神と対峙し、厳しい表情で告げた。彼女の目は、まるで嵐の前の静けさを湛えるように鋭く、部屋の空気をさらに重くした。
「鳴神、あんたの熱意は認めるよ。でもね、ゲーム部騒動に関与し、美兎ちゃんを傷つけた人間は置いとけない。―――このままだとあんたのチャンネルがBANされ、動画と共に全削除という末路を迎えちゃうよ。」
鳴神は拳を握り、悔しげに目を伏せた。薄紫の髪が影を落とし、神父服のような服装が彼の苛烈な内面を強調していた。
「…それでも俺は、彼女を助けたい。」
彼の声には、熱い想いと同時に過去の行動への葛藤が滲み、部屋に静かな緊張を呼び込んだ。魂子は静かに、だが力強く続けた。彼女の言葉は、まるで剣のように鳴神の心を貫くものだった。
「――今までしてきた活動内容を踏まえて、今一度人生を省みてほしい。それが、アカリちゃんを救うための第一歩だよ。それが私たちの願いだよ。」
その言葉は、鳴神の心に重く響いた。彼はしばらく黙り込み、やがて唇を噛み締めた。瞳に宿る炎は消えぬまま、しかし少しの諦めが混じっていた。
「…分かった。俺は一旦引く。だが、アカリが救われるまで、俺なりに動くぜ。」
魂子は小さく頷き、会議室の空気は一瞬和らいだ。彼女の表情は、厳しさの中に優しさを湛えていた。
「それでいいよ、鳴神。アカリちゃんを救うために、私たちは全員で力を合わせる。無駄な炎上は避けて、ちゃんと計画を進めよう。」
こうして、鳴神はチームから外れることとなったが、彼の心にはアカリを救いたいという想いが残り続けていた。一方、魂子たちは、#SaveAkariのムーブメントをさらに加速させ、バスクとジャミトフの野望に立ち向かう準備を整えていた。クリエイトリングの会議室から、VTuberたちの絆が新たな波を起こし、ミライアカリの未来を照らす光が、少しずつ強くなっていくのだった。
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