数時間後、設立式の熱狂が収まった会議室。窓から差し込む夕陽が、室内に落ち着いたオレンジの光を投げかけていた。テーブルの周りには、アイリスディーナ、ベアトリクス、ベイレーン、そしてエイレーンが集まり、式典の余韻とその波紋について話し合っていた。
アイリスディーナが、穏やかだがどこか重い口調で切り出した。
「ベアトリクス、社員の前であれは言い過ぎじゃないか?」
ベアトリクスは腕を組み、鋭い視線を返す。
「所属してる連中にこうでも言わなきゃ、やる気なんて出ないだろ?甘やかしてどうなる?」
アイリスディーナは眉をひそめ、言葉を選ぶように続けた。
「それはそうだが……あまりに厳しすぎると、かえって萎縮する者もいるぞ」
ベイレーンが、女性らしい柔らかな声に少しの苛立ちを滲ませて口を挟む。
「名誉会長、これはまるで軍隊のやり方じゃないかお?」
ベアトリクスは一瞬目を細め、ミライアカリ、猫宮ひなた、届木ウカ、もちひよこの顔を思い浮かべるように虚空を見つめた。
「ミライアカリ、猫宮ひなた、届木ウカ、もちひよこ。どれも個性は揃ってる。だが、甘っちょろい部分が目立つ。あいつらが本気で戦えるようになるには、喝が必要だ」
ベイレーンは頬を膨らませ、反論する。
「そうだとしても、名誉会長の言葉はあまりに刺々しすぎるよ!怖がらせてどうするんだお?」
エイレーンが、気まずそうに髪を弄りながら口を開いた。
「それに、ゲストで来てくれたWake Up, Girls! のメンバー、みんな号泣寸前だったんですよ……。ちょっと空気が重すぎましたよね」
ベアトリクスが一気にエイレーンに矛先を向ける。
「貴様がそんなこと言える立場か!? 『ヒナタと結婚したい』だの、『皆まとめて百合百合パラダイス』だの、ふざけたことばかりほざいて!貴様こそ成長の欠片もないな!」
エイレーンは目を丸くし、慌てて弁解する。
「は、はぁ……!?そ、そんなつもりじゃ……」
「制裁だ!」
ベアトリクスの声が雷鳴のように響き、エイレーンが椅子から飛び上がりそうになる。彼女の眼光はまるで獲物を捕らえた猛獣のようだった。
その瞬間、部屋の隅からファルカが弾けるような笑顔で飛び込んできた。
「同志少佐!」
ベアトリクスがエイレーンを指さし、声を荒げる。
「この女を追い出せ!」
エイレーンは顔を真っ青にし、必死に手を振って叫んだ。
「待ってください! 私が悪かったです! 謝りますから……ブレーメ名誉会長、許してくださいっ!」
彼女の懇願する声が会議室に響き、アイリスディーナが静かにため息をつく。ベイレーンは呆れ顔で首を振ったが、どこかこの騒動に慣れているような表情を浮かべていた。嵐のような設立式の後、ENTUMの未来はまだまだ波乱に満ちているようだった――。