2018年4月30日、株式会社ENTUMの名誉会長室は、冷たく重い空気に支配されていた。夕陽が窓から差し込む光は、ベアトリクスの鋭い眼光を一層際立たせ、部屋に緊張感を漂わせる。ニコラが毅然と立ち、ベアトリクスの前に報告を行う中、ENTUMの内部に新たな嵐が巻き起ころうとしていた。
ベアトリクスが低い声で呟く。
「そうか。エイレーンが……」
ニコラが冷静に続ける。
「監視カメラで見たところ、同志少佐だけでなく、ベルンハルト大尉も関与しているようです」
ベアトリクスの目が一瞬鋭く光る。彼女はデスクを叩き、断固たる口調で命じる。
「クビにしなさい! 社内の叛乱分子だ!」
ニコラが即座に敬礼する。
「ハッ!」
ベアトリクスが声を張り上げ、部屋に響かせる。
「私の経営方針に反する者は即クビだ! いいか!? エイレーンには二度と会社に入らせるな!」
ニコラが力強く頷く。
「了解しました!」
彼女は踵を返し、命令を実行すべく名誉会長室を後にする。ドアが閉まる音が重く響き、ベアトリクスは一人、窓の外を睨む。彼女の心には、ENTUMの未来を守るための冷徹な決意が宿っていた。
遠くのオフィスでは、「1000万再生」の数字がモニターに輝き続け、ミライアカリの笑顔が映し出されている。しかし、名誉会長室でのこの決定は、会社に新たな亀裂を生む。エイレーンとアイリスディーナの運命は、ベアトリクスの鉄の意志によって切り捨てられようとしていた。
物語は、信頼と裏切りの狭間で揺れ動き、ENTUMの未来に暗い影を落とす。ニコラの足音が廊下に響く中、さらなる波乱が待ち受ける――。
株式会社ENTUMの次長室は、まるで凍りついたような静寂に包まれていた。夕陽が窓から差し込む光が、ベイレーンのデスクを冷たく照らし、部屋に緊張感を漂わせる。エイレーンは必死に訴えかけるが、ベイレーンは冷徹な表情を崩さない。
エイレーンが声を震わせ、叫ぶ。
「クビ!? 何でなんですか!?」
ベイレーンが淡々と、しかし鋭く答える。
「ENTUMには不必要だからだ。エイレーン、お前は健全過ぎる動画を追求している。それではダメなんだ! 世の中でインターネットやスマホアプリを悪用してる連中は腐るほどいるんだ! 健全過ぎるお前は必要ないからだ」
エイレーンが目を潤ませ、反論する。
「わ、私はENTUMの設立者の一人です!」
ベイレーンが冷たく、しかし静かに告げる。
「そろそろ時間だお。警備員!」
頑強な警備員が即座に現れ、敬礼する。
「はい!」
「摘み出せ!」
「はい! 承知」
エイレーンが最後の抵抗を見せる。
「あとで後悔しても知りませんよ! 姉さんの分からず屋!!」
ベイレーンは無言で彼女を見つめ、心の中で呟く。
「(エイレーン……お前はコンプライアンスのことを気にし過ぎるだお。すまないが、これも宿命だ。経営権としての争いはお前にはまず無理だお……ENTUMを発展させるのは……ベアトリクス・ブレーメただ一人……そうだお。エイレーンはこう言っただお『姉さんがVTuberとして動画投稿したら広告収入がストップになる』。これからは私がこの会社を支え続ける。雑草でも食って貧相に暮らせ)」
エイレーンが警備員に引きずられながら、絶望的な叫びを上げる。
「姉さん……! どうして……!」
ドアが閉まり、エイレーンの声が遠ざかる。ベイレーンは一人残され、窓の外を眺める。彼女の心には、会社の未来を守るための冷徹な決意と、妹へのわずかな哀れみが交錯していた。
遠くのオフィスでは、「1000万再生」の数字がモニターに輝き続け、ミライアカリの笑顔が映し出されている。しかし、次長室でのこの別れは、ENTUMの内部に深い亀裂を生み、さらなる波乱を予感させる。物語は、信頼と裏切りの狭間で揺れ動き、ベイレーンとエイレーンの運命を分かつ。